奈落に落ちたら案の定裏ダンジョン直行ルートでした

猫蜜柑

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第一世界 2章 魔国編

22,謎の少女

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 さてと、今日は学園の入試だ。昨日はゆうひから過去のこと聞いたり最後の仕上げの勉強をしたりした。僕達が受ける学園この国でもトップクラスのレベルなため学園の規模も大きく入学希望者もかなり多い。そのため校舎に入学希望者が全員入り切らないという理由でそれぞれが住んでいる国の首都で試験を受ける。僕は魔国でネロの執事という身分だからこの国の王都で試験を受けることになる。

 試験は勉強の成果をみせる地球の高校入試のような形式のものと魔法や剣術等の試験がある。校舎は一定以上の設備が必要なため勉強の成績で補欠含めた人数を出す。まぁこの時点で過半数は振るいにかけられて試験に落ちるらしい。そして成績で試験を突破した残りの半数が魔法、剣術等の試験で競う。

 入試問題のレベルは高校入試レベルの数学とこの世界で基本的なレベルより多少上の国語力、そして魔法理論のようなものとこの世界の歴史だから"言語理解"で読み書きが出来る勇者たちにとっては城で勉強する魔法理論と世界史を一定以上のレベルまでできるようになれば試験の時に相当手を抜かない限り落ちることは無いだろう。

 あとゆうひも学園に通うらしい。昨日話の後にいきなり言われたから僕もネロも驚いた。

 試験会場は王都の講堂のような大人数を収容できる建物で試験前には人で溢れるから早めに向かわないといけない。試験は教室のような場所で受けるから試験が始まりさえすれば窮屈な思いをすることは無いとはいえ誰も好き好んでそんな思いはしたくないから早めに行って場所をとるとしよう。










 ネロの髪を整えて勉強道具をマジックバックに詰め込んで晴空とルキウスに留守番を頼んで来たら思いのほか人が集まってるな……試験開始まであと一時間半くらいあるはずなんだが……

 地球で新しい機械とかゲーム機とか出た時にそれを買いに行く人で長い列ができるのと同じか?どんな内容であれイベント事には人より早く参加したい心理みたいな。




 ようやく入試の開始時間になった。待ってる間は第1王女とそのメイドと執事の組み合わせの中に入る勇気が無かったのか誰からも話しかけられず静かに最後の復習が出来た。こういう時には高い身分も便利だな。









 あれから誰にも絡まれることなく平和に試験は終わった。国語と数学は最低でも八割、九割は固い。魔法理論はこの世界トップクラスの魔法、魔術の使い手が師匠役の時点で学園の試験より数段上の理論を教わってるから国語と数学より余裕。問題は歴史で歴史と言いながら若干地理も出てたから少し危ないかもしれない。
 地理が出たことについてネロとメリアさんに聞いたらあれはこの世界では誰もが知っている初歩的なものでサービス問題のようなものだとか言われたし。「この世界の」ってことは僕は知らないんだよなぁ……いや、3問それが出て1問は解けた自信があるけどほかはダメだったと思う。

 ネロとメリアさん、そして試験が終わって城に戻るといつの間にか帰ってきていたゆうひの3人は今回の試験は自分の持てる力を完璧に出せたって言ってるしこれ僕だけ補欠とかないよね?さすがにそんなことになったら入学できるかが危ぶまれることになるんだけど。



 はあぁぁぁ……まぁ考えても今更テストの結果を改ざんできる訳でもないし思考を切り替えないといけないよなぁ……
 王国でやってた精霊契約のための瞑想……やる理由は違うけど久しぶりにやって見るかねぇ。もしかしたら奈落に落ちる前に契約した今はうんともすんとも言わないあの4体が出てくるかもしれないし。







 そして夜、一人でやりたいことがあるからってことで無理言って今空き部屋の1つを借りさせてもらっている。以前とは比べ物にならないくらいに魔力の操作は上手くなったと自分でも思えるから今回はそれを精霊を呼ぶ対価にする。
 体に流れる魔力の流れを段々と太く速くしていき指先から魔力を放出、そしてその状態で4つの召喚用魔法陣を描く。
 そしてそこにあの4体に対応する属性の魔力を込めていく。この世界では基本的に魔力の色は使う魔法の属性に左右されるみたいで4色の魔法陣が浮かんでいる。

