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本編 2
第二十四話 心配する男
しおりを挟む「ママ、大丈夫?」
「雪ちゃん……」
ユキノの横に座るミアが心配そうに告げ、マチとマサキは泣きそうな顔でユキノの顔を覗き込む。
ここはミアの部屋で、そのベッドにユキノが青白い顔でクッションを背に座っている。タマがぴたりとユキノに寄り添って丸くなっていた。
夕方、サヴィラたちと庭を散策していたユキノが突然、意識を失い倒れたのだ。すぐにタマが魔法でユキノを屋敷に運び入れ、見張りをしていた騎士がアルトゥロを呼びに走った。
騎士に担がれたアルトゥロが屋敷にやって来た時には、ユキノの意識は戻っていたが、アルトゥロはすぐに診察をしてくれた。すると何故か彼女の魔力がごっそりとなくなっていたらしい。
「心配かけちゃったわね。でも大丈夫よ……こうして横になっていれば、すぐによくなるわ」
そう言ってユキノは優しく微笑んで、三人の頭を順番に撫でた。
動揺するか、泣くかと思ったミツルは優秀な執事らしく、アルトゥロを補佐し、ユキノを気遣い、双子とミアだけでなくサヴィラにも気を配ってくれ、細やかな仕事ぶりを見せていた。
だが、アルトゥロが診察を終えた今は、双子と同じ泣き出しそうな顔でベッドの傍に立っていた。
「ユキノ、無理をし過ぎたんじゃないか?」
カイトがベッドの足元に腰かけて言った。
「そんなことはなかったのだけれど……急に何かが、多分、魔力でしょうけど体から抜けていってしまったのよ」
ユキノが不思議そうに言った。
「貧血じゃなくてか?」
「私がこれまでの人生で何百回と貧血を起こしているの知っているでしょう? それと間違えることはないわ」
ユキノの言葉にカイトが心配そうに眉を寄せる。アルトゥロも難しい顔をしていてサヴィラは、不安を覚える。母は大丈夫だと言うが、もともとが体の弱い人だ。いきなり魔力を失うなんて変な病気にでもかかってしまったのだろうかと心配になる。
サヴィラは、安心を求めてアイテムボックスからこっそりと手の中に父がくれた彼の魔力がたっぷりと込められた魔石を取り出して握りしめた。
だが、いつもはすぐに手の平に感じる柔らかく温かなぬくもりがなく、つるりとした冷たい石の感触だけがあることに気が付いて、手を開く。
「嘘……! 」
「どうしたの、サヴィ……あ! パパの石が……!」
気が付いたミアが目を丸くする。
ミアもラビちゃんの服のボタンをはずして脱がせ、背中の隠しポケットから石を取り出す。首にかけるとまだ幼いミアは寝ている時や何かの拍子に紐で窒息するかもしれんと心配した父が、ミアが四六時中持っているラビちゃんに石を入れるようにしたのだ。
ミアの小さな手の平に乗る石も空っぽになっていた。
「ジョシュ! ジョン!!」
廊下にいるだろう二人に声を掛ければ、すぐに二人が部屋に飛び込んできた。
「ねえ、二人の魔石を見せて、俺のもミアのも空っぽなんだ」
ジョシュアとジョンは顔を見合わせて、それぞれ魔石を取り出した。
首にかけられた小袋から出て来て、二人の手の平に転がった石は、どちらも空っぽだった。ジョシュアが、自身の剣も取り出したがそちらも空っぽになっていた。
「他のも確認して来る」
言うが早いかジョシュアが部屋を出て行った。
どうしてだろう、とサヴィラは、言い知れぬ怖さに空っぽの魔石を握りしめる。
「それは、なぁに?」
ユキノが問いにサヴィラは顔を上げた。
そういえば、母が来てくれたことにすっかり浮かれて、この石を母に見せたことがなかったのに、今になって気づいた。サヴィラはベッドに近寄り、魔石を見せる。
「これ、父様がお守りにって自分の光の力を付加した魔力を込めてくれてたんだ。この屋敷で暮らす人たちが持ってる。インサニアに襲われたって守ってくれるし、ちょっとの怪我もすぐに治してくれるお守りだったんだ」
「僕にはくれなかったんですよねぇ……実験に使おうとしているのがバレちゃって」
てへへ、とアルトゥロが頬を指で掻いた。なんだかんだ彼も研究に関して見境のない魔導師なのだなぁ、とサヴィラはこんな時に実感するとは思わなかった。
