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番外編
水無月家の執事
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!注意!
・本編読了後の閲覧をおすすめします!
・このお話は、真尋と一路が異世界にやってくる前、日本でのお話です!
本編第二十三話「片付けられない男」にて一路がプリシラに真尋の不眠の話をする中で「雪ちゃんの家のメイドさんが真尋くんちを手伝うようになって、真尋くんが自分でどっからか人を見つけてきたのもあって、平和は取り戻せました」という会話の中の「どっかから真尋が見つけて来た人」である水無月家の執事、園田充(そのだみつる)さん視点という特殊なお話です。本編に園田は一度も登場していないのに、園田視点です。
・主人公が終始、イチャイチャラブラブしているので、糖度は高めです。ただのバカップルです。
・そのほか、真尋と一路の兄弟が出てきます。
・あと、園田は真尋信者です。
以上を踏まえて、楽しんで頂ければ幸いです。
「お兄ちゃーん!」
「笹が来たよ!」
幼くも賑やかな声が水無月家の広いリビングに響き渡りました。
初めまして、私は水無月家の執事・園田充(そのだみつる)でございます。本日は七夕ですので我が主のおじい様が所有する山から切り出してきた笹を担いで水無月家の庭に笹を立てる仕度をしております。
私は、今から五年ほど前に水無月家の長男・真尋様に喫茶店で出逢い、なんやかんやあって真尋に忠誠を誓い、水無月家で執事をさせて頂いております。性別は男、二十三歳、独身、天秤座のO型で身長は、一八五センチ、体重は七十二キロ、靴のサイズは二十八.五センチです。趣味は真尋様と時代劇鑑賞です。
「あ、みっちゃん、お疲れ様~」
「一路様、いらっしゃいませ」
聞こえてきた声に振り返れば、淡い茶色の髪に琥珀色の瞳の可愛らしい少年がこちらにやって来ます。少年は、鈴木一路様、水無月家のお隣さんで真尋様の幼馴染であり親友でございます。
「僕も手伝いますよ」
「いえ、これは執事である私の仕事でございますから、お気持ちだけ受け取らせてくださいませ」
すっと軍手を嵌めた手を前に出して、手伝おうとしてくださる一路様を止めます。一路様は、私が一度言い出すと聞かないのを知っておられるのですぐに引き下がってくれました。本当にお優しい方です。
そして私は、手早く水無月家のリビング前に広がる庭に笹を立てます。一階の屋根を優に超える大きな笹が、風に揺れてさらさらと心地よい音がします。
「充さん、おかえりなさい。遠いところ大変でしたでしょう?」
芝生を踏む音が聞こえてきて、顔を上げれば美しい女性がやってきます。
「お仕事熱心なのも宜しいですけれど、水分補給はしっかりなさってくださいね。今日も暑いですから」
「ありがとうございます」
私は、雪乃様が差し出してくれた麦茶を受け取り、喉を潤します。
彼女は、雪乃様。先月、真尋様との入籍を済ませました、真尋様の奥様であり私のもう一人の主でございます。小柄で色白で、艶やかな長い黒髪を横で三つ編みになさる今日も清楚でございます。垂れ目がちの黒い大きな瞳は吸い込まれそうな程澄んで居て、目元の黒子が色っぽい方で御座います。
雪乃様は、体の弱い方ですが、最近は調子もよろしいようで今日の顔色も良いです。真尋様には、少しでも雪乃様に異変有れば休ませることと真尋様に報せるようにと命令されていますので、私も日々、気を付けております。
「立派な笹ですねぇ。ちぃちゃんと咲ちゃんが一生懸命、飾りを作っていましたから」
「そうだねぇ、一週間前から一所懸命作ってたもんね」
雪乃様が笹を見上げる横で一路様が、くすくすと笑います。
ちぃちゃんとさきちゃんというのは、真尋様の弟でございます。今年、十歳になられた双子さんで、真智と真咲といいます。真尋様によく似た愛らしい御顔立ちで紛う事無き当家の天使でございます。
噂をすればお二人が玄関からこちらへとやってきます。真智様は大きな箱を抱えていて、跳ねるように走っておられますので時折、折角、折り紙で作られた飾りを落としてしまわれていますが、そこは後から真咲様がきちんと拾いながらやってきます。
「あ、一くん!」
「こんにちはー!」
「はいはい、こんにちは。ほら、転ばない様にね」
一路様が声を掛ければ、はーいと良い返事だけが帰って参りました。
「みーくん、大きな笹、ありがとー!」
「いっぱい飾れるのって約束した通りだね!」
嬉しそうな笑顔に夜も明けきらぬ内に家を出て深い山奥から切り出してきた甲斐があるというものです。
