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推しのASMR配信者に全身堕とされる話
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きっかけは、ただ、好きなYouTuberから流れ着いたってだけだった。よく見てる実況者の配信に出てて、ゲームうまって思って、見に行った配信が。
「やだ、飲み会とか絶対キミのこと狙ってる奴いるじゃん。行かないでよ、お願い、ダメ、絶対無理矢理でも行かせない」
な、なんだ、これは。衝撃は、本当に衝撃で。声が近くて、左右に揺れて、もう、意味不明だった。後に調べればそれはASMRという配信のジャンルで、気づいたころにはハマっていた。最初に見たのが運の尽き。
女の子のエロいのも、日常生活の些細な音も、どれも聞いたけれど、最初の衝動が俺の勃起の源になってしまったのか。別に男が好きだとか全然ないのだ。全然続かないけど彼女もいたりいなかったりだし。セックスだって、ゲイの友達がいるが同感するところは何にもないのだ。女がいい。普通に。
でも、この誰にも言えないやましいものを見ているような気がするところまで全部めちゃくちゃに興奮する。この人の声だけ。興奮する。
わざわざ浮きたくなくて、性別が分からないようにコイツの声聞くだけのアカウント使って、すげーちまちま投げ銭して。キモい。キモすぎる俺。
恋なんてしてない。でも男の俺が抜いてすいませんという謝罪を込めての投げ銭だった。ホモじゃない。ホモじゃないんだ俺は。でも抜いてしまう。毎日配信を聞いてしまう。悔しい。
「お前、このゲームやってなかったっけ?」
「え、あーやってるけど。そんなやりこんでない」
友達に誘われたメンツ不明の飲み会。最近流行ってるスプラとエペを合わせたみたいなゲーム。オーバーウォッチ。好きな実況者やってたからなんとなく始めた。
女もいるのに何故か最近流行ってるゲームで盛り上がってる俺たち。いいのかそれで。俺はちょっと狙っている女がいるんだが。ゲームの話怠いんだが。と思いながらも空気読まないのもアレだしなって思いながら、見たことないやつに声かけられた。
「面白い?」
軽く乾杯して隣座って、うーんと唸る。
「おもろいよ、スプラとエペ合わせたみたいなやつ」
「普通におもろそう」
「普通におもろい」
ブランドだらけってわけじゃない。けど身につけてるものが妙に高いやつが多くて。俺自身はGUばっかだけど、欲しいなって思ってたやつ着てるから目についた。
「なんのゲーム最近流行ってる?」
「え、なんだろ。ヴァロ?」
「結構前からじゃね」
「わかんね。好きなの?」
「好きっていうか、流行ってるやつとりあえず齧ってる」
なぜに?と思いながらへーと無難な会話をしてたら、傍からまた男が湧いてきて、もう結構な人数な飲み会なのにここだけ男だらけ。
「こいつエロい配信ですっげー稼いでんだよ。」
「エロい配信?」
「なんかエロいセリフ読んだり、舐める音?みたいな。いや聞いても意味不明だけどな」
「聞かなくていいわ」
「毎日2時間とか永遠に飽きねーの?」
「俺、変態だから、これ聞いて女がオナってると思うと興奮すんのよ」
「天職じゃん」
今まで帰りたって思ってたのに興味が湧いた。
「え、なんて名前?」
表示されたSNSの画面。ガチで箸落とした。聞き取れないぐらいガヤガヤした店で、もう衝撃がすぎて声も無くした。おい、おいって言われて。
「どした」
「い、いや、なんでもない。み、見たことあってびっくりしただけ」
「あー、お前ゲーム配信好きだもんな」
「トキトとコラボしてんの見た」
「マジ?オーバーウォッチうまい?」
「いやだからあんまやりこんでねーって」
「サブ垢で練習しよっかなって思うんだけど、配信出る?」
「い、いや、無理、ガチで無理」
「こいつプロチーム入ってるよ」
「ヴァロのだし」
「時々配信してんじゃん」
「人こねーし女リスナーとか1人もいねーよ」
「サブは好きなことやってから全然いーよ」
丸め込まれた。周りが勝手に盛り上がって、女がゲームの話つまんないんだけどってヤジ飛ばした。さっきまで男同士で話すの嫌だったのに、もう目の前のこいつのことで頭の中いっぱいだった。
そして気づいたら本垢で相互になっていた。イケメンだったけど、派手なタイプじゃなかったし。適度に身につけてるブランド物がムカついたし。手を出した女の話で周りと盛り上がってたし。今月の稼ぎで、大学の今いる女の子置いて、今から風俗奢ってくれるらしい。
クソ最低で草。俺の蓮はそんなことしないんだが。泣く。
「元はゲーム配信で人気になりたくて始めたから尊敬するわ」
なんで隣に来る。身につけてる全てのものと今日の振る舞いで俺より100倍お前の方が金持ってるの確定だし。そもそも俺はこれを稼ぎだと考えたこともなかったし。手出してる女の話なんて聞きたくなかった。
投げ銭のランキング1位-5位に手出して貢がせてんだって。最低だ。絵に描いたような最低な配信者だ。こんなので抜いてる自分がマジで嫌になる。でも絶対今日家に帰ってもこいつの声で抜くんだ。
もうさっきまで1ミリも意識してなかったのに、気づいたら本人すぎて無理なんだが?
「別に配信人こないよ、全然。収益もないし」
「稼ぎたいの?」
「いや、まぁ……少しはあったらいいなぐらいだけど、そんな稼げるもん?」
「どーだろ、去年は3000万くらい?」
「は?」
視線があって笑われた。
「すごすぎ」
「最近ちょっと考えてることあってさ。一緒にやってくれるやつ探してんだよね」
「何?」
「こーいうの」
見せられたTikTokの動画。男同士がキスしている。すっげーイケメン同士。なんとも言えん気持ちで眺めていると。
「これやりたいの?」
「そう、バズるよ。配信興味あるイケメン紹介してって言ったら悠紹介されたんだけど」
そういうことか。それで俺なのか。他は蓮に金貰って風俗行ったらしい。高級風俗だってさ。俺も興味あるんだが?会員制のバーで、内カメが俺と蓮を映した。
顔ちかって思った頃にはキスされていた。
「飲み会、女と話してるの嫉妬した」
「っ……♡」
びっくりした。ちんこがびくってなってぶわって鳥肌がたつ。配信の時の蓮の声だったからだ。いったい何が違うのかすら俺には分かんないけど、俺が抜く時の蓮の声で。それが堪らなく身体をおかしくした。
「俺が女と仲良くすんのは嫌じゃないの?」
「ッ……い、いやだけど、付き合いとかあるし」
「俺以外と仲良くする必要ある?知り合いも友達も、恋人も俺だけでいーじゃん」
めちゃくちゃ勃起した。でもシルエットのデカい服着てたからバレなかった。目の前で再生されて、くっそ恥ずかしかったが、蓮は真顔で見てた。
「演技うま」
表情や反応は8割演技じゃない気がするが、演技ということにした。
「てか顔出せば人くるでしょ」
「……カメラないし」
「5千くらいので十分だよ」
「今まで顔出してなかったのに顔出すの?」
「整形大体やり終わったから出してガチ恋増やす」
ガチ恋増やすのにBL営業が俺には絶妙に謎なんだが。てか整形なのか。
「どこ弄ったの?」
「目と鼻」
「へー、全然わからん」
「二重幅おかしいよ。見てみ?」
顔ちけーよ。そして見ても正直さっぱりわからない。
「なんで整形したの?」
「昔、寝た女に寝起き写真晒されて、整形しよって思った」
「そこは手出すのやめよって思うとこだろ」
「えー。意外とリスナーって可愛い女多いよ?」
「言い訳になってなくて草」
その日以来。余計に。俺は抜くのに興奮するようになった。蓮は、自分の声で俺が抜いてると想像もしないんだろうなとか。この多額の投げ銭してるやつ全員蓮の竿姉妹なんだなとか。そして普通に死にたくなった。
たまに一緒にゲームして、女紹介してやろうかと言われて、紹介してもらって女抱いて、そのくせ動画ではBL売りとかして。バズって。ガチで俺も配信で稼げるようになった。顔出したら閲覧の桁が変わって。蓮は配信の天才だった。
「金額多いやつ、DM来てるだろ?いつも言えてないけどちゃんと見てるって返してみ。」
「こんな感じ?」
「そう、自分からは好きって言わない、送らない、でも来たらちゃんと返したほうがいい。落ち込んでたら早めに返信してなんなら電話してやってもいい」
そんなに沼に落として最終的にどうするんだ。刺されるだろ。とかね。考えながら。バイト以外の時間でできた金。別に連絡取れるわけよいつでも。本垢相互なんだから。ライン持ってんだから。ディスコ持ってんだから。でも、フォローもされてないアカウントでお茶爆(配信サイトでの投げ銭の名前)投げて。それを3ヶ月くらい。
応援してますって。なんも知らないリスナーのふりしてDM送った。
「ありがとう。もう1年以上推してくれてるよね。いつも配信見てくれてるのわかってるよ。」
お茶爆ありがとうじゃなくて、ずっと推してくれてありがとうってさっと言えるとこが魔性すぎる。抜いた。俺は何やってるんだ。虚しすぎる。マジで変態だ。
このままお茶爆しまくったら蓮と寝れるのか。そういう問題じゃないだろ。いや全てが問題だ。俺の異常性壁の全てが問題だ。
「素で聞いていい?」
「うん」
「乳首感じる?」
「か、感じないっすね」
「喘ぐ演技できる?」
「……恥ずかしいなぁ」
「声優とかの動画見てちょっと練習しといて」
大学のメンツ6人くらい。ちょっと酒入って、このまま抜け出すのもありだなって思いながら喋ってた女との間に蓮が入ってきて。
「こんな感じでやりたいんだけど」
「今?女いるけど」
「いーじゃん。ここでやんの興奮する」
周りドン引きだろとか思いながら。女にカメラ持たせて、ウォッカのストレート口に含んでキスしてきて。40度ぐらいだと思ったらちげーの。とんでもない度数高いやつで飲み込めきれなくてむせた。
「ヤバすぎ」
「声変だよ、70度だってこれ」
どうりで喉クソ痛いわけだ。
「こんなの飲んだらエロい声出せなくなるよ」
「心配してくれんの?」
「蓮の声……好きだしな、」
少し見開かれる目。演じるスイッチというやつだ。手を伸ばして髪に触れる。深い酒臭いキス。何度も離れて何度もくっついて。繰り返す。むせたせいで垂れた酒の筋を舐められる。
「痕つけていい?」
「見えるとこ?」
「そう、俺のだって痕」
「っ……♡いーよ♡」
シャツの中に手入ってきて、腰を撫でて上に登ってくる。耳元ですげーちっちゃい声で囁かれる。
『練習した?』
かっと顔が熱くなるのを感じる。声。マジで耳元だ。勃起する。身体のられてるからバレる。でもとりあえず今はこくりこくり。頷いて、撫でられた瞬間に。
「ぁっ……♡」
声を出す。
「これ感じるの?」
自分の顔に腕を持っていて、顔を隠すように照れる。
「か、感じない、」
今度はきゅっと掴まれて。
「……ぁあっ♡」
「ははっ……、嘘つき。すげー敏感じゃん」
ここで動画は終了。数秒固まったが、一緒に来た女の子たちにも、なんなら他の客にもガン見されてるのが恥ずかしすぎて、がっちがちに勃起してんのに平静を装って酒を飲んだ。
「今までの動画全部演技なの?」
「ま、まぁ……」
「たまに配信でイチャイチャしてんのは?」
「あれもシナリオだよ。俺が大体描いてる」
「BL売りしてんのに裏で女食いまくってるってバレたらくっそ炎上しね?」
「暴露配信者も身内だけどな、今度呼ぶ?」
怖すぎて絶対そんな飲み会行きたくねーよ。と思いながら、周りが盛り上がってんの眺めてた。抜きたい。出したい。全然会話が頭に入ってこねぇって思いながらちびちび飲んでると。
蓮が隣で言うわけよ。衝撃的なこと。
「抜いてやろうか?」
時が停止した。耳元の声が余計に勃起を酷くさせる。
「冗談。あの女、お前に気あるよ。」
で、それで。女とセックスして。頭がぐわんぐわんした。ここにきてあのバカ強い酒のせいでふわふわしていた。
「販売用のサイトで動画売ったら儲かるかな」
「抜き合いしてるやつ?」
「ん」
「酔ってる?」
「ん……♡動画撮ると毎回興奮する。俺だけ?」
これ聞いたのはマジで酔ってたからだと思う。でも。
「するよ。女とヤリまくってるお前喘がせてると思うとめちゃくちゃ勃起する」
「っ……、」
こいつと会うまで自慰なんてあんましなかったんだよ。セフレ3人くらいいたし。なのにさ。セックスしまくっても家で抜いてる。ぐちゃぐちゃの感情でいつかあのアカウントが俺だってバレないかなって思う。
女が好きだ。それは今も変わってない。じゃあこれはなんだ。投稿した動画がバズってもっともっとってなって。過激になってる。大学で蓮と話すだけで勝手に撮られてSNSに上げられて。恋人みたいな甘い言葉も囁かれた。
気づいたらラブホでスマホをセッティングしていた。初めて女とヤったときの100倍心臓がバクバクしていた。
「お前がバーですんのは恥ずかしいからホテルがいいって言ったんだからな?」
その通りなんだが。
「酔い冷めて冷静になったら恥ずかしいとか言い出しそう」
「だ、大正解」
「抜き合いの動画売って、その先考えてる?」
「え?」
「俺はど変態だからどこまででもできるけど、悠は大丈夫?」
「その先って」
「セックス」
ぶわってアニメみたいに顔が赤くなった自信がある。
「顔あっか」
「び、びっくりすること言うな……」
「まぁ、男同士って女とヤるみたいに簡単じゃないらしーけど」
「そなの?」
ベッドに腕引かれて、トントンってズボンの上から、ちんこ突かれてびくってなって。
「マジでやるの?」
「やってほしーの悠の方でしょ?」
「……別に、そんなこと言って、ない、」
「でも興奮しちゃうんでしょ?毎回」
自分の言葉に大後悔。
「さっきは酔ってて、」
「うん」
「間違って、言っただけ……、」
「じゃあ嘘ってこと?」
「嘘ってか……、」
ベルトはずされながら、適当な言い訳を話す。喋りながら、マジで抜かれんのって、心臓バクバクする。
「お前の声エロいんだよ……、」
赤い顔を隠すように、蓮の肩に顔を伏せると、頭ぽんぽんされた。
「俺の声好きなの?」
「……ん♡……すき」
「どんなとこ?」
そういうこと聞く?普通。下着の上から撫でられて肩がびくって時々反応する。酒は残ってるし、エロいことで頭はいっぱいだし、頭が上手く働かない。
「普段死ぬほど怠そうに話すのに、エロいことするとノリノリで、声掠れんの」
「他には?」
「変態」
「おい」
顔あげて笑うと、ちゅってキスされる。
