29 / 44
北の離宮へ
しおりを挟む
陛下の執務室に入ると、前回と同様に人払いされ陛下とお父様と私の3人だけになった。
ソファーに座ると、陛下はじっと私の顔を見つめ・・・そのまましばらく沈黙が続いた。
「陛下どうなさりました?アーリスの顔に何かついていますでしょうか?」
「いや、アーリス嬢がクリストファーの婚約者として初めて登城した時のことを思い返していた。それに、マリアンナがここに居たらなんと言うかと・・・つい考えてしまった。」
陛下は首を横に振ると、静かに話し出した。
「アーリス嬢、イソラ公爵から話があったがクリストファーを入婿に迎えたいというのは確かなのか?あの事件の時、クリストファーはアーリス嬢を3年間も蔑ろにしていたが・・・それを許し、受け入れる気持ちがあると思ってよいのか?」
「はい。私はクリストファー殿下をお慕いしております。あの事件の時のクリストファー殿下の姿はナターシャの魅了に掛けられた為だとわかりましたので・・・今は直ぐにでもお会いしたいのです。」
「イソラ公爵もそれで良いのか?」
「はい。私は何よりアーリスの意志を尊重したいと思っております。」
陛下はそうか・・・と呟くと、一瞬何かを思うようにギュッと瞼を閉じた。
「こまごましたことはまた後日決めることになるが、クリストファーとアーリス嬢の婚約は解消されていない。今でも正式な婚約者のままだ。何せ亡くなったと思っていたので婚約解消の手続きは不要と認識していた。だから再度の婚約手続きなどはする必要がない。・・・だがな、アーリス嬢、私はクリストファーが北の離宮に移動したあと、王宮に残された絵画を回収するように命じた。まだ、完全には回収しきれていないが今の時点で50を超えていると報告があった。クリストファーが北の離宮に持って行った絵も足せば100近くあるかもしれない。それだけでもクリストファーがどれだけアーリス嬢を思っているか分かるくらいだ。クリストファーの妄執は理解を超えている。苦労するかもしれないが・・・耐えられるか?」
絵画が100・・・その数に一瞬驚いたが
「はい。私は全力でクリストファー殿下をお支えしたいと思っております。」
その言葉に陛下は頷いた。
「クリストファーは優秀だ。公爵としての役割はこなせると思う。正気を失うのはアーリス嬢に関してだけだったからな。アーリス嬢と再会することで、クリストファーが完全に正気を取り戻せるかは分からないが、アーリス嬢が居れば作り出した妄執からいつか解放されるのでは無いかと期待している。
──国王としてではなく、1人の父親として頼む・・・どうか・・・どうか、クリストファーを頼む。」
振り絞るような声そういうと頭を下げられた。
「陛下、そんな恐れおおい!頭を上げてください。」
お父様が驚愕した声で陛下に頭を上げていただくよう懇願した。
「クリストファーを何とか助けてやりたいと思ったが、私は救ってやれなかった。王座が無ければ私もただの父親だ。子の幸せを常に願っている。ひとたび王座に座れば、子であれ国の為に気持ちを踏みにじることも言わねばならないがな。」
最後は自嘲するように苦笑いを浮かべていた。
「陛下、クリストファー殿下のことはお任せ下さい。アーリスと共に、次代のイソラ公爵として殿下を盛り立てお守りしていきます。ですから・・・ですからご安心ください。」
「よろしく頼む。」
お父様と陛下は、父親同士思う所があったのか顔を見合わせ力強く頷きあった。
「クリストファーにはアーリス嬢のことはまだ何も知らせていない。使用人達にも箝口令を敷いている。詮議が終わったら知らせようと思っていた。だが・・・下手に話すと妄執を拗らせるかもしれないと思い、まだ知らせる方法を決めかねているところだ。」
「では、私が直接参ります。北の離宮に立ち入る許可を頂けますでしょうか?」
「うむ・・・イソラ公爵と共に行くのであれば良いだろう。北の離宮に立ち入るのを許可する。時間が掛かるかもしれぬので2人が滞在できるようにも手配する。完了したら公爵家に通達するので今しばらく時間が欲しい。」
「「承知致しました。」」
──その数日後、陛下からの通達が公爵家へ届いたのだった。
ーーーーーーーーーー
いよいよクリス様の住む離宮へ赴く日がやって来た。
