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番外編 2
僕と君の恋患い 俺の主は怒ると怖い。
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護衛騎士になった俺の主は、前も言ったと思うけど優秀だ。でも、基本的ににこにこしていて、穏やかな性格をしている。仕事は出来るし、最近は薬師としても優秀な一面を覗かせているが、虫は嫌いだし、魔獣の解体は出来ないという臆病な一面もある。多少、俺に対しては言動が辛辣なところはあるが、十人が十人、温和だとか温厚だとか柔和だとかそういう言葉で表すだろう人だ。
マヒロさんが何かやらかした時とかロビンが危ないことをした時に怒るくらいで大抵のことは受け流して、笑っている。寧ろ、マヒロさんのほうが圧倒的に短気でリックがそれに手を焼いていた。あの人は無表情をぴくりとも変化させずに怒るから怖い。そして、更に本気で怒ると呼吸と言葉を容易く忘れさせてしまうようなそれはそれは美しい笑みを浮かべるので心臓に悪い。
だがしかし、俺はどうやら護衛騎士として主のことをまだまだ分かっていなかったのだ。
「それでは今から取り調べをさせていただきますね」
いつも仕事をこなすデスクに肘をついて手を組んで、イチロは無邪気に笑っている。そんなイチロの後ろに控えた俺は、やっぱりこっちもいつもの位置に居るマヒロさんの後ろに立っている相棒に目で助けを求めたが、相棒は頑なに俺を見ない。マヒロさんは、自分のデスクでこんな時でも息子に贈るベストの刺繍に余念がない。
イチロのデスクの前、木製のありふれた椅子の上には男が一人座っていた。いかつい顔に筋骨隆々で背が高いが、右頬が酷く腫れあがっている。後ろ手に縛られて背もたれに体が椅子から生えた蔓で拘束されている。
今朝、イチロがどこからともなく連行してきた男だ。先に行っててと言われたので、俺は素直に先に出勤した。割とよくあることなので俺は何の疑いも持たずに出勤し、マヒロさんの執務室でリックとともに書類仕事を片付けていた。そうしたら一時間ほど遅れて一路がこの男をロボに咥えさせて出勤してきたのだ。そのロボは、男の隣に大人しくお座りをしている。でかい。
「マヒロくん、記録を宜しくね」
男をどこからともなく取り出した椅子に座らせて蔓で固定しながらイチロは言った。マヒロさんは、書類から顔を上げてイチロを見て、次に男を見た後、分かったとだけ頷いた。リックがマヒロさんに言われて、慌てて調書を作成するための支度にとりかかり、俺もそれを手伝った。
そして話は冒頭に至る訳だ。マヒロさんは咥え煙草で刺繍をしている。正直、神父服を着ていないのでとても神父には見えない。
「いいですか、この空間に置いて、貴方は僕の質問に答える義務があります。沈黙は認めますが、沈黙、或は黙秘するなら貴方の寿命は確実に短くなりますのでその点はご了承くださいね」
待って、俺も取り調べなんて何十回、何百回ってやってきたからその文言を口にした回数は同じだけあるけど、容疑者の寿命を宣告した覚えはこれっぽっちもないんだけど。
男は、青白い顔で頷いた。目が右へ左へと忙しなく泳いでいる。こいつは一体、何をやらかしたんだろう。
「それではまずは、貴方のお名前と年齢を教えてください」
いつも通りにこにこして物腰も穏やかにイチロが問う。頬を腫らした男は、おずおずとその口を開いた。マヒロさんは、ひょいと指を振った。彼のデスクの上にあった万年筆がぴょんと立ち上がり、リックが用意した記録用紙の上をさらさらと動き出した。
「ガ、ガルト。二十五歳」