「お前も期待してる顔してるよ?」
「んっ……♡っ……、」
「動画撮ってんだから声我慢しちゃダメだよ」
「ぁっ……ひぁっ……♡」
声を出してエロいことをするっていう概念が最近までなかったわけだ。無理すれば我慢できるくらいの甘い刺激。女に挿れたとき声出さないじゃん。出してみ?余計に感じるよ。って教えられて。声を出すと快感が高まることを教えられた。
「男のちんこ抜くとか初めてなんだけどどうですか?」
悪そうな顔で聞いてくる。
「どうってなに、」
「気持ちいい?」
「わ、っかんない……ぁっ♡」
「わかんないことないでしょ」
「うる、さい…、」
「そろそろ直接触る?」
「……ん、」
「じゃあおねだりのキスして」
「は?」
「うん♡」
下着の上からゆるゆると撫でられる。足りない刺激に、もっともっとって、直接って頭の後ろで囁く。俺の妄言。媚びるみたいな、女にしてもらうキスじゃない。俺が女になったみたいな、蓮にお願いって媚びる、そんなキスだ。
蓮の唇はさっきの安っぽいバーの酒の味がした。舐めると少しだけ薄く開いて、そこからゆっくり口の中に入れてもらう。
ちゅぅ……♡んっ……ちぅ♡
「れ、ん……、触って♡」
「ははっ……かわいー」
少しだけ視線が合う。もう一回キスすると、頭の後ろに手延ばされて、蓮のほうが激しく絡んでくる。
いろいろ超えちゃいけないラインを超え始めている気がする。ラブホなんて、男同士で来たことある奴そうそういないでしょ。クソ高いラブホってさ、女子会とか最近流行ってるっぽくて、後ろに並んでた子たちが、少し年上の女の子5人くらいで。声かけてくるわけよ。
男子会?かわいー?って。そしたら蓮が言うのよ。ラブホ使いに来てますよって。童貞かよってくらい声でなくなってる俺のこと笑ってさ。女の子たちの前でキスするわけ。プールとかある部屋なのに、シャワーも浴びず今現在ですよ。
「悠、いっつもツンツンしてるのに俺の前だと素直だよな」
そりゃ。もう。自分らしさを欠如させるほど、俺はお前に弱いよ。
「そんな、ことなっ……んっ♡ッ♡」
「声我慢すんなって」
心臓の鼓動が速すぎて死ぬかもしれない。
「はぁ……っぁ♡」
「つか、あるでしょ。そんなこと、ありまくりでしょ」
ゆるゆる中途半端に抜かれながら、でもちょっと上手くて、いつの間にか俺だけ脱がされる状況になってて。
「そんな俺のこと好きなの?」
なに言ってんのとか、アホかとか。普段の俺なら言えるわけよ。蓮の腰におさまって、手でちんこ触られてさ。顔じっと見られて。
「……っ、いや、」
ぶわっーって赤い顔で。
「声、好きな、だけで」
「声だけ?」
優越感がてっぺん超えて爆破する。数いる女は金払って阿保みたいな醜い争いして蓮に抱いて貰うのに、俺は、なんか知らないけどちゃっかりお近づきになれちゃってるわけで。虚勢が張れない。ゲイではない。男なんか絶対好きではない。
でも、蓮は、死ぬほど好きだ。最低最悪で、暴露されたら今いるリスナー全員消え去るような事実を何個知っても、好きで好きで、頭がパンクする。
「……ぜんぶ、すき」
「っ……マジ、素直じゃん」
「ん……♡すき、蓮……♡」
視線があって。
「なに、キスする?」
「……する、」
いーっぱいキスして。
「可愛いから今日は気持ちいいことだけしたげる」
緩く抜かれながら、シャツの中蓮の唇が近づいて。
「服あげて」
感じるってほど、敏感になったわけじゃない。でもカメラの前で声出さなきゃって思うと、感じてるのか分かんないけど声が出る。
「ぁっ……、ふぁ……♡」
「実際、結構ここ使ったの?」
「ん……結構、したけど、分かんなかった」
「でも気持ちよさそうじゃん?」
「き、もちぃか、分かんない、なんか……んっ……♡」
キスされて。
「……い、や、キスは気持ちー、けど」
なんでこんな恥ずかしいの?
「ッ……はずい、しぬ」
「恥ずかしいの?こっち向いて」
視線があって。
「本当だ。顔赤。女取っ替え引っ替えしてんのに、なんでそんな処女みたいな反応できんの?」
「っ……、」
お前だからだよと言えるわけもなく。
「男とすんの初めてだし、抱かれるほう、でしょ俺」
「まぁ興味なくはないから俺が下でもいいけど」
「ッ……、」
「選んでいーよ」
想像と夢と妄想の中は。
「悠?」
「……お、前を抱くとか、全然想像つかない」
頭ふわーって撫でられて、額にちゅってキスされる。恥ずかしい恥ずかしい。顔が熱くて爆発しそう。本音が自分でもわからなくて。でも。
「だ……、ほし……、」
「ん、」
「するなら……、だ、かれるほうが、いい」
「そなの?」
「……ん♡」
近い。鼻がくっつきそう。たまらなくなって自分からキスをする。
「さ、わって……♡」
「ん……可愛いね」
深いキスと、ちんこ抜かれて。自分でするのとなにが違うかわかんないけど、信じられないほどガチガチで、それがもう居た堪れなくて恥ずかしくて、感じて。
「っ……♡っふ、ぁ……♡蓮っ……♡」
「可愛い。女の子みたい」
それって褒め言葉?悪口?分かんないって思いながら上手く話せなくて悶える。
「ぁ゛っ……はぁ……♡れ、んっ、だめっ……♡」
「イキそう?」
必死に頷いて。
「イっちゃうって、ほら、可愛く教えて」
「ッ~~~♡」
意地悪が余計に身体をおかしくする。でもイカないように緩く遅くコントロールされて。堪え性がなくて、頭がバカになる。
「れ、れんっ……♡」
「ん」
「い、イクッ……♡からぁ……♡はっ♡あ゛っ♡い、イカせてッ♡れんッ……♡上手く、できない……♡」
ぎゅうって肩に抱きつくと、あやすように髪の毛くしゃってされる。キスされて。
「ん゛っ……♡ンンッ~~~♡」
蓮の手に吐き出された自分のやつがまた死ぬほど恥ずかしくて居た堪れなくて言葉に詰まった。ティッシュで軽く手を拭く間、逃げ出したくなる。
この後どうすんだろ。
「抜き合いの動画なんだから、ほら、悠も触って」
破裂しそうな心臓で目を固く瞑った。
「っ……、はっ……ぁ♡」
演技じゃない。蓮の感じてる声。近い近い。頭おかしくなる。息が耳に掛かって抜いて貰ったのに秒でダメになる。
「悠?」
「ぇっ…………な、に」
「口でして」
「っ……♡」
やだとか。言わないのがバレてる事実がヤバイって分かってるのに。フェラとか。したことないし。できないし。できるわけないし。
「や、ったこと、ない…………、」
「えー、じゃあ俺が初めてじゃん。うれし」
「ぁ……、ぅん」
短く息を吸って、口をつけた。
先走りは苦くて、蓮のものだって美味しくはない。俺の方が興奮で頭おかしくなりそうな自信あったし、上手くできなくて教えられながらするフェラは、自分の感じたこともない部分を刺激した。
「ッ……そこ、俺…気持ちい」
頭くしゃくしゃって撫でられて上手って褒められる。嬉しい……。嬉しい。もっと蓮のこと気持ち良くしたい。俺で気持ち良くなってほしい。
「ゅう……、っ♡悠……出すよ?口ん中出しいーの?」
咥えてるせいで返事できなくて。離さないことで意思を伝えた。苦い生臭い不味い味。不味くてえずきそうになる。でも。
「飲んで?」
喉の上を撫でられて、ゆっくりゆっくり上下する。
「美味しい?」
「っ……ん、おいしい」
小さく頷いて。
「もっと、ほしい……♡」
意味も分からず嬉しかった。ふわふわしたままその日は寝てしまって次の日はっとなって飛び起きる。なにやってるんだと。なに言ったっけ?最後どうなったんだっけとか。ヤバイヤバイって顔面まじ蒼白で。ほぼ裸で逃げるかまで考えたところで。
腕引っ張られてベッドに戻る。
「寒い」
顔。ちか。てか、まだいるんだ。帰らないんだ。俺相手で朝までいるんだ。マジで眠かったんかな。
「ごめ、ん」
「おはよ……、あと3時間、」
「……いや、思ったより寝るな」
「ふっは……ははっ、そう……寝る、」
「もう10時だよ、あと3時間って」
全然いいけども。13時だけどね。腰抱かれて、首筋に吸い付かれて、びくって身体が跳ねる。
「朝ってムラムラしない?」
「わ、っかんないけど、」
「眠い……」
「忙しいね」
「腹も減った、」
「なんか食う?」
「ここ飯あるんだっけ?」
「昨日の後ろの女の人たち女子会っぽかったしあるでしょ」
「あー……よく見てんね。パフェ食いたい」
「パフェあるかはわかんないけど」
ラブホで飯食うの初めてだな。
「ラブホで飯食うの初めてだわ」
びっくりして視線が合う。
「ん?」
「いや、なんでも、ない」
「そんな気まずそうな顔する?」
「っ……、そんなつもりじゃ」
「ワンナイトじゃないので、大学でも会うし、次もあるんだけど」
「マジで、はずい、だけ」
「んな、普段とかわんねーじゃん」
「え」
「死ぬほど素直で、俺の言葉にうんうんって聞き分け100点満点、通常運転の悠だと思うけど」
その事実が信じられないほど恥ずかしいんですが……?パフェをペロッと食べた蓮は、練習して上手になってと、また俺にフェラさせた。動画は、コアなファンに刺さって、貢ぐ女が増えたらしい。
到底見る勇気などなかった。
それから数日後。事件が起きた。配信の界隈の飲みに誘われて、蓮に連れられて行くと、そこには誰かが連れてきたコンカフェ嬢がいて、完全に女など眼中になさすぎる俺なんだが、いつものノリで、配信者数人とコンカフェの女とハプニングバーみたいなのに行くことになった。
そこまでは別にいい。普通に楽しめるし。友達と来たことあった店だったし。配信者は知ってる奴も知らない奴もいるって感じだったけど、蓮と似たような女から金巻き上げてるような男の集まりで、蓮のおかげでそこにがっかりもしないし。問題はそこじゃない。
蓮と女がイチャイチャし始めて、周りもいろいろやり始めて。話をしてた女にキスされて固まった。気持ち悪いとか、いやだとか、嫉妬とか、なかったわけじゃないかもしれないがそういうことじゃない。
勃たない。勃つ気がしない。女の子のことは触ってそれなりに楽しませた。でも、肝心の俺がダメで申し訳なさが絶妙にこみあげてくる。
「お酒飲みすぎちゃった?」
「ん……そーかも、」
理由なんて明らかだ。だからって、そんなの自分で認められるわけ。
「悠?」
一席だけ空いたソファーの先。蓮に腕を引っ張られる。軽いキスと。
「ホント可愛いねお前」
「っ……、」
なんの遠慮もなしに、手の平が伸びてきて、慌ててストップをかける。
「ま、まって……」
「あっちで男同士の奴もいるよ?」
「そういう意味じゃなくて、蓮はその子と」
「この子と?」
「するんじゃ、ないのかよ、」
蓮が一瞬離れて、ため息つきながら言葉を発する。
「二人あっちの相手してきてあげて」
「え、」
「俺らはもーいいからさ」
「あ、ありえなくない?蓮がいるから今日来たんだけど。」
「じゃあタク代渡す」
「そういうことじゃなくて、蓮が誘ったんでしょって言ってんの」
「でも、悠のほうが格段に優先順位が高い」
「ッ、はぁ!?」
その女の子の声が注目を集めた。なんだなんだ修羅場かと騒ぎ立てはしないが視線を感じる。
「お前とは険悪になっても何ら問題ないけど、悠は機嫌とって甘やかさないといけない」
意味不明だし、何も言えないし。
「勃たなくなっちゃったの?」
「いゃ……これは、飲みすぎで」
「この前抜いてあげた時も結構飲んでたじゃん」
「きょ、今日はなんか、体調悪い」
落ち着かせるみたいに抱き寄せられて、またキスされて。
「体調悪いなら一緒帰る?」
「っ……一人で帰れる」
額がひっついて視線が合う。そらせない。嫌だ。困る。困る。あーもう。頭ぐちゃぐちゃする。
「……ここですんのやだ……2人がいい」
蓮の肩に頭を埋めると、髪に蓮の頬と鼻が当たった。
「俺ん家でいい?」
「……ん、」
飲み会の主催者的な人のところにちらっと顔を出すと、蓮がちゅっとキスしてくる。
「2人でしたくなったんで帰ります」
「おー?……お前らマジなん?」
「いや、んー……、マジというか、どうなんだろ。ね。悠」
もう一度キスされて。この曖昧な、最低さが、配信者っぽいなと思うわけである。タクシーで、蓮が自分の家の住所を伝えると、こっちに視線を寄越す。
「世間様に裸晒してんのに、外でするの恥ずかしいのかわいーね」
何でもかわいいって言うじゃん。
「動画は、見られんの後からだし、……てかごめん、」
「何が?」
「せっかく、誘われて行ったのに、俺のせいで帰ることになって」
「えー、謝んの?もうあそこまで行ったら適当にヤレる女とそれぞれ解散だから気にしなくていいよ。相手決まったんで帰りまーすって報告でしょ、あれは」
腰に手が伸びて、そのまま距離が近づいて、腰を抱かれる。
「悠が相手してくれるんでしょ」
深い、深いキスのせいで、唇から唾液が溢れて、首まで垂れてくる。息、上手くできない。服の中に手入ってきて。
「ちゃんと勃ってるね」
「っ……、」
あぁ、無性に恥ずかしい。さっきまで勃たなくて焦ってどうしようって思ってたのに、触れられてないのに頭が馬鹿になる。バーで、特別扱いしてもらったこと。そんなの俺が一緒に配信やってて、機嫌損ねてもうやらないとか言われたら困るって、そういう意味だって分かってる。でも。
無性にうれしくて、信じらんないくらいの優越感で。このタクシーに蓮が乗ってくれてる事実に心臓爆発するくらい興奮する。
「うれしかった、」
「何が?」
「お、れのほう優先してくれて」
自分からキスすると、ためらいなく受け入れてもらえる。
「実際、悠のほうかわいいしな」
「っ……、」
そんなわけはないだろうさ。コンカフェ嬢って言ったって、売れてる配信者の周りに集まってるような、それこそSNSでもフォロワーが多い女の子たちだ。顔がいいって言ったって俺は男だし、蓮はゲイではないだろうし。
「男喜ばせる方法アイツらに教えてあげな?」
「お、教えら、んないよ」
「俺見事に釣られちゃったのに」
「っ……♡」
腹を往復するようにすりすりと撫でられて、ズボンの上に落ちる。下着もズボンもキツくて苦しい。
「は、ぁ……♡」
「家、早く着かないかなぁ」
耳元で声がぐわんぐわん響く。
「ん……はやく、早く」
目を伏せて気を紛らわそうとして、ぎゅっと手を握られる。少しだけびっくりして目を開くと、ギラギラとした視線と目があった。
「悠、普段俺がどんな配信してるか知ってる?」
「ぇ……?ぁ……ちょっと、だけ」
突然、上手く判断できない状況で、聞かれたら困ることを聞かれる。なんでいまそんな話するの。
「家着くまで暇だからちょっと遊ぼっか」
遊ぶ?