王宮の入口から1番遠い位置に北の離宮があり、馬車でないとたどり着くことは出来ないほど広大な敷地になっている。お父様と共に、王宮より貸出いただいた馬車へ乗り換え北の離宮へ向かう。
馬車の窓から外を眺めると、道の両端には深い森が広がっていて、森の中に豪奢な邸宅の一部がポツンポツンと見えては行き過ぎていく。
いよいよクリス様に会えると思うと、ドキドキし過ぎて胸が痛い。落ち着こうと手のひらに”人”と書いて飲み込む。その姿をお父様に見つかってしまった。
「どうした?アーリス何をしているんだ?」
「いえ、やっとクリス様にお会いできると思ったら緊張してしまって・・・」
人文字を飲み込む”おまじない”などは今世では聞いたことがない。慌てて笑って誤魔化した。
「そうか・・アーリス、もしかしたらクリストファー殿下のことは時間がかかるかもしれない。心の問題は中々すぐには解決できないことが多い。ショックを受けることもあるかもしれない。何かあれば遠慮なく相談しなさい。いいね。」
「はい。わかりました。ありがとうございます。」
お父様からは、今まで何度も同じ様なことを言われてきた。繰り返し同じ話をする理由は・・・お父様も本当は不安なのかもしれない。
素直に頷き、安心してもらえるようにニッコリと微笑んで見せた。
1時間近く走った頃、馬車が止まった。
クリス様が住まわれている北の離宮は”プチバトゥ”と呼ばれる邸宅だった。
”プチ”と言っても王族の邸宅なので、決して小さい訳では無い。
イソラ公爵家よりやや小さい位の大きさで、白と深い海の様な青のコントラストが美しく、”バトゥ(船)”の名の通り海に浮かぶ小さな船のように見えた。
馬車から降り立つとクリス様のお姿はなく、その代わり多くの使用人達が出迎えてくれた。その中から見覚えある男性が一歩前に進み出た。
「イソラ公爵様、アーリス様お待ちしておりました。」
「イーリス、久しいな」
「イーリス、貴方も此方にいたのね」
「はい。東宮から此方へ異動いたしました。アーリス様に再びお会い出来る日が来ようとは・・・万感の思いでございます。」
イーリスは、東宮付きの侍従頭だった。クリス様やアレン様とお会いする際には、必ず侍従又は侍女を立ち会わせる為、イーリスとは度々顔を合わせていた。
普段通りの態度を崩していないが、イーリスの瞳が潤んでいるのがわかった。
「ええ、私も再会できて嬉しいわ。・・・イーリス、心配を掛けてしまったわね」
その言葉を聞いて、イーリスの頬に涙が一筋流れた。慌てて手の甲で涙を拭う。
「・・・失礼いたしました。ご案内いたしますので、どうぞ此方へお越しください。」
クリス様に会いに行くのだと思ったが、そうではなく滞在用の居室へ案内され、不自由が無いようにと3人のメイドを紹介された。
早くクリス様に会いたい気持ちを抑えてひと通りの確認な終わるまで待ってから、イーリスにクリス様の所在を尋ねた。
「イーリス、クリス様は今どこにいらっしゃるの?」
「クリストファー殿下は、庭で絵をお書きになっておられます。お客様がご訪問することはお伝えしていたのですが、お出迎えもせず申し訳ございません。」
「いえ、それは良いのだけれど・・・クリス様にお会いしたいの。案内してもらえるかしら」
「承知いたしました。では、こちらへ。ご案内いたします。」
お父様と共に、クリス様のいらっしゃる庭へ向かって歩いて行った。
ソファーに座ると、陛下はじっと私の顔を見つめ・・・そのまましばらく沈黙が続いた。
「陛下どうなさりました?アーリスの顔に何かついていますでしょうか?」
「いや、アーリス嬢がクリストファーの婚約者として初めて登城した時のことを思い返していた。それに、マリアンナがここに居たらなんと言うかと・・・つい考えてしまった。」
陛下は首を横に振ると、静かに話し出した。
「アーリス嬢、イソラ公爵から話があったがクリストファーを入婿に迎えたいというのは確かなのか?あの事件の時、クリストファーはアーリス嬢を3年間も蔑ろにしていたが・・・それを許し、受け入れる気持ちがあると思ってよいのか?」
「はい。私はクリストファー殿下をお慕いしております。あの事件の時のクリストファー殿下の姿はナターシャの魅了に掛けられた為だとわかりましたので・・・今は直ぐにでもお会いしたいのです。」
「イソラ公爵もそれで良いのか?」
「はい。私は何よりアーリスの意志を尊重したいと思っております。」
