『奇-KISEKI-蹟』中篇小説

九頭龍一鬼(くずりゅう かずき)

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第三十六話

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 四大熾天使はかがやいた。
 ミカエルが瑠璃色にラファエルがどういろにウリエルがれん色にガブリエルが白銀にせんしやくしたかとおもうと四大熾天使の中央に巨大なる『十字架』型のらいていがほとばしり『十字架』型のらいていの中枢に七色の光源が発生した。七色の光明の球体はしんとうしながらぜん肥大化してゆく。七色の球体はアレッポ城のみならずかいわいのアメリカ陸軍部隊をえんするほどかいになり球体のなかではしつかいの音声がそうめつされ完璧なる静寂が到来した。せいひつなる光明のなかでアレッポ城のから宿敵たる『復活の日』の残党たちが『ゆう』してくる。残党たちはしばらくうつぼつたる喫驚やこくそくやあるいは歓喜のがんぼうをしていたがやがてみな戦慄の表情になる。しゆもなく残党のひとりの肉体が巨大化し皮膚がひびれて極彩色のぞうろつが露呈された。ある残党は心臓が肥大化してろつこつと胸郭をつきやぶる。ある残党は脳髄がかい化してとうを破裂させる。ある残党は両手の十指と両腕の関節がせつだんされりんたる血潮がながれながら十指と関節がもとどおりになりまた十指と関節がせつだんされるという無際限のとうつうしんぎんする。ある残党はこうこうから肉体が『裏返』り臓器の団塊となりながら臓器がこうこうふくそうされてまたこうこうから臓器があふれでるという無尽蔵の苦痛にさいなまれる。最終的には残党たちみなの肉体が両腕両脚ふつこう胴体胸郭ととうというかたちでせつだんされ七色の光明のなかでたいふう状に渦巻いてゆき一点に凝縮されていった。
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