「ッ……♡」
耳たぶの上にちゅってキスされて。声が息がかかる。
『女の子の前で勃たなくて焦ってたのに、俺の前だとガチガチになっちゃうのかわいーね』
「ぁ……♡っぅ……♡」
『お腹の上ひくひくしてんの分かる。興奮してる』
キスされて。握られてた手を蓮の体の近くに導かれる。
『俺も期待でガチガチなの。触って』
「っ……ぁ♡蓮……お、れ……ッだめ♡」
目の前が真っ白になるみたいな、イクときの溜まったのが開放される感じもない、ただなぜか、ぱたぱたと溢れて、腰を上げて蓮の口をふさいだ。
「ん……ぅん?悠?」
蓮の口を塞ぎながら、首を振る。下着の中がどろどろと濡れた感覚があって、座りなおしたらシーツを汚してしまうかもしれない心配で、腰が下せなくなる。
「だ、だめ……蓮、俺っ、お前の声聞くとおかしくなるから、」
「イっちゃったの?」
「イった、てか……わけ、わかんなくて、」
腕引っ張られて、腰の上に乗せられる。
「蓮の服汚れちゃ」
「もう家帰るだけだから気にしなくていーよ」
そこから蓮の家に着くまで、また全身弄りまわされる。やっと蓮の家に着いたころには、ふらふらで、歩くのもやっとで。部屋の鍵を開けてすぐ、靴も脱がずに壁に押し付けられた。
「っ……んっ♡ン゛んっ……♡」
深いキス。舌に追われて、酸欠が酷くなるたびに立っているのが辛くなる。でも、その脳に酸素が足りていない感じが、また妙に気持ち良くて、興奮がせりあがってくる。
「悠、さっきなんでイっちゃったの?」
「だ、だから、蓮の声聞くと身体変で」
『声って?』
「ッ……♡」
全部。全部わかってやってる。てか俺の100倍分かってるはずだ。毎日毎日、画面の中で女イカせてんだから、何がどんな風に声出せばいいのかなんて、手に取るように分かってるに決まってる。
「わ、わかってるじゃん……、耳元でしゃべるなよ……」
「イってどろどろになっちゃったの見せてよ」
「ッ……」
顔が熱い。恥ずかしくてどうにかなりそうになる。なのに、この声に、蓮に、俺は何にも逆らえない。驚くほど、自分でも信じられないほど、従順だった。少し震えながら、自分のズボンに手を掛ける。
「明るいところで見ると、染みになっちゃってるの分かるね」
「言わ、ないで」
ズボンと下着の間に白濁の糸がツーと引いて地面に落ちる。
「悠のえっちな匂いでいっぱいだね」
イカせるような行為ではない。ただ優しく、確かめるように、撫でられて、濡れた手で、視線の前で親指と人差し指が上下する。透明な糸をひいて、蓮の口で親指をなめる。その行為がたまらなく色っぽくて、心臓の鼓動を早くする。
『もしかして、悠、俺の声だけでイっちゃうの?』
「ち、ちがっ……、」
「そんなことない?」
そんなことないと、否定したい。俺はそんな変態じゃないって、否定したいのに。呪いに掛かったみたいに、蓮の言葉に嘘がつけなくて、言葉が詰まる。頭が、素直になって、蓮の声でいっぱいイカせてもらえる未来を想像してしまう。
ぎゅっと蓮の袖を握る。
「さっき……、耳元で声出されたとき、わけ、わかんないのにイっちゃって、」
「泣きそうな顔してたもんね」
「もっといっぱい」
「うん」
「気持ちいいの……、教えて、ほしい」
「ッ……いいよ」
ベッドの上、押し倒されて1秒で上半身脱がされて、どろどろの下着に手を掛けられて、蓮が停止する。
「配信するか」
「えっ、い、嫌だ、嫌すぎる、無理無理」
こんな情けない姿絶対リアルタイムで見られるなんて嫌すぎるだろ。
「なんでだよ。悠の初めてのセックス。記録に残しておかないでどうするんだよ」
「記録って、ぇ?てか、せ、セックスするの?」
「むしろしなくていいの?」
「ッ……、」
「したいって顔に書いてある。俺の欲しいでしょ?」
もはや。その点に感して言えば。気持ちいい、気持ちよくない以前の問題として、欲しかった。蓮のようなクソな配信者が、貢ぎまくっている女に対しセックスを餌にして褒美を与えるように。俺はその女と同義で、蓮のちんこが欲しいのだ。
快楽など、全部抜きにして。俺にはこの男に抱かれたいという願望がある。正体隠して貢ぎ、自分の性癖異常に悩み、それでも俺はこの男で毎日毎日マス掻いてたんだ。やめられなかったんだ。依存である。
そこまでした相手が、実際に抱いてくれるというのに、首を振る女はいるか?いないだろ。いないんだよ。俺もそこらへんにいる可哀そうなホストに狂ってる女と一緒なんだ。金払ってでも抱いてもらいたい。
「っ……、ほしい、」
「これから、いっぱいえっちになってく悠の記録撮っておかないと」
「それは、いらないけど」
「次はふたりで動画見ながらヤレるし、撮っておけば悠のおかずになるんじゃない?」
ぼっと顔が熱くなって声が出せなくなって蓮の方に視線を向けると。
「睨んでるの?かわいーね」
そう言ってキスされた。何も敵わない。ちゃんとしたカメラいくらでもあるくせに、すごい適当にスマホを立てて。
「悠、こっちむいて」
レンズと視線が合う。
「かわい」
安い、かわいいと。薄い毛布被った俺のそばによる。
「配信始まった?」
そう聞くと。
「ん。いっぱい見てるよ。だから毛布から出ておいで」
「っ……♡」
1秒でベッドの上に押し倒されて。
「ぜ、前座みたいなの、しなくていいの?」
「ふっはは……、AVみたいに?タクシーでも玄関でもいっぱいしたじゃん。俺こんなちんこ勃起させながら、もっかい前座撮るの?」
「だって見てる人状況」
「家帰ってきて、恋人とえっちするのにストーリーなんていらないでしょ」
「っ……♡ぁっぅ♡ん……そ、っか」
顔の側の腕の動きを、蓮の手に阻止される。とりあえずのキス。唇を舐められて、歯列を舐められて。
「そういえば、ここ家で練習した?」
「ぁ……♡んっ……♡」
乳首の上。触れるか触れないかでとんってされる。いわれてから、大体毎日家で触ってみてる。感度、少しは上がってるかな。
「した、けど、……んっ゛ーーーー♡」
「押し込んだだけだよ。ほら、なでなでしてあげる♡」
「ぁぅ♡……ふっぁ♡ぁっ♡」
よしよしってするみたいな。優しい優しい、撫で方。
「……ぁ♡ふっ……♡」
「かわいい。ちゃんと練習したの偉いね」
たまにつままれるとびくっと身体が跳ねる。
「っん……ぁッ゛♡」
「真っ赤に目立って、脱ぐの恥ずかしーね」
「ッ……、」
脱ぐとか。
「ぁっ……ぅ♡うみとか、ど、しよ」
「今そんなこと考えるの?」
「……んっ♡だ、だって、」
「プールも海も貸し切ればいいんじゃない?」
「ッ……、」
蓮と以外行かない前提じゃんそれ。
「貸切って外でするのも興奮しそーじゃない?」
「そ、そんなん、ばっかりだ……、」
「だってこんなえっちな身体で脱いだら俺嫉妬しちゃうよ?」
絶対、絶対思ってない顔で、ニコニコしながら言うから、ムカつく。
「睨んでもかわいいだけなんだよなぁ」
抵抗できない腹の上をつーっと指がなぞって、それだけで全身がぞわぞわとざわめく。
「…………っっ♡♡゛」
「てか、悠いい身体してるよね」
「ぇ……?ぁ、そう、かな」
身体に力が入って浮き出た筋肉を撫でられて。
「ぁっ……♡ふっ、ぁ♡」
「高校何部?」
「さ、サッカー部だけど、」
「ポジションは?」
「フォワード……?」
下着と肌の間の線を往復して撫でる。
「さすがだわ。え。めちゃくちゃモテたでしょ?」
「いや、ぜ、全然モテないけど、寮だったし」
「こんな顔いいのに、中身もめちゃくちゃかわいいのに?」
会話が辛い。がちがちなのに触ってもらえない。終始肌には触れてるのに。焦らされてる?それともただの前座?でも前座なんていらないよって言ってたのに。
「かわいくないし、顔もよくない……蓮のほうが、」
「え、俺のがかわいいって思うの?ウケるんだけど」
「か、かわいいってか……か、かっこいいと思うけど。俺より全然モテるでしょ?」
「んなことないよ。好かれたい人に好かれないと意味ない」
「好かれたい、人?」
「うん」
ぴたりと。手の動きが止まる。
「悠は好きな人いる?」
「ッ……♡」
目が見開かれて、視線が合って。
「好きとかっ……、わ、わかっ」
分かんないって言ったらどうなるんだ。触ってくれない?何で。今。考えるのも辛い中でこんな質問するんだ。好きとか。そんな純粋なやつじゃない。
もう感情とかずっとずっとめちゃくちゃだ。どこまで見透かされてるのかって怖いし、頭おかしくなる。
「俺っ、ゲイじゃないし、抱かれるとか考えたこともなかったし、普通に女の子好きだったし、今日も勃たなくて困ってたのに、蓮に触られたらもうっ、そればっかで、」
「それって好きとは違うの?」
「っ……好きとか、そんなっ……綺麗なやつじゃない」
「じゃあちゃんと言葉にして。聞かせて」
頭働かないよ。触れてるわけじゃないのに蓮の腰の主張は服の上からでも分かるくらいで。俺にはそれで興奮する理由がさっぱりだった。
「声聞くだけで可笑しくなるんだよッ……、大学で顔見るだけで心臓バクバクするし、ヴァロ誘われたらどうしよって焦るし、2人で飲み行く時とか手汗ヤバいし、は……配信聞いて、」
言葉詰まって。
「配信聞いて?」
「い、言いたくない」
「俺の配信よく分かんないってさっき言ってなかった?」
「ご、めん……、」
「いっぱい聞いた?」
こくこく。聞いたよ。もう。何年リスナーやってると思ってるんだ。モテないからとか。彼女いないからとか。ヤレる奴いないからとか。そんな、そんな単純な理由で聞いてたわけじゃない。
止めらんなくて、むしろ全部あっても止めらんなくて、性癖ぐちゃぐちゃにされて憎いくらいなのに。
「女の子に勃たなくなったかも、……俺っ、蓮のことばっかりで抱かれるの想像するようになったし、もうほんと、だめだ、」
泣きそうって思ってたら、ぎゅって手を握られる。指を一本一本絡まれる。
「なんで、俺のことだけ考えてたらいいじゃん。何が問題?」
「飽きられたらどうすりゃいいの、……もう、これ以上俺のことおかしくしないでっ、」
ぶわって溢れた涙を繋いでない手で拭われる。視界がはっきりすると、蓮は俺が泣いてるのを見て何とも言えない、嬉しそうな顔をしてた。何その顔って、口にできず、
「ん、っふは、ホント、めちゃくちゃかわいい」
「んぅっ゛……♡ンんっ♡」
舌がつりそうになるほどの激しいキス。
「性癖ぐっちゃぐちゃにされて自分の身体心配になるよね」
下着の上を指でなぞると、腰のゴムと肌の間に指が入り込んでくる。
「悠のためにも、今日はやめとこっか」
「っ゛……まっ」
「一線越えなきゃ、後戻りできるかもしれないしね」
本当に、本当にその通りだ。その通りだってわかってる。自分だってガッチガチなのに、身体から離れていこうとして、握られた手をぎゅって自分が掴む。
「悠?」
最低な蓮のことだ。そのうち飽きて俺のことだって捨てるだろう。また別の女を侍らせるだろう。一線を越えたら、配信聞くだけじゃ我慢できなくなって、きっと俺は一生一生後悔して、自分のぐちゃぐちゃになった性癖と向き合い続けなきゃいけなくなって。
でも。たぶん。一生より、今日が大事だ。一生と人生くらい、無駄にしても蓮に抱いてもらえる今日を捨てられない。
「好きっ、全部、何もかも、好き、おかしくしてほしいっ、……声も、中身も、曖昧なとこも、何知ってもめちゃくちゃ好き、だ、だからやめないで」
人差し指が顎を掬う。
「ぐっちゃぐちゃにするよ」
「っ……ん♡してほしい♡」
「言質取ったから。後で責めんなよ」
どろどろの下着を脱がされる。
「足開いて全部俺に見せて」
恥ずかしくて頭おかしくなる。でも、身体が何も、蓮に抵抗できない。
「ここ触ったことある?」
ローションでとろとろにした指がゆっくり入ってきて、期待でおかしくなりそうだった中が、快感を拾おうと必死になる。
「っ……あっ、ぁ♡は、配信、ききながらっ……指、いれたことあるけど、あんま、わ、かんなくて」
「俺もこの前抜きあいした時から、抱く気満々だったからさ、ちゃんと男同士のヤリ方調べたんだよね」
「ッ……♡」
「第二関節入れて、内側ぐらいに、しこりがあるはず。それが前立腺がなんだってさ」
指先が、自分の中のしこりのようなところに触れて刺激される。びくっ、意味も分からず身体が跳ねて反応してしまう。
「ぁっ゛♡そこっ……なんかっ、だめ」
「だめじゃないでしょ」
ぎゅっぎゅって、しこりを押されると身体がそれに合わせて反応する。気持ちいのに、初めての怖いに、混乱してたら片方の手が俺の手を握った。
「手つなごっか」
「っ……♡んっ、うん」
ぐっちゃぐちゃの頭が、好きって爆発する。怖いのに早く挿れてほしいって気持ちが溢れて、気持ちいもいっぱいだけど、つながりたいって気持ちが多くなる。
「指じゃ届かないけど、この奥に男の子でも子宮があってさ。うまくいったら俺の赤ちゃん孕めるかもね」
「ぇぁ……♡ぁっん゛♡おく?はぁっ♡……ぁっ゛♡」
「奥、何か感じない?」