ガルトという名らしい男は、口の中が切れているのか痛そうに喋り出した。
「はい。ガルトさんですね、お住まいとお仕事を教えてください」
「黄の3地区西通りのアパートメント、508号室だ。仕事は大工、だ」
カリカリと万年筆が文字を綴る音とぷすぷすとマヒロさんが刺繍をする音が部屋に落ちる。
イチロは、男のギルドカードと男の言葉を照らし合わせながら頷いた。俺も覗き見たけど、男は嘘は言っていない。職人ギルドで発行されたカードにはそのように記載があった。ただ師匠の欄に名前が無いことから組に所属しない、日雇いの大工なのだろう。
「では、ガルトさん。今から約、一年ほど前、青の地区、青葉通りにて当時十五歳の少女を路地裏に連れ込み、暴言を吐いて暴力を振るいましたね?」
「……」
ガルトは沈黙した。
答えたくないことには沈黙を貫くことが国の法で認められている。とはいえ、こっちは吐かせるのが仕事なので取り調べは何時間にも及ぶ場合がある。
「もう一度、お聞きしますね。はいかいいえで答えるだけでもいいですよ。ガルトさん、あなたは今から約一年程前の音の月の十七日、青葉通りにて当時十五歳の少女を路地裏に連れ込み、暴言を吐き、暴力を振るい、彼女に全治二週間の怪我を負わせ、一か月ほど地下牢で過ごしたあと、六か月間の懲罰労働を課せられましたね?」
ガルトは唇を固く引き結んだまま押し黙った。
ロボが少し動いて、男の顔を覗き込んだ。男はごくりと生唾を飲み込み、体を強張らせる。
「おや、困りましたねぇ。だんまりですか……でも、こちらにはきちんと記録があるんですよ?」
イチロはデスクの引き出しから一冊の記録書を取り出した。表紙には「青葉通り少女暴行事件」と書かれていた。イチロはそれをひらひらと揺らして見せる。
「では、質問を変えましょうか。あなたは六か月間の服役を終えて、勾留期間を含めれば七か月ぶりにこの町へ戻って来ました。そして、もともとのお仕事であった大工に再び戻り、仕事をこなしていたけれど、どうしても彼女への想いが忘れられなかったあなたは、再び彼女に会いに行った。でも彼女の家は取り壊されていて、彼女の姿はない。それでもあなたは探すのをやめずに仕事の傍ら探し続けて、漸く、見つけたんです。冒険者ギルドの受付で微笑むその女性――ティナを」
イチロがにこりと笑った瞬間、背筋にぞくぞくっと悪寒が走り抜けていった。
そして、それと同時に俺は、イチロが何でこいつを連れて来たのか分かった。一週間ほど前、イチロは恋人のティナと痴話喧嘩を収束させたのだが、その時にティナから一年ほど前に男に乱暴されたことを聞いたらしく、俺に事件資料の場所を聞いて来た。そして、イチロは何かの理由をつけてこの男をーーティナに暴力を振るった男を連れて来たのだ。
「でも、ティナの傍には大きな番犬がいてとてもじゃないが近寄れなかった。それに……ティナの隣には見知らぬ男が居て、仲睦まじげに手を繋いだり、腕を組んだし、とにもかくにもイチャイチャしている。それとなく情報を収集したらなんと、その男は彼女の恋人だった。怒り狂ったあなたはティナを自分のもとに取り戻そうとしたけれど、その隙が彼女にはなかった。……ねえ、僕の従魔はとても優秀だったでしょう?」
イチロがふふっと笑って小首を傾げた。
俺は必死に愛馬のことを考えて恐怖を紛らわせていた。明日はハリエット事務官に乗馬を教える約束をしているんだ、ハリエット事務官はとても楽しみですと言っていたので、ここで死んだらハリエット事務官がしょんぼりして、ハリエット事務官過激派過保護騎士カロリーナ小隊長に殺される。俺は何が何でも生き延びねばならない。せめて、せめて明日までは何が何でも生き延びないと、どのみちカロリーナ小隊長に殺されるけども!