陛下はそうか・・・と呟くと、一瞬何かを思うようにギュッと瞼を閉じた。
「こまごましたことはまた後日決めることになるが、クリストファーとアーリス嬢の婚約は解消されていない。今でも正式な婚約者のままだ。何せ亡くなったと思っていたので婚約解消の手続きは不要と認識していた。だから再度の婚約手続きなどはする必要がない。・・・だがな、アーリス嬢、私はクリストファーが北の離宮に移動したあと、王宮に残された絵画を回収するように命じた。まだ、完全には回収しきれていないが今の時点で50を超えていると報告があった。クリストファーが北の離宮に持って行った絵も足せば100近くあるかもしれない。それだけでもクリストファーがどれだけアーリス嬢を思っているか分かるくらいだ。クリストファーの妄執は理解を超えている。苦労するかもしれないが・・・耐えられるか?」
絵画が100・・・その数に一瞬驚いたが
「はい。私は全力でクリストファー殿下をお支えしたいと思っております。」
その言葉に陛下は頷いた。
「クリストファーは優秀だ。公爵としての役割はこなせると思う。正気を失うのはアーリス嬢に関してだけだったからな。アーリス嬢と再会することで、クリストファーが完全に正気を取り戻せるかは分からないが、アーリス嬢が居れば作り出した妄執からいつか解放されるのでは無いかと期待している。
──国王としてではなく、1人の父親として頼む・・・どうか・・・どうか、クリストファーを頼む。」
振り絞るような声そういうと頭を下げられた。
「陛下、そんな恐れおおい!頭を上げてください。」
お父様が驚愕した声で陛下に頭を上げていただくよう懇願した。
「クリストファーを何とか助けてやりたいと思ったが、私は救ってやれなかった。王座が無ければ私もただの父親だ。子の幸せを常に願っている。ひとたび王座に座れば、子であれ国の為に気持ちを踏みにじることも言わねばならないがな。」
最後は自嘲するように苦笑いを浮かべていた。
「陛下、クリストファー殿下のことはお任せ下さい。アーリスと共に、次代のイソラ公爵として殿下を盛り立てお守りしていきます。ですから・・・ですからご安心ください。」
「よろしく頼む。」
お父様と陛下は、父親同士思う所があったのか顔を見合わせ力強く頷きあった。
「クリストファーにはアーリス嬢のことはまだ何も知らせていない。使用人達にも箝口令を敷いている。詮議が終わったら知らせようと思っていた。だが・・・下手に話すと妄執を拗らせるかもしれないと思い、まだ知らせる方法を決めかねているところだ。」
「では、私が直接参ります。北の離宮に立ち入る許可を頂けますでしょうか?」
「うむ・・・イソラ公爵と共に行くのであれば良いだろう。北の離宮に立ち入るのを許可する。時間が掛かるかもしれぬので2人が滞在できるようにも手配する。完了したら公爵家に通達するので今しばらく時間が欲しい。」
「「承知致しました。」」
──その数日後、陛下からの通達が公爵家へ届いたのだった。
ーーーーーーーーーー
いよいよクリス様の住む離宮へ赴く日がやって来た。
王宮の入口から1番遠い位置に北の離宮があり、馬車でないとたどり着くことは出来ないほど広大な敷地になっている。お父様と共に、王宮より貸出いただいた馬車へ乗り換え北の離宮へ向かう。
馬車の窓から外を眺めると、道の両端には深い森が広がっていて、森の中に豪奢な邸宅の一部がポツンポツンと見えては行き過ぎていく。
いよいよクリス様に会えると思うと、ドキドキし過ぎて胸が痛い。落ち着こうと手のひらに”人”と書いて飲み込む。その姿をお父様に見つかってしまった。
「どうした?アーリス何をしているんだ?」
「いえ、やっとクリス様にお会いできると思ったら緊張してしまって・・・」
人文字を飲み込む”おまじない”などは今世では聞いたことがない。慌てて笑って誤魔化した。
「そうか・・アーリス、もしかしたらクリストファー殿下のことは時間がかかるかもしれない。心の問題は中々すぐには解決できないことが多い。ショックを受けることもあるかもしれない。何かあれば遠慮なく相談しなさい。いいね。」
「はい。わかりました。ありがとうございます。」
お父様からは、今まで何度も同じ様なことを言われてきた。繰り返し同じ話をする理由は・・・お父様も本当は不安なのかもしれない。
