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8月2日、午後 その2
第3話 懐かしい感覚
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俯きながら歩く私の足元に、自分の影が見える。陽に焼けて暑そうなアスファルトの上を私につきあわされている影は苦しかったりするのだろうか。
自分の影を踏みながら歩いていると、
「もうちょっとだよ」
前から声が聞こえた。リサの声だった。
顔を上げるとリサが目の前に立っていた。
「大丈夫?」
リサの隣にはアカネもいた。
二人とも私がついてこなかったので立ち止まってくれていたらしい。
待っててと言わなくても、二人は待っててくれたんだ。
「ありがとう」
なんだか嬉しくなって私はそんな言葉を言った。しかし、リサにはうまく伝わらなかったのか、
「『大丈夫?』って聞かれて『ありがとう』はなんか変じゃない?」
いつも会話に脈絡のないことを言うリサに突っ込まれてしまった。私は苦笑する。
「ま、いいか」
と一人で納得したリサが私に右手を差し出した。
「さ、行こ」
リサが私の左手を取った。
続けてアカネが私の右手を取った。
急に両手を取られて足元が一瞬フラつく。二人が笑みを浮かべたまま私を引っ張る。
「ちょっと! 危ないって」
「いいから」
「大丈夫だって」
二人は強引に引っ張っているわけではなかった。
手を引いてくれている、だけだった。
なんだか懐かしい感覚、小学生の頃に手を繋いで歩いたときのような感覚だった。
汗ばんだ掌から二人の柔らかい手の感触が伝わってくる。なぜだか私の顔もほころぶ。こんなわけのわからない状況なのに。来たことがあるかもわからない町なのに。何が起きるか全くわからないのに。
なんでだろう。
なんでだろう。
不安は全くなかった。
何が起きるか全くわからないのに。来たことがあるかもわからない町なのに。こんなわけのわからない状況なのに。
自分の影を踏みながら歩いていると、
「もうちょっとだよ」
前から声が聞こえた。リサの声だった。
顔を上げるとリサが目の前に立っていた。
「大丈夫?」
リサの隣にはアカネもいた。
二人とも私がついてこなかったので立ち止まってくれていたらしい。
待っててと言わなくても、二人は待っててくれたんだ。
「ありがとう」
なんだか嬉しくなって私はそんな言葉を言った。しかし、リサにはうまく伝わらなかったのか、
「『大丈夫?』って聞かれて『ありがとう』はなんか変じゃない?」
いつも会話に脈絡のないことを言うリサに突っ込まれてしまった。私は苦笑する。
「ま、いいか」
と一人で納得したリサが私に右手を差し出した。
「さ、行こ」
リサが私の左手を取った。
続けてアカネが私の右手を取った。
急に両手を取られて足元が一瞬フラつく。二人が笑みを浮かべたまま私を引っ張る。
「ちょっと! 危ないって」
「いいから」
「大丈夫だって」
二人は強引に引っ張っているわけではなかった。
手を引いてくれている、だけだった。
なんだか懐かしい感覚、小学生の頃に手を繋いで歩いたときのような感覚だった。
汗ばんだ掌から二人の柔らかい手の感触が伝わってくる。なぜだか私の顔もほころぶ。こんなわけのわからない状況なのに。来たことがあるかもわからない町なのに。何が起きるか全くわからないのに。
なんでだろう。
なんでだろう。
不安は全くなかった。
何が起きるか全くわからないのに。来たことがあるかもわからない町なのに。こんなわけのわからない状況なのに。
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