「サヴィ、触ってもいいかしら」
「ママ、ミアのかしてあげる!」
ユキノの申し出にミアが応えて、彼女の手に石がころんと乗せられた。
細い指がそれを摘まみ上げ、頭上に掲げられた。母の銀に紫の混じる眼差しが、ただじっとそれを見つめている。
「ママ?」
「大変だ! どれもこれも空っぽになってる!」
ミアが何も言わない母に首を傾げたのと同時にジョシュアが部屋に戻って来た。
「プリシラやクレアたちのもアマーリア夫人たちのも空っぽになっていた。唯一、リースのが少しだけ……」
そう言って差し出された大きな手の上の魔石は、消えかけてのろうそくのようなゆらめきが微かに残っているだけだった。
いつもの力強い金の光とは正反対の今にも消えそうな光にサヴィラはズボンをぎゅっと握る。それに気付いたジョンが「大丈夫だよ」とサヴィラの手を握ってくれた。
「ジョシュアさん、見せて下さる?」
「あ、ああ」
ジョシュアが、ユキノの手にその魔石を乗せる。
ユキノは、ミアの石をミアに返すとその石を両手で包みこみ、まるで抱き締めるかのように胸元に引き寄せた。
次にユキノが手を開いた時、そこには柔らかな金の光がともっていた。
だが、増えた分の金の光は、もとあった光より少しだけ色が淡い。その淡い金色の光の中心に、父の魔力の光が包まれるようにして揺らいでいた。
「これは十七年連れ添った妻の勘だけれど……あの人、多分、無茶をしたんだわ」
ユキノの言葉にサヴィラたちは首を傾げる。
「それで魔力が足りなくなって、私たちのをかき集めているのよ。私と真尋さんは特に相性がいいから持ってちゃったのかも」
「そ、そんなことあるか?」
「いや、でも……だってマヒロさんですからね……」
目を丸くするジョシュアの横でアルトゥロが神妙な顔をしている。
「じゃあ、一路は!? 俺の可愛い一路はどうなんだ!?」
カイトが焦ったように立ち上がった。
「イチロの力が込められた石は、ティナとウォルフたちしか持ってないよ」
サヴィラが答えると「ティナは、厨房だったな!」と叫んで部屋を出て行ってしまった。
「ユキノ、本当にマヒロが魔石の魔力をかき集めてるのか?」
カイトが出て行ったのを横目にジョシュアが言った。
「ええ。なんとなく、ですけど……まずは大人の魔石から吸収したんだと思うわ。最後にリースくんが残ったのは、まだまだずっと幼いからでしょうね。でも、ほらもう減ることはないから……なんとか持ちこたえたか、足りたんでしょう。困った人ね」
そう言って、ユキノは慈しむように指先で手の上の魔石を撫でた。
「パパ、大きなお仕事終わったのかなぁ」
ミアがユキノにぴたりとくっついて言った。
「かもしれないわねぇ」
ユキノがミアを抱き寄せて、小さな頭にキスを落とした。
ミアは不安そうにユキノの手の中の魔石を見つめている。父の魔力の光は、なんとも心許ない。
「ジョシュアさん、この魔石、私が預かっていてもいいかしら」
「もちろん、よく分からないが……マヒロの一大事ならユキノが持っているほうが良いだろうしな」
そう言ってジョシュアが頷くと、ユキノは「ありがとうございます」と微笑んで、大切そうにその魔石を撫でた。
「さあ、皆さん。ユキノさんに今、一番必要なのはゆっくり休むことです。とりあえず魔力の数値以外に異常はないことですし、部屋を出て下さいね。子どもたちはかまいませんが、騒いじゃいけませんよ」
アルトゥロの言葉に双子とミアが素直に頷いた。
「アルトゥロはどうするんだ? 帰るのか?」
「いえ、ここに残ります。図書室で本でも読んでいますよ。ここに来る前、偶然、報告を兼ねてウィルフレッドの様子を見に行っていたんですが『奥様に何かあると私の命が危ない。帰って来るな、傍に居ろ』と厳命されたので。緊急の呼び出しがない限り、ユキノさんがよくなるまではここにいます」
「じゃあ、図書室にこもる前に飯を食え。丁度、夕食の時間なんだ。お前たちも飯を食って、風呂入って身綺麗にしてから、ユキノの傍にいくんだぞ」