素直に頷き、安心してもらえるようにニッコリと微笑んで見せた。
1時間近く走った頃、馬車が止まった。
クリス様が住まわれている北の離宮は”プチバトゥ”と呼ばれる邸宅だった。
”プチ”と言っても王族の邸宅なので、決して小さい訳では無い。
イソラ公爵家よりやや小さい位の大きさで、白と深い海の様な青のコントラストが美しく、”バトゥ(船)”の名の通り海に浮かぶ小さな船のように見えた。
馬車から降り立つとクリス様のお姿はなく、その代わり多くの使用人達が出迎えてくれた。その中から見覚えある男性が一歩前に進み出た。
「イソラ公爵様、アーリス様お待ちしておりました。」
「イーリス、久しいな」
「イーリス、貴方も此方にいたのね」
「はい。東宮から此方へ異動いたしました。アーリス様に再びお会い出来る日が来ようとは・・・万感の思いでございます。」
イーリスは、東宮付きの侍従頭だった。クリス様やアレン様とお会いする際には、必ず侍従又は侍女を立ち会わせる為、イーリスとは度々顔を合わせていた。
普段通りの態度を崩していないが、イーリスの瞳が潤んでいるのがわかった。
「ええ、私も再会できて嬉しいわ。・・・イーリス、心配を掛けてしまったわね」
その言葉を聞いて、イーリスの頬に涙が一筋流れた。慌てて手の甲で涙を拭う。
「・・・失礼いたしました。ご案内いたしますので、どうぞ此方へお越しください。」
クリス様に会いに行くのだと思ったが、そうではなく滞在用の居室へ案内され、不自由が無いようにと3人のメイドを紹介された。
早くクリス様に会いたい気持ちを抑えてひと通りの確認な終わるまで待ってから、イーリスにクリス様の所在を尋ねた。
「イーリス、クリス様は今どこにいらっしゃるの?」
「クリストファー殿下は、庭で絵をお書きになっておられます。お客様がご訪問することはお伝えしていたのですが、お出迎えもせず申し訳ございません。」
「いえ、それは良いのだけれど・・・クリス様にお会いしたいの。案内してもらえるかしら」
「承知いたしました。では、こちらへ。ご案内いたします。」
お父様と共に、クリス様のいらっしゃる庭へ向かって歩いて行った。
32
お気に入りに追加
614
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界転生した先は断罪イベント五秒前!
春風悠里
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したと思ったら、まさかの悪役令嬢で断罪イベント直前!
さて、どうやって切り抜けようか?
(全6話で完結)
※一般的なざまぁではありません
※他サイト様にも掲載中
悪役令嬢は、あの日にかえりたい
桃千あかり
恋愛
婚約破棄され、冤罪により断頭台へ乗せられた侯爵令嬢シルヴィアーナ。死を目前に、彼女は願う。「あの日にかえりたい」と。
■別名で小説家になろうへ投稿しています。
■恋愛色は薄め。失恋+家族愛。胸糞やメリバが平気な読者様向け。
■逆行転生の悪役令嬢もの。ざまぁ亜種。厳密にはざまぁじゃないです。王国全体に地獄を見せたりする系統の話ではありません。
■覚悟完了済みシルヴィアーナ様のハイスピード解決法は、ひとによっては本当に胸糞なので、苦手な方は読まないでください。苛烈なざまぁが平気な読者様だと、わりとスッとするらしいです。メリバ好きだと、モヤり具合がナイスっぽいです。
■悪役令嬢の逆行転生テンプレを使用した、オチがすべてのイロモノ短編につき、設定はゆるゆるですし続きません。文章外の出来事については、各自のご想像にお任せします。
※表紙イラストはフリーアイコンをお借りしました。
■あままつ様(https://ama-mt.tumblr.com/about)
【完結】どうやら、乙女ゲームのヒロインに転生したようなので。逆ざまぁが多いい、昨今。慎ましく生きて行こうと思います。
❄️冬は つとめて
恋愛
乙女ゲームのヒロインに転生した私。昨今、悪役令嬢人気で、逆ざまぁが多いいので。慎ましく、生きて行こうと思います。
作者から(あれ、何でこうなった? )
断罪シーンを自分の夢だと思った悪役令嬢はヒロインに成り代わるべく画策する。
メカ喜楽直人
恋愛
さっきまでやってた18禁乙女ゲームの断罪シーンを夢に見てるっぽい?