ドクドクって熱くなって。三本目の指が中に入ってくる。
「っ゛ぅーーーー♡あっ゛♡」
力が入って蓮の指を締め付けると、中を広げるみたいに指が抜けていく。中の粘膜を蓮の指が無理に撫でるからそれが気持ちよくて言葉がなくなる。
「はぁっ……♡」
蓮の手を強く握ると、強く握り返された。
「れん……、」
「ん?」
名前を呼ぶと、顔を近づけてくれる。
「すき……♡」
手を放して蓮の首に抱き着く。
「大好き、」
「どーしたの、とろとろだね」
「ん……♡溢れた、すき♡」
「ははっ……♡俺も好きだよ♡もうとろとろ過ぎて上手に会話できないね♡んっ」
「んっ゛……♡ちゅっ♡ンん゛♡れろ♡はっーーーー♡」
呼吸のために何回か離れながらキスを繰り返した。
「キス好きなの?」
「すき……♡でも、蓮のほうがすき♡」
「っ……♡そ、っか、ねぇ悠?」
「ん?」
「俺、悠におねだりしてほしいことがあるの。言ってくれる?」
「ん♡ぁっん♡いーよ♡」
耳元で、大好きな声で、囁かれる。びくって、それだけで身体が無様に甘イキしてしまった。ぎゅーって蓮の顔を抱きしめて、額をくっつける。
「いっぱい、溢れるまで中だしして♡れんのせーしで、蓮の赤ちゃん孕ませてっ♡」
自分からキスをしたはずなのに、いつの間にか蓮に頭掴まれて激しくされていた。
「れろ♡んっ♡ンん゛ーーー♡はぁ♡ちゅっ♡っ~~~♡」
「悠、脱がせて♡」
ふらつきながらもたもたと蓮の服を脱がせるけれど叱られずたまに頭撫でられる。下着に手をかけると、蓮の匂いがむわっと広がった。その匂いに頭がまたバカになって、今から入れてもらうはずなのに、欲しくなってキスをする。
「だめだよ、ほら」
離されて、ゆっくり押し倒される。言われたままじゃなくて、自ら女みたいに足を開くと、ぴとっとあてがわれた。
「一応言わせちゃったから確認だけど、ゴムいらない?」
「っ……い、らない♡中にほしい♡」
「直接繋がれるのうれしい」
「おれもっ……♡嬉しい♡」
太くて硬くて、熱い。待ち望んでた。欲しく欲しくてしかたなかったそれ。気持ちよくてうれしくて。俺の中がぴったりと蓮の形になっていく。初めてのキツさとか苦しさそんなものは少しもなかった。興奮と喜びで全部が掻き消えて、喜びで目の前がちかちかした。
「ふっ゛ぁっ♡っっ♡♡゛ ッ、 ぁ、お゛…………っ♡♡」
指じゃ届かないって言われた、前立腺の先に、ゆっくりゆっくり進んで、蓮が子宮って言ってた、そこの入り口にピタッとぶつかって止まる。
「悠、ここわかる?」
「っ゛ーーー♡♡し、子宮?」
「うん、ここ、入れてくれる?」
少し引き抜かれて、どちゅって突かれる。
「あ、 あ゛ッッ♡♡゛~~~………ッッ♡♡゛」
感じたことのない刺激に身体が強張って、蓮のちんこを締め付ける。でもそんなのに蓮は構わずゆっくりこじ開けられる。きつい中を蓮の形のまま無理に入ってくる。そしてまた、子宮口で止まる。
ぬちゅ♡ちゅっ♡
接合部分から、生々しい音が響いて繰り返される。
「悠?」
しゃべれない。声にならない。気持ちよくて。子宮に亀頭が当たって止まるけど、それだけで気持ちよくてくらくらする。気持ちよさで限界だった。目の前がうまく見えないくらいだった。
「っ゛~~~~♡おくっ♡ぁっん゛♡あかちゃんできるところに♡っっ゛~~~♡蓮のだしてっ♡」
「っ♡はぁーーーーー、ははったまんね♡」
口を押えて少し笑った後、お腹を優しくなでられる。
「一滴残らずこん中で受け止めて、ちゃんと着床しよーね♡」
腰が引いて、どちゅっ♡どちゅっ♡と奥へ進む遠慮のない動きにかわる。
「あっ♡ぅッ♡ お゛っ♡ あ、 あ゛~~~~…………っ♡」
子宮なんて。存在するわけないんだから、入っちゃいけない、そこに。突きたてられる。一瞬とんだ意識が、ずぽっと抜ける感覚に引き戻されて、二度目が繰り返されていく。俺の快楽なんて考えられていない、蓮自身が快楽を求めるための動き。
「あ゛~~……… っっ♡♡゛ ッ、 ぁ、お゛…………っ♡♡」
熱い何かが流れ込む感覚。大量の精液が俺の中に注がれて、奥にずっぷりはまったまま、蓮が身体に倒れこんでくる。お互いに熱すぎる身体が重なってキスする。
「んン゛……♡ちゅっ…………♡♡っ゛ぅ♡」
お腹の中があったかい。幸せすぎる。頭がふわふわする。繰り返されるキスを受け止めながら、ぎゅーって抱き着いた。
「お腹、あったかい♡うれしい♡」
「ね。俺も嬉しい。やっと繋がれたね♡」
「っ゛ーーーーー♡う、うん、」
無性な照れと。受け止めきれない現実と。配信してることとか全部忘れて、溢れる好きを止めることなく言いまくりながら、セックスしまくった。何時間もヤリまくった。次の日の、朝というか昼、体の痛みに起きて、自分のやらかしにまた飛び起きる。
顔面蒼白。
してるとまた、腕引っ張られてベッドに戻される。腰を抱かれて、蓮の声が耳元で鳴った。
「おはよ」
ぞわぞわって、昨日あれほどヤリまくったというのに、反応して。首筋にキスされる。
「っ……♡お、はよ」
「あんなにかわいかったのにまたぎこちなくなんの?」
「そういうわけじゃ、ないんだけど、恥ずかしくて頭おかしくなりそうで」
背中から肌がさらに密着して、蓮のスマホ画面を一緒に眺め始める。
「昨日のエゴサ、すっごいよ」
「ッ!?」
配信してたんだそういえばと。声が出なくなる。ほぼほぼ俺の痴態が検索結果の画像に出まくって、そんで、切り抜きの動画で蓮のこと好き好きって言いまくってるのが流れてきて。それがかわいいって。嬉しくなさ過ぎて目ん玉飛び出る。
「いやこれすっげーかわいかったね。確かに」
「や、やだ、」
「あ、キスマ喜んでる。かわい」
「っ……ぁっ♡や、めて」
まだ記憶に新しい感覚がふつふつと蘇って体を熱くする。
「せっかくアーカイブ残したんだから一緒見ようよ」
死んでも嫌だ。抵抗にベッドから逃げようとして、腰が立たなくて崩れる。しかも尻からなんか、どろっとしたのが垂れてきて。
「お風呂、入りたい」
ささやかな我儘に。
「一緒入る?」
コクリとうなずくとちゅっとキスされてだっこされた。
それから、配信でもそれ以外でもヤるようになった。それでも相変わらず、蓮の配信で抜くのをやめられずにいる。むしろガチ恋に磨きがかかり今まで同担拒否じゃなかったのに、推し仲間をブロックした。どんどん自分が気持ち悪くなっていく。耐え難い。
毎日蓮が好きでしんどくて泣ける。
案の定、今日の配信もめちゃくちゃエロかった。頭ふわふわする。このまま眠るのもありだなって思ったころ、ディスコ(音声通話サービスの一つ)の通話音がして、相手の名前に慌てて出る。
「配信終わったからヴァロしよーぜ」
「っ……お、つかれ」
「新しいスキン買ったんだけど見て」
「うわっ、早いね。でもなんだかんだ結局俺も買う未来が見える」
「いや、マジ結局迷って毎回買ってるから今回は即買った。プロなんだから悠も買えよ」
「プロ関係ないだろそれ」
買うかって、ベッドから起きようとして。
「パソコン移るから一端抜ける」
「ちょっと待って」
「な、何?」
切りかけてたスマホ画面眺めて。
「カメラつけて」
「え、な、なんで?」
「いーから」
しぶしぶベッドの上でカメラつけると、まだ配信の画角のままの蓮と対面した。うわっ。さっきの、見てた画面のまんま。めちゃくちゃエロい気分になる。
「パンツどろどろ?」
「っ……、ティッシュにだしたし」
「さすがに日課で毎日服汚せないか」
馬鹿にしてるくない?恥ずかしくて頭おかしくなりそうなんだけど。
「今からオナるからさ見ててくんね?」
「は?」
「配信して悠のこと考えてたら、なんかエロい気分になった。悠これ聞いて抜いてんのかなぁって考えてたんだよ今日」
「っ……♡み、見てどうすりゃいいの」
「見てるだけでいーよ」
「そ、れならいーけど」
絶対頭バカになる。それならって、それならってなんだ。見てるだけで我慢できないの俺のほうだろどう考えても。と思いつつ何も言えず。画面ガン見。すでに服の上からでもわかるぐらいに勃起してて。
「配信しながら勃つんだな」
「ノリノリの日は勃つ」
ノリノリの日って表現がウケてちょっと笑う。
「笑った顔かわい」
「っ……♡」
最近照れても悪態が付けなくて。男なのにかわいいで喜んでる。キモすぎる自分。
「今日の配信女性向けだったけど、どんな風にオナってんの?」
俺と普通に話しながら自分のちんこ抜き出して。悠って名前呼ばれる。
「ど、どうって……胸触ったり、指、入れたり」
「もっと具体的に教えて。おかずにすんだから」
「ぇっ……♡」
説明すんの恥ずかしすぎ。
「蓮が、言ったとおりに、乳首触ったり……あと、中は、指入れて、指示された通り動かして。Gスポットって言われたときは前立腺触ったり、」
恥ずかしすぎて言葉がたどたどしくなる。
「いっぱい濡れちゃったねって言ったときは?自分の精液?」
「い、いや、それは普通にローション使って、」
「足開いて見せて」
「それ、は」
ゆっくり足を開いて、カメラに映りやすいように映す。画面上の蓮のも完全に勃起してて頭がだんだん霧がかってうまく働かなくなってくる。
「中でイケた?」
横に首を振ると。
「自力じゃまだ中イキできないのか。悠はおもちゃとか使わないの?」
「も、持ってなくて」
「今度一緒買いに行く?」
「っ……うん、でも、今日は」
恥ずかしい。こんな自分を認められない。俺はゲイじゃなかったはずだし。
「悠?」
なのに、名前を呼ばれただけで心臓が跳ねる。エロい気持ち以上に。好きで、好きで、ぐちゃぐちゃになる。
「い、家、行くから、抱いてほしい……♡」
「じゃあこれ悠が家来るまで出さないで待ってたほうがいいかな」
「ぁっ……う、うん♡ま、待ってて♡」
通話を切らないままウーバーでタクシーを呼んで、雑に部屋着を身に着ける。
「蓮、」
「ん?」
「突然無理言ったのにありがと」
「え、何、全然いいよ」
「あのね」
「うん、どうしたの。好きって話?」
「っ……♡うん、そう、好き♡大好き……♡早く、会いたい、」
「ははっ……何それ。かわいーね」
そういう。軽薄そうなところが。俺が自分から会いに行くって全部計算できてそうなところが。安いかわいいが。全部、全部好き。
「本当、堕ちるのが上手でかわいーね」
全身、隅々まで、蓮で堕として、おかしくして欲しい。
「やだ、飲み会とか絶対キミのこと狙ってる奴いるじゃん。行かないでよ、お願い、ダメ、絶対無理矢理でも行かせない」
な、なんだ、これは。衝撃は、本当に衝撃で。声が近くて、左右に揺れて、もう、意味不明だった。後に調べればそれはASMRという配信のジャンルで、気づいたころにはハマっていた。最初に見たのが運の尽き。
女の子のエロいのも、日常生活の些細な音も、どれも聞いたけれど、最初の衝動が俺の勃起の源になってしまったのか。別に男が好きだとか全然ないのだ。全然続かないけど彼女もいたりいなかったりだし。セックスだって、ゲイの友達がいるが同感するところは何にもないのだ。女がいい。普通に。
でも、この誰にも言えないやましいものを見ているような気がするところまで全部めちゃくちゃに興奮する。この人の声だけ。興奮する。
わざわざ浮きたくなくて、性別が分からないようにコイツの声聞くだけのアカウント使って、すげーちまちま投げ銭して。キモい。キモすぎる俺。
恋なんてしてない。でも男の俺が抜いてすいませんという謝罪を込めての投げ銭だった。ホモじゃない。ホモじゃないんだ俺は。でも抜いてしまう。毎日配信を聞いてしまう。悔しい。
「お前、このゲームやってなかったっけ?」
「え、あーやってるけど。そんなやりこんでない」
友達に誘われたメンツ不明の飲み会。最近流行ってるスプラとエペを合わせたみたいなゲーム。オーバーウォッチ。好きな実況者やってたからなんとなく始めた。
女もいるのに何故か最近流行ってるゲームで盛り上がってる俺たち。いいのかそれで。俺はちょっと狙っている女がいるんだが。ゲームの話怠いんだが。と思いながらも空気読まないのもアレだしなって思いながら、見たことないやつに声かけられた。
「面白い?」
軽く乾杯して隣座って、うーんと唸る。
「おもろいよ、スプラとエペ合わせたみたいなやつ」
「普通におもろそう」
「普通におもろい」
ブランドだらけってわけじゃない。けど身につけてるものが妙に高いやつが多くて。俺自身はGUばっかだけど、欲しいなって思ってたやつ着てるから目についた。
「なんのゲーム最近流行ってる?」
「え、なんだろ。ヴァロ?」
「結構前からじゃね」
「わかんね。好きなの?」
「好きっていうか、流行ってるやつとりあえず齧ってる」
なぜに?と思いながらへーと無難な会話をしてたら、傍からまた男が湧いてきて、もう結構な人数な飲み会なのにここだけ男だらけ。
「こいつエロい配信ですっげー稼いでんだよ。」
「エロい配信?」
「なんかエロいセリフ読んだり、舐める音?みたいな。いや聞いても意味不明だけどな」