「……が、おまえが俺のティナを誑かしやがったんだ!!」
男が叫んだ。ぶちり、とロープが引きちぎれる音がした。俺は咄嗟に剣を抜くが、それは片手を上げたイチロに制される。イチロは動じた様子も無くにこにこしたままで、徐に立ち上がると男の下へ歩いて行き、椅子に座る男を見下ろした。
「ティナは最初に俺が見つけたんだ!! お前なんかよりもずっと前にな!! ティナは俺のものなんだ!! 返せ!! この詐欺師野郎が!!」
男が唾をまき散らしながら叫んだ。ふーふーと野生の魔獣むたいに鼻を膨らませて興奮に荒くなった呼吸を繰り返す。
イチロは、動じた様子もなくクスクスと可笑しそうに笑って、勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「可愛いですよ、ティナはとーっても。僕の為に毎日、毎日、一生懸命尽くしてくれますし、彼女が作ってくれるお菓子なんて美味しいのなんの! それに夜は毎晩、一緒に眠るんですよ。僕の腕の中にいる彼女は本当に可愛いいんです。僕の腕の中で、それはそれは綺麗な花を咲かせてくれるんですよ」
「ティナは、ティナは、俺のものだ!! お前なんかぶっ殺して奪い返してやる!! ははっ、安心しろよ、俺のものにしてぐちゃぐちゃに壊して、一から教育し直すからよ!!」
怒りと嫉妬によって悪魔みたいな顔になった男が自分の体に巻き付いていた蔓を引きちぎって立ち上がり、あろうことかイチロに殴りかかった。俺は迷わず剣を抜こうとしたがいつのまにか俺の剣は鍔と鞘を覆うように凍り付いていて、剣が抜けなかった。
ガンッと鈍い音がして、イチロの体がよろめいた。瞬間、ロボが牙を剥き出しにして男を前足で殴りつけてふっとばし、男はドアに強かに背中を受け付けた。
地を這うような唸り声が響いて、ロボが男に向かって鋭い牙の生えた口を大きく開けた。
「ひっ、ひぃぃぃ!」
男が変な方に曲がった腕を押さえながら、後ずさろうとしているが男の後ろはドアだ。逃げ場は無い。
「ロボ、食べちゃダメだよ。お腹壊すからね」
イチロが唇の血を拭いながらロボに声を掛ければ、ロボは口を閉じてイチロの隣に戻った。イチロがよしよしとロボの顔を撫でた。
「イチロ、大じよ、?!」
俺はイチロの下に駆け寄ろうとしたが、どういう訳かリックに口を塞がれて、そのままマヒロさんの背後に連行された。マヒロさんはやっぱり無表情のまんま刺繍をしている。
「ここにいたほうが、明日の約束は果たせると思うぞ。……リック、そこの灰色の糸と白っぽい灰色の糸をとってくれ」
そう言ってマヒロさんは、淡々と刺繍を進める。リックが言われた通りデスクの上にあった籠の中から二つの糸を取り出してマヒロさんに渡した。マヒロさんはそれを今使っている糸の色と照らし合わせる。美しい草の文様が上品な青の布に白や灰色の糸で描かれている。こんな騒ぎの中でも見事な出来だ。寧ろ、この騒ぎの中でよく刺繍なんてしてられますね。流石マヒロさん!
「……正直、僕はどうだっていいんですよ。あなたの人生も人権も心底どうだっていいんで、取り調べをして裏付け捜査をして、証拠を揃えて、裁定人による判決を、なんてまどろっこしいことに時間を裂きたくはないんですよ」
パキパキと氷の凍る音がして顔を向ける。それはイチロの足元から瞬く間に部屋を覆い尽くしていく。ただマヒロさんが魔力を広げた範囲だけは氷は避けていく。
「む、ここはこっちの糸の方が良いか? どう思う、リック、エディ」
「そ、それよりあの、止めた方が……っ!」
俺はマヒロさんに向かって言った。俺には今のイチロは止められる気がしない。それに冗談抜きに寒い。有隣族が居たら冬眠するレベルで寒い、だって吐く息が白いんだよ、ここ室内なのに。
マヒロさんは、別の針に違う色の色を通しながらイチロを振り返る。
「この国はパトリア教会のクソ神父を優遇する傾向にあるだろう? 愚鈍な王が作った法にな、神父、ないし、見習い神父、或は神父に準ずるものへの暴行に関する法があってな。結論だけ言うと神父を殴ると問答無用で有罪なんだ」
「あ、だからリヨンズに殴られた時、ナルキーサス殿に治癒記録を書いてもらったんですね、マヒロさん」
リックがぽんと手を打った。相棒の神経が太くなっているような気がする。マヒロさんは、うんとも否とも言わずに肩を竦めた。
「これであなたは十年程は確実に楽しく鉱山生活ですよ、おめでとうございます、ガルトさん」
イチロがぱちぱちと拍手を送り、男はガタガタと顎でも取れそうな程に震えている。
「でも安心してください。他の余罪も押さえてありますから。たった一週間でここまで揃えるのは大変だったんですよ? 僕、こう見えて案外、忙しい身なので。でも僕の大事な大事なティナに手を出したんですからそのツケはきちんと払って頂かないといけませんもんね?」
ここからでは後姿しか見えないので分からないが、今凄くイチロが怖い顔をしているような気がした。いや、気がしたじゃない。している。だって男が恐怖で気絶して、ロボが尻尾を丸めている。ふさふさのしっぽがひゅんとなってる。
「僕はね、心が狭いんですよ。だから、ティナが僕以外の男のことで悩んだり、不安になったり、怯えたりするのは許せないんです」
「ぁ……あ……ぁぁ……っ」
イチロが男の元に歩み寄りその顔を覗き込んだ。男の顔は真っ白になって、酷い怯えがその顔に広がっていた。
「僕はまだ見習い神父なので、あなたの罪を赦せないんです。ごめんなさい」
こてんと小首を傾げたイチロに遂に恐怖が限界を突破したのか男は引き連れたような声をあげて気絶した。
あらまあ、と笑ったイチロは、ひょいと指を振って気絶した男を立たせると蔓でぐるぐる巻きにして縛り上げる。そして、ロボに咥えさせる。
「マヒロくん、ちょうだい」
振り返ったイチロはいつものイチロで、部屋を覆っていた氷も解けるように消えていく。
マヒロさんは、これまでずっと文字を綴っていた万年筆を手に取ると最後に自分の名前を署名した。ちらっと読んだが、それはイチロの取り調べのことなんか一つも書いていない。書かれているのは、神父を殴ったという事実と故に神父への暴行罪を適用させるという旨の言葉だった。
つまりマヒロさんは、最初からこうなることを知っていたのだ。
マヒロさんから受け取ったそれにさっと目を通したイチロは「じゃあ、治癒記録貰いに行ってくるねー」と軽やかに男を咥えたロボを連れて部屋を出て行った。バタン、とドアが閉まって俺は脱力する。
「……イチロさんて、怒ると怖いんですね」
リックがしみじみと言った言葉に俺は思わず頷いた。
「あれは可愛い顔してヴェルデウルフを従える男だからな。それにこの一週間、俺が貸した魔導具であの男を監視していたからな、色んな余罪が集まった上、ティナへ危害を加えようとしているのが分かって連れて来たんだろう」
マヒロさんは黙々と手を動かしながら小さく笑った気配がした。
「それに言っただろう? 一路は基本的には温厚な男だ。だが、面倒になると一番手っ取り早い方法を選ぶ、と」
俺の脳裏に貧民街へ調査へ行く指揮を執っていたイチロに喧嘩を売って呆気無くふっとばされて、今はイチロの愛犬みたいな冒険者の姿が過ぎった。そういえばあの時もイチロは、間違いなく一番手っ取り早い方法をとっていた。今回のイチロは、自分を殴らせることであの男を細々とした手続きをせず、最も早く、そして、長い間、鉱山での強制労働を伴う牢に放り込む方法を選んだだけなのだ。
リックが紅茶でも淹れますね、と告げて仕度をするためにマヒロさんから離れていく。俺も「イチロは絶対に怒らせないでおこう」と胸に刻みながら自分のデスクに戻ろうとするが、ぽつりとマヒロさんが零した言葉に足を止める。
「でもあれは優しいなぁ」
マヒロさんが刺繍を上に掲げて、自分から離して刺繍全体の様子を見ている。
「もし、雪乃に同じことをされたら俺は、その場でそれを消して、そもそも存在していなかったことにするがな」
淡々とどこまでも感情の窺えない声で紡がれたからこそ、それが異様に恐ろしく思えて俺は全力で紅茶の仕度をするリックの背中につっこんだ。
「っだっ! エディ、何するんだ!」
「無理無理無理、怖いものは怖い! 無理! 怖い!」
ぎゃあぎゃあ喚く俺をリックが引き剥がそうとしてくるが、俺は意地で離れない。だって怖いもん。何それ、存在そのものを消すって、なにそれ。怖いんですけど。あ、胃が痛くなってきた。団長の気持ちが今ならすごくよく分かるかも知れない。
俺はもう絶対にイチロとマヒロさんの逆鱗には触れないように生きて行こう、と強く心に刻み込んだのだった。
終
ちなみにこの二時間後に戻って来た一路くんは「むしゃくしゃしたから、お昼はティナちゃんと食べてくるねー♪」と楽しそうに出かけて行きました。