 魔法陣に魔力が満ちてからは純粋な属性のない魔力をひたすらに込めていく。一応Aランクと伸びしろは同程度でこのレベルまで達したのと同じ魔力量のため今のところ枯渇する心配はない。
 許容量を超えて流し込まれる魔力が周囲に溢れ僕と魔法陣のそれぞれの周りを魔力粒子が埋めていく。


 4つの眩い光を放つ4色の魔法陣とその一つ一つを覆うように徐々に球状になっていく空気中に漂うそれぞれ光り輝く粒子状の魔力。それが完全な球体になり魔法陣を覆い隠すと徐々に隠された魔法陣に流れる属性魔力と同じ色に魔力粒子で出来た球体が染っていく。


 そしてその全てを各々の色に染めあげ終えると同時に球体が破裂しその中からかつてみたあの精霊達が現れた。

 現れた精霊達は魔法陣を描くために指先から出していた魔力の残滓目当てなのか指先に集まってきた。


 はぁー……成功して良かった。一応あの4体と同じ精霊に見えるな。精霊の食事は魔力?指先に残った魔力に集まってきているし。

 とりあえず魔力を適当に精霊達の周りに放出しておくか。なんか前より色鮮やかになってるように見えるけど多分気のせいだろ。










「真緒くんおはよー。召喚は成功した?」

 ん……もう朝か……確か精霊4体召喚してその後寝たはず。
 ・・・・・・それなのになんで布団の中に何かいるんですかねぇ?ゆうひもネロもルキウスも晴空もここじゃないところで寝たから今ここにいるはずないんだけど?
 しかも金属とか木の何かじゃなくて温かい、いわゆる人肌くらいの温度って言うのが的をいている温度の何かがいる。

「ん、あぁゆうひおはよう。うん4体とも成功したよ」

「あっ、真緒さんおはようございます」

「ネロおはよ。今日は何か仕事ある?」

「いいえ。今日は自由ですよ。そして真緒さん。ひとつ聞きたいことがあるんですが……その女の子、一体誰ですか?」

 ヒェッ・・・・・・ネロは一見ほほ笑みを浮かべて問いかけてきている。だけどその目が一切笑っていない。

 ていうか女の子?寝る前には少なくともいなかった、これは断言出来る。

 さっきからモゾモゾ動いているものの方に視線を向けると、そこに居たのは・・・・・・


「んみゅぅ……」



 黒髪ロングの幼女。・・・・・・あるぇ?幼女?幼女なんで?そもそも僕は幼女に知人いないんだけど??

 ワケガワカラナイヨ


 とりあえず弁解しないと死ぬのはわかった。


「かくかくしかじか・・・・・・って言うわけで僕はこのこのこと知らないんだよ」

 寝る直前にはいなかったこと、昨夜は一人で精霊召喚をしてたこと等をネロに伝えた結果、

「むぅ、真緒さんの言い分は分かりました。それを信じましょう。でもそうなるとこの子は一体どこの誰なんでしょう?」

 一応信じてはくれたみたいだ。だけどまた新しい疑問が生まれた。実際その疑問は僕も気になってる事だから答えを知りたいんだけど・・・・・・名前分からないし仮称、黒髪幼女ちゃんとしよう。その幼女ちゃんはまだ僕のベッドで寝てるからなぁ……無理やり起こして泣かれて巡回している兵士とか来たら客観的に見て確実に事案だし。


「あー、それについては僕もわからない。朝起きたら突然いたから。起こして聞こうにも万が一泣かれて巡回中の兵士の人にその状況を見られたら牢送りにされそうだし」

 そう言うとネロも同意して待つことにしてくれたのか何も言わず幼女ちゃんが寝ているベッドに座った。






 そしてお互い声を抑え目にして話しながら起きるのを待っていると僕の部屋に行ったネロがなかなか帰ってこないのに痺れを切らしたのかゆうひ、ルキウス、晴空の3人も入ってきた。
 そしてその3人にもネロにしたのと同じ説明をして今は5人で幼女ちゃんが起きるのを待っている状況。


 ・・・・・・周りにこれだけ人が言って言うのに本当に起きないな。僕が起きてから1時間半くらい経ってるぞ。



 そんなことを思いながら寝てる幼女ちゃんを見ているといきなりモゾモゾと動き始めた。そして、

「ふあぁー・・・・・・」

 大きな欠伸とともにようやく起きた。

「ん……」

「あー、自分がどこの誰かわかる?それかお父さんお母さんの名前とか」

「……ん」

 お父さんお母さんの名前はわかる?って聞いたあたりで彼女はゆっくりと右手を上げ人差し指で僕の方に向け指さした。







 ・・・・・・は?