私が用意しておいた脚立に登って、お二人は早速飾りつけを始めました。一路様が、下で脚立を押さえながら見守ります。私は、笹を採りに行くために軽装でしたので、一度、自室に引っ込みまして戦闘服、いえ、執事服に着替えねばなりません。
「ああ、園田。戻ったのか、御苦労」
「真尋様!! 園田、ただいま戻りました!」
リビングからサンダルを履いて我が主がこちらにやって来て、雪乃様の隣に並びました。
真尋様は、たいへん素晴らしいお方です。私は、真尋様以上に素晴らしい方を存じ上げません。天才的な頭脳に神がかった運動神経をお持ちで、世が世ならどこかの藩の藩主であったか、いっそ天下を統一されていたに違い無い素晴らしいお方です。私の貧弱な語彙力では真尋様の魅力を詳らかにお伝えできないのが悔しい限りです。それに美の女神に愛されたかのような美しい容姿は何度見ても神様ではないかと私は疑ってしまうのです。以前、このことを一路様に相談申し上げましたら「……ああ、うん。そりゃあ頭の病気だね」と何とも言えぬ表情で言われてしまいました。一応、病院に行ったのですが異常なしと言われました。
「ちぃ、僕も登りたい!」
「飾りを五個ずつ飾ったらって約束だろ!」
「こら、喧嘩をするな。ほら、咲、おいで」
脚立の順番で揉め始めてしまった弟たちに真尋様が声を掛けて、真咲様をひょいと肩車します。真尋様も背が高くていらっしゃるので、真咲様は嬉しそうに真尋様の頭に抱き着きます。
「うわあ! 凄い高い! ありがとう、お兄ちゃん!」
「あ! 咲ばっかりずるい! みーくん、僕も!」
「ですが、私、山に入ったままの格好で……」
「どうせこの後、バーベキューをするんだ。構わん」
真尋様が私の格好を見てそう言って下さったので、私も真智様を肩車させて頂きました。真尋様と私は背があまり変わりませんので、双子さんは喧嘩することなく楽しそうに飾りつけをします。一路様も空いた脚立に登って、手伝って下さいました。折り紙で作られた七夕の飾りは、どれもこれも綺麗です。真尋様も手先が器用でいらっしゃいまるが、双子さんも十歳児とは思えぬ器用さをお持ちです。
笹越しに見たリビングの奥のキッチンでは、雪乃様が雪乃様の家から手伝いに来て下さった家政婦さんと夕食の支度をして下さっています。
「海斗は来るのか?」
「サークルの飲み会をキャンセルしてくるって言ってたよ。無理しなくていいって言ったんだけど、コバエより天使と一緒に天の川を見たいって」
一路様が呆れたように笑います。真尋様は、やれやれと言った様子で首を竦めました。
海斗様は、一路様の一つ年上のお兄様です。一路様とは違い背が高く、一路様のおじい様の母国であるイギリスの血が濃いのか金髪碧眼という日本人要素のあまりない容姿をお持ちです。
「雅也君たちも来るって言ってたね」
「ああ。花火を買って来ると言っていたぞ」
「花火するの!?」
「やった!」
双子さんが嬉しそうに声を上げます。落とす気は毛頭ないですが、それでも手放しで喜ばれると少々、心臓に悪いです。
ちなみに雅也様は、真尋様と一路様の御学友で生徒会の仲間でもあります。雅也君たち、と一路様がおっしゃられていたので生徒会の皆様もバーベキューに参加なさるのでしょう。これは張り切って肉を焼かせて頂かなければなりません。
残念ながら、水無月家のご両親はお仕事で海外に出張中ですので不参加ですが、双子さんも同じ小学校の親友を二人、ご招待されていますので、本日は大勢のお客様が水無月家にいらっしゃる予定です。双子さんのご友人は、明日は学校がお休みなのでお泊りも予定しておられますのでお二人とも昨夜からテンションが天井知らずです。
飾り付けが終わりましたら、私はバーベキューの準備に取り掛かります。大丈夫だと申し上げたのですが、優しい真尋様がバーベキューセットやガーデンテーブルセット、外灯の設置などを一路様と共にお手伝いくださいました。
全ての準備を終えて、一先ず、休憩を挟みます。雪乃様が用意して下さった冷たい麦茶を飲みながら、笹を見上げます。さらさらと風に揺れる笹は色とりどりの折り紙で作られた飾りに彩られてとても綺麗です。勿論、願い事を書いた短冊も風に揺れています。光栄なことに双子さんは私にも短冊を用意してくださいましたので、僭越ながら願い事を書かせて頂きました。
私と一路様、双子さんでテーブルを囲みます。
「綺麗だねぇ。ちぃと咲は上手に飾りを作ったね」
「お兄ちゃんに教えて貰ったから!」
「とーぜんなんだよ、一くん!」
小さな胸を張って答える二人に場は和やかな空気に包まれます。私たちのテーブルの近くに置いた二人掛けのベンチに並んで座る真尋様と雪乃様は、まるで父と母のような優しい眼差しで双子さんを見つめていらっしゃいます。あまりに慈愛に満ち溢れる眼差しが、まるで神様のようで私は拝みたくなる気持ちをぐっと堪えます。
