『神々の黄昏』中篇小説

九頭龍一鬼(くずりゅう かずき)

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第三十九話

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 敵国はまだ『あきらめていない』。
 それどころか総大将トルーマンがみずから生命をほうてきしてこんぱく接続するというのだからいかなる天使を操縦してくるかわからない。てん使ミカエルをりようする天使をもちいてくるかもしれない。事態は最悪をむかえた。すいりすとと同様にとうげつけいかんをかぶり聖布のかわりに白布をまとったトルーマン大統領が教国軍教会部隊の聖職者たちによって両手のひらの『接続機関』にくぎをうたれて十字架型接続端末にたつけいにされるとトルーマンの肉体は渦巻くトーラーの文字列へとひようへんし『しんとんD.C.の大地』へとのみこまれていった。これはただごとではない。造次てんぱいもなくけんらんごうなるしんとんD.C.の大地はマグニチュード九クラスのげきとうにおそわれた。しつする摩天楼をことごとくごうぜんと崩壊させてゆき母性たる大地をれき状に破砕しあんたんたる地下よりかくやくたる光明をせんしやくさせあらわれたのだ。『神』が。七日間で天地かいびやくせしめつちくれより人類を誕生せしめ全知全能の力によって全宇宙=窮極集合を統治するといわれる『神』が。窮極の唯一神『ヤハウェ』があらわれたのである。人類の父親たるヤハウェは天空にとどかんほどの巨大な筋骨りゆうりゆうの若者の肉体でありそれでいてとうは白髪としらひげをなびかせるしゆんたるろうがんぼうであり首もとから大地へとたれさがる七色のりようきんしゆうをまとってじんかいめつしたしんとんD.C.のはいきよしようりつしていた。『エゼキエル書』によれば唯一神のふうぼうは『定義不能』なはずだったが『神は御自らに似せて人を造りたもうた』というふうに皮膚のいろは千変万化するが生老病死をりようした『完璧なる人間』に類似するすがたをしており荘厳ながら『とくあい』のおういつしたなる両目で宿敵たるりゆう大明神を仰視しながらいった。いわく『朕の『愛』を理解せぬ邪宗の神よ。朕の『愛』の名前のもとに死ぬがよい』と。
 ようにしてはじまった。
 第二次世界聖戦最後の戦いがはじまった。
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