ジョシュアの言葉にミアと双子は、そういえば外で遊んだままの服だったのを思い出したのか、慌ててベッドから降りた。ユキノは「大丈夫よ」と笑っているが、やっぱり清潔が一番だと思う。
「ママ、ミア、すぐにご飯食べて、お風呂入って、帰って来るからね! チィちゃん、サキちゃん、いこ!」
そう言ってミアは、双子の手を取り部屋を出て行く。あらまあ、とユキノは可笑しそうに笑った。顔は青白いままだが元気そうでほっとする。
「ミツル、母様の傍にいてあげて。食事はここに持って来るね。俺もすぐにご飯食べて、チビたちを風呂に入れて来るから。その後で悪いけど交代するよ」
「かしこまりました」
「お願いね。タマもよろしく。行こう、ジョン。母様、絶対に無理しないでね」
そう声をかけてサヴィラは母の「はーい」という返事を背に、彼女の下を後にする。
廊下に出るとシチューの匂いが鼻先を撫でた。廊下の片隅で待っていてくれたらしいテディが「ぐー」と鳴いて隣に並んだ。
「……お兄ちゃん、大丈夫かな」
ジョンがぽつりと呟く。今度は、サヴィラがその手を握り返して不安を押し込め、「大丈夫だよ」と笑ったのだった。
「雪乃様、無理は禁物ですよ」
静かになった部屋、ふっと息を吐いてベッドに横になると、クッションをどかしてくれた充が眉を下げる。
「でも、子どもたちを泣かすのは忍びないわ」
充は「そうかもしれませんが」と眉を下げた。雪乃が微笑むと諦めてくれたのか、小さく笑みを返してくれた。
「雪乃様、何かお召し上がりになりますか?」
「そうね……ホットミルクが飲みたいわ。少しだけ蜂蜜を垂らしたものがいいの。お願いできるかしら」
「かしこまりました。自分の分の食事をもらうついでに用意してまいります。タマ様、なにかありましたらすぐに私を呼びに来てくださいね」
そう告げて充が部屋を出て行く。タマが「きゅい」と律儀に返事をした。
タマと雪乃だけになった部屋で、雪乃は魔石を頭上に掲げる。
雪乃の魔力に包まれた優しい金色の光は強くなることも、弱くなることもなく、ゆらゆらとか細く輝いている。
雪乃は、しばしそれを見つめた後、その石を強く握りしめて胸元に抱き寄せる。
「大丈夫、大丈夫よね…………必ず帰ってきて、真尋さん」
弱弱しい声で囁いた願いに、雪乃は唇を噛みしめる。
強くあろうと思うのに、こんなにも簡単に揺らいでしまう自分の弱さが嫌だった。タマが起き上がり、雪乃の頬に顔を寄せて来る。少し冷たい鱗の感触が心地よくて、指先でその頭を撫でた。
サヴィラは、再び教会に来ていた。
夕食と風呂を終えたあと、ユキノの部屋に行こうとしたのだがミツルが「雪乃様がようやく眠られました」と言っていたので、部屋に行くのはためらわれたのだ。
多分、自分たちが行けば、母は心配をかけまいと起きようとするだろう。
サヴィラと同じことを思ったのだろうミアが「ちょっとだけお祈りしたい」と言い出したので教会に来たのだ。
テディがミアの横に座って、祈るミアを見ている。サヴィラは、いつも通り一番前の長椅子に座ってそれを眺めていた。
さすがに今夜は、ミツルは屋敷に残るそうだ。双子たちがそう望んだのもあるが、何よりミツルがユキノの傍を離れることを断固として拒否したのもある。カイトは「団長さん、可哀想だし、子どもたちと一緒に寝るって約束してるんだ」と夕食を食べた後、孤児院へと帰って行った。ちなみにティナに確認したところ、一路の魔石にはなんの異常もなかったらしい。一体、サヴィラの父は何をしでかしたんだろうか。
「ミア、風邪を引くと母様の傍にはいけないよ。だからもう今夜はおしまい」
いくら寒さに強い獣人族のミアとはいえ、石造りの教会は夜になればぐんと冷える。
ミアは素直に「はーい」と返事をして立ち上がった。てててっと駆け寄って来たミアを抱き上げようとして、ふと何だか嫌な臭いがして手が止まる。ミアがぎゅうとサヴィラにしがみついて来る。
「サヴィ、なにか、しらない人の声と音」
怯えだしたミアを庇いながら、サヴィラは正面の入り口を振り返る。
テディが唸り声を上げて、姿勢を低くする。サヴィラは近くの一つだけ火を灯していた燭台の灯りを消して、ミアをティーンクトゥスの石像の台の影に隠す。アイテムボックスから父の神父服のケープを取り出してミアに被せた。
