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8月3日、午前
第2話 Summer Vacationだよ?
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実夏は私を見ているだけで何も言わなかった。
「……何か用?」
私が尋ねると、
「なんか日焼けしてるね」
特に表情を浮かべることなく私の顔をみたまま実夏は言った。
思わず私は左の頬を押さえた。
「昨日、ちょっといろいろあって……」
「こんな時期に塾をサボって、楽しい『ひと夏の思い出』づくり? そんなんで大丈夫なの?」
なんだ、その嫌味っぽい言い方は? と思ったがそこは指摘しないことにした。
つとめて冷静に
「そうだよ? 成績落ちてる奴が遊んでちゃ悪いかな?」
と言うと、
「別に」
淡々と彼女は言った。
「思ったより、余裕そうだなって思っただけ」
「余裕はないけど」
「ないけど?」
「頭の中、切り替えることできたからね。もう大丈夫」
「別に心配しているわけじゃない」
「たまには息抜きしなきゃね。だって夏休みだよ? It's Summer Vacationだよ?」
リサっぽく言ってみたが、実夏は笑うことはなかった。表情が崩れることはなかった。
「英語で夏休みって言えばサボったことが正当化されるわけじゃないでしょう」
冷静に突っ込まれた。「なんで英語?」ぐらいの軽さはないのか。
「まぁ、それは……そうだね」
「でも」
実夏が私の顔をジッと見ていた。思わず顔を背けつつ
「でも、なに?」
と聞くと
「でも……なんか、スッキリした顔してるみたいね」
そんなことを言われると思っていなかった私は思わず口を開けてしまった。なんだか実夏が少し笑っているような気もする。小馬鹿にしたような笑い方ではない、フツ―の女の子みたいな微笑みだった。
「たった一日で別の子になったみたい……」
「……そうかなぁ?」
「その『ひと夏の思い出』のおかげ?」
その問いに少し考えてから私は頷いた。
「なんていうか……いろいろ最近の私は悩んでたりしたんだけど、ちょっと吹っ切れた。Summer Vacationのおかげでね」
「へぇ……それで立ち直ったってこと?」
今度は「夏休み」を英語で言ったことは突っ込まれなかった。
「私だけの力じゃないけどね」
「え? どういうこと?」
「そう……幼馴染のおかげ、かな?」
「幼馴染?」
「うん。悩んでた私の心をパーっとしてくれたの」
両手を広げて言う私に実夏は少し戸惑ったようだった。実夏の顔が引きつるなんて珍しい。それがおかしくて私は実夏に笑いかける。
「あんたってそんなキャラだっけ?」
「んー、いや、別に私は私だからね。どんなキャラでも私が喋ったんだったら私だよ。あー、私の幼馴染が言ってたけどさ、『休むことも練習』らしいからさ、だから……」
「だから?」
「実夏もね、息が詰まりそうなら、たまには息抜きしたらいいんだよ」
私は、実夏の左肩を軽く叩いた。
「え……? なに? なんか上から目線?」
「いやいや、Sクラスで上の順位は実夏だから。二十位台の私は追いかける立場だよ?」
私は大げさに手を広げて首を横に振る。
「ま、次で追いつくつもりだけどね?」
そう言って私は実夏を見た。妙な沈黙が流れたが私は目を逸らさない。
「なんか……」
「ん?」
「一昨日はお先真っ暗な顔してたくせに、今日はスッキリしすぎて、嫌な感じぃ……」
そう言って苦笑いする実夏に私は顔一杯の笑顔を見せた。
「……何か用?」
私が尋ねると、
「なんか日焼けしてるね」
特に表情を浮かべることなく私の顔をみたまま実夏は言った。
思わず私は左の頬を押さえた。
「昨日、ちょっといろいろあって……」
「こんな時期に塾をサボって、楽しい『ひと夏の思い出』づくり? そんなんで大丈夫なの?」
なんだ、その嫌味っぽい言い方は? と思ったがそこは指摘しないことにした。
つとめて冷静に
「そうだよ? 成績落ちてる奴が遊んでちゃ悪いかな?」
と言うと、
「別に」
淡々と彼女は言った。
「思ったより、余裕そうだなって思っただけ」
「余裕はないけど」
「ないけど?」
「頭の中、切り替えることできたからね。もう大丈夫」
「別に心配しているわけじゃない」
「たまには息抜きしなきゃね。だって夏休みだよ? It's Summer Vacationだよ?」
リサっぽく言ってみたが、実夏は笑うことはなかった。表情が崩れることはなかった。
「英語で夏休みって言えばサボったことが正当化されるわけじゃないでしょう」
冷静に突っ込まれた。「なんで英語?」ぐらいの軽さはないのか。
「まぁ、それは……そうだね」
「でも」
実夏が私の顔をジッと見ていた。思わず顔を背けつつ
「でも、なに?」
と聞くと
「でも……なんか、スッキリした顔してるみたいね」
そんなことを言われると思っていなかった私は思わず口を開けてしまった。なんだか実夏が少し笑っているような気もする。小馬鹿にしたような笑い方ではない、フツ―の女の子みたいな微笑みだった。
「たった一日で別の子になったみたい……」
「……そうかなぁ?」
「その『ひと夏の思い出』のおかげ?」
その問いに少し考えてから私は頷いた。
「なんていうか……いろいろ最近の私は悩んでたりしたんだけど、ちょっと吹っ切れた。Summer Vacationのおかげでね」
「へぇ……それで立ち直ったってこと?」
今度は「夏休み」を英語で言ったことは突っ込まれなかった。
「私だけの力じゃないけどね」
「え? どういうこと?」
「そう……幼馴染のおかげ、かな?」
「幼馴染?」
「うん。悩んでた私の心をパーっとしてくれたの」
両手を広げて言う私に実夏は少し戸惑ったようだった。実夏の顔が引きつるなんて珍しい。それがおかしくて私は実夏に笑いかける。
「あんたってそんなキャラだっけ?」
「んー、いや、別に私は私だからね。どんなキャラでも私が喋ったんだったら私だよ。あー、私の幼馴染が言ってたけどさ、『休むことも練習』らしいからさ、だから……」
「だから?」
「実夏もね、息が詰まりそうなら、たまには息抜きしたらいいんだよ」
私は、実夏の左肩を軽く叩いた。
「え……? なに? なんか上から目線?」
「いやいや、Sクラスで上の順位は実夏だから。二十位台の私は追いかける立場だよ?」
私は大げさに手を広げて首を横に振る。
「ま、次で追いつくつもりだけどね?」
そう言って私は実夏を見た。妙な沈黙が流れたが私は目を逸らさない。
「なんか……」
「ん?」
「一昨日はお先真っ暗な顔してたくせに、今日はスッキリしすぎて、嫌な感じぃ……」
そう言って苦笑いする実夏に私は顔一杯の笑顔を見せた。
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