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第2章
誰も知らない町で⑦
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夏休みになった。
中学の頃は、夏といえば全国大会と国体予選だったので、何も予定がない夏休みは本当に久しぶりだった。
正確には予定がないわけでなく、バイトを始めたのでやることはちゃんとあった。勉強はほとんどしていないけれど。
期末テストが終わった頃から僕はファミレスでバイトを始めた。
「Amy's」というチェーン店で有名なファミレスだったが富山には一店舗もなかったので、僕は映画や漫画で出てくるレストランというイメージだった。
祖父母の家にただただ居候しているのも申し訳ないし、何も予定がなかったら帰省でもしなければならなそうだったので始めたという理由だった。
キッチンで採用された僕は週4で、外の暑さとは質の違うキッチンの暑さの中で過ごしている。
フライヤー側を任せてもらっているのだが唐揚げだったり、フライドポテトをもう何度揚げているのかわからない。
1ヶ月も揚げ物ばかりやっていると少し飽きてきた。
ハンバーグやパンケーキを焼くグリル側の仕事もやってみたいなと思っていた。グリルには同じ高校生の平野が入っている。同じ1年生同士なので仲良くなってみたいのだが、平野はあまり口数が多くなかった。
休憩時間が被ったときに、平野と二人で休憩していたのだが、話があまり続かない。続かないというか会話のキャッチボールをほとんどしてくれないのだ。「はい」「いや」「そう」「うん」とかそんなぐらいしか返してくれないのだ。
今日も休憩に入る時間が被ったので、僕は平野に話しかけてみた。
「平野っていつからバイトしてるの?」
「4月」
「早いな。高校に入学してすぐってことだな」
「そうだね」
「森川高校ってとこに通ってるんだっけ?」
「うん」
「オレ、こっち側育ちじゃないからあんまりわからないんだけどさ、森川高校ってどう?」
「普通かな」
「へぇ……かわいい子とかいる?」
「どうかな」
「あんまりそういうの興味ない?」
「そうだね」
こんな感じで会話がほとんど続かず、断片的な内容になってしまうので、僕にだけ冷たくて嫌われているのかなーなんて思っていたが、そうではないらしい。ほかのバイトのメンバーに聞いてみたら、みんな平野とはほとんど会話が続かないらしい。愛想は悪いが、黙々と仕事をこなすタイプだし、真面目な奴なんだなと思っている。
「そういえば、平野ってすごく日焼けしてるけど、なんか部活とかしてるの?」
平野はある一日で焼いた肌ではなく、毎日毎日、陽射しの下で焼き続けた色の濃い肌をしていた。顔もシュッとしていて、いわゆる精悍な顔なんだと思う。
「うん」
「おお、きっと体育会系だよね。何部?」
「陸上部」
陸上部、と聞いて今度は僕が会話を止めてしまった。
夏休みになった。
中学の頃は、夏といえば全国大会と国体予選だったので、何も予定がない夏休みは本当に久しぶりだった。
正確には予定がないわけでなく、バイトを始めたのでやることはちゃんとあった。勉強はほとんどしていないけれど。
期末テストが終わった頃から僕はファミレスでバイトを始めた。
「Amy's」というチェーン店で有名なファミレスだったが富山には一店舗もなかったので、僕は映画や漫画で出てくるレストランというイメージだった。
祖父母の家にただただ居候しているのも申し訳ないし、何も予定がなかったら帰省でもしなければならなそうだったので始めたという理由だった。
キッチンで採用された僕は週4で、外の暑さとは質の違うキッチンの暑さの中で過ごしている。
フライヤー側を任せてもらっているのだが唐揚げだったり、フライドポテトをもう何度揚げているのかわからない。
1ヶ月も揚げ物ばかりやっていると少し飽きてきた。
ハンバーグやパンケーキを焼くグリル側の仕事もやってみたいなと思っていた。グリルには同じ高校生の平野が入っている。同じ1年生同士なので仲良くなってみたいのだが、平野はあまり口数が多くなかった。
休憩時間が被ったときに、平野と二人で休憩していたのだが、話があまり続かない。続かないというか会話のキャッチボールをほとんどしてくれないのだ。「はい」「いや」「そう」「うん」とかそんなぐらいしか返してくれないのだ。
今日も休憩に入る時間が被ったので、僕は平野に話しかけてみた。
「平野っていつからバイトしてるの?」
「4月」
「早いな。高校に入学してすぐってことだな」
「そうだね」
「森川高校ってとこに通ってるんだっけ?」
「うん」
「オレ、こっち側育ちじゃないからあんまりわからないんだけどさ、森川高校ってどう?」
「普通かな」
「へぇ……かわいい子とかいる?」
「どうかな」
「あんまりそういうの興味ない?」
「そうだね」
こんな感じで会話がほとんど続かず、断片的な内容になってしまうので、僕にだけ冷たくて嫌われているのかなーなんて思っていたが、そうではないらしい。ほかのバイトのメンバーに聞いてみたら、みんな平野とはほとんど会話が続かないらしい。愛想は悪いが、黙々と仕事をこなすタイプだし、真面目な奴なんだなと思っている。
「そういえば、平野ってすごく日焼けしてるけど、なんか部活とかしてるの?」
平野はある一日で焼いた肌ではなく、毎日毎日、陽射しの下で焼き続けた色の濃い肌をしていた。顔もシュッとしていて、いわゆる精悍な顔なんだと思う。
「うん」
「おお、きっと体育会系だよね。何部?」
「陸上部」
陸上部、と聞いて今度は僕が会話を止めてしまった。
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