「テディ、何があってもミアを守れ。俺は自分でなんとかする」
鍵が掛けられているはずの正面の出入り口のドアが開いて、体格からして男が一人、入って来た。男は極力音を立てずに中へ入って来ると辺りを見回し、後ろを振り返る。男が、手招きをしてもう二人を中へと引き入れる。どちらも男のようだ。泥棒だろうかと目を細める。
父がいない今、この時間帯の教会の正面の出入り口は鍵どころかドアそのものが開かないはずなのに、何か予想外のことが起きている。もしかしたら、父が魔力を全て回収したのが関係しているのだろうか。
男たちは、明らかにまともなお客様ではなさそうだった。夜に紛れるにはうってつけの真っ黒な服で、顔もフードを被って口も布で覆っている。
サヴィラは、アイテムボックスの中から普通の伝言用の小鳥を取り出して、魔力を流し込み「教会、侵入者、三名」と伝言を吹き込み、そっと飛ばす。紙のままの姿で小鳥は音もなく飛び立った。
「こっちだ、屋敷側に出入口がもう一つあるはずだ。そこから屋敷に入れるはず」
一番、背の高い男が言った。知り合いの声ではない。
暗闇の中で、向こうはサヴィラにもテディにも気づいていないようだ。
「アマーリアは俺が殺る。お前はレオンハルトを」
聞こえてきた言葉にサヴィラは耳を疑った。泥棒ではなく、暗殺者らしい。
背の高い男が「屋敷のやつらは邪魔なら殺してかまわん」と手短に告げて動き出す。サヴィラは教会の床に手をつき呪文を唱えた。
「ヴァイン・バインド」
「なっ!?」
「下がれ!」
「誰だ!」
蔓は男たちを捕えそこなってしまった。暗闇でももっとちゃんと操れるように、リックが帰って来たら稽古をしてもらおう。
「アイス・アロー!!」
サヴィラは立ち上がって体の前に腕を突き出す。氷の矢が男たちに向かって飛び出して行く。男たちは瞬時に気が付いて、その場を飛びのいた。長椅子や壁に矢が刺さる。怒られるかなと思ったが、空いた穴は、全部、こいつらのせいにしようと決めた。
「ファイア・アロー!」
「ウォーター・シールド! ちょっと教会が燃えたらどうすんだよ! ここは火気厳禁だ!!」
全ての炎の矢を水の盾で吸収する。
「誰だ、貴様……!」
炎の玉で光源を確保した男がこちらを思いきり睨みつけて来る。
「誰って……誰だと思う?」
サヴィラは、ふふんと腕を組み、微笑んで首を傾げた。
サヴィラがすべきなのは、時間稼ぎだ。屋敷には母もいるし、アマーリアやチビたちもたくさんいる。
だが、それに比例してAランクの冒険者であるジョシュアや騎士たちがいるし、ブランカにロビン、強いと評判のミツル、それに、最終兵器のタマもいる。彼らがここへ来てくれるまでの僅かな時間を稼げばいいのだ。
「おい、あの金髪に身なりからして、レオンハルトでは?」
男の内、一番背が低い男が言った。フードが不自然に盛り上がっているから、多分、獣人族なのだろう。
サヴィラは、あれこれ考えながら、時間を稼ぐには「俺がレオンハルト」が一番だと結論を出す。
「そうだ。よく気が付いた。我が名はレオンハルト・ジークフリート・フォン・アルゲンテウス。俺こそが次代のアルゲンテウス辺境伯だぞ、何の用だ」
とはいえレオンハルトは、ミアと同い年の六歳だ。さすがに他の奴が気づくだろうと思ったが、思ったよりこの侵入者は馬鹿だった。
「ははっ、わざわざ殺しにいく手間が省けたぜ。こいつは俺に任せて、お前たちはアマーリアを殺してこい。手柄を立てりゃ、ご主人様が褒賞を下さるぞ!」
ウィルフレッドが、かなり無茶をして辺境伯家の掃除をしているとジョシュアから聞いている。
多分、こいつらが切羽詰まった黒幕が、なんとしてでもアマーリアとレオンハルトを殺そうと送り込んできたに違いないが、手練れは既に騎士団に捕まったか、逃げ出したか、動けないかで、残念なことに向こうにはこの馬鹿どもしかいなかったに違いない。
断じてサヴィラが同年代より小柄だから、六歳児に見えているわけじゃないと信じたい。
「相手はガキだ! さっさとやっちまえよ!
背の高い男がそう言って、もう一人と一緒に屋敷側の出入り口へと向かう。彼らは多分、気づいていない。暗闇に乗じて、身を潜めて移動している我が家の可愛くて格好良くて、ちょっと獰猛なテディに。
相手が三人なら分が悪いと思っていたが、一人ならなんとかなりそうだとサヴィラは全神経を目の前の男に向ける。
男は、ニタニタしながらサヴィラに近づいて来る。腰にぶら下げた剣に手をかけて、ゆっくりと引き抜いた。銀色が鈍く光る。
サヴィラは、アイテムボックスからマヒロが作ってくれた木刀を取り出して構える。
「へへっ、木の棒きれでなにができるってんだ!!」
「ただの棒きれじゃないってことを証明してやるよ!!」
降り下ろされた一撃を木刀を平行にして受け止める。大人の力に対しては、圧倒的に小柄なサヴィラは不利だ。だがこの木刀は、あの父がサヴィラのために作ってくれたものなのだ。
魔力を流せば、それだけで魔法が発動する。
「なっ!」
切り結んだ個所から一気に蔓が伸びて、男の剣を絡めとる。サヴィラが「アイス・ロック!」と呪文を唱えれば、剣はパキパキと音を立てて男の手ごと凍り付いた。
「なぁぁ!?」
サヴィラは、魔力を流すのをやめ自分の木刀だけを外す。男は凍り付いた両手と剣に顔を蒼くして、間抜け面でサヴィラを見ている。サヴィラは軸足に力を籠め、思いっきり男の横っ面を蹴りつけた。
男が教会の長い通路を二回ほどバウンドして転がっていった。
「訂正しとくけど、俺の父親はジークフリート様じゃなくて、神父のマヒロだからな!」
すかさず追いかけて行き、起き上がろうとした男の首裏に思いっきり踵落としを決めた。男は、声も出さずに息を漏らして、泡を吹いて気を失ってしまった。
呪文を唱えて、男を蔓でぐるぐる巻きにして(猿轡も忘れない)、柱に縛り付けておく。念には念を入れて氷漬けにもしておこう。
「頭出しときゃ死なないって父様が言ってたからね」
うんうん、と頷いてサヴィラは急いでミアのもとへ戻る。途中で別の悲鳴が聞こえたが、テディもマヒロに「殺しはだめだ。あと変なものも食べるな」と言われているから多分、食べちゃったりはしないだろう。……多分。
「ミア!」
「サ、サヴィ! ふえぇえ!」
泣きながら抱き着いて来たミアを受けとめて、ぎゅうと抱き締める。
「サヴィ、けがは? だいじょうぶ?」
「あいつは俺に触ってもないから大丈夫だよ。ミアも大丈夫?」
「うん……でも、あっち、大変なの」
鼻を啜りながらミアが指差したのは、テディのほうだ。やっぱり食べちゃったかな、雑食だからなぁと顔を向けてサヴィラは目を丸くする。
「当家の坊ちゃまとお嬢様に手を出すなど、言語道断でございます!!」
「……ぐぅ」
ミツルがサヴィラと同じく二人の男を地の魔法で宙づりにしていたが、どっちも顔面がぼこぼこであった。可哀想にテディがドン引きしている。一体、ミツルは何をしたんだろうと頬を引き攣らせながら、とりあえずサヴィラは教育に悪いのでミアの両目を片手で覆った。
「はっ! 坊ちゃま、お嬢様! ご無事ですか!?」
我に返ったミツルが駆け寄って来る。テディがのしのしと後に着いて来た。
「お怪我は!?」
「ないけど……ミツル、ほっぺに血がついてるよ」
ミアの目を隠したままサヴィラは言った。ミツルは「返り血が!」と言いながらハンカチで頬を拭い、どこからともなく取り出した手鏡で身だしなみを整え、血で汚れていた白手袋を新しいものに変えて体裁を整えた。
サヴィラもミアの目隠しをしていた手を外す。
「失礼いたしました。伝言を受け取って、すぐに駆け付けたのですが」
「うん。おかげで助かったよ。ありがとう」
出入り口のほうが賑やかになり、ジョシュアたちが入って来るのが見えた。
「無事でようございました」
心から安堵を顔に浮かべるミツルに、サヴィラも表情を緩めた。
「でも、屋敷の方は大丈夫? 皆来ちゃって……」
「あちらにはブランカ様とロビン様、何よりタマ様がおいでですから。さあ、怖かったでございましょう。屋敷へ戻りましょう」
サヴィラはそれもそうかと納得する。ブランカを切り抜けたとしてもタマに勝てるやつは早々いないだろう。そもそもブランカどころかロビンに勝てる奴もいないと思うけど。
「じゃあ、ミツル、ミアをお願い。俺はジョシュアたちに説明しなきゃいけないし」
サヴィラはミアを抱き上げてミツルに渡す。ミアは少し離れがたそうにしたが、素直にミツルの腕の中に納まった。
「かしこまりました。ではミアお嬢様、雪乃様の下に参りましょうか」
「うん、ひっく、ママのとこ、いくっ」
涙を零しながら頷いたミアに「全速力でいきますよ!」とミツルが走り出した。元気な執事だな、とその背を見送る。
「ぐー?」
「テディもミアのとこにいてあげて」
「ぐー」
首を傾げたテディの頭を撫でれば、テディはこくりと頷いてミツルを追いかけて行った。
サヴィラは、その背に続いて、宙づりになった男たちを見上げるジョシュアたちの下へ行く。
「……あーあー、イチロが怒るぞ」
ジョシュアが長椅子の上に転がっていたドアを拾い上げながらぼやいていた。どうやらミツルは、ドアをぶち破って来たらしい。さすがあの(正面の鉄門を蹴り破った)父の執事だな、と変に感心してしまう。
だが、ジョシュアの他に何でかレイがいた。
「ジョシュア」
「ああ、サヴィラ、大丈夫か?」
「うん、大丈夫。ところで何でレイもいるの?」
昼にこちらにいることはあるが、ユキノが来てからは独身男性であるレイは、孤児院にいる時間帯だ。
「定期報告に来たら、庭をあの執事野郎がすげぇ勢いで走ってったから見に来たら、これだ」
「俺もレイを迎えに外へ出ていたから気づいてな。でもなんだこいつら。泥棒か?」
ジョシュアが男たちを顎でしゃくる。
「アマーリア様とレオンを暗殺に来たらしいよ」
しれっとサヴィラが告げた言葉にジョシュアとレイが顔を見合わせ、その言葉を脳が読み込んだのか、勢いよくサヴィラを振り返った。
「あ、暗殺!?」
「何で分かんだ?」
「こいつらが自分たちでそう言ってたから。なんか屋敷に侵入を試みたけどだめだったみたいで、こっちに来たら入れたらしいよ。多分、馬鹿なんだろうね。全部、喋ってたよ」
サヴィラはその時の状況と男たちの言葉を掻い摘んで説明する。
ジョシュアとレイは、ぶら下がる二人と柱に括り付けられた男を順繰りに「信じられない」という顔で見ていた。サヴィラだって、こんな馬鹿な暗殺者がいるんだと信じられない気持ちでいっぱいだ。父が教えてくれた隠し通路や非常時の連絡手段も必要にならないくらい、そもそもただの子どもであるサヴィラに倒される暗殺者なんて、いるとは考えもしなかった。
「そりゃ、サヴィラは確かに小柄だが……どうやったって六歳には見えんだろ」
サヴィラの「俺がレオンハルト作戦」を聞いたジョシュアが呆れたように言った。
「良かった。あまりにこいつらがすんなり俺をレオンだって信じるから、自信を無くすところだったんだ」
「だが、どうして入れたんだ? 神父があれこれ魔法を掛けていったんだろ?」
「うん。修繕に来てる職人たちもギルドカードをドアノブにかざさないと正面は出入りできないようになってたんだ。しかも父様が認証した人だけだから、父様が留守にして以降は新しく登録はされていない。でもそれも夕方までで、日没後は父様とイチロ以外は正面のドアは開けられない仕組みになってたはず」
「あいつの魔力がなくなったとかいう現象に関係あんのか?」
「さあ……あ! クロードに聞いてみれば? クロードは父様と一緒に色々しているみたいだし、それかアルトゥロ先生。術式紋とか見てもらえばいいんだよ」
サヴィラの提案にジョシュアが「それもそうだな」と頷く。
「レイ、クロードを呼んで来てくれ。ついでにその辺の騎士にウィルフレッドを迎えに行くように言ってくれ。小鳥は出しておくから」
「ったく、人使いの荒い……」
レイはぶつくさ文句を言いながらも教会を出て行く。素直じゃないな、とサヴィラは笑ってしまう。ジョシュアが「笑うと拗ねるぞ」と言ったが、彼も笑っていた。
「サヴィラは悪いがアルトゥロを呼んで来てくれるか。俺がこいつらを見張っておくから」
そう言いながら、ジョシュアが小鳥型の紙を取り出す。彼が魔力を込めると、茶色のその辺にいる小鳥の姿になって、ジョシュアの指にとまった。
「分かった。行って来る」
ウィルフレッドへの伝言を吹き込むジョシュアを横目にサヴィラは、与えられた使命を果たすべく、屋敷へと駆け出したのだった。
報告を受け、駆け付けたウィルフレッドは柱に括り付けられた上、氷漬けにされて今にも死にそうな男を見上げる。
「これをテディが?」
「いや、こっちはサヴィラ」
