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第四十二話
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光秀がふたたび金剛杵を左方にかかげて魔王を祓おうとした爾時であった。真紅に充血した両目で金剛力士をにらんだ魔王はのこりの五千本の腕ではなく『蜿蜒たるムカデ状の下半身』をねじまげて金剛力士の肉体にまきつかせた。彊梁なる膂力におしつぶされて金剛力士の肉体が不気味なおとをならしてゆく。金剛力士の満腔の筋肉は滅茶苦茶にねじまげられ筋肉が破裂し骨骼がひしゃげてゆく。ついに金剛力士の双眸から『いのち』のかがやきが喪失された。第六天魔王が「おろかなり。光秀」と豪傑笑いした爾時であった。魔王の背後から魔王の脳天へと金剛杵がふりおろされた。脳髄を羅利粉灰にされた魔王は渾沌たる顔貌で背後をかえりみる。魔王は断末魔でさけぶ。「爾は密迹金剛士か。余が仕留めたのは那羅延堅固であったか」と。天竺では一柱である金剛力士は日本につたわるにあたって阿形像たる那羅延堅固と吽形像たる密迹金剛士の二柱として崇拝されるようになった。光秀は那羅延堅固を犠牲にして躬自ら分身である密迹金剛士を操縦していたのだ。決着はついた。生命のつきた第六天魔王はふたたび半透明の文字列となって消滅し受肉した信長は本能寺の境内へと墜落していった。光秀はおもう。ついに悲願がとげられるなりと。光秀は密迹金剛士で信長にとどめをささんとする。爾時信長は『第四の神器』をとりだした。光秀は觳觫鬱勃となる。密迹金剛士は「やめろ」と絶叫して虚空であとじさりする。信長はかまわず『第四の神器』を操作した。信長いわく「どうせ『魂魄=こんそうる』を爾にわたすくらいならばここで破滅してみせよう」と。穹窿の草薙の剱が明滅して一縷の光芒が信長をてらした。同時におこった澎湃たる七色の光明の球体の爆発で信長の肉体と『魂魄=こんそうる』は赫奕たる粒子に分解されて消滅していった。
光秀は危機一髪で生存した。
信長の人生は『第四の神器』にくるわされたのである。
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