「二人は、短冊になんて書いたの?」
一路様が首を傾げて尋ねます。
先に答えたのは、真智様でした。
「サッカーがもっと上手になりますようにって書いたよ!」
「そうかそうか、なら、今度、この海斗お兄様が直々に教えてやろう」
「あ、海斗くん!」
「よっ」
金髪の背の高い青年が、何時の間にやらいらっしゃって真智様を抱き上げて膝に乗せ、椅子に座りました。先ほどお話した、一路様のお兄様である海斗様です。私は、立ち上がろうとした雪乃様を制して、海斗様に麦茶をご用意させて頂きました。海斗様は、律儀にお礼を言って麦茶を飲みます。
「海斗くん、サッカー教えてくれるの!?」
「おう。今度の休みで良ければな」
「絶対だよ! 約束ね!」
真智様は嬉しそうに海斗様を見上げて言いました。海斗様は、プロも夢では無いと言われる程サッカーがお上手ですので真智様にとっては最高のコーチです。
「で、咲は何て書いたんだ?」
「僕は、もっと上手に英語が喋れるようになりますようにって書いたの」
少し照れくさそうに真咲様が教えてくれました。
活発的な真智様とは正反対に真咲様は大人しい方です。
「僕と海斗兄ちゃんのイギリス英語で良ければ、幾らでも教えてあげるよ」
「何言ってんだ一路、アメリカ英語よりも、俺達の英語の方が品が有って素晴らしいに決まってるじゃないか」
海斗様が鼻で笑います。私も真尋様と出会う前は、教材がアメリカ英語でしたので、そちら寄りだったのですが、真尋様に出逢ってからは発音や単語の使い方などはイギリス英語寄りに直しました。
「何なら家の中の会話を英語に限定してもいいぞ」
真尋様は、五歳の頃、帰国したばかりで英語しか喋れなかった一路様と出会って英語をマスターしたとかで英語は不自由なく喋れますので、そう提案したのでしょう。真咲様が答えるより早く、少々、英語の苦手な真智様が難色を示されましたが。それでも曜日限定で英語の日が設けられることになったので真咲様は嬉しそうにしておられます。
「一くんと海斗くんは、何て書いたの?」
「僕は、桜蘭庵の限定デラックス和パフェが食べられますようにって」
「俺は、仙凜軒の限定激辛坦々麺が食べられますようにって」
兄弟というのは、変な所が似るんものですねぇ、と私はしみじみとした気持ちになりました。一路様は見ている方が胸やけを起こす様な甘党で海斗様は見ている方が胃がキリキリするような辛いもの好きです。
「お兄ちゃんはなんて書いたの?」
真咲様が真尋様を振り返ります。
「俺は、今年も雪乃と共に幸せであれますように、だ」
「あら、私も同じことを書いたんですよ。今年も真尋さんと幸せに過ごせますように、って」
雪乃様が嬉しそうに顔を綻ばせました。すると鉄壁の無表情を誇る真尋様の表情が、ふわりと和らいで、人目もはばからず雪乃様の額にキスをします。
「まあもともと雪乃が居る時点で叶っているがな。俺は、君さえ居てくれれば幸せだからな」
「私もよ、真尋さん。私たちったら似た者夫婦ね」
ちゅっと雪乃様も真尋様の頬にキスを返して、お二人はとても幸せそうにしていらっしゃいます。私は、主夫婦が心底幸せでその喜びと感動に涙が出そうですが、一路様と海斗様は「胸やけがする」「よそでやれ」とやけに乾ききった顔をしていらっしゃいます。双子さんは、産まれた時から二人がああなので、仲良しだねーと可愛らしく笑っておられます。
「今日は晴れてるから、彦星と織姫も会えるね」
「もうすぐ会えるってそわそわしてるかもね」
双子さんが空を見上げて言いました。まだ薄明るい空に星は見えませんが、その発想が実に天使です。
「でも、大好きなのに一年に一度しか会えないなんて、可哀想だね」
「僕なら、泣いちゃうなぁ」
流石に此処で、星の寿命や星にとっての時間を加味すれば、あいつらは三秒に一回は会っていると身も蓋もないことを言う人は居ません。そういうことは大人になればおのずと知ることになるのですから。
「でも、イチャイチャするあまりお仕事をさぼっちゃだめだよね」
「うん。お兄ちゃんも雪ちゃんもイチャイチャはしてるけど、お仕事はちゃんとしてるもんね」
双子さんが頷き合います。あまりに可愛らしかったので、頬が緩んでしまいました。海斗様に至っては、デレデレです。
ちなみに二人の言うお仕事とは、学校や家事のことだと思われます。
「でもさ、もし真尋くんと雪ちゃんが彦星と織姫の立場になっちゃったらどうするの?」
一路様が麦茶のグラスを片手に二人を振り返ります。
「天帝を倒すか泳いで川を渡る」