「アルテシア・シンクレア公爵令嬢、私はお前との婚約を破棄する。このまま修道院に向かい、これまで自分がやってきた行いを深く考え、その罪を贖う一生を終えるがいい!」
冷たい床に顔を押し付けられた屈辱と、両肩を押さえつけられた痛み。
そして、ちらりと顔を上げれば金髪碧眼のザ王子様なキンキラ衣装を身に着けたイケメンが、聞き覚えのある名前を呼んで、婚約破棄を告げているところだった。
自分が夢の中で悪役令嬢になっていることに気が付いた私は、逆ハーに成功したらしい愛され系ヒロインに対抗して自分がヒロインポジを奪い取るべく行動を開始した。
全力で断罪回避に挑んだ悪役令嬢が婚約破棄された訳...
haru.
恋愛
乙女ゲームに転生してると気づいた悪役令嬢は自分が断罪されないようにあらゆる対策を取っていた。
それなのに何でなのよ!この状況はッ!?
「お前がユミィを害そうとしていたのはわかっているんだッ!この性悪女め!お前とは婚約破棄をする!!」
目の前で泣いているヒロインと私を責めたてる婚約者。
いや......私、虐めもしてないし。
この人と関わらないように必死で避けてたんですけど.....
何で私が断罪されてるのよ━━━ッ!!!
悪役令嬢より取り巻き令嬢の方が問題あると思います
蓮
恋愛
両親と死別し、孤児院暮らしの平民だったシャーリーはクリフォード男爵家の養女として引き取られた。丁度その頃市井では男爵家など貴族に引き取られた少女が王子や公爵令息など、高貴な身分の男性と恋に落ちて幸せになる小説が流行っていた。シャーリーは自分もそうなるのではないかとつい夢見てしまう。しかし、夜会でコンプトン侯爵令嬢ベアトリスと出会う。シャーリーはベアトリスにマナーや所作など色々と注意されてしまう。シャーリーは彼女を小説に出て来る悪役令嬢みたいだと思った。しかし、それが違うということにシャーリーはすぐに気付く。ベアトリスはシャーリーが嘲笑の的にならないようマナーや所作を教えてくれていたのだ。
(あれ? ベアトリス様って実はもしかして良い人?)
シャーリーはそう思い、ベアトリスと交流を深めることにしてみた。
しかしそんな中、シャーリーはあるベアトリスの取り巻きであるチェスター伯爵令嬢カレンからネチネチと嫌味を言われるようになる。カレンは平民だったシャーリーを気に入らないらしい。更に、他の令嬢への嫌がらせの罪をベアトリスに着せて彼女を社交界から追放しようともしていた。彼女はベアトリスも気に入らないらしい。それに気付いたシャーリーは怒り狂う。
「私に色々良くしてくださったベアトリス様に冤罪をかけようとするなんて許せない!」
シャーリーは仲良くなったテヴァルー子爵令息ヴィンセント、ベアトリスの婚約者であるモールバラ公爵令息アイザック、ベアトリスの弟であるキースと共に、ベアトリスを救う計画を立て始めた。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
ジャンルは恋愛メインではありませんが、アルファポリスでは当てはまるジャンルが恋愛しかありませんでした。
婚約破棄の特等席はこちらですか?
A
恋愛
公爵令嬢、コーネリア・ディ・ギリアリアは自分が前世で繰り返しプレイしていた乙女ゲーム『五色のペンタグラム』の世界に転生していることに気づく。
将来的には婚約破棄が待っているが、彼女は回避する気が無い。いや、むしろされたい。
何故ならそれは自分が一番好きなシーンであったから。
カップリング厨として推しメン同士をくっつけようと画策する彼女であったが、だんだんとその流れはおかしくなっていき………………
人形令嬢は暗紅の公爵に溺愛される
oro
恋愛
生まれた時から妹の代わりでしか無かった姉フィオラ。
家族から愛されずに育った少女は、舞台に立つ操り人形のように慎ましく美しい完璧な令嬢へと成長した。
全てを諦め、平穏な人生を歩むために。
妹の代わりに婚約させられた相手は冷淡で冷酷な「暗紅の白銀狼」と呼ばれる公爵様。
愛を知らない令嬢と公爵様のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる