5 / 28
5限目「実は62限目なんだがな」
しおりを挟む
「うんうん!すごい!すごいよ!すごくかっこいい!」シェステが机に手を載せ跳びはねながら興奮している。俺の気付きが天才的だったってことだな!
「なら呼び名はこれで決定だ。では器を片付けて、早速授業開始だ」
***********
「先生の授業もう100回目ぐらい?」特に疲れたり飽きたりはしていない。シェステは実に好奇心にあふれており、ものすごい速度で俺が教える知識を吸収している。授業の回数としては、実は62限目なんだがな。確かに項目内容的には100回くらいだ。間違ってはいない。
すでに約2週間経っている状態だが、基礎は大体教えたつもりだ。あとは実戦的なスキルを習得できれば、一人前と言っていいレベルの魔法使いになれる。できればこのままあらゆる技術を叩きこんで最強の大魔導師に……。おっと、いやいや目的が変わってしまうじゃないか。危ない、この子の才能が怖い。
「ああ、それくらいだな。つまり凡そ100項目の内容を習得したことになる。よく頑張った、これで基礎授業は終了だぞ」笑顔でシェステの頑張りを称える。
最初の3日間は言語習得期間だったので、実質10日間といったところなのだが。俺は《万能言語(ことだま)》というスキルを習得している。以前も少し触れたが、元の世界では学者として全世界を周り魔法収集の旅をしていた。その中で遥か東方の地域で、❝言葉そのものに魂が宿る❞という信仰と言ってもいい文化的思考に触れた。
その地『ヤマト』に住む民はそもそも森羅万象、物質や概念に至るあらゆるものに魂、果ては神が宿るという考え方を持っていて、物や言葉をとても大切に扱う。これは魔法行使に一番必要な❝イメージ❞の構築に対して大いに役立ったし、今でも敬意を以てその出会いはまさに天恵というべきものだったと信じて疑わない。
この考えの下、しばらく過ごした(100年ほど暮らした)この地で俺は言葉の持つ魂つまり力とも言っていいものを本能的に知覚し理解する能力を得た。これが後々自分で名付けた《万能言語(ことだま)》というスキルである。
言葉に想いを乗せることで相手にも自分の意思を伝えることができる素晴らしいものだ。実は当初のシェステとの会話はこのスキルによるものだった。
素晴らしいスキルなのだが、欠点が全くないわけではない。違和感だけは払拭できないのである。意思疎通は問題ないが、口(唇)の動きと相手言語の発声が違うためだ。シェステのように『理解できるから気にしない』という者もいるだろうが、気持ち悪いと感じるものもいるだろう。シェステ以外のものと話すという、旅に出た今後のコミュニケーションを考えると言語の習得は重要だ。少しの違和感も相手に感じさせないに越したことはないのだ。不要なトラブルに巻き込まれぬように。
幸い俺が召喚された部屋は書庫で、言語学関連の書物や辞典もあった。スキルを使って複数の言語体系を学習し、書庫の蔵書をシェステへの講義指導と同時並行で可能な限り読み進めた。古書でもない限りこの世界の基本的な知識は得たかと思う。後は書物にない部分や肌感覚での❝巷の事情❞というものを今後の旅で吸収することにしよう。
シェステもまだ学校へ通う前だったのか、世情や言語の知識が乏しかったため、情報整理を理由にまずは言語学の授業をさせてもらったというわけだ。結果2人の思考レベルは一段階上がった気がする。魔法使いとしても非常に有益な時間となった。
「ありがとう!先生の教え方が上手だったからだよ。とても分かりやすくて楽しかったよ!」ふっ、俺以上の褒め言葉を返すとは小憎らしい小娘だな!
必死ににやけそうになる表情を抑えるのに苦労しました。平常心、平常心。
「うむ、聴講の姿勢が素晴らしかったからな。❝好奇心❞を強く持つのは魔法使いとしてとても大事な才能だ。俺の授業を楽しいと感じるならそれだけでも優秀な魔法使いになれるぞ」まぁ、このままだと2人で永遠に褒め合うことになってしまいそうだ。話を切り替えようか。
「さて、当初の計画通りこれから旅に出る。当初目指すべき目標は3つ。
まずはシェステの実戦修行。2つ目は現在の❝外の❞状況把握。3つ目はシェステの親の行方を探ることだ。いいな?」シェステは真剣な顔で小さくも力強く頷く。
「よし、では準備をして明日まずは❝家を出る❞ことにしよう。シェステは『使役人形(ドール)』の作成方法を確認しておくように」
「はい、先生!」はきはきと答えながらシェステは手を挙げた。
――そして翌日。最初にして高難度のミッションに挑むことになる、長い一日が始まった。
「よし、ちゃんと作成術は確認したな?」ミッション達成の重要な一つ目の鍵について再度確認をする。
「ちゃんとした……、いや、しました、先生!」今日もシェステは元気だな。
「では今日の流れを確認しておく。まず『使役人形(ドール)』の作成をシェステにしてもらう。そして次にそのドールに❝出口❞を教えてもらう。無事に見つかれば❝この家を出ること❞ができるはずだ」何を言ってるのか疑問に思う者もいるだろう。
現在我々2人がいるこの屋敷には❝出口がない❞のだ。シェステにも困ったものだ。とんだ引き籠りだぞ?家を出ずとも何不自由ないとはいえ、1年近く疑問も持たずこの屋敷に閉じ込められていたというのは、豪胆と言ってしまえばそれまでだが心配になってしまうな。
窓はある。外の景色も見えるし、昼夜に季節の変化も認識できる。ただし、この窓は開けることはできない。
玄関もある。鍵付きだが鍵はかかっておらず、取っ手や呼び鈴もついているし機能もする。ただしこの玄関の扉を開くことはできない。
どうやら魔法による封印がなされているようだ。親がやったことであろう。シェステを守るための結界という認識が正しいかもしれない。やってることは軟禁ですけどね。もちろん魔法の知識がない彼女にはそもそも解呪できないため、本能的に理解していた可能性がある。
結界というからにはその強度も気になるところだ。実際かなり高位の守護結界である気がしている。結界には強度により2つのタイプがあり、一つは《シールドタイプ》。ごくごく一般的な、物理あるいは魔法障壁を発生させて攻撃効果を❝妨害❞するタイプである。そして2つ目のこれが今の我々には厄介な《アイソレーション(隔離)タイプ》である。空間を歪ませて完全に空間ごと隔離することで攻撃効果を❝遮断あるいは無効化❞するタイプだ。これは空に向かって石を投げることに等しいので、攻撃行為そのものが無駄になる。
要はここから出ないと旅のことなど簡単に口にできない、いきなりの高難度脱出ミッションというおかしな状況になっている。
持ち主である親に事情を聞ければいいのだがそれは無理であるし、ならば別の❝当事者❞に訊くより仕方がないという結論に至った。その当事者とはズバリ❝この家、この屋敷そのもの❞である。
「なら呼び名はこれで決定だ。では器を片付けて、早速授業開始だ」
***********
「先生の授業もう100回目ぐらい?」特に疲れたり飽きたりはしていない。シェステは実に好奇心にあふれており、ものすごい速度で俺が教える知識を吸収している。授業の回数としては、実は62限目なんだがな。確かに項目内容的には100回くらいだ。間違ってはいない。
すでに約2週間経っている状態だが、基礎は大体教えたつもりだ。あとは実戦的なスキルを習得できれば、一人前と言っていいレベルの魔法使いになれる。できればこのままあらゆる技術を叩きこんで最強の大魔導師に……。おっと、いやいや目的が変わってしまうじゃないか。危ない、この子の才能が怖い。
「ああ、それくらいだな。つまり凡そ100項目の内容を習得したことになる。よく頑張った、これで基礎授業は終了だぞ」笑顔でシェステの頑張りを称える。
最初の3日間は言語習得期間だったので、実質10日間といったところなのだが。俺は《万能言語(ことだま)》というスキルを習得している。以前も少し触れたが、元の世界では学者として全世界を周り魔法収集の旅をしていた。その中で遥か東方の地域で、❝言葉そのものに魂が宿る❞という信仰と言ってもいい文化的思考に触れた。
その地『ヤマト』に住む民はそもそも森羅万象、物質や概念に至るあらゆるものに魂、果ては神が宿るという考え方を持っていて、物や言葉をとても大切に扱う。これは魔法行使に一番必要な❝イメージ❞の構築に対して大いに役立ったし、今でも敬意を以てその出会いはまさに天恵というべきものだったと信じて疑わない。
この考えの下、しばらく過ごした(100年ほど暮らした)この地で俺は言葉の持つ魂つまり力とも言っていいものを本能的に知覚し理解する能力を得た。これが後々自分で名付けた《万能言語(ことだま)》というスキルである。
言葉に想いを乗せることで相手にも自分の意思を伝えることができる素晴らしいものだ。実は当初のシェステとの会話はこのスキルによるものだった。
素晴らしいスキルなのだが、欠点が全くないわけではない。違和感だけは払拭できないのである。意思疎通は問題ないが、口(唇)の動きと相手言語の発声が違うためだ。シェステのように『理解できるから気にしない』という者もいるだろうが、気持ち悪いと感じるものもいるだろう。シェステ以外のものと話すという、旅に出た今後のコミュニケーションを考えると言語の習得は重要だ。少しの違和感も相手に感じさせないに越したことはないのだ。不要なトラブルに巻き込まれぬように。
幸い俺が召喚された部屋は書庫で、言語学関連の書物や辞典もあった。スキルを使って複数の言語体系を学習し、書庫の蔵書をシェステへの講義指導と同時並行で可能な限り読み進めた。古書でもない限りこの世界の基本的な知識は得たかと思う。後は書物にない部分や肌感覚での❝巷の事情❞というものを今後の旅で吸収することにしよう。
シェステもまだ学校へ通う前だったのか、世情や言語の知識が乏しかったため、情報整理を理由にまずは言語学の授業をさせてもらったというわけだ。結果2人の思考レベルは一段階上がった気がする。魔法使いとしても非常に有益な時間となった。
「ありがとう!先生の教え方が上手だったからだよ。とても分かりやすくて楽しかったよ!」ふっ、俺以上の褒め言葉を返すとは小憎らしい小娘だな!
必死ににやけそうになる表情を抑えるのに苦労しました。平常心、平常心。
「うむ、聴講の姿勢が素晴らしかったからな。❝好奇心❞を強く持つのは魔法使いとしてとても大事な才能だ。俺の授業を楽しいと感じるならそれだけでも優秀な魔法使いになれるぞ」まぁ、このままだと2人で永遠に褒め合うことになってしまいそうだ。話を切り替えようか。
「さて、当初の計画通りこれから旅に出る。当初目指すべき目標は3つ。
まずはシェステの実戦修行。2つ目は現在の❝外の❞状況把握。3つ目はシェステの親の行方を探ることだ。いいな?」シェステは真剣な顔で小さくも力強く頷く。
「よし、では準備をして明日まずは❝家を出る❞ことにしよう。シェステは『使役人形(ドール)』の作成方法を確認しておくように」
「はい、先生!」はきはきと答えながらシェステは手を挙げた。
――そして翌日。最初にして高難度のミッションに挑むことになる、長い一日が始まった。
「よし、ちゃんと作成術は確認したな?」ミッション達成の重要な一つ目の鍵について再度確認をする。
「ちゃんとした……、いや、しました、先生!」今日もシェステは元気だな。
「では今日の流れを確認しておく。まず『使役人形(ドール)』の作成をシェステにしてもらう。そして次にそのドールに❝出口❞を教えてもらう。無事に見つかれば❝この家を出ること❞ができるはずだ」何を言ってるのか疑問に思う者もいるだろう。
現在我々2人がいるこの屋敷には❝出口がない❞のだ。シェステにも困ったものだ。とんだ引き籠りだぞ?家を出ずとも何不自由ないとはいえ、1年近く疑問も持たずこの屋敷に閉じ込められていたというのは、豪胆と言ってしまえばそれまでだが心配になってしまうな。
窓はある。外の景色も見えるし、昼夜に季節の変化も認識できる。ただし、この窓は開けることはできない。
玄関もある。鍵付きだが鍵はかかっておらず、取っ手や呼び鈴もついているし機能もする。ただしこの玄関の扉を開くことはできない。
どうやら魔法による封印がなされているようだ。親がやったことであろう。シェステを守るための結界という認識が正しいかもしれない。やってることは軟禁ですけどね。もちろん魔法の知識がない彼女にはそもそも解呪できないため、本能的に理解していた可能性がある。
結界というからにはその強度も気になるところだ。実際かなり高位の守護結界である気がしている。結界には強度により2つのタイプがあり、一つは《シールドタイプ》。ごくごく一般的な、物理あるいは魔法障壁を発生させて攻撃効果を❝妨害❞するタイプである。そして2つ目のこれが今の我々には厄介な《アイソレーション(隔離)タイプ》である。空間を歪ませて完全に空間ごと隔離することで攻撃効果を❝遮断あるいは無効化❞するタイプだ。これは空に向かって石を投げることに等しいので、攻撃行為そのものが無駄になる。
要はここから出ないと旅のことなど簡単に口にできない、いきなりの高難度脱出ミッションというおかしな状況になっている。
持ち主である親に事情を聞ければいいのだがそれは無理であるし、ならば別の❝当事者❞に訊くより仕方がないという結論に至った。その当事者とはズバリ❝この家、この屋敷そのもの❞である。
2
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!