「体力的に私は動かない方が一番かな、と思うので、真尋さんの着替えを機織りで作った布で用意しておきます。あ、勿論、お腹を空かせた真尋さんの為にご飯も用意しておきますからね」
雪乃様がふふっと笑い、真尋様は、それならやる気が出るな、と雪乃様の肩を抱き寄せます。
「真尋くんなら倒せそうだし、泳いで渡れそうだから何も言えない」
「安心しろ。俺の収入源である牛も調教して、一緒に川を渡らせ対岸でも牛飼いの仕事を続ける。雪乃だけに苦労はさせんからな」
「真尋なら牛で軍隊作れそうだから何も言えない」
一路様と海斗様が何故か遠くを見つめていらっしゃいます。
「ですが、僭越ながらこの園田、真尋様と雪乃様を引き剥がすならば天帝とあれども刀の錆にする所存でございます」
良く言った、と真尋様が褒めて下さいました。園田充、天にも昇る気持ちで御座います。
「ふむ、やはり天帝を倒した方が早いか。寧ろ、天帝を倒して新居を構えた方がいいか? その牛が乳牛か肉牛か知らんがブランド牛として売り出して一財産を築いた方が建設的だな」
「なら私がお料理の監修をするから直営レストランを開くのもいいと思うわ。それでお店では、私の織った布で小物を作って売ったりもするの」
「この彦星と織姫はそもそも引き離されそうにないんだけど」
一路様が苦笑交じりに言って、空を仰ぎました。青かった空が段々と暗くなっています。私は立ち上がり、設置した外灯の電源を入れて行きます。そろそろお客様も見える時間になりますので、皆、それぞれ動き始めました。
「園田」
「はい、真尋様」
雪乃様の腰に腕を回して笹を見上げる真尋様に呼ばれて、即座に駆け寄ります。
「お前は、短冊に何て書いたんだ?」
「そういえば、まだ聞いていませんでしたね」
私は、笹を見上げます。私の短冊は上の方に飾ってあります。肩車をした真智様に飾って頂いたものです。
「私の願い事は、皆さまが幸せでありますように、と。皆さまが、特に真尋様が幸せであれば私は幸せですので、真尋様と同じく既に願いは叶っております」
ふふっと笑った私に真尋様は呆れたようにため息を零され、雪乃様はくすくすと可笑しそうに笑っていらっしゃいます。
「なら、お前の願いが叶うように雪乃をもっと幸せにしないとな、責任重大だ」
「もう、真尋さんたら。なら私だって貴方を幸せにしなきゃいけないわ。責任重大ね私達」
再びイチャイチャし始めたお二人に私は、幸せな気持ちになります。
生憎と私の両親は、私が知る限り喧嘩ばかりでお互い、他所に愛人を作っているような人々でした。私が幼い頃に不仲のまま離婚し、今はどこに居るとも知れません。だからこそ、余計に真尋様と雪乃様が幸せそうにお互いを想っておられる姿に私は憧れと安心を抱くのかもしれません。
「真尋くん、雪ちゃん、生徒会の皆も来たし、ちぃと咲のお友達も来たからイチャイチャしてないで、手伝ってー!」
「分かった。すぐに行く」
「あらあら、私もお料理の仕上げをしなくちゃ。真尋さんは台所に入っちゃだめよ。ここで充さんとお庭の仕度をしていてね」
「そうか……肉なら切れるから、ブロック肉を切る時は呼べよ?」
「分かっています。包丁さばきだけは信頼していますもの。充さん、真尋さんをお願いね」
雪乃様は、私にそう告げられると背伸びをして真尋様の頬にキスをしてから家の方に戻られます。真尋様は、その背に「無理はするなよ」と声を掛けていらっしゃいました。
「園田」
放り投げられたタオルを受け取り、真尋様を真似て頭に巻きます。
「俺は、虫除けと花火の準備をしておくから、お前は炭の仕度を頼んだぞ」
「はい、真尋様! この園田にお任せくださいませ!」
どんと胸を叩けば、真尋様は「水分補給はしっかりな」と此方を気遣うお言葉を残して作業に取り掛かられました。
水無月家のリビングの大きな窓からは眩しい灯りが零れて、お客様の分も加わって更に楽しそうな声が聞こえてきます。直にその賑やかさはこの広いお庭へもやって来るでしょう。
皆様の笑顔が、今宵、夜空に輝く星と同じだけ、いいえ、それ以上に輝く様に私も精一杯の準備と最高のおもてなしを致しましょう。
私は、水無月家の執事なのですから。
――――――――――
ここまで読んで下さってありがとうございました!
折角の七夕だったので、日本時代?の真尋を水無月家の執事・園田視点で短いですが書いてみました。三時間クオリティなので可笑しい所は目を瞑ってやってください。
真尋と雪乃がイチャイチャラブラブしているのを書くのがとても楽しかったです。真尋の事を神様だと思っている園田を書くのも楽しかったです。
今後とも「称号は神を土下座させた男。」をよろしくお願い致します。
・本編読了後の閲覧をおすすめします!
