『奇-KISEKI-蹟』中篇小説

九頭龍一鬼(くずりゅう かずき)

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第九話

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 大聖堂に万雷の拍手がめいた。
 片隅で金城ひろは『畜生』とおもった。
 巨大なる宗教的近代建築である東京カテドラル聖マリア大聖堂の講堂は黒褐色のコンクリートの壁面にじようされ中央部分には裏側から黄金色のこうぼうがさしこむ漆黒の十字架がしようりつしている。十字架のもとの祭壇でハンナばあさんはしていた。祭壇のしたにはたる通路をはさんで茶褐色の木製長椅子がれつされており元来カトリックの教会である大聖堂ながらプロテスタントの牧師らしきふうぼうろうや神道・仏教・ヒンドゥー教などの宗教家とおぼしきひやつりようらんの『信者』たちが鎮座していた。ひつきよう『ハンナばあさんの信者』である。『あの日』のせきようなるほどほうはくたる世界全土に衝撃をもたらしたのだ。だれもが『せき』を希求していた。だれもが人生に『絶望』していた。ゆえにハンナばあさんは巨億の人類の希望となっていたわけだ。
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