「聞かなくていいわ」
「毎日2時間とか永遠に飽きねーの?」
「俺、変態だから、これ聞いて女がオナってると思うと興奮すんのよ」
「天職じゃん」
今まで帰りたって思ってたのに興味が湧いた。
「え、なんて名前?」
表示されたSNSの画面。ガチで箸落とした。聞き取れないぐらいガヤガヤした店で、もう衝撃がすぎて声も無くした。おい、おいって言われて。
「どした」
「い、いや、なんでもない。み、見たことあってびっくりしただけ」
「あー、お前ゲーム配信好きだもんな」
「トキトとコラボしてんの見た」
「マジ?オーバーウォッチうまい?」
「いやだからあんまやりこんでねーって」
「サブ垢で練習しよっかなって思うんだけど、配信出る?」
「い、いや、無理、ガチで無理」
「こいつプロチーム入ってるよ」
「ヴァロのだし」
「時々配信してんじゃん」
「人こねーし女リスナーとか1人もいねーよ」
「サブは好きなことやってから全然いーよ」
丸め込まれた。周りが勝手に盛り上がって、女がゲームの話つまんないんだけどってヤジ飛ばした。さっきまで男同士で話すの嫌だったのに、もう目の前のこいつのことで頭の中いっぱいだった。
そして気づいたら本垢で相互になっていた。イケメンだったけど、派手なタイプじゃなかったし。適度に身につけてるブランド物がムカついたし。手を出した女の話で周りと盛り上がってたし。今月の稼ぎで、大学の今いる女の子置いて、今から風俗奢ってくれるらしい。
クソ最低で草。俺の蓮はそんなことしないんだが。泣く。
「元はゲーム配信で人気になりたくて始めたから尊敬するわ」
なんで隣に来る。身につけてる全てのものと今日の振る舞いで俺より100倍お前の方が金持ってるの確定だし。そもそも俺はこれを稼ぎだと考えたこともなかったし。手出してる女の話なんて聞きたくなかった。
投げ銭のランキング1位-5位に手出して貢がせてんだって。最低だ。絵に描いたような最低な配信者だ。こんなので抜いてる自分がマジで嫌になる。でも絶対今日家に帰ってもこいつの声で抜くんだ。
もうさっきまで1ミリも意識してなかったのに、気づいたら本人すぎて無理なんだが?
「別に配信人こないよ、全然。収益もないし」
「稼ぎたいの?」
「いや、まぁ……少しはあったらいいなぐらいだけど、そんな稼げるもん?」
「どーだろ、去年は3000万くらい?」
「は?」
視線があって笑われた。
「すごすぎ」
「最近ちょっと考えてることあってさ。一緒にやってくれるやつ探してんだよね」
「何?」
「こーいうの」
見せられたTikTokの動画。男同士がキスしている。すっげーイケメン同士。なんとも言えん気持ちで眺めていると。
「これやりたいの?」
「そう、バズるよ。配信興味あるイケメン紹介してって言ったら悠紹介されたんだけど」
そういうことか。それで俺なのか。他は蓮に金貰って風俗行ったらしい。高級風俗だってさ。俺も興味あるんだが?会員制のバーで、内カメが俺と蓮を映した。
顔ちかって思った頃にはキスされていた。
「飲み会、女と話してるの嫉妬した」
「っ……♡」
びっくりした。ちんこがびくってなってぶわって鳥肌がたつ。配信の時の蓮の声だったからだ。いったい何が違うのかすら俺には分かんないけど、俺が抜く時の蓮の声で。それが堪らなく身体をおかしくした。
「俺が女と仲良くすんのは嫌じゃないの?」
「ッ……い、いやだけど、付き合いとかあるし」
「俺以外と仲良くする必要ある?知り合いも友達も、恋人も俺だけでいーじゃん」
めちゃくちゃ勃起した。でもシルエットのデカい服着てたからバレなかった。目の前で再生されて、くっそ恥ずかしかったが、蓮は真顔で見てた。
「演技うま」
表情や反応は8割演技じゃない気がするが、演技ということにした。
「てか顔出せば人くるでしょ」
「……カメラないし」
「5千くらいので十分だよ」
「今まで顔出してなかったのに顔出すの?」
「整形大体やり終わったから出してガチ恋増やす」
ガチ恋増やすのにBL営業が俺には絶妙に謎なんだが。てか整形なのか。
「どこ弄ったの?」
「目と鼻」
「へー、全然わからん」
「二重幅おかしいよ。見てみ?」
顔ちけーよ。そして見ても正直さっぱりわからない。
「なんで整形したの?」
「昔、寝た女に寝起き写真晒されて、整形しよって思った」
「そこは手出すのやめよって思うとこだろ」
「えー。意外とリスナーって可愛い女多いよ?」
「言い訳になってなくて草」
その日以来。余計に。俺は抜くのに興奮するようになった。蓮は、自分の声で俺が抜いてると想像もしないんだろうなとか。この多額の投げ銭してるやつ全員蓮の竿姉妹なんだなとか。そして普通に死にたくなった。
たまに一緒にゲームして、女紹介してやろうかと言われて、紹介してもらって女抱いて、そのくせ動画ではBL売りとかして。バズって。ガチで俺も配信で稼げるようになった。顔出したら閲覧の桁が変わって。蓮は配信の天才だった。
「金額多いやつ、DM来てるだろ?いつも言えてないけどちゃんと見てるって返してみ。」
「こんな感じ?」
「そう、自分からは好きって言わない、送らない、でも来たらちゃんと返したほうがいい。落ち込んでたら早めに返信してなんなら電話してやってもいい」
そんなに沼に落として最終的にどうするんだ。刺されるだろ。とかね。考えながら。バイト以外の時間でできた金。別に連絡取れるわけよいつでも。本垢相互なんだから。ライン持ってんだから。ディスコ持ってんだから。でも、フォローもされてないアカウントでお茶爆(配信サイトでの投げ銭の名前)投げて。それを3ヶ月くらい。
応援してますって。なんも知らないリスナーのふりしてDM送った。
「ありがとう。もう1年以上推してくれてるよね。いつも配信見てくれてるのわかってるよ。」
お茶爆ありがとうじゃなくて、ずっと推してくれてありがとうってさっと言えるとこが魔性すぎる。抜いた。俺は何やってるんだ。虚しすぎる。マジで変態だ。
このままお茶爆しまくったら蓮と寝れるのか。そういう問題じゃないだろ。いや全てが問題だ。俺の異常性壁の全てが問題だ。
「素で聞いていい?」
「うん」
「乳首感じる?」
「か、感じないっすね」
「喘ぐ演技できる?」
「……恥ずかしいなぁ」
「声優とかの動画見てちょっと練習しといて」
大学のメンツ6人くらい。ちょっと酒入って、このまま抜け出すのもありだなって思いながら喋ってた女との間に蓮が入ってきて。
「こんな感じでやりたいんだけど」
「今?女いるけど」
「いーじゃん。ここでやんの興奮する」
周りドン引きだろとか思いながら。女にカメラ持たせて、ウォッカのストレート口に含んでキスしてきて。40度ぐらいだと思ったらちげーの。とんでもない度数高いやつで飲み込めきれなくてむせた。
「ヤバすぎ」
「声変だよ、70度だってこれ」
どうりで喉クソ痛いわけだ。
「こんなの飲んだらエロい声出せなくなるよ」
「心配してくれんの?」
「蓮の声……好きだしな、」
少し見開かれる目。演じるスイッチというやつだ。手を伸ばして髪に触れる。深い酒臭いキス。何度も離れて何度もくっついて。繰り返す。むせたせいで垂れた酒の筋を舐められる。
「痕つけていい?」
「見えるとこ?」
「そう、俺のだって痕」
「っ……♡いーよ♡」
シャツの中に手入ってきて、腰を撫でて上に登ってくる。耳元ですげーちっちゃい声で囁かれる。
『練習した?』
かっと顔が熱くなるのを感じる。声。マジで耳元だ。勃起する。身体のられてるからバレる。でもとりあえず今はこくりこくり。頷いて、撫でられた瞬間に。
「ぁっ……♡」
声を出す。
「これ感じるの?」
自分の顔に腕を持っていて、顔を隠すように照れる。
「か、感じない、」
今度はきゅっと掴まれて。
「……ぁあっ♡」
「ははっ……、嘘つき。すげー敏感じゃん」
ここで動画は終了。数秒固まったが、一緒に来た女の子たちにも、なんなら他の客にもガン見されてるのが恥ずかしすぎて、がっちがちに勃起してんのに平静を装って酒を飲んだ。
「今までの動画全部演技なの?」
「ま、まぁ……」
「たまに配信でイチャイチャしてんのは?」
「あれもシナリオだよ。俺が大体描いてる」
「BL売りしてんのに裏で女食いまくってるってバレたらくっそ炎上しね?」
「暴露配信者も身内だけどな、今度呼ぶ?」
怖すぎて絶対そんな飲み会行きたくねーよ。と思いながら、周りが盛り上がってんの眺めてた。抜きたい。出したい。全然会話が頭に入ってこねぇって思いながらちびちび飲んでると。
蓮が隣で言うわけよ。衝撃的なこと。
「抜いてやろうか?」
時が停止した。耳元の声が余計に勃起を酷くさせる。
「冗談。あの女、お前に気あるよ。」
で、それで。女とセックスして。頭がぐわんぐわんした。ここにきてあのバカ強い酒のせいでふわふわしていた。
「販売用のサイトで動画売ったら儲かるかな」
「抜き合いしてるやつ?」
「ん」
「酔ってる?」
「ん……♡動画撮ると毎回興奮する。俺だけ?」
これ聞いたのはマジで酔ってたからだと思う。でも。
「するよ。女とヤリまくってるお前喘がせてると思うとめちゃくちゃ勃起する」
「っ……、」
こいつと会うまで自慰なんてあんましなかったんだよ。セフレ3人くらいいたし。なのにさ。セックスしまくっても家で抜いてる。ぐちゃぐちゃの感情でいつかあのアカウントが俺だってバレないかなって思う。
女が好きだ。それは今も変わってない。じゃあこれはなんだ。投稿した動画がバズってもっともっとってなって。過激になってる。大学で蓮と話すだけで勝手に撮られてSNSに上げられて。恋人みたいな甘い言葉も囁かれた。
気づいたらラブホでスマホをセッティングしていた。初めて女とヤったときの100倍心臓がバクバクしていた。
「お前がバーですんのは恥ずかしいからホテルがいいって言ったんだからな?」
その通りなんだが。
「酔い冷めて冷静になったら恥ずかしいとか言い出しそう」
「だ、大正解」
「抜き合いの動画売って、その先考えてる?」
「え?」
「俺はど変態だからどこまででもできるけど、悠は大丈夫?」
「その先って」
「セックス」
ぶわってアニメみたいに顔が赤くなった自信がある。
「顔あっか」
「び、びっくりすること言うな……」
「まぁ、男同士って女とヤるみたいに簡単じゃないらしーけど」
「そなの?」
ベッドに腕引かれて、トントンってズボンの上から、ちんこ突かれてびくってなって。
「マジでやるの?」
「やってほしーの悠の方でしょ?」
「……別に、そんなこと言って、ない、」
「でも興奮しちゃうんでしょ?毎回」
自分の言葉に大後悔。
「さっきは酔ってて、」
「うん」
「間違って、言っただけ……、」
「じゃあ嘘ってこと?」
「嘘ってか……、」
ベルトはずされながら、適当な言い訳を話す。喋りながら、マジで抜かれんのって、心臓バクバクする。
「お前の声エロいんだよ……、」
赤い顔を隠すように、蓮の肩に顔を伏せると、頭ぽんぽんされた。
「俺の声好きなの?」
「……ん♡……すき」
「どんなとこ?」
そういうこと聞く?普通。下着の上から撫でられて肩がびくって時々反応する。酒は残ってるし、エロいことで頭はいっぱいだし、頭が上手く働かない。
「普段死ぬほど怠そうに話すのに、エロいことするとノリノリで、声掠れんの」
「他には?」
「変態」
「おい」
顔あげて笑うと、ちゅってキスされる。
「お前も期待してる顔してるよ?」
「んっ……♡っ……、」
「動画撮ってんだから声我慢しちゃダメだよ」
「ぁっ……ひぁっ……♡」
声を出してエロいことをするっていう概念が最近までなかったわけだ。無理すれば我慢できるくらいの甘い刺激。女に挿れたとき声出さないじゃん。出してみ?余計に感じるよ。って教えられて。声を出すと快感が高まることを教えられた。
「男のちんこ抜くとか初めてなんだけどどうですか?」
悪そうな顔で聞いてくる。
「どうってなに、」
「気持ちいい?」
「わ、っかんない……ぁっ♡」
「わかんないことないでしょ」
「うる、さい…、」
「そろそろ直接触る?」
「……ん、」
「じゃあおねだりのキスして」
「は?」
「うん♡」
下着の上からゆるゆると撫でられる。足りない刺激に、もっともっとって、直接って頭の後ろで囁く。俺の妄言。媚びるみたいな、女にしてもらうキスじゃない。俺が女になったみたいな、蓮にお願いって媚びる、そんなキスだ。
蓮の唇はさっきの安っぽいバーの酒の味がした。舐めると少しだけ薄く開いて、そこからゆっくり口の中に入れてもらう。
ちゅぅ……♡んっ……ちぅ♡
「れ、ん……、触って♡」
「ははっ……かわいー」
少しだけ視線が合う。もう一回キスすると、頭の後ろに手延ばされて、蓮のほうが激しく絡んでくる。
いろいろ超えちゃいけないラインを超え始めている気がする。ラブホなんて、男同士で来たことある奴そうそういないでしょ。クソ高いラブホってさ、女子会とか最近流行ってるっぽくて、後ろに並んでた子たちが、少し年上の女の子5人くらいで。声かけてくるわけよ。