転生したら養子の弟と家庭教師に好かれすぎて、困っています。
ももね いちご
恋愛
普通のOL高坂真姫(こうさかまき)が、転生したのは 、フランス王国だった!?
養子の弟と家庭教師の好き好きアピールに悪戦苦闘の毎日。
しかも、その家庭教師は元〇〇で……!?
揺れ動く、マキの心情に注目しながらお楽しみください
「休刊日不定期であり」
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話7話。

元勇者、魔王の娘を育てる~血の繋がらない父と娘が過ごす日々~
雪野湯
ファンタジー
勇者ジルドランは少年勇者に称号を奪われ、一介の戦士となり辺境へと飛ばされた。
新たな勤務地へ向かう途中、赤子を守り戦う女性と遭遇。
助けに入るのだが、女性は命を落としてしまう。
彼女の死の間際に、彼は赤子を託されて事情を知る。
『魔王は殺され、新たな魔王となった者が魔王の血筋を粛清している』と。
女性が守ろうとしていた赤子は魔王の血筋――魔王の娘。
この赤子に頼れるものはなく、守ってやれるのは元勇者のジルドランのみ。
だから彼は、赤子を守ると決めて娘として迎え入れた。
ジルドランは赤子を守るために、人間と魔族が共存する村があるという噂を頼ってそこへ向かう。
噂は本当であり両種族が共存する村はあったのだが――その村は村でありながら軍事力は一国家並みと異様。
その資金源も目的もわからない。
不審に思いつつも、頼る場所のない彼はこの村の一員となった。
その村で彼は子育てに苦労しながらも、それに楽しさを重ねて毎日を過ごす。
だが、ジルドランは人間。娘は魔族。
血が繋がっていないことは明白。
いずれ真実を娘に伝えなければならない、王族の血を引く魔王の娘であることを。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜
言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。
しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。
それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。
「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」
破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。
気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。
「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。
「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」
学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス!
"悪役令嬢"、ここに爆誕!

実験施設から抜け出した俺が伝説を超えるまでの革命記! 〜Light Fallen Angels〜
朝日 翔龍
ファンタジー
それはある世界の、今よりずっと未来のこと。いくつもの分岐点が存在し、それによって分岐された世界線、いわゆるパラレルワールド。これは、そ無限と存在するパラレルワールドの中のひとつの物語。
その宇宙に危機を及ぼす脅威や魔族と呼ばれる存在が、何度も世界を消滅させようと襲撃した。そのたびに、最強無血と謳われるレジェンド世代と称されたデ・ロアーの8人集が全てを解決していった。やがては脅威や魔族を封印し、これ以上は世界の危機もないだろうと誰もが信じていた。
しかし、そんな彼らの伝説の幕を閉ざす事件が起き、封印されていたはずの脅威が蘇った。瞬く間に不安が見え隠れする世界。そこは、異世界線へと繋がるゲートが一般的に存在し、異世界人を流れ込ませたり、例の脅威をも出してしまう。
そんな世界の日本で、実験体としてとある施設にいた主人公ドンボ。ある日、施設から神の力を人工的に得られる薬を盗んだ上で脱走に成功し、外の世界へと飛び出した。
そして街中に出た彼は恐怖と寂しさを覆い隠すために不良となり、その日凌ぎの生き方をしていた。
そんな日々を過ごしていたら、世界から脅威を封印したファイター企業、“デ・ロアー”に属すると自称する男、フラットの強引な手段で険しい旅をすることに。
狭い視野となんの知識もないドンボは、道中でフラットに教えられた生きる意味を活かし、この世界から再び脅威を取り除くことができるのであろうか。

150年後の敵国に転生した大将軍
mio
ファンタジー
「大将軍は150年後の世界に再び生まれる」から少しタイトルを変更しました。
ツーラルク皇国大将軍『ラルヘ』。
彼は隣国アルフェスラン王国との戦いにおいて、その圧倒的な強さで多くの功績を残した。仲間を失い、部下を失い、家族を失っていくなか、それでも彼は主であり親友である皇帝のために戦い続けた。しかし、最後は皇帝の元を去ったのち、自宅にてその命を落とす。
それから約150年後。彼は何者かの意思により『アラミレーテ』として、自分が攻め入った国の辺境伯次男として新たに生まれ変わった。
『アラミレーテ』として生きていくこととなった彼には『ラルヘ』にあった剣の才は皆無だった。しかし、その代わりに与えられていたのはまた別の才能で……。
他サイトでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる