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わたしの気持ち

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アトス様の思いつきから更に数日。わたしとアトス様は、かつての思い出の場所あの湖に来た。

祠での浄化が終わった後なので、アトス様はわたしを休ませ手早く支度してくれる。
有難いような…申し訳ないような…ムズムズしながらわたしはアトス様を見ていた。

あれやこれやと世話を焼かれるのも随分慣れたよね。慣れていいのかわからないけど。

今までひとりの時は、誰にも頼ることなく生きてきた。現世では孤児だったこともあり、自分がしっかりしてないと思った。前世では、姉だから妹を守らないといけないからと誰にも頼らなかった。
前世については、行き着いたのが生贄だったわけだけど。

あの事件の主犯達の刑が執行される前に、アトス様にお願いして彼等に面会した。アトス様はいい顔しなかったけど、傍にいることを条件に許してくれた。
わたしは主犯の人に聞いた。
「どうしてこんなことしたんですか?」と
返ってきた返答は「我らは古の血を守ってきた。そしてこの土地が栄えたのだ。我らの存在は尊ばれるべきだ。だから、我らのために糧になるものがあるのは仕方ない。」と
前世むかしの神官達と同じ考えで変わらない。

「だから、浄化の力が使えなくなるんですよ。貴方はただの欲深い人間です。ミコトを見ることもできない。なんの力も何も無いただの人間です。だから…した事の責任はちゃんと取ってください。」
わたしはそう言うと、彼はこれ以上何も言わず、頭を垂れ肩を落としていた。

わたしは自分が犠牲になる事で守ろうとした。それが正しかったのかは答えはない。
でも、結果カイン様やミコトを傷つけていた。
妹も…もし知っていたなら絶対止めただろう…

「ユエ。準備できたよ。おいで。」
アトス様が手を差し出す。わたしは瞬時のうち、ふぅと諦めの息を吐き手を置く。

「お姫様じゃないんですから、ここまでしなくてもいいんですよ?」

「君だからしたいんだよ。俺の愛しい人。」
……くさいセリフさり気なくいれてきたな。






敷物に2人座り長閑に時間が過ぎる。前世むかしもこんな感じだったなぁ。
ここは全く変わらない。まるで昔に戻ったみたいだ。

「ふぁ…」
アトス様が欠伸をしている。眠いのかな?

「横になりますか?」
ぽんぽんと自分の膝を叩く。

「えっいいの?」

「えっ?」

「いや…俺は嬉しいけど、それ膝枕…」

「っ!?ーーーーー」
あまりに自然に言ってしまったらしくわたしは赤面し、慌てる。
わたしなんてことーーーーー

「あ、あのっ…「じゃあ遠慮なく。」…っえ?」
ぽすっと膝を枕に寝転ぶアトス様。

「うん。いいね、これ。」
アトス様はにこにこしながら膝に頬擦りする。

「……左様ですか。」
恥ずかしいが、まぁしばらくこうしてるか……自分で言ったことだし。






また、静かな時間が流れる。今は2人に会話はない。アトス様は夢の中だ。規則正しく寝息を立てている。
顔のつくりはいいんだよね。
あっ…意外にまつげ長い。
わたしはアトス様の髪を撫でながら顔をしげしげと見ていた。

こんな自然に寄り添える関係も悪くないのだろうな。
この人今となっては、わたしがいないと暴走しそうだし。
いない時はちゃんとできてただろうに……
まぁ暴走して間違って怪我でもされたらわたしも気が気じゃないし…

わたしは寝ているだろうアトス様に向けて
「わたしの気持ち…これが恋なのかはわかりませんが、貴方のことは嫌いではありません。
貴方が一人で辛い思いをするのは心が痛みます。
貴方が悲しみの中にいるとわたしも悲しいです。
貴方が笑うとわたしも一緒に笑うことができるし、心があたたかくなります。
そして、貴方の側にいたいと思ってしまう自分がいます。
今は……それでいいですか?」

ざぁっと心地よい風が吹く中わたしはまだ秘密の心のうちを寝ているアトス様に打ち明ける。
また再会するなんて思わなかった。
でもカイン様とは違う貴方。
わたしも前世むかしと違うの。
だから、貴方とまた新しく時間を過ごしたい。
心配症で、わたしが側にいないと不安がる貴方。今は時間の許す限り貴方の側にいるわ。
これを恋心と名前をつけないのは、まだ認めたくないわたしの意地なの。
だから……もう少し待っててねーーーーー





ミコトは遠くから二人を見ていた。アトスとユエがこの先、どうなるかはそばで見届けようと思う。
神の立場でありながら、随分入れ込んだものだとも、自分に呆れながら。
それでも今の二人を見ることがミコトの願いだった。まだまだこの先見たかった光景が見ることができるだろう。
しばらくはこのままで…この穏やかな時間を共に過ごそうーーー




文章が不出来ながら、ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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