 ・・・・・・・・・・・・はぁ?

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・はあぁぁぁ!?






 いやちょっと待て、お父さんお母さんは?って質問で僕の方指さすってどういうことだよ。
 娘なんて出来た覚えないし未亡人の旦那になる予定もないし酒も飲んだことないから酒に飲まれて間違い起こしたけどその記憶が無いってことも無いし。

「真緒くん、この子真緒くんのことをお父さんって指さしてるけどどういうこと?」

「いやこの子が娘ってこのこの年齢的にありえないでしょ。少なくとも10歳くらいに見えるし僕がこの世界に来たのは約4ヶ月前でこの国に来たのは2ヶ月前だからどうやっても2ヶ月の間に10歳の娘がいるのはおかしい」

「うーん、確かに。でも真緒くんが未亡人の人と関係を持ったとか……」

「いやないない。2ヶ月間ネロの執事としての仕事と勉強漬けだったからそんな暇無い」

「あっ、お酒を飲んでその勢いで……」

「そもそも地球でもこっちでも酒を飲んだことは1度もないからそれもない」

「でもこの子は真緒さんのことをパ、パパって」

「いや意味同じだけどこの子が言った訳では無いから……なぁ名前はなんて言うのかな?」


「……名前?私名前……ない……よ?」

 おおっもぉ?まーたインパクトのあるセリフが出てきたぞ。名前がない?孤児……は名前くらいあるか。地球で読んだ二次創作ものの主人公でよくある実験施設の生き残り?いやでも神が実在する世界でそんな神をも恐れぬ所業を出来るやつがどれだけいるか。

 ていうか僕のことを父親って指さすのに名前はないのか……

「ねぇ私からも1つ質問いいかな?







・・・・・・貴女は人間?私には魔力で体を作ってるように見えるんだけど」

「・・・・・・私は人間じゃない。精霊」

「やっぱりねー。

真緒くん、昨日王国にいた頃ダンジョンに行く前に契約した精霊の再契約をするって言ってたよね。契約したならその精霊は今どこにいるか感じ取れるはずだけど今感知できる?」

 ・・・・・・彼女が人じゃないってことには驚いた。

 そしてゆうひがいきなり契約した精霊の居場所を感知できるかやってみてって言ったから理由は分からないけどやってみよう。


 ・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「感知には一切反応無いね。外じゃなくてゆうひとかルキウス達みたいに僕の中にいるのかと思ったけどそっちも反応無かった」


「やっぱり。この子は多分真緒くんが再契約した精霊だ思うよ。なんで低位が上位の条件である人型を取れてるのかは謎だし4体いたのが1人だけしか見当たらないのもなんでかわからないけど」

「私は元々は4体だった。だけどその時の私達じゃあの人と契約したのに力不足だった。だから私たちはあの人が寝た後に融合した」

「人になったのはあの人の魔力をたくさん取り込んでたからだと思う。今の私は高位精霊の中でも上位に位置すると思う」

 まじかよ。精霊とは言ったけどあの4体が融合してたとはな。しかも低位だったのに融合したら高位になるとは。

「低位だったのが役に立ちたくて融合したって言うのは分かったけどなんで真緒くんがお父さんなの?」

「ん、お父さんで確定なわけじゃないよ?指さしたのはお父さんかお母さんは?って聞かれたからお父さんって存在にあてはまりそうなのがあの人しかいなかったからだし」

 えぇ……あの一瞬修羅場りかけたのはなんだったんだ……それとあの人って言われてるけどなぜ?

「そっか。それじゃあ真緒くんから生まれたわけじゃないってことだね?」

「うん」

「分かった。それじゃあ真緒くんにはなんて呼んで欲しいか聞こうか。あとせっかくだし名前も付けてもらおう!」


(なぁソラ、俺たち空気じゃないか?ゆうひとネロが慌ててたからついてきただけだけど一言も喋ってないし)

(まぁ仕方ないと思うよ。ゆうひが基本質問とかしてるから。真緒の中に戻ってるって手もあるけど名付けがあるみたいだし名前考えるのに参加しよう?)

 ちょっとまたゆうひが無茶ぶりをしてきた。なんて呼んで欲しいかって……場合によっては羞恥に悶えることになるぞ……
 それにしても名前か……何にするか……この世界に来て自分でなにかに名前つけることなんてなかったしなぁ……晴空とルキウスは何か話してるけどちょうどいいしあの二人にも名前を考えるのを手伝ってもらおう。もちろんゆうひとネロにも。





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