・このお話は、真尋と一路が異世界にやってくる前、日本でのお話です!
本編第二十三話「片付けられない男」にて一路がプリシラに真尋の不眠の話をする中で「雪ちゃんの家のメイドさんが真尋くんちを手伝うようになって、真尋くんが自分でどっからか人を見つけてきたのもあって、平和は取り戻せました」という会話の中の「どっかから真尋が見つけて来た人」である水無月家の執事、園田充(そのだみつる)さん視点という特殊なお話です。本編に園田は一度も登場していないのに、園田視点です。
・主人公が終始、イチャイチャラブラブしているので、糖度は高めです。ただのバカップルです。
・そのほか、真尋と一路の兄弟が出てきます。
・あと、園田は真尋信者です。
以上を踏まえて、楽しんで頂ければ幸いです。
「お兄ちゃーん!」
「笹が来たよ!」
幼くも賑やかな声が水無月家の広いリビングに響き渡りました。
初めまして、私は水無月家の執事・園田充(そのだみつる)でございます。本日は七夕ですので我が主のおじい様が所有する山から切り出してきた笹を担いで水無月家の庭に笹を立てる仕度をしております。
私は、今から五年ほど前に水無月家の長男・真尋様に喫茶店で出逢い、なんやかんやあって真尋に忠誠を誓い、水無月家で執事をさせて頂いております。性別は男、二十三歳、独身、天秤座のO型で身長は、一八五センチ、体重は七十二キロ、靴のサイズは二十八.五センチです。趣味は真尋様と時代劇鑑賞です。
「あ、みっちゃん、お疲れ様~」
「一路様、いらっしゃいませ」
聞こえてきた声に振り返れば、淡い茶色の髪に琥珀色の瞳の可愛らしい少年がこちらにやって来ます。少年は、鈴木一路様、水無月家のお隣さんで真尋様の幼馴染であり親友でございます。
「僕も手伝いますよ」
「いえ、これは執事である私の仕事でございますから、お気持ちだけ受け取らせてくださいませ」
すっと軍手を嵌めた手を前に出して、手伝おうとしてくださる一路様を止めます。一路様は、私が一度言い出すと聞かないのを知っておられるのですぐに引き下がってくれました。本当にお優しい方です。
そして私は、手早く水無月家のリビング前に広がる庭に笹を立てます。一階の屋根を優に超える大きな笹が、風に揺れてさらさらと心地よい音がします。
「充さん、おかえりなさい。遠いところ大変でしたでしょう?」
芝生を踏む音が聞こえてきて、顔を上げれば美しい女性がやってきます。
「お仕事熱心なのも宜しいですけれど、水分補給はしっかりなさってくださいね。今日も暑いですから」
「ありがとうございます」
私は、雪乃様が差し出してくれた麦茶を受け取り、喉を潤します。
彼女は、雪乃様。先月、真尋様との入籍を済ませました、真尋様の奥様であり私のもう一人の主でございます。小柄で色白で、艶やかな長い黒髪を横で三つ編みになさる今日も清楚でございます。垂れ目がちの黒い大きな瞳は吸い込まれそうな程澄んで居て、目元の黒子が色っぽい方で御座います。
雪乃様は、体の弱い方ですが、最近は調子もよろしいようで今日の顔色も良いです。真尋様には、少しでも雪乃様に異変有れば休ませることと真尋様に報せるようにと命令されていますので、私も日々、気を付けております。
「立派な笹ですねぇ。ちぃちゃんと咲ちゃんが一生懸命、飾りを作っていましたから」
「そうだねぇ、一週間前から一所懸命作ってたもんね」
雪乃様が笹を見上げる横で一路様が、くすくすと笑います。
ちぃちゃんとさきちゃんというのは、真尋様の弟でございます。今年、十歳になられた双子さんで、真智と真咲といいます。真尋様によく似た愛らしい御顔立ちで紛う事無き当家の天使でございます。
噂をすればお二人が玄関からこちらへとやってきます。真智様は大きな箱を抱えていて、跳ねるように走っておられますので時折、折角、折り紙で作られた飾りを落としてしまわれていますが、そこは後から真咲様がきちんと拾いながらやってきます。
「あ、一くん!」
「こんにちはー!」
「はいはい、こんにちは。ほら、転ばない様にね」
一路様が声を掛ければ、はーいと良い返事だけが帰って参りました。
「みーくん、大きな笹、ありがとー!」
「いっぱい飾れるのって約束した通りだね!」
嬉しそうな笑顔に夜も明けきらぬ内に家を出て深い山奥から切り出してきた甲斐があるというものです。
私が用意しておいた脚立に登って、お二人は早速飾りつけを始めました。一路様が、下で脚立を押さえながら見守ります。私は、笹を採りに行くために軽装でしたので、一度、自室に引っ込みまして戦闘服、いえ、執事服に着替えねばなりません。
「ああ、園田。戻ったのか、御苦労」