マヒロさんが何かやらかした時とかロビンが危ないことをした時に怒るくらいで大抵のことは受け流して、笑っている。寧ろ、マヒロさんのほうが圧倒的に短気でリックがそれに手を焼いていた。あの人は無表情をぴくりとも変化させずに怒るから怖い。そして、更に本気で怒ると呼吸と言葉を容易く忘れさせてしまうようなそれはそれは美しい笑みを浮かべるので心臓に悪い。
だがしかし、俺はどうやら護衛騎士として主のことをまだまだ分かっていなかったのだ。
「それでは今から取り調べをさせていただきますね」
いつも仕事をこなすデスクに肘をついて手を組んで、イチロは無邪気に笑っている。そんなイチロの後ろに控えた俺は、やっぱりこっちもいつもの位置に居るマヒロさんの後ろに立っている相棒に目で助けを求めたが、相棒は頑なに俺を見ない。マヒロさんは、自分のデスクでこんな時でも息子に贈るベストの刺繍に余念がない。
イチロのデスクの前、木製のありふれた椅子の上には男が一人座っていた。いかつい顔に筋骨隆々で背が高いが、右頬が酷く腫れあがっている。後ろ手に縛られて背もたれに体が椅子から生えた蔓で拘束されている。
今朝、イチロがどこからともなく連行してきた男だ。先に行っててと言われたので、俺は素直に先に出勤した。割とよくあることなので俺は何の疑いも持たずに出勤し、マヒロさんの執務室でリックとともに書類仕事を片付けていた。そうしたら一時間ほど遅れて一路がこの男をロボに咥えさせて出勤してきたのだ。そのロボは、男の隣に大人しくお座りをしている。でかい。
「マヒロくん、記録を宜しくね」
男をどこからともなく取り出した椅子に座らせて蔓で固定しながらイチロは言った。マヒロさんは、書類から顔を上げてイチロを見て、次に男を見た後、分かったとだけ頷いた。リックがマヒロさんに言われて、慌てて調書を作成するための支度にとりかかり、俺もそれを手伝った。
そして話は冒頭に至る訳だ。マヒロさんは咥え煙草で刺繍をしている。正直、神父服を着ていないのでとても神父には見えない。
「いいですか、この空間に置いて、貴方は僕の質問に答える義務があります。沈黙は認めますが、沈黙、或は黙秘するなら貴方の寿命は確実に短くなりますのでその点はご了承くださいね」
待って、俺も取り調べなんて何十回、何百回ってやってきたからその文言を口にした回数は同じだけあるけど、容疑者の寿命を宣告した覚えはこれっぽっちもないんだけど。
男は、青白い顔で頷いた。目が右へ左へと忙しなく泳いでいる。こいつは一体、何をやらかしたんだろう。
「それではまずは、貴方のお名前と年齢を教えてください」
いつも通りにこにこして物腰も穏やかにイチロが問う。頬を腫らした男は、おずおずとその口を開いた。マヒロさんは、ひょいと指を振った。彼のデスクの上にあった万年筆がぴょんと立ち上がり、リックが用意した記録用紙の上をさらさらと動き出した。
「ガ、ガルト。二十五歳」
ガルトという名らしい男は、口の中が切れているのか痛そうに喋り出した。
「はい。ガルトさんですね、お住まいとお仕事を教えてください」
「黄の3地区西通りのアパートメント、508号室だ。仕事は大工、だ」
カリカリと万年筆が文字を綴る音とぷすぷすとマヒロさんが刺繍をする音が部屋に落ちる。
イチロは、男のギルドカードと男の言葉を照らし合わせながら頷いた。俺も覗き見たけど、男は嘘は言っていない。職人ギルドで発行されたカードにはそのように記載があった。ただ師匠の欄に名前が無いことから組に所属しない、日雇いの大工なのだろう。
「では、ガルトさん。今から約、一年ほど前、青の地区、青葉通りにて当時十五歳の少女を路地裏に連れ込み、暴言を吐いて暴力を振るいましたね?」
「……」
ガルトは沈黙した。
答えたくないことには沈黙を貫くことが国の法で認められている。とはいえ、こっちは吐かせるのが仕事なので取り調べは何時間にも及ぶ場合がある。
「もう一度、お聞きしますね。はいかいいえで答えるだけでもいいですよ。ガルトさん、あなたは今から約一年程前の音の月の十七日、青葉通りにて当時十五歳の少女を路地裏に連れ込み、暴言を吐き、暴力を振るい、彼女に全治二週間の怪我を負わせ、一か月ほど地下牢で過ごしたあと、六か月間の懲罰労働を課せられましたね?」
ガルトは唇を固く引き結んだまま押し黙った。
ロボが少し動いて、男の顔を覗き込んだ。男はごくりと生唾を飲み込み、体を強張らせる。