男子会?かわいー?って。そしたら蓮が言うのよ。ラブホ使いに来てますよって。童貞かよってくらい声でなくなってる俺のこと笑ってさ。女の子たちの前でキスするわけ。プールとかある部屋なのに、シャワーも浴びず今現在ですよ。
「悠、いっつもツンツンしてるのに俺の前だと素直だよな」
そりゃ。もう。自分らしさを欠如させるほど、俺はお前に弱いよ。
「そんな、ことなっ……んっ♡ッ♡」
「声我慢すんなって」
心臓の鼓動が速すぎて死ぬかもしれない。
「はぁ……っぁ♡」
「つか、あるでしょ。そんなこと、ありまくりでしょ」
ゆるゆる中途半端に抜かれながら、でもちょっと上手くて、いつの間にか俺だけ脱がされる状況になってて。
「そんな俺のこと好きなの?」
なに言ってんのとか、アホかとか。普段の俺なら言えるわけよ。蓮の腰におさまって、手でちんこ触られてさ。顔じっと見られて。
「……っ、いや、」
ぶわっーって赤い顔で。
「声、好きな、だけで」
「声だけ?」
優越感がてっぺん超えて爆破する。数いる女は金払って阿保みたいな醜い争いして蓮に抱いて貰うのに、俺は、なんか知らないけどちゃっかりお近づきになれちゃってるわけで。虚勢が張れない。ゲイではない。男なんか絶対好きではない。
でも、蓮は、死ぬほど好きだ。最低最悪で、暴露されたら今いるリスナー全員消え去るような事実を何個知っても、好きで好きで、頭がパンクする。
「……ぜんぶ、すき」
「っ……マジ、素直じゃん」
「ん……♡すき、蓮……♡」
視線があって。
「なに、キスする?」
「……する、」
いーっぱいキスして。
「可愛いから今日は気持ちいいことだけしたげる」
緩く抜かれながら、シャツの中蓮の唇が近づいて。
「服あげて」
感じるってほど、敏感になったわけじゃない。でもカメラの前で声出さなきゃって思うと、感じてるのか分かんないけど声が出る。
「ぁっ……、ふぁ……♡」
「実際、結構ここ使ったの?」
「ん……結構、したけど、分かんなかった」
「でも気持ちよさそうじゃん?」
「き、もちぃか、分かんない、なんか……んっ……♡」
キスされて。
「……い、や、キスは気持ちー、けど」
なんでこんな恥ずかしいの?
「ッ……はずい、しぬ」
「恥ずかしいの?こっち向いて」
視線があって。
「本当だ。顔赤。女取っ替え引っ替えしてんのに、なんでそんな処女みたいな反応できんの?」
「っ……、」
お前だからだよと言えるわけもなく。
「男とすんの初めてだし、抱かれるほう、でしょ俺」
「まぁ興味なくはないから俺が下でもいいけど」
「ッ……、」
「選んでいーよ」
想像と夢と妄想の中は。
「悠?」
「……お、前を抱くとか、全然想像つかない」
頭ふわーって撫でられて、額にちゅってキスされる。恥ずかしい恥ずかしい。顔が熱くて爆発しそう。本音が自分でもわからなくて。でも。
「だ……、ほし……、」
「ん、」
「するなら……、だ、かれるほうが、いい」
「そなの?」
「……ん♡」
近い。鼻がくっつきそう。たまらなくなって自分からキスをする。
「さ、わって……♡」
「ん……可愛いね」
深いキスと、ちんこ抜かれて。自分でするのとなにが違うかわかんないけど、信じられないほどガチガチで、それがもう居た堪れなくて恥ずかしくて、感じて。
「っ……♡っふ、ぁ……♡蓮っ……♡」
「可愛い。女の子みたい」
それって褒め言葉?悪口?分かんないって思いながら上手く話せなくて悶える。
「ぁ゛っ……はぁ……♡れ、んっ、だめっ……♡」
「イキそう?」
必死に頷いて。
「イっちゃうって、ほら、可愛く教えて」
「ッ~~~♡」
意地悪が余計に身体をおかしくする。でもイカないように緩く遅くコントロールされて。堪え性がなくて、頭がバカになる。
「れ、れんっ……♡」
「ん」
「い、イクッ……♡からぁ……♡はっ♡あ゛っ♡い、イカせてッ♡れんッ……♡上手く、できない……♡」
ぎゅうって肩に抱きつくと、あやすように髪の毛くしゃってされる。キスされて。
「ん゛っ……♡ンンッ~~~♡」
蓮の手に吐き出された自分のやつがまた死ぬほど恥ずかしくて居た堪れなくて言葉に詰まった。ティッシュで軽く手を拭く間、逃げ出したくなる。
この後どうすんだろ。
「抜き合いの動画なんだから、ほら、悠も触って」
破裂しそうな心臓で目を固く瞑った。
「っ……、はっ……ぁ♡」
演技じゃない。蓮の感じてる声。近い近い。頭おかしくなる。息が耳に掛かって抜いて貰ったのに秒でダメになる。
「悠?」
「ぇっ…………な、に」
「口でして」
「っ……♡」
やだとか。言わないのがバレてる事実がヤバイって分かってるのに。フェラとか。したことないし。できないし。できるわけないし。
「や、ったこと、ない…………、」
「えー、じゃあ俺が初めてじゃん。うれし」
「ぁ……、ぅん」
短く息を吸って、口をつけた。
先走りは苦くて、蓮のものだって美味しくはない。俺の方が興奮で頭おかしくなりそうな自信あったし、上手くできなくて教えられながらするフェラは、自分の感じたこともない部分を刺激した。
「ッ……そこ、俺…気持ちい」
頭くしゃくしゃって撫でられて上手って褒められる。嬉しい……。嬉しい。もっと蓮のこと気持ち良くしたい。俺で気持ち良くなってほしい。
「ゅう……、っ♡悠……出すよ?口ん中出しいーの?」
咥えてるせいで返事できなくて。離さないことで意思を伝えた。苦い生臭い不味い味。不味くてえずきそうになる。でも。
「飲んで?」
喉の上を撫でられて、ゆっくりゆっくり上下する。
「美味しい?」
「っ……ん、おいしい」
小さく頷いて。
「もっと、ほしい……♡」
意味も分からず嬉しかった。ふわふわしたままその日は寝てしまって次の日はっとなって飛び起きる。なにやってるんだと。なに言ったっけ?最後どうなったんだっけとか。ヤバイヤバイって顔面まじ蒼白で。ほぼ裸で逃げるかまで考えたところで。
腕引っ張られてベッドに戻る。
「寒い」
顔。ちか。てか、まだいるんだ。帰らないんだ。俺相手で朝までいるんだ。マジで眠かったんかな。
「ごめ、ん」
「おはよ……、あと3時間、」
「……いや、思ったより寝るな」
「ふっは……ははっ、そう……寝る、」
「もう10時だよ、あと3時間って」
全然いいけども。13時だけどね。腰抱かれて、首筋に吸い付かれて、びくって身体が跳ねる。
「朝ってムラムラしない?」
「わ、っかんないけど、」
「眠い……」
「忙しいね」
「腹も減った、」
「なんか食う?」
「ここ飯あるんだっけ?」
「昨日の後ろの女の人たち女子会っぽかったしあるでしょ」
「あー……よく見てんね。パフェ食いたい」
「パフェあるかはわかんないけど」
ラブホで飯食うの初めてだな。
「ラブホで飯食うの初めてだわ」
びっくりして視線が合う。
「ん?」
「いや、なんでも、ない」
「そんな気まずそうな顔する?」
「っ……、そんなつもりじゃ」
「ワンナイトじゃないので、大学でも会うし、次もあるんだけど」
「マジで、はずい、だけ」
「んな、普段とかわんねーじゃん」
「え」
「死ぬほど素直で、俺の言葉にうんうんって聞き分け100点満点、通常運転の悠だと思うけど」
その事実が信じられないほど恥ずかしいんですが……?パフェをペロッと食べた蓮は、練習して上手になってと、また俺にフェラさせた。動画は、コアなファンに刺さって、貢ぐ女が増えたらしい。
到底見る勇気などなかった。
それから数日後。事件が起きた。配信の界隈の飲みに誘われて、蓮に連れられて行くと、そこには誰かが連れてきたコンカフェ嬢がいて、完全に女など眼中になさすぎる俺なんだが、いつものノリで、配信者数人とコンカフェの女とハプニングバーみたいなのに行くことになった。
そこまでは別にいい。普通に楽しめるし。友達と来たことあった店だったし。配信者は知ってる奴も知らない奴もいるって感じだったけど、蓮と似たような女から金巻き上げてるような男の集まりで、蓮のおかげでそこにがっかりもしないし。問題はそこじゃない。
蓮と女がイチャイチャし始めて、周りもいろいろやり始めて。話をしてた女にキスされて固まった。気持ち悪いとか、いやだとか、嫉妬とか、なかったわけじゃないかもしれないがそういうことじゃない。
勃たない。勃つ気がしない。女の子のことは触ってそれなりに楽しませた。でも、肝心の俺がダメで申し訳なさが絶妙にこみあげてくる。
「お酒飲みすぎちゃった?」
「ん……そーかも、」
理由なんて明らかだ。だからって、そんなの自分で認められるわけ。
「悠?」
一席だけ空いたソファーの先。蓮に腕を引っ張られる。軽いキスと。
「ホント可愛いねお前」
「っ……、」
なんの遠慮もなしに、手の平が伸びてきて、慌ててストップをかける。
「ま、まって……」
「あっちで男同士の奴もいるよ?」
「そういう意味じゃなくて、蓮はその子と」
「この子と?」
「するんじゃ、ないのかよ、」
蓮が一瞬離れて、ため息つきながら言葉を発する。
「二人あっちの相手してきてあげて」
「え、」
「俺らはもーいいからさ」
「あ、ありえなくない?蓮がいるから今日来たんだけど。」
「じゃあタク代渡す」
「そういうことじゃなくて、蓮が誘ったんでしょって言ってんの」
「でも、悠のほうが格段に優先順位が高い」
「ッ、はぁ!?」
その女の子の声が注目を集めた。なんだなんだ修羅場かと騒ぎ立てはしないが視線を感じる。
「お前とは険悪になっても何ら問題ないけど、悠は機嫌とって甘やかさないといけない」
意味不明だし、何も言えないし。
「勃たなくなっちゃったの?」
「いゃ……これは、飲みすぎで」
「この前抜いてあげた時も結構飲んでたじゃん」
「きょ、今日はなんか、体調悪い」
落ち着かせるみたいに抱き寄せられて、またキスされて。
「体調悪いなら一緒帰る?」
「っ……一人で帰れる」
額がひっついて視線が合う。そらせない。嫌だ。困る。困る。あーもう。頭ぐちゃぐちゃする。
「……ここですんのやだ……2人がいい」
蓮の肩に頭を埋めると、髪に蓮の頬と鼻が当たった。
「俺ん家でいい?」
「……ん、」
飲み会の主催者的な人のところにちらっと顔を出すと、蓮がちゅっとキスしてくる。
「2人でしたくなったんで帰ります」
「おー?……お前らマジなん?」
「いや、んー……、マジというか、どうなんだろ。ね。悠」
もう一度キスされて。この曖昧な、最低さが、配信者っぽいなと思うわけである。タクシーで、蓮が自分の家の住所を伝えると、こっちに視線を寄越す。
「世間様に裸晒してんのに、外でするの恥ずかしいのかわいーね」
何でもかわいいって言うじゃん。
「動画は、見られんの後からだし、……てかごめん、」
「何が?」
「せっかく、誘われて行ったのに、俺のせいで帰ることになって」
「えー、謝んの?もうあそこまで行ったら適当にヤレる女とそれぞれ解散だから気にしなくていいよ。相手決まったんで帰りまーすって報告でしょ、あれは」
腰に手が伸びて、そのまま距離が近づいて、腰を抱かれる。
「悠が相手してくれるんでしょ」
深い、深いキスのせいで、唇から唾液が溢れて、首まで垂れてくる。息、上手くできない。服の中に手入ってきて。
「ちゃんと勃ってるね」
「っ……、」
あぁ、無性に恥ずかしい。さっきまで勃たなくて焦ってどうしようって思ってたのに、触れられてないのに頭が馬鹿になる。バーで、特別扱いしてもらったこと。そんなの俺が一緒に配信やってて、機嫌損ねてもうやらないとか言われたら困るって、そういう意味だって分かってる。でも。
無性にうれしくて、信じらんないくらいの優越感で。このタクシーに蓮が乗ってくれてる事実に心臓爆発するくらい興奮する。
「うれしかった、」
「何が?」
「お、れのほう優先してくれて」
自分からキスすると、ためらいなく受け入れてもらえる。
「実際、悠のほうかわいいしな」
「っ……、」
そんなわけはないだろうさ。コンカフェ嬢って言ったって、売れてる配信者の周りに集まってるような、それこそSNSでもフォロワーが多い女の子たちだ。顔がいいって言ったって俺は男だし、蓮はゲイではないだろうし。
「男喜ばせる方法アイツらに教えてあげな?」
「お、教えら、んないよ」
「俺見事に釣られちゃったのに」
「っ……♡」
腹を往復するようにすりすりと撫でられて、ズボンの上に落ちる。下着もズボンもキツくて苦しい。
「は、ぁ……♡」
「家、早く着かないかなぁ」
耳元で声がぐわんぐわん響く。
「ん……はやく、早く」
目を伏せて気を紛らわそうとして、ぎゅっと手を握られる。少しだけびっくりして目を開くと、ギラギラとした視線と目があった。
「悠、普段俺がどんな配信してるか知ってる?」
「ぇ……?ぁ……ちょっと、だけ」
突然、上手く判断できない状況で、聞かれたら困ることを聞かれる。なんでいまそんな話するの。
「家着くまで暇だからちょっと遊ぼっか」
遊ぶ?