「真尋様!! 園田、ただいま戻りました!」
リビングからサンダルを履いて我が主がこちらにやって来て、雪乃様の隣に並びました。
真尋様は、たいへん素晴らしいお方です。私は、真尋様以上に素晴らしい方を存じ上げません。天才的な頭脳に神がかった運動神経をお持ちで、世が世ならどこかの藩の藩主であったか、いっそ天下を統一されていたに違い無い素晴らしいお方です。私の貧弱な語彙力では真尋様の魅力を詳らかにお伝えできないのが悔しい限りです。それに美の女神に愛されたかのような美しい容姿は何度見ても神様ではないかと私は疑ってしまうのです。以前、このことを一路様に相談申し上げましたら「……ああ、うん。そりゃあ頭の病気だね」と何とも言えぬ表情で言われてしまいました。一応、病院に行ったのですが異常なしと言われました。
「ちぃ、僕も登りたい!」
「飾りを五個ずつ飾ったらって約束だろ!」
「こら、喧嘩をするな。ほら、咲、おいで」
脚立の順番で揉め始めてしまった弟たちに真尋様が声を掛けて、真咲様をひょいと肩車します。真尋様も背が高くていらっしゃるので、真咲様は嬉しそうに真尋様の頭に抱き着きます。
「うわあ! 凄い高い! ありがとう、お兄ちゃん!」
「あ! 咲ばっかりずるい! みーくん、僕も!」
「ですが、私、山に入ったままの格好で……」
「どうせこの後、バーベキューをするんだ。構わん」
真尋様が私の格好を見てそう言って下さったので、私も真智様を肩車させて頂きました。真尋様と私は背があまり変わりませんので、双子さんは喧嘩することなく楽しそうに飾りつけをします。一路様も空いた脚立に登って、手伝って下さいました。折り紙で作られた七夕の飾りは、どれもこれも綺麗です。真尋様も手先が器用でいらっしゃいまるが、双子さんも十歳児とは思えぬ器用さをお持ちです。
笹越しに見たリビングの奥のキッチンでは、雪乃様が雪乃様の家から手伝いに来て下さった家政婦さんと夕食の支度をして下さっています。
「海斗は来るのか?」
「サークルの飲み会をキャンセルしてくるって言ってたよ。無理しなくていいって言ったんだけど、コバエより天使と一緒に天の川を見たいって」
一路様が呆れたように笑います。真尋様は、やれやれと言った様子で首を竦めました。
海斗様は、一路様の一つ年上のお兄様です。一路様とは違い背が高く、一路様のおじい様の母国であるイギリスの血が濃いのか金髪碧眼という日本人要素のあまりない容姿をお持ちです。
「雅也君たちも来るって言ってたね」
「ああ。花火を買って来ると言っていたぞ」
「花火するの!?」
「やった!」
双子さんが嬉しそうに声を上げます。落とす気は毛頭ないですが、それでも手放しで喜ばれると少々、心臓に悪いです。
ちなみに雅也様は、真尋様と一路様の御学友で生徒会の仲間でもあります。雅也君たち、と一路様がおっしゃられていたので生徒会の皆様もバーベキューに参加なさるのでしょう。これは張り切って肉を焼かせて頂かなければなりません。
残念ながら、水無月家のご両親はお仕事で海外に出張中ですので不参加ですが、双子さんも同じ小学校の親友を二人、ご招待されていますので、本日は大勢のお客様が水無月家にいらっしゃる予定です。双子さんのご友人は、明日は学校がお休みなのでお泊りも予定しておられますのでお二人とも昨夜からテンションが天井知らずです。
飾り付けが終わりましたら、私はバーベキューの準備に取り掛かります。大丈夫だと申し上げたのですが、優しい真尋様がバーベキューセットやガーデンテーブルセット、外灯の設置などを一路様と共にお手伝いくださいました。
全ての準備を終えて、一先ず、休憩を挟みます。雪乃様が用意して下さった冷たい麦茶を飲みながら、笹を見上げます。さらさらと風に揺れる笹は色とりどりの折り紙で作られた飾りに彩られてとても綺麗です。勿論、願い事を書いた短冊も風に揺れています。光栄なことに双子さんは私にも短冊を用意してくださいましたので、僭越ながら願い事を書かせて頂きました。
私と一路様、双子さんでテーブルを囲みます。
「綺麗だねぇ。ちぃと咲は上手に飾りを作ったね」
「お兄ちゃんに教えて貰ったから!」
「とーぜんなんだよ、一くん!」
小さな胸を張って答える二人に場は和やかな空気に包まれます。私たちのテーブルの近くに置いた二人掛けのベンチに並んで座る真尋様と雪乃様は、まるで父と母のような優しい眼差しで双子さんを見つめていらっしゃいます。あまりに慈愛に満ち溢れる眼差しが、まるで神様のようで私は拝みたくなる気持ちをぐっと堪えます。
「二人は、短冊になんて書いたの?」