「おや、困りましたねぇ。だんまりですか……でも、こちらにはきちんと記録があるんですよ?」
イチロはデスクの引き出しから一冊の記録書を取り出した。表紙には「青葉通り少女暴行事件」と書かれていた。イチロはそれをひらひらと揺らして見せる。
「では、質問を変えましょうか。あなたは六か月間の服役を終えて、勾留期間を含めれば七か月ぶりにこの町へ戻って来ました。そして、もともとのお仕事であった大工に再び戻り、仕事をこなしていたけれど、どうしても彼女への想いが忘れられなかったあなたは、再び彼女に会いに行った。でも彼女の家は取り壊されていて、彼女の姿はない。それでもあなたは探すのをやめずに仕事の傍ら探し続けて、漸く、見つけたんです。冒険者ギルドの受付で微笑むその女性――ティナを」
イチロがにこりと笑った瞬間、背筋にぞくぞくっと悪寒が走り抜けていった。
そして、それと同時に俺は、イチロが何でこいつを連れて来たのか分かった。一週間ほど前、イチロは恋人のティナと痴話喧嘩を収束させたのだが、その時にティナから一年ほど前に男に乱暴されたことを聞いたらしく、俺に事件資料の場所を聞いて来た。そして、イチロは何かの理由をつけてこの男をーーティナに暴力を振るった男を連れて来たのだ。
「でも、ティナの傍には大きな番犬がいてとてもじゃないが近寄れなかった。それに……ティナの隣には見知らぬ男が居て、仲睦まじげに手を繋いだり、腕を組んだし、とにもかくにもイチャイチャしている。それとなく情報を収集したらなんと、その男は彼女の恋人だった。怒り狂ったあなたはティナを自分のもとに取り戻そうとしたけれど、その隙が彼女にはなかった。……ねえ、僕の従魔はとても優秀だったでしょう?」
イチロがふふっと笑って小首を傾げた。
俺は必死に愛馬のことを考えて恐怖を紛らわせていた。明日はハリエット事務官に乗馬を教える約束をしているんだ、ハリエット事務官はとても楽しみですと言っていたので、ここで死んだらハリエット事務官がしょんぼりして、ハリエット事務官過激派過保護騎士カロリーナ小隊長に殺される。俺は何が何でも生き延びねばならない。せめて、せめて明日までは何が何でも生き延びないと、どのみちカロリーナ小隊長に殺されるけども!
「……が、おまえが俺のティナを誑かしやがったんだ!!」
男が叫んだ。ぶちり、とロープが引きちぎれる音がした。俺は咄嗟に剣を抜くが、それは片手を上げたイチロに制される。イチロは動じた様子も無くにこにこしたままで、徐に立ち上がると男の下へ歩いて行き、椅子に座る男を見下ろした。
「ティナは最初に俺が見つけたんだ!! お前なんかよりもずっと前にな!! ティナは俺のものなんだ!! 返せ!! この詐欺師野郎が!!」
男が唾をまき散らしながら叫んだ。ふーふーと野生の魔獣むたいに鼻を膨らませて興奮に荒くなった呼吸を繰り返す。
イチロは、動じた様子もなくクスクスと可笑しそうに笑って、勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「可愛いですよ、ティナはとーっても。僕の為に毎日、毎日、一生懸命尽くしてくれますし、彼女が作ってくれるお菓子なんて美味しいのなんの! それに夜は毎晩、一緒に眠るんですよ。僕の腕の中にいる彼女は本当に可愛いいんです。僕の腕の中で、それはそれは綺麗な花を咲かせてくれるんですよ」
「ティナは、ティナは、俺のものだ!! お前なんかぶっ殺して奪い返してやる!! ははっ、安心しろよ、俺のものにしてぐちゃぐちゃに壊して、一から教育し直すからよ!!」
怒りと嫉妬によって悪魔みたいな顔になった男が自分の体に巻き付いていた蔓を引きちぎって立ち上がり、あろうことかイチロに殴りかかった。俺は迷わず剣を抜こうとしたがいつのまにか俺の剣は鍔と鞘を覆うように凍り付いていて、剣が抜けなかった。
ガンッと鈍い音がして、イチロの体がよろめいた。瞬間、ロボが牙を剥き出しにして男を前足で殴りつけてふっとばし、男はドアに強かに背中を受け付けた。
地を這うような唸り声が響いて、ロボが男に向かって鋭い牙の生えた口を大きく開けた。
「ひっ、ひぃぃぃ!」
男が変な方に曲がった腕を押さえながら、後ずさろうとしているが男の後ろはドアだ。逃げ場は無い。
「ロボ、食べちゃダメだよ。お腹壊すからね」
イチロが唇の血を拭いながらロボに声を掛ければ、ロボは口を閉じてイチロの隣に戻った。イチロがよしよしとロボの顔を撫でた。
