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第五十五話

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 慶応四年{一八六八年}二月。
 大江戸のれいみんは大混乱していた。
 めんの江戸幕府による『開国』らい安政の大獄や桜田門外の変をけみして神州日本列島のみならずほうはくたる世界規模で『じよう』と『佐幕派』がたいしているなかきよくてんせきの幕府側をうらぎって長州藩と同盟をむすんださつ藩が中心となった維新政府はきようらんとうの勢力で『徳川幕府をせんめつ』せんとしていたのである。維新政府軍は百戦錬磨の五万人をりようするたちにキュウビのキツネ五万柱と『たまむすび』させ東海道軍と甲州道軍およびなかせんどう軍にわかれて三方より江戸へとばくしんしていった。中途甲州道軍がちよとつゆうしんせんぐみと衝突しかちどきをあげたほかはめいちようたる戦闘らしい戦闘もなく維新政府軍は東方へとしようようかつしてゆく。関東のけんれいたちはあるいは喫驚してくりげてゆきあるいは維新政府軍をさんぎようして応援した。ようにして江戸へとほうちやくした維新政府軍は西郷隆盛のそうのもと『江戸城総攻撃』を三月十五日ときめた。ようなる状況を認識した江戸五十万を超越する町民たちはさすがにこくそくとする。維新政府軍の目標が徳川家だということはりようしようしていたがここで維新政府軍と徳川軍が衝突すれば大江戸五十万のれいみんも無瑕疵ではいられないだろう。江戸の大都市はキュウビのキツネたちと徳川軍とのとうじようにまきこまれて累累となりいんもうすみえんいつたる火炎につつまれ幾十万もの『難民』がでるであろう。のみならずこのそうじようを契機に『クロフネ』たちが神州日本を総攻撃してふるさとを支配しないともかぎらない。
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