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第2章
誰も知らない町で⑪
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なぜ僕が富山の高校生向け陸上競技の大会にででいることになっているんだ?
しかも、この順位と記録はなんだ?
予選の組の中で8位となっていた。
つまり組の中で最下位ということだ。
僕が最下位?
予選で最下位なんて一度たりとも取ったことはない。
というか、絶対に僕は富山の高校生の大会なんて走っていない。
ましてやタイムが13秒24? 100mで13秒台なんて小学生の頃のことだ。
遅すぎる。
女子だって、紗季が12秒台を出しているように、13秒を切る女子は県大会レベルでもあちこちにいる。
この「相沢碧斗」は一体何なんだ?
部屋の中にいるのに額に汗ばむものを感じた僕は、富山の陸上競技についての会話がやりとりされているサイトを開いた。中学の頃から知っているが、ここでは勝手な情報が語られているものの富山の陸上競技状況を参考程度に仕入れるぐらいはできる。鵜吞みせず、あくまで参考程度にするべきだが。
総体予選の頃の時期に移動しながら僕は画面を移動していく。
ほどなくしてそのぐらいの時期の書き込み周辺に辿り着いた。
『やっぱ窪塚最強』
『リレーで坂岡が勝っただと……?』
『1年で唯一決勝の金崎ってすごくね?』
『5000の決勝に英徳大の監督が見に来てた。五十嵐か?』
真偽がわからない情報もあるが、人の名前が勝手に飛び交っている。
僕が知っている100mの選手名もちらほらと見つかる。
そんな中で僕はある書き込みを見つけた。
『相沢が100mの予選で最下位? 怪我でもしたか?』
『全中以降まったく相沢ダメだな』
『もしかして相沢、再起失敗したときのために進学校選んだんじゃね?』
僕の名前で見たこともない奴らが勝手なことを言っている。
去年の全国大会で負けてしまったときも、勝手なことを書かれていた。あれが実力とか、ビビったとか、いろんなことを書き込まれた。「そんな情報は見ないほうがいい」と周りの奴らも言った。
実際、腹立たしい思いはたしかにしたけれど、結果を出せなかったのは僕自身だ。
『相沢碧斗』として受け入れるしかなかった。
しかし、これは違う。
僕は走ってすらいないのだ。走ってすらいないのに勝手なことを言われる。
これを『相沢碧斗』として受け入れることなんてできない。
とんだ迷惑だ、どうなってるんだ、そう思いながらスマホをベッドに放りだした。
何があったのかたしかめたかった。それを聞くならば『相沢碧斗』と同じ青城南高校に通っていて、同じ陸上部であるはずの紗季だが、僕は連絡すべきか躊躇っていた。
紗季とはもう随分長い間、連絡を取っていない。
なぜ僕が富山の高校生向け陸上競技の大会にででいることになっているんだ?
しかも、この順位と記録はなんだ?
予選の組の中で8位となっていた。
つまり組の中で最下位ということだ。
僕が最下位?
予選で最下位なんて一度たりとも取ったことはない。
というか、絶対に僕は富山の高校生の大会なんて走っていない。
ましてやタイムが13秒24? 100mで13秒台なんて小学生の頃のことだ。
遅すぎる。
女子だって、紗季が12秒台を出しているように、13秒を切る女子は県大会レベルでもあちこちにいる。
この「相沢碧斗」は一体何なんだ?
部屋の中にいるのに額に汗ばむものを感じた僕は、富山の陸上競技についての会話がやりとりされているサイトを開いた。中学の頃から知っているが、ここでは勝手な情報が語られているものの富山の陸上競技状況を参考程度に仕入れるぐらいはできる。鵜吞みせず、あくまで参考程度にするべきだが。
総体予選の頃の時期に移動しながら僕は画面を移動していく。
ほどなくしてそのぐらいの時期の書き込み周辺に辿り着いた。
『やっぱ窪塚最強』
『リレーで坂岡が勝っただと……?』
『1年で唯一決勝の金崎ってすごくね?』
『5000の決勝に英徳大の監督が見に来てた。五十嵐か?』
真偽がわからない情報もあるが、人の名前が勝手に飛び交っている。
僕が知っている100mの選手名もちらほらと見つかる。
そんな中で僕はある書き込みを見つけた。
『相沢が100mの予選で最下位? 怪我でもしたか?』
『全中以降まったく相沢ダメだな』
『もしかして相沢、再起失敗したときのために進学校選んだんじゃね?』
僕の名前で見たこともない奴らが勝手なことを言っている。
去年の全国大会で負けてしまったときも、勝手なことを書かれていた。あれが実力とか、ビビったとか、いろんなことを書き込まれた。「そんな情報は見ないほうがいい」と周りの奴らも言った。
実際、腹立たしい思いはたしかにしたけれど、結果を出せなかったのは僕自身だ。
『相沢碧斗』として受け入れるしかなかった。
しかし、これは違う。
僕は走ってすらいないのだ。走ってすらいないのに勝手なことを言われる。
これを『相沢碧斗』として受け入れることなんてできない。
とんだ迷惑だ、どうなってるんだ、そう思いながらスマホをベッドに放りだした。
何があったのかたしかめたかった。それを聞くならば『相沢碧斗』と同じ青城南高校に通っていて、同じ陸上部であるはずの紗季だが、僕は連絡すべきか躊躇っていた。
紗季とはもう随分長い間、連絡を取っていない。
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