「イチロ、大じよ、?!」
俺はイチロの下に駆け寄ろうとしたが、どういう訳かリックに口を塞がれて、そのままマヒロさんの背後に連行された。マヒロさんはやっぱり無表情のまんま刺繍をしている。
「ここにいたほうが、明日の約束は果たせると思うぞ。……リック、そこの灰色の糸と白っぽい灰色の糸をとってくれ」
そう言ってマヒロさんは、淡々と刺繍を進める。リックが言われた通りデスクの上にあった籠の中から二つの糸を取り出してマヒロさんに渡した。マヒロさんはそれを今使っている糸の色と照らし合わせる。美しい草の文様が上品な青の布に白や灰色の糸で描かれている。こんな騒ぎの中でも見事な出来だ。寧ろ、この騒ぎの中でよく刺繍なんてしてられますね。流石マヒロさん!
「……正直、僕はどうだっていいんですよ。あなたの人生も人権も心底どうだっていいんで、取り調べをして裏付け捜査をして、証拠を揃えて、裁定人による判決を、なんてまどろっこしいことに時間を裂きたくはないんですよ」
パキパキと氷の凍る音がして顔を向ける。それはイチロの足元から瞬く間に部屋を覆い尽くしていく。ただマヒロさんが魔力を広げた範囲だけは氷は避けていく。
「む、ここはこっちの糸の方が良いか? どう思う、リック、エディ」
「そ、それよりあの、止めた方が……っ!」
俺はマヒロさんに向かって言った。俺には今のイチロは止められる気がしない。それに冗談抜きに寒い。有隣族が居たら冬眠するレベルで寒い、だって吐く息が白いんだよ、ここ室内なのに。
マヒロさんは、別の針に違う色の色を通しながらイチロを振り返る。
「この国はパトリア教会のクソ神父を優遇する傾向にあるだろう? 愚鈍な王が作った法にな、神父、ないし、見習い神父、或は神父に準ずるものへの暴行に関する法があってな。結論だけ言うと神父を殴ると問答無用で有罪なんだ」
「あ、だからリヨンズに殴られた時、ナルキーサス殿に治癒記録を書いてもらったんですね、マヒロさん」
リックがぽんと手を打った。相棒の神経が太くなっているような気がする。マヒロさんは、うんとも否とも言わずに肩を竦めた。
「これであなたは十年程は確実に楽しく鉱山生活ですよ、おめでとうございます、ガルトさん」
イチロがぱちぱちと拍手を送り、男はガタガタと顎でも取れそうな程に震えている。
「でも安心してください。他の余罪も押さえてありますから。たった一週間でここまで揃えるのは大変だったんですよ? 僕、こう見えて案外、忙しい身なので。でも僕の大事な大事なティナに手を出したんですからそのツケはきちんと払って頂かないといけませんもんね?」
ここからでは後姿しか見えないので分からないが、今凄くイチロが怖い顔をしているような気がした。いや、気がしたじゃない。している。だって男が恐怖で気絶して、ロボが尻尾を丸めている。ふさふさのしっぽがひゅんとなってる。
「僕はね、心が狭いんですよ。だから、ティナが僕以外の男のことで悩んだり、不安になったり、怯えたりするのは許せないんです」
「ぁ……あ……ぁぁ……っ」
イチロが男の元に歩み寄りその顔を覗き込んだ。男の顔は真っ白になって、酷い怯えがその顔に広がっていた。
「僕はまだ見習い神父なので、あなたの罪を赦せないんです。ごめんなさい」
こてんと小首を傾げたイチロに遂に恐怖が限界を突破したのか男は引き連れたような声をあげて気絶した。
あらまあ、と笑ったイチロは、ひょいと指を振って気絶した男を立たせると蔓でぐるぐる巻きにして縛り上げる。そして、ロボに咥えさせる。
「マヒロくん、ちょうだい」
振り返ったイチロはいつものイチロで、部屋を覆っていた氷も解けるように消えていく。
マヒロさんは、これまでずっと文字を綴っていた万年筆を手に取ると最後に自分の名前を署名した。ちらっと読んだが、それはイチロの取り調べのことなんか一つも書いていない。書かれているのは、神父を殴ったという事実と故に神父への暴行罪を適用させるという旨の言葉だった。
つまりマヒロさんは、最初からこうなることを知っていたのだ。
マヒロさんから受け取ったそれにさっと目を通したイチロは「じゃあ、治癒記録貰いに行ってくるねー」と軽やかに男を咥えたロボを連れて部屋を出て行った。バタン、とドアが閉まって俺は脱力する。
「……イチロさんて、怒ると怖いんですね」
リックがしみじみと言った言葉に俺は思わず頷いた。