「ッ……♡」
耳たぶの上にちゅってキスされて。声が息がかかる。
『女の子の前で勃たなくて焦ってたのに、俺の前だとガチガチになっちゃうのかわいーね』
「ぁ……♡っぅ……♡」
『お腹の上ひくひくしてんの分かる。興奮してる』
キスされて。握られてた手を蓮の体の近くに導かれる。
『俺も期待でガチガチなの。触って』
「っ……ぁ♡蓮……お、れ……ッだめ♡」
目の前が真っ白になるみたいな、イクときの溜まったのが開放される感じもない、ただなぜか、ぱたぱたと溢れて、腰を上げて蓮の口をふさいだ。
「ん……ぅん?悠?」
蓮の口を塞ぎながら、首を振る。下着の中がどろどろと濡れた感覚があって、座りなおしたらシーツを汚してしまうかもしれない心配で、腰が下せなくなる。
「だ、だめ……蓮、俺っ、お前の声聞くとおかしくなるから、」
「イっちゃったの?」
「イった、てか……わけ、わかんなくて、」
腕引っ張られて、腰の上に乗せられる。
「蓮の服汚れちゃ」
「もう家帰るだけだから気にしなくていーよ」
そこから蓮の家に着くまで、また全身弄りまわされる。やっと蓮の家に着いたころには、ふらふらで、歩くのもやっとで。部屋の鍵を開けてすぐ、靴も脱がずに壁に押し付けられた。
「っ……んっ♡ン゛んっ……♡」
深いキス。舌に追われて、酸欠が酷くなるたびに立っているのが辛くなる。でも、その脳に酸素が足りていない感じが、また妙に気持ち良くて、興奮がせりあがってくる。
「悠、さっきなんでイっちゃったの?」
「だ、だから、蓮の声聞くと身体変で」
『声って?』
「ッ……♡」
全部。全部わかってやってる。てか俺の100倍分かってるはずだ。毎日毎日、画面の中で女イカせてんだから、何がどんな風に声出せばいいのかなんて、手に取るように分かってるに決まってる。
「わ、わかってるじゃん……、耳元でしゃべるなよ……」
「イってどろどろになっちゃったの見せてよ」
「ッ……」
顔が熱い。恥ずかしくてどうにかなりそうになる。なのに、この声に、蓮に、俺は何にも逆らえない。驚くほど、自分でも信じられないほど、従順だった。少し震えながら、自分のズボンに手を掛ける。
「明るいところで見ると、染みになっちゃってるの分かるね」
「言わ、ないで」
ズボンと下着の間に白濁の糸がツーと引いて地面に落ちる。
「悠のえっちな匂いでいっぱいだね」
イカせるような行為ではない。ただ優しく、確かめるように、撫でられて、濡れた手で、視線の前で親指と人差し指が上下する。透明な糸をひいて、蓮の口で親指をなめる。その行為がたまらなく色っぽくて、心臓の鼓動を早くする。
『もしかして、悠、俺の声だけでイっちゃうの?』
「ち、ちがっ……、」
「そんなことない?」
そんなことないと、否定したい。俺はそんな変態じゃないって、否定したいのに。呪いに掛かったみたいに、蓮の言葉に嘘がつけなくて、言葉が詰まる。頭が、素直になって、蓮の声でいっぱいイカせてもらえる未来を想像してしまう。
ぎゅっと蓮の袖を握る。
「さっき……、耳元で声出されたとき、わけ、わかんないのにイっちゃって、」
「泣きそうな顔してたもんね」
「もっといっぱい」
「うん」
「気持ちいいの……、教えて、ほしい」
「ッ……いいよ」
ベッドの上、押し倒されて1秒で上半身脱がされて、どろどろの下着に手を掛けられて、蓮が停止する。
「配信するか」
「えっ、い、嫌だ、嫌すぎる、無理無理」
こんな情けない姿絶対リアルタイムで見られるなんて嫌すぎるだろ。
「なんでだよ。悠の初めてのセックス。記録に残しておかないでどうするんだよ」
「記録って、ぇ?てか、せ、セックスするの?」
「むしろしなくていいの?」
「ッ……、」
「したいって顔に書いてある。俺の欲しいでしょ?」
もはや。その点に感して言えば。気持ちいい、気持ちよくない以前の問題として、欲しかった。蓮のようなクソな配信者が、貢ぎまくっている女に対しセックスを餌にして褒美を与えるように。俺はその女と同義で、蓮のちんこが欲しいのだ。
快楽など、全部抜きにして。俺にはこの男に抱かれたいという願望がある。正体隠して貢ぎ、自分の性癖異常に悩み、それでも俺はこの男で毎日毎日マス掻いてたんだ。やめられなかったんだ。依存である。
そこまでした相手が、実際に抱いてくれるというのに、首を振る女はいるか?いないだろ。いないんだよ。俺もそこらへんにいる可哀そうなホストに狂ってる女と一緒なんだ。金払ってでも抱いてもらいたい。
「っ……、ほしい、」
「これから、いっぱいえっちになってく悠の記録撮っておかないと」
「それは、いらないけど」
「次はふたりで動画見ながらヤレるし、撮っておけば悠のおかずになるんじゃない?」
ぼっと顔が熱くなって声が出せなくなって蓮の方に視線を向けると。
「睨んでるの?かわいーね」
そう言ってキスされた。何も敵わない。ちゃんとしたカメラいくらでもあるくせに、すごい適当にスマホを立てて。
「悠、こっちむいて」
レンズと視線が合う。
「かわい」
安い、かわいいと。薄い毛布被った俺のそばによる。
「配信始まった?」
そう聞くと。
「ん。いっぱい見てるよ。だから毛布から出ておいで」
「っ……♡」
1秒でベッドの上に押し倒されて。
「ぜ、前座みたいなの、しなくていいの?」
「ふっはは……、AVみたいに?タクシーでも玄関でもいっぱいしたじゃん。俺こんなちんこ勃起させながら、もっかい前座撮るの?」
「だって見てる人状況」
「家帰ってきて、恋人とえっちするのにストーリーなんていらないでしょ」
「っ……♡ぁっぅ♡ん……そ、っか」
顔の側の腕の動きを、蓮の手に阻止される。とりあえずのキス。唇を舐められて、歯列を舐められて。
「そういえば、ここ家で練習した?」
「ぁ……♡んっ……♡」
乳首の上。触れるか触れないかでとんってされる。いわれてから、大体毎日家で触ってみてる。感度、少しは上がってるかな。
「した、けど、……んっ゛ーーーー♡」
「押し込んだだけだよ。ほら、なでなでしてあげる♡」
「ぁぅ♡……ふっぁ♡ぁっ♡」
よしよしってするみたいな。優しい優しい、撫で方。
「……ぁ♡ふっ……♡」
「かわいい。ちゃんと練習したの偉いね」
たまにつままれるとびくっと身体が跳ねる。
「っん……ぁッ゛♡」
「真っ赤に目立って、脱ぐの恥ずかしーね」
「ッ……、」
脱ぐとか。
「ぁっ……ぅ♡うみとか、ど、しよ」
「今そんなこと考えるの?」
「……んっ♡だ、だって、」
「プールも海も貸し切ればいいんじゃない?」
「ッ……、」
蓮と以外行かない前提じゃんそれ。
「貸切って外でするのも興奮しそーじゃない?」
「そ、そんなん、ばっかりだ……、」
「だってこんなえっちな身体で脱いだら俺嫉妬しちゃうよ?」
絶対、絶対思ってない顔で、ニコニコしながら言うから、ムカつく。
「睨んでもかわいいだけなんだよなぁ」
抵抗できない腹の上をつーっと指がなぞって、それだけで全身がぞわぞわとざわめく。
「…………っっ♡♡゛」
「てか、悠いい身体してるよね」
「ぇ……?ぁ、そう、かな」
身体に力が入って浮き出た筋肉を撫でられて。
「ぁっ……♡ふっ、ぁ♡」
「高校何部?」
「さ、サッカー部だけど、」
「ポジションは?」
「フォワード……?」
下着と肌の間の線を往復して撫でる。
「さすがだわ。え。めちゃくちゃモテたでしょ?」
「いや、ぜ、全然モテないけど、寮だったし」
「こんな顔いいのに、中身もめちゃくちゃかわいいのに?」
会話が辛い。がちがちなのに触ってもらえない。終始肌には触れてるのに。焦らされてる?それともただの前座?でも前座なんていらないよって言ってたのに。
「かわいくないし、顔もよくない……蓮のほうが、」
「え、俺のがかわいいって思うの?ウケるんだけど」
「か、かわいいってか……か、かっこいいと思うけど。俺より全然モテるでしょ?」
「んなことないよ。好かれたい人に好かれないと意味ない」
「好かれたい、人?」
「うん」
ぴたりと。手の動きが止まる。
「悠は好きな人いる?」
「ッ……♡」
目が見開かれて、視線が合って。
「好きとかっ……、わ、わかっ」
分かんないって言ったらどうなるんだ。触ってくれない?何で。今。考えるのも辛い中でこんな質問するんだ。好きとか。そんな純粋なやつじゃない。
もう感情とかずっとずっとめちゃくちゃだ。どこまで見透かされてるのかって怖いし、頭おかしくなる。
「俺っ、ゲイじゃないし、抱かれるとか考えたこともなかったし、普通に女の子好きだったし、今日も勃たなくて困ってたのに、蓮に触られたらもうっ、そればっかで、」
「それって好きとは違うの?」
「っ……好きとか、そんなっ……綺麗なやつじゃない」
「じゃあちゃんと言葉にして。聞かせて」
頭働かないよ。触れてるわけじゃないのに蓮の腰の主張は服の上からでも分かるくらいで。俺にはそれで興奮する理由がさっぱりだった。
「声聞くだけで可笑しくなるんだよッ……、大学で顔見るだけで心臓バクバクするし、ヴァロ誘われたらどうしよって焦るし、2人で飲み行く時とか手汗ヤバいし、は……配信聞いて、」
言葉詰まって。
「配信聞いて?」
「い、言いたくない」
「俺の配信よく分かんないってさっき言ってなかった?」
「ご、めん……、」
「いっぱい聞いた?」
こくこく。聞いたよ。もう。何年リスナーやってると思ってるんだ。モテないからとか。彼女いないからとか。ヤレる奴いないからとか。そんな、そんな単純な理由で聞いてたわけじゃない。
止めらんなくて、むしろ全部あっても止めらんなくて、性癖ぐちゃぐちゃにされて憎いくらいなのに。
「女の子に勃たなくなったかも、……俺っ、蓮のことばっかりで抱かれるの想像するようになったし、もうほんと、だめだ、」
泣きそうって思ってたら、ぎゅって手を握られる。指を一本一本絡まれる。
「なんで、俺のことだけ考えてたらいいじゃん。何が問題?」
「飽きられたらどうすりゃいいの、……もう、これ以上俺のことおかしくしないでっ、」
ぶわって溢れた涙を繋いでない手で拭われる。視界がはっきりすると、蓮は俺が泣いてるのを見て何とも言えない、嬉しそうな顔をしてた。何その顔って、口にできず、
「ん、っふは、ホント、めちゃくちゃかわいい」
「んぅっ゛……♡ンんっ♡」
舌がつりそうになるほどの激しいキス。
「性癖ぐっちゃぐちゃにされて自分の身体心配になるよね」
下着の上を指でなぞると、腰のゴムと肌の間に指が入り込んでくる。
「悠のためにも、今日はやめとこっか」
「っ゛……まっ」
「一線越えなきゃ、後戻りできるかもしれないしね」
本当に、本当にその通りだ。その通りだってわかってる。自分だってガッチガチなのに、身体から離れていこうとして、握られた手をぎゅって自分が掴む。
「悠?」
最低な蓮のことだ。そのうち飽きて俺のことだって捨てるだろう。また別の女を侍らせるだろう。一線を越えたら、配信聞くだけじゃ我慢できなくなって、きっと俺は一生一生後悔して、自分のぐちゃぐちゃになった性癖と向き合い続けなきゃいけなくなって。
でも。たぶん。一生より、今日が大事だ。一生と人生くらい、無駄にしても蓮に抱いてもらえる今日を捨てられない。
「好きっ、全部、何もかも、好き、おかしくしてほしいっ、……声も、中身も、曖昧なとこも、何知ってもめちゃくちゃ好き、だ、だからやめないで」
人差し指が顎を掬う。
「ぐっちゃぐちゃにするよ」
「っ……ん♡してほしい♡」
「言質取ったから。後で責めんなよ」
どろどろの下着を脱がされる。
「足開いて全部俺に見せて」
恥ずかしくて頭おかしくなる。でも、身体が何も、蓮に抵抗できない。
「ここ触ったことある?」