ジョシュアが屋敷側の出入り口を指差して言った。そっちをみれば確かに男が二人、ぶらぶらと宙づりになっている。遠目でよく分からないが、なんだか顔の形がボコボコしている気がした。Aランク以上の魔獣がうじゃうじゃしている家によく侵入しようとしたものだといっそ感心してしまう。
「へえ……サヴィラが。優秀な子だとは聞いているが……すごいな」
ナルキーサスが熱心に勧誘している三属性持ちとは聞いていたが、まだ十三歳で副属性をどちらも見事に使いこなしているのは称賛に値する。もともとの本人の素質もあるだろうが、彼の教師であるマヒロやリックの教え方も上手いのだろう。
「キースが魔導院に勧誘して、マヒロが自慢するのも頷ける。将来、うちで騎士にでもなってくれないかな。剣術も良い線いっているんだろう?」
「マヒロが手塩にかけて育ててるからな。それよりこれに見覚えは?」
「先ほどから考えてはいるんだが…………ないな、こちらが目を付けていた組織の人間でもなさそうだ」
「そうか。あっちは顔がボコボコで、人相がそもそも分からんが、サヴィラの話を聞く限り、手練れとは言い難い」
「焦っているんだろう。もうほとんど片付いて、あとは黒幕の家に踏み込むだけだからな」
「……なんだ、そこまで片が付いているのか?」
ジョシュアが驚きをあらわに眉を上げる。
「ああ。兄上が熱心でな」
正確には兄上に扮した護衛騎士のオーランドなのだが、いっそ兄上が居ない憂さを晴らすかのような勢いでオーランドは相棒のホレスとともに辺境伯家の大掃除に取り組んでいる。彼らはジークフリートもだが、アルゲンテウス辺境伯家も大事にしてくれているのだ。
「おや、ウィルくん。来たんですね」
アルトゥロの声に振り返る。彼の隣には、クロードもいた。
「どうだった?」
ジョシュアが問う。
「かなり複雑で興味深い術式紋が施されていましたが、一部に損傷が見られました」
「おそらく、ですが……職人の誰かが足場を外す時にうっかりやってしまったのだと思います。術式紋は繊細で、それにマヒロさんの描くそれは、かなり緻密なんです。もともと術式紋は微妙な歪みや間違いも許されないものですからより修復の難易度は高いですがね」
アルトゥロの言葉にクロードが説明を付け足す。
「直せないのか?」
「無理ですね。元々の術式紋が分かりませんから……マヒロさん、自分の頭の中にあるからと基本、紙に残さないので。その上、紙に残っているやつも説明が全部見たこともない異国の言葉で書かれているので……。術式紋は、描く順番やそこに込める術式や属性魔法も大事なので。とくにマヒロさんは、古代のものも含んだ複雑な術式を多く使いますから、基本、あの人以外には修復は不可能ですね」
うんうん、とアルトゥロが頷いた。
アマーリアを託すにあたって便利だなと思っていた屋敷や教会の防衛技術だったが、とんでもない叡智の結晶だったらしいとウィルフレッドは感心する。今度、辺境伯家の城館も見てもらえないだろうか。
「それより、そこの人、いい加減降ろさないと凍死しちゃいますよ」
アルトゥロが治癒術師らしいことを言いながら、男を指差す。
「ああ。そうか。ジョシュア、降ろして馬車に入れといてくれ。護送用の馬車を表に用意してある。おい、お前たちはジョシュアを手伝うように」
ウィルフレッドは入り口に控えていた部下たちに声をかけ「屋敷に邪魔する」とジョシュアに断りを入れて、教会の中を横切り、屋敷へと向かう。
だが、外へ出て庭を歩いていると屋敷からテディに乗ったサヴィラがこちらにやって来た。
「サヴィラ、どうかしたのか?」
「団長さんが来たって、騎士が教えてくれたから。はい、これ。俺なりに、俺が見聞きしたものをまとめておいたよ」
そう言ってサヴィラが紙の束を差し出す。さっと目を通せば、いつどこで、なにがあって、何をどうしたと事細かに書かれている。その辺の騎士より、報告書の書き方が上手い。
「……すごいな、サヴィラ。魔法も見事だったし、すぐにでも騎士になれるぞ」
「ふふっ、ありがと」
サヴィラは照れくさそうに笑って肩を竦めた。こういうところは年相応で可愛いと思うが、この可愛い女の子みたいな美少年があの氷漬けオブジェを作ったんだよなぁと何とも言えない気持ちになる。血なんて繋がっていないはずなのに、あのマヒロと親子なのだとまざまざと実感する。
「そうだ……ユキノ夫人は大丈夫か? 倒れたって聞いて肝が冷えたし、胃も痛い」