「あれは可愛い顔してヴェルデウルフを従える男だからな。それにこの一週間、俺が貸した魔導具であの男を監視していたからな、色んな余罪が集まった上、ティナへ危害を加えようとしているのが分かって連れて来たんだろう」
マヒロさんは黙々と手を動かしながら小さく笑った気配がした。
「それに言っただろう? 一路は基本的には温厚な男だ。だが、面倒になると一番手っ取り早い方法を選ぶ、と」
俺の脳裏に貧民街へ調査へ行く指揮を執っていたイチロに喧嘩を売って呆気無くふっとばされて、今はイチロの愛犬みたいな冒険者の姿が過ぎった。そういえばあの時もイチロは、間違いなく一番手っ取り早い方法をとっていた。今回のイチロは、自分を殴らせることであの男を細々とした手続きをせず、最も早く、そして、長い間、鉱山での強制労働を伴う牢に放り込む方法を選んだだけなのだ。
リックが紅茶でも淹れますね、と告げて仕度をするためにマヒロさんから離れていく。俺も「イチロは絶対に怒らせないでおこう」と胸に刻みながら自分のデスクに戻ろうとするが、ぽつりとマヒロさんが零した言葉に足を止める。
「でもあれは優しいなぁ」
マヒロさんが刺繍を上に掲げて、自分から離して刺繍全体の様子を見ている。
「もし、雪乃に同じことをされたら俺は、その場でそれを消して、そもそも存在していなかったことにするがな」
淡々とどこまでも感情の窺えない声で紡がれたからこそ、それが異様に恐ろしく思えて俺は全力で紅茶の仕度をするリックの背中につっこんだ。
「っだっ! エディ、何するんだ!」
「無理無理無理、怖いものは怖い! 無理! 怖い!」
ぎゃあぎゃあ喚く俺をリックが引き剥がそうとしてくるが、俺は意地で離れない。だって怖いもん。何それ、存在そのものを消すって、なにそれ。怖いんですけど。あ、胃が痛くなってきた。団長の気持ちが今ならすごくよく分かるかも知れない。
俺はもう絶対にイチロとマヒロさんの逆鱗には触れないように生きて行こう、と強く心に刻み込んだのだった。
終
ちなみにこの二時間後に戻って来た一路くんは「むしゃくしゃしたから、お昼はティナちゃんと食べてくるねー♪」と楽しそうに出かけて行きました。
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転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~
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なるべく1日1話進めていたのですが仕事で不規則な時間になったり投稿も不規則になり週1や月1になるかもしれません。
不定期投稿になりますが宜しくお願いします🙇
感想、ご指摘もありがとうございます。
なるべく修正など対応していきたいと思っていますが皆様の広い心でスルーして頂きたくお願い致します。
読み進めて不快になる場合は履歴削除をして頂けると有り難いです。
お返事は何方様に対しても控えさせて頂きますのでご了承下さいます様、お願い致します。
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目の前に、女神を名乗る女性が立っていた。
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13話目くらいから話が動きますので、気長にお付き合いください!
最初はとっつきにくいかもしれませんが、どうか続きを読んでみてくださいね^^
※お気に入り登録や感想がとても励みになっています。 ありがとうございます!
(なかなかお返事書けなくてごめんなさい)
※小説家になろう様にも投稿しています
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お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
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注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
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