一路様が首を傾げて尋ねます。
先に答えたのは、真智様でした。
「サッカーがもっと上手になりますようにって書いたよ!」
「そうかそうか、なら、今度、この海斗お兄様が直々に教えてやろう」
「あ、海斗くん!」
「よっ」
金髪の背の高い青年が、何時の間にやらいらっしゃって真智様を抱き上げて膝に乗せ、椅子に座りました。先ほどお話した、一路様のお兄様である海斗様です。私は、立ち上がろうとした雪乃様を制して、海斗様に麦茶をご用意させて頂きました。海斗様は、律儀にお礼を言って麦茶を飲みます。
「海斗くん、サッカー教えてくれるの!?」
「おう。今度の休みで良ければな」
「絶対だよ! 約束ね!」
真智様は嬉しそうに海斗様を見上げて言いました。海斗様は、プロも夢では無いと言われる程サッカーがお上手ですので真智様にとっては最高のコーチです。
「で、咲は何て書いたんだ?」
「僕は、もっと上手に英語が喋れるようになりますようにって書いたの」
少し照れくさそうに真咲様が教えてくれました。
活発的な真智様とは正反対に真咲様は大人しい方です。
「僕と海斗兄ちゃんのイギリス英語で良ければ、幾らでも教えてあげるよ」
「何言ってんだ一路、アメリカ英語よりも、俺達の英語の方が品が有って素晴らしいに決まってるじゃないか」
海斗様が鼻で笑います。私も真尋様と出会う前は、教材がアメリカ英語でしたので、そちら寄りだったのですが、真尋様に出逢ってからは発音や単語の使い方などはイギリス英語寄りに直しました。
「何なら家の中の会話を英語に限定してもいいぞ」
真尋様は、五歳の頃、帰国したばかりで英語しか喋れなかった一路様と出会って英語をマスターしたとかで英語は不自由なく喋れますので、そう提案したのでしょう。真咲様が答えるより早く、少々、英語の苦手な真智様が難色を示されましたが。それでも曜日限定で英語の日が設けられることになったので真咲様は嬉しそうにしておられます。
「一くんと海斗くんは、何て書いたの?」
「僕は、桜蘭庵の限定デラックス和パフェが食べられますようにって」
「俺は、仙凜軒の限定激辛坦々麺が食べられますようにって」
兄弟というのは、変な所が似るんものですねぇ、と私はしみじみとした気持ちになりました。一路様は見ている方が胸やけを起こす様な甘党で海斗様は見ている方が胃がキリキリするような辛いもの好きです。
「お兄ちゃんはなんて書いたの?」
真咲様が真尋様を振り返ります。
「俺は、今年も雪乃と共に幸せであれますように、だ」
「あら、私も同じことを書いたんですよ。今年も真尋さんと幸せに過ごせますように、って」
雪乃様が嬉しそうに顔を綻ばせました。すると鉄壁の無表情を誇る真尋様の表情が、ふわりと和らいで、人目もはばからず雪乃様の額にキスをします。
「まあもともと雪乃が居る時点で叶っているがな。俺は、君さえ居てくれれば幸せだからな」
「私もよ、真尋さん。私たちったら似た者夫婦ね」
ちゅっと雪乃様も真尋様の頬にキスを返して、お二人はとても幸せそうにしていらっしゃいます。私は、主夫婦が心底幸せでその喜びと感動に涙が出そうですが、一路様と海斗様は「胸やけがする」「よそでやれ」とやけに乾ききった顔をしていらっしゃいます。双子さんは、産まれた時から二人がああなので、仲良しだねーと可愛らしく笑っておられます。
「今日は晴れてるから、彦星と織姫も会えるね」
「もうすぐ会えるってそわそわしてるかもね」
双子さんが空を見上げて言いました。まだ薄明るい空に星は見えませんが、その発想が実に天使です。
「でも、大好きなのに一年に一度しか会えないなんて、可哀想だね」
「僕なら、泣いちゃうなぁ」
流石に此処で、星の寿命や星にとっての時間を加味すれば、あいつらは三秒に一回は会っていると身も蓋もないことを言う人は居ません。そういうことは大人になればおのずと知ることになるのですから。
「でも、イチャイチャするあまりお仕事をさぼっちゃだめだよね」
「うん。お兄ちゃんも雪ちゃんもイチャイチャはしてるけど、お仕事はちゃんとしてるもんね」
双子さんが頷き合います。あまりに可愛らしかったので、頬が緩んでしまいました。海斗様に至っては、デレデレです。
ちなみに二人の言うお仕事とは、学校や家事のことだと思われます。
「でもさ、もし真尋くんと雪ちゃんが彦星と織姫の立場になっちゃったらどうするの?」
一路様が麦茶のグラスを片手に二人を振り返ります。
「天帝を倒すか泳いで川を渡る」
「体力的に私は動かない方が一番かな、と思うので、真尋さんの着替えを機織りで作った布で用意しておきます。あ、勿論、お腹を空かせた真尋さんの為にご飯も用意しておきますからね」