「うん。まだ青白い顔してるけど……団長さんは聞いた? 父様の魔石のこと」
「ああ。アルトゥロが鳥を飛ばしてくれてな。私と兄上の分を確認したが、どちらも空っぽだった」
「そっか……母様がね、父様が無茶をしたんだろうって。だから足りなくなった魔力を回収したんじゃないかって言ってたよ」
苦笑交じりにサヴィラが言った。
「そんなことあるわけないって普通なら言えるんだが……相手があのマヒロだからなぁ」
ウィルフレッドは苦笑交じりに顎を撫でる。
だが、返事がなくて、不思議に思って横を見ればサヴィラはじっと、彼の乗るテディの頭を見つめていた。
「……やっぱり、ティリアたちの母親が教えてくれた通りのドラゴンでもいたのかな。さすがの父様だってバーサーカー化したドラゴン相手なら苦戦、するかな」
少しだけ表情を陰らせてサヴィラが言った。
あまりに遠い場所であるが故に定期報告はかなりの時間差がある。今日起きた出来事がこちらに速達便で知らされるのは、早くても三日後だ。
エルフ族の里を襲う危機が何であるかは、ウィルフレッドには分からない。定期報告でも現地に着かなければ分からないと断言されていた。精霊樹に託されたあの枝から出てきたドラゴンがどういう意味なのか、それはマヒロたちにしか分からないのだ。
「大丈夫。あのマヒロだぞ? 一刻も早い俺の帰宅を目標に掲げて、頑張ってくれているはずさ」
「うん……そうだね」
ウィルフレッドの言葉にサヴィラは顔を上げて、笑ってくれた。だが、なんとも下手くそな笑みにウィルフレッドは、胸が痛む。
「すまないな……私たちの事情で君たちの父上を借りている上、君を危険な目に遭わせてしまった」
「俺は平気。ミアも無事だったし、テディもいたし。それにあいつらより墓地で会ったアンデットのほうが怖いし、手ごわかったよ。俺、火の属性持ちだけど、他の二つと違ってあんまり得意じゃないからさ」
今はもうまるで貴族のご令息にしか見えないサヴィラだが、ほんの数か月前まで彼は襤褸を着て、あの死の臭いが色濃い墓地で、家族を養うために命懸けで働いていたのだ。家族の為とは言え、上級魔物であるアンデットが沸く墓地で働くと決意した彼の覚悟は、大人にだってそう簡単に真似できるものじゃない。
「もうすぐ、辺境伯家のあれこれも片が付く、いや、片付けてみせる。だからもうしばらく、私たちの大事なものをよろしく頼むぞ、サヴィラ」
「優先順位はミアと母様の次だけどね」
そう言ってサヴィラは、茶目っ気たっぷりに笑った。
ウィルフレッドは、きっと自分よりもずっと強い少年につられて小さく笑みを零した。
「屋敷へ送ろう。寒いのは苦手だろう?」
「まあ、ちょっとね。団長さん、忙しいでしょ? 俺は自分で帰れるから」
「大丈夫。ダフネとアイリスに用があるんだ。警備のことで直接伝えたいことがある」
屋敷へと歩き出せば、テディが「ぐー」と鳴いて方向転換した。のしのしと進むキラーベアの隣を歩く。あまりに大人しい上、飼い主の方が破天荒なので忘れそうになるが、この子、Aランクの魔獣なんだよな、と時々思い出す。
「そういえばサヴィラが相手にした奴以外の残りの二人はテディがボコボコにしたのか? テディは地の魔法が使えるんだったよな」
「報告書にも書いたけど、ボコボコにしたのも、つるしたのもミツルだよ」
え、と声を漏らし、ウィルフレッドは手に持ったままだったサヴィラの報告書に急いで目を通す。
すると本当に、ミツルがやったと書かれていた。ウィルフレッドの脳裏に、泣くミアにつられて、わんわん泣いていた青年の姿が浮かぶ。
あの人相が変わるほどのことを、あの執事がと驚きを隠せない。
「ミツル……昨日、庭でレイと勝負して互角だったよ。カロリーナ小隊長が大興奮してた」
「……ミツルは、Aランクの冒険者だったか?」
「ただの執事だよ。……自称だけど」
「……うぐぅ、胃が……っ、胃がぁ……つ」
「…………ダフネたちのとこに行く前に、厨房に行こ。俺がココアをいれてあげる。ココアは心と体に優しいってクレアが言ってたから」
ぽんぽんと肩を撫でてくれるサヴィラと憐れみの視線を送ってくれる優しいテディに慰められながら、ウィルフレッドは屋敷へと入るのだった。
ーーーーーーーーー
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