ローションでとろとろにした指がゆっくり入ってきて、期待でおかしくなりそうだった中が、快感を拾おうと必死になる。
「っ……あっ、ぁ♡は、配信、ききながらっ……指、いれたことあるけど、あんま、わ、かんなくて」
「俺もこの前抜きあいした時から、抱く気満々だったからさ、ちゃんと男同士のヤリ方調べたんだよね」
「ッ……♡」
「第二関節入れて、内側ぐらいに、しこりがあるはず。それが前立腺がなんだってさ」
指先が、自分の中のしこりのようなところに触れて刺激される。びくっ、意味も分からず身体が跳ねて反応してしまう。
「ぁっ゛♡そこっ……なんかっ、だめ」
「だめじゃないでしょ」
ぎゅっぎゅって、しこりを押されると身体がそれに合わせて反応する。気持ちいのに、初めての怖いに、混乱してたら片方の手が俺の手を握った。
「手つなごっか」
「っ……♡んっ、うん」
ぐっちゃぐちゃの頭が、好きって爆発する。怖いのに早く挿れてほしいって気持ちが溢れて、気持ちいもいっぱいだけど、つながりたいって気持ちが多くなる。
「指じゃ届かないけど、この奥に男の子でも子宮があってさ。うまくいったら俺の赤ちゃん孕めるかもね」
「ぇぁ……♡ぁっん゛♡おく?はぁっ♡……ぁっ゛♡」
「奥、何か感じない?」
ドクドクって熱くなって。三本目の指が中に入ってくる。
「っ゛ぅーーーー♡あっ゛♡」
力が入って蓮の指を締め付けると、中を広げるみたいに指が抜けていく。中の粘膜を蓮の指が無理に撫でるからそれが気持ちよくて言葉がなくなる。
「はぁっ……♡」
蓮の手を強く握ると、強く握り返された。
「れん……、」
「ん?」
名前を呼ぶと、顔を近づけてくれる。
「すき……♡」
手を放して蓮の首に抱き着く。
「大好き、」
「どーしたの、とろとろだね」
「ん……♡溢れた、すき♡」
「ははっ……♡俺も好きだよ♡もうとろとろ過ぎて上手に会話できないね♡んっ」
「んっ゛……♡ちゅっ♡ンん゛♡れろ♡はっーーーー♡」
呼吸のために何回か離れながらキスを繰り返した。
「キス好きなの?」
「すき……♡でも、蓮のほうがすき♡」
「っ……♡そ、っか、ねぇ悠?」
「ん?」
「俺、悠におねだりしてほしいことがあるの。言ってくれる?」
「ん♡ぁっん♡いーよ♡」
耳元で、大好きな声で、囁かれる。びくって、それだけで身体が無様に甘イキしてしまった。ぎゅーって蓮の顔を抱きしめて、額をくっつける。
「いっぱい、溢れるまで中だしして♡れんのせーしで、蓮の赤ちゃん孕ませてっ♡」
自分からキスをしたはずなのに、いつの間にか蓮に頭掴まれて激しくされていた。
「れろ♡んっ♡ンん゛ーーー♡はぁ♡ちゅっ♡っ~~~♡」
「悠、脱がせて♡」
ふらつきながらもたもたと蓮の服を脱がせるけれど叱られずたまに頭撫でられる。下着に手をかけると、蓮の匂いがむわっと広がった。その匂いに頭がまたバカになって、今から入れてもらうはずなのに、欲しくなってキスをする。
「だめだよ、ほら」
離されて、ゆっくり押し倒される。言われたままじゃなくて、自ら女みたいに足を開くと、ぴとっとあてがわれた。
「一応言わせちゃったから確認だけど、ゴムいらない?」
「っ……い、らない♡中にほしい♡」
「直接繋がれるのうれしい」
「おれもっ……♡嬉しい♡」
太くて硬くて、熱い。待ち望んでた。欲しく欲しくてしかたなかったそれ。気持ちよくてうれしくて。俺の中がぴったりと蓮の形になっていく。初めてのキツさとか苦しさそんなものは少しもなかった。興奮と喜びで全部が掻き消えて、喜びで目の前がちかちかした。
「ふっ゛ぁっ♡っっ♡♡゛ ッ、 ぁ、お゛…………っ♡♡」
指じゃ届かないって言われた、前立腺の先に、ゆっくりゆっくり進んで、蓮が子宮って言ってた、そこの入り口にピタッとぶつかって止まる。
「悠、ここわかる?」
「っ゛ーーー♡♡し、子宮?」
「うん、ここ、入れてくれる?」
少し引き抜かれて、どちゅって突かれる。
「あ、 あ゛ッッ♡♡゛~~~………ッッ♡♡゛」
感じたことのない刺激に身体が強張って、蓮のちんこを締め付ける。でもそんなのに蓮は構わずゆっくりこじ開けられる。きつい中を蓮の形のまま無理に入ってくる。そしてまた、子宮口で止まる。
ぬちゅ♡ちゅっ♡
接合部分から、生々しい音が響いて繰り返される。
「悠?」
しゃべれない。声にならない。気持ちよくて。子宮に亀頭が当たって止まるけど、それだけで気持ちよくてくらくらする。気持ちよさで限界だった。目の前がうまく見えないくらいだった。
「っ゛~~~~♡おくっ♡ぁっん゛♡あかちゃんできるところに♡っっ゛~~~♡蓮のだしてっ♡」
「っ♡はぁーーーーー、ははったまんね♡」
口を押えて少し笑った後、お腹を優しくなでられる。
「一滴残らずこん中で受け止めて、ちゃんと着床しよーね♡」
腰が引いて、どちゅっ♡どちゅっ♡と奥へ進む遠慮のない動きにかわる。
「あっ♡ぅッ♡ お゛っ♡ あ、 あ゛~~~~…………っ♡」
子宮なんて。存在するわけないんだから、入っちゃいけない、そこに。突きたてられる。一瞬とんだ意識が、ずぽっと抜ける感覚に引き戻されて、二度目が繰り返されていく。俺の快楽なんて考えられていない、蓮自身が快楽を求めるための動き。
「あ゛~~……… っっ♡♡゛ ッ、 ぁ、お゛…………っ♡♡」
熱い何かが流れ込む感覚。大量の精液が俺の中に注がれて、奥にずっぷりはまったまま、蓮が身体に倒れこんでくる。お互いに熱すぎる身体が重なってキスする。
「んン゛……♡ちゅっ…………♡♡っ゛ぅ♡」
お腹の中があったかい。幸せすぎる。頭がふわふわする。繰り返されるキスを受け止めながら、ぎゅーって抱き着いた。
「お腹、あったかい♡うれしい♡」
「ね。俺も嬉しい。やっと繋がれたね♡」
「っ゛ーーーーー♡う、うん、」
無性な照れと。受け止めきれない現実と。配信してることとか全部忘れて、溢れる好きを止めることなく言いまくりながら、セックスしまくった。何時間もヤリまくった。次の日の、朝というか昼、体の痛みに起きて、自分のやらかしにまた飛び起きる。
顔面蒼白。
してるとまた、腕引っ張られてベッドに戻される。腰を抱かれて、蓮の声が耳元で鳴った。
「おはよ」
ぞわぞわって、昨日あれほどヤリまくったというのに、反応して。首筋にキスされる。
「っ……♡お、はよ」
「あんなにかわいかったのにまたぎこちなくなんの?」
「そういうわけじゃ、ないんだけど、恥ずかしくて頭おかしくなりそうで」
背中から肌がさらに密着して、蓮のスマホ画面を一緒に眺め始める。
「昨日のエゴサ、すっごいよ」
「ッ!?」
配信してたんだそういえばと。声が出なくなる。ほぼほぼ俺の痴態が検索結果の画像に出まくって、そんで、切り抜きの動画で蓮のこと好き好きって言いまくってるのが流れてきて。それがかわいいって。嬉しくなさ過ぎて目ん玉飛び出る。
「いやこれすっげーかわいかったね。確かに」
「や、やだ、」
「あ、キスマ喜んでる。かわい」
「っ……ぁっ♡や、めて」
まだ記憶に新しい感覚がふつふつと蘇って体を熱くする。
「せっかくアーカイブ残したんだから一緒見ようよ」
死んでも嫌だ。抵抗にベッドから逃げようとして、腰が立たなくて崩れる。しかも尻からなんか、どろっとしたのが垂れてきて。
「お風呂、入りたい」
ささやかな我儘に。
「一緒入る?」
コクリとうなずくとちゅっとキスされてだっこされた。
それから、配信でもそれ以外でもヤるようになった。それでも相変わらず、蓮の配信で抜くのをやめられずにいる。むしろガチ恋に磨きがかかり今まで同担拒否じゃなかったのに、推し仲間をブロックした。どんどん自分が気持ち悪くなっていく。耐え難い。
毎日蓮が好きでしんどくて泣ける。
案の定、今日の配信もめちゃくちゃエロかった。頭ふわふわする。このまま眠るのもありだなって思ったころ、ディスコ(音声通話サービスの一つ)の通話音がして、相手の名前に慌てて出る。
「配信終わったからヴァロしよーぜ」
「っ……お、つかれ」
「新しいスキン買ったんだけど見て」
「うわっ、早いね。でもなんだかんだ結局俺も買う未来が見える」
「いや、マジ結局迷って毎回買ってるから今回は即買った。プロなんだから悠も買えよ」
「プロ関係ないだろそれ」
買うかって、ベッドから起きようとして。
「パソコン移るから一端抜ける」
「ちょっと待って」
「な、何?」
切りかけてたスマホ画面眺めて。
「カメラつけて」
「え、な、なんで?」
「いーから」
しぶしぶベッドの上でカメラつけると、まだ配信の画角のままの蓮と対面した。うわっ。さっきの、見てた画面のまんま。めちゃくちゃエロい気分になる。
「パンツどろどろ?」
「っ……、ティッシュにだしたし」
「さすがに日課で毎日服汚せないか」
馬鹿にしてるくない?恥ずかしくて頭おかしくなりそうなんだけど。
「今からオナるからさ見ててくんね?」
「は?」
「配信して悠のこと考えてたら、なんかエロい気分になった。悠これ聞いて抜いてんのかなぁって考えてたんだよ今日」
「っ……♡み、見てどうすりゃいいの」
「見てるだけでいーよ」
「そ、れならいーけど」
絶対頭バカになる。それならって、それならってなんだ。見てるだけで我慢できないの俺のほうだろどう考えても。と思いつつ何も言えず。画面ガン見。すでに服の上からでもわかるぐらいに勃起してて。
「配信しながら勃つんだな」
「ノリノリの日は勃つ」
ノリノリの日って表現がウケてちょっと笑う。
「笑った顔かわい」
「っ……♡」
最近照れても悪態が付けなくて。男なのにかわいいで喜んでる。キモすぎる自分。
「今日の配信女性向けだったけど、どんな風にオナってんの?」
俺と普通に話しながら自分のちんこ抜き出して。悠って名前呼ばれる。
「ど、どうって……胸触ったり、指、入れたり」
「もっと具体的に教えて。おかずにすんだから」
「ぇっ……♡」
説明すんの恥ずかしすぎ。
「蓮が、言ったとおりに、乳首触ったり……あと、中は、指入れて、指示された通り動かして。Gスポットって言われたときは前立腺触ったり、」
恥ずかしすぎて言葉がたどたどしくなる。
「いっぱい濡れちゃったねって言ったときは?自分の精液?」
「い、いや、それは普通にローション使って、」
「足開いて見せて」
「それ、は」
ゆっくり足を開いて、カメラに映りやすいように映す。画面上の蓮のも完全に勃起してて頭がだんだん霧がかってうまく働かなくなってくる。
「中でイケた?」
横に首を振ると。
「自力じゃまだ中イキできないのか。悠はおもちゃとか使わないの?」
「も、持ってなくて」
「今度一緒買いに行く?」
「っ……うん、でも、今日は」
恥ずかしい。こんな自分を認められない。俺はゲイじゃなかったはずだし。
「悠?」
なのに、名前を呼ばれただけで心臓が跳ねる。エロい気持ち以上に。好きで、好きで、ぐちゃぐちゃになる。
「い、家、行くから、抱いてほしい……♡」
「じゃあこれ悠が家来るまで出さないで待ってたほうがいいかな」
「ぁっ……う、うん♡ま、待ってて♡」
通話を切らないままウーバーでタクシーを呼んで、雑に部屋着を身に着ける。
「蓮、」
「ん?」
「突然無理言ったのにありがと」
「え、何、全然いいよ」
「あのね」
「うん、どうしたの。好きって話?」
「っ……♡うん、そう、好き♡大好き……♡早く、会いたい、」
「ははっ……何それ。かわいーね」
そういう。軽薄そうなところが。俺が自分から会いに行くって全部計算できてそうなところが。安いかわいいが。全部、全部好き。
「本当、堕ちるのが上手でかわいーね」
全身、隅々まで、蓮で堕として、おかしくして欲しい。
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