雪乃様がふふっと笑い、真尋様は、それならやる気が出るな、と雪乃様の肩を抱き寄せます。
「真尋くんなら倒せそうだし、泳いで渡れそうだから何も言えない」
「安心しろ。俺の収入源である牛も調教して、一緒に川を渡らせ対岸でも牛飼いの仕事を続ける。雪乃だけに苦労はさせんからな」
「真尋なら牛で軍隊作れそうだから何も言えない」
一路様と海斗様が何故か遠くを見つめていらっしゃいます。
「ですが、僭越ながらこの園田、真尋様と雪乃様を引き剥がすならば天帝とあれども刀の錆にする所存でございます」
良く言った、と真尋様が褒めて下さいました。園田充、天にも昇る気持ちで御座います。
「ふむ、やはり天帝を倒した方が早いか。寧ろ、天帝を倒して新居を構えた方がいいか? その牛が乳牛か肉牛か知らんがブランド牛として売り出して一財産を築いた方が建設的だな」
「なら私がお料理の監修をするから直営レストランを開くのもいいと思うわ。それでお店では、私の織った布で小物を作って売ったりもするの」
「この彦星と織姫はそもそも引き離されそうにないんだけど」
一路様が苦笑交じりに言って、空を仰ぎました。青かった空が段々と暗くなっています。私は立ち上がり、設置した外灯の電源を入れて行きます。そろそろお客様も見える時間になりますので、皆、それぞれ動き始めました。
「園田」
「はい、真尋様」
雪乃様の腰に腕を回して笹を見上げる真尋様に呼ばれて、即座に駆け寄ります。
「お前は、短冊に何て書いたんだ?」
「そういえば、まだ聞いていませんでしたね」
私は、笹を見上げます。私の短冊は上の方に飾ってあります。肩車をした真智様に飾って頂いたものです。
「私の願い事は、皆さまが幸せでありますように、と。皆さまが、特に真尋様が幸せであれば私は幸せですので、真尋様と同じく既に願いは叶っております」
ふふっと笑った私に真尋様は呆れたようにため息を零され、雪乃様はくすくすと可笑しそうに笑っていらっしゃいます。
「なら、お前の願いが叶うように雪乃をもっと幸せにしないとな、責任重大だ」
「もう、真尋さんたら。なら私だって貴方を幸せにしなきゃいけないわ。責任重大ね私達」
再びイチャイチャし始めたお二人に私は、幸せな気持ちになります。
生憎と私の両親は、私が知る限り喧嘩ばかりでお互い、他所に愛人を作っているような人々でした。私が幼い頃に不仲のまま離婚し、今はどこに居るとも知れません。だからこそ、余計に真尋様と雪乃様が幸せそうにお互いを想っておられる姿に私は憧れと安心を抱くのかもしれません。
「真尋くん、雪ちゃん、生徒会の皆も来たし、ちぃと咲のお友達も来たからイチャイチャしてないで、手伝ってー!」
「分かった。すぐに行く」
「あらあら、私もお料理の仕上げをしなくちゃ。真尋さんは台所に入っちゃだめよ。ここで充さんとお庭の仕度をしていてね」
「そうか……肉なら切れるから、ブロック肉を切る時は呼べよ?」
「分かっています。包丁さばきだけは信頼していますもの。充さん、真尋さんをお願いね」
雪乃様は、私にそう告げられると背伸びをして真尋様の頬にキスをしてから家の方に戻られます。真尋様は、その背に「無理はするなよ」と声を掛けていらっしゃいました。
「園田」
放り投げられたタオルを受け取り、真尋様を真似て頭に巻きます。
「俺は、虫除けと花火の準備をしておくから、お前は炭の仕度を頼んだぞ」
「はい、真尋様! この園田にお任せくださいませ!」
どんと胸を叩けば、真尋様は「水分補給はしっかりな」と此方を気遣うお言葉を残して作業に取り掛かられました。
水無月家のリビングの大きな窓からは眩しい灯りが零れて、お客様の分も加わって更に楽しそうな声が聞こえてきます。直にその賑やかさはこの広いお庭へもやって来るでしょう。
皆様の笑顔が、今宵、夜空に輝く星と同じだけ、いいえ、それ以上に輝く様に私も精一杯の準備と最高のおもてなしを致しましょう。
私は、水無月家の執事なのですから。
――――――――――
ここまで読んで下さってありがとうございました!
折角の七夕だったので、日本時代?の真尋を水無月家の執事・園田視点で短いですが書いてみました。三時間クオリティなので可笑しい所は目を瞑ってやってください。
真尋と雪乃がイチャイチャラブラブしているのを書くのがとても楽しかったです。真尋の事を神様だと思っている園田を書くのも楽しかったです。
今後とも「称号は神を土下座させた男。」をよろしくお願い致します。
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