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本編 2
第一話 日々を過ごす男
しおりを挟む!!Attention!!
本日は2度目の更新です!!
プロローグの「はじまりの話」を朝、更新したのでご注意下さい!!
ブランレトゥへ来て、早四か月が経ち季節は、夏から秋へと移り変わっていた。
今日は、雲の月の二日。王国の暦で言えば八番目の月、日本で言えば、十月の気候にあたる季節だ。
この四か月を一言で言い表すとするのならば、忙しい、という言葉に尽きる。
水無月真尋と幼馴染みで親友の鈴木一路は地球の日本という国に暮らす卒業を間近に控えた男子高校生だった。
しかし、突っ込んで来たトラックによって二人は命を落とし、ひょんなことから二人の魂はアーテル王国の守護神・ティーンクトゥスによって異世界に呼ばれた。ひと悶着あったが結局は、泣き虫で馬鹿で臆病で愛情深く憎めない神様であるティーンクトゥスの長い年月の流れの中で失われてしまった力を取り戻し、再び王国の守護神としての役目を果たせるように真尋は一路と共にティーンクトゥスの行き過ぎた加護と気配りを受けてこの世界に転生し、神父と見習い神父としてティーンクトゥス教を広めることになった。
二人が最初に訪れた町は、アルゲンテウス辺境伯が治める東の地の領都・ブランレトゥだった。周りには豊かな自然が広がっておりそこに棲む魔獣の脅威と遠い昔、隣国との戦争から身を護るために作られた巨大な壁に囲まれた川縁の町だ。
もともとこの世界にあり、嘗てはティーンクトゥスを祀っていた筈の教会は王都に残るだけとなり、神の名も姿も意義も何もかもを変えて腐り果てていたので、真尋と一路への風当たりも厳しいものだったが、紆余曲折経て騎士団や冒険者ギルドと協力してインサニアという未曽有の災厄を退けた二人は、徐々に町の人々に受け入れてもらうことができた。
このブランレトゥで多くの人々と出会い、そしてインサニアという事件を経て真尋はこの祖国から遠く離れた異国の地で血は繋がっていないが目に入れても、いやいっそ目に入れておきたいくらいに可愛い息子と娘を得ることが出来た。我が子がいるだけで生きるのが楽しく幸せな日々である。親友の一路も愛しい恋人との日々を全力で楽しんでいる。
元の世界に未練があるかないかと聞かれれば、大いにありまくるし、心にぽっかりと空いた穴はやはり埋まりそうにもないが、それでも今は嘘偽りなく幸せといえる穏やかな日々だった。
今現在、真尋はブランレトゥの青の1地区に居を構えていた。その昔、裕福な商人が建てた立派な屋敷を隣の教会と共に買い取り、真尋と真尋の子どもたち、一路とその恋人のティナ、二人の護衛騎士リックとエドワード、頼れるジョシュア親子、そして、Aランク冒険者のレイと共に住んでいた。庭には、お抱えの庭師の夫妻が住んでいる。それ以外に真尋の戦友のAランク魔獣のキラーベアのテディと一路の従魔のA+ランクのヴェルデウルフの親子が三頭住んでいた。
仕事は忙しいが、それでも愛する家族や友人たちと共に過ごす日々は穏やかで平穏そのものだった。
くるりと椅子ごと窓を振り返れば、穏やかな秋の日差しが降り注ぐ広い庭を息子たちが楽しそうに駆け回っている姿を見つけた。真尋の死んだ表情筋と揶揄される無表情も自然と緩んでしまうほど長閑な光景だ。
今日は、サヴィラの家族である子どもたちが遊びに来ていて、広い庭の子どもたちの為に芝生だけを敷いたスペースで転げ回る勢いで走り回っている。テディとロビンも一緒になって遊んでいた。開け放した窓から、きゃらきゃらと無邪気な笑い声が風に乗って三階の書斎にまで聞こえて来る。
来月の風の月一日にはついに修復工事を終えた教会が開院になる。更に月の半ばには収穫感謝祭といわれる王国において春の豊穣祈念祭と共に二大祝祭の一つに数えられる大きなお祭りだ。シンプルに言えば、収穫を祝う祭りで、王都も含め、各領でそれぞれ祝祭が開かれる。四大領都として栄えるブランレトゥにもアルゲンテウス中から人々が集まり、町は三日間の間、非常に賑わうのだという。大通りや広場には露店が並び、パレードやダンスパーティーなども開かれて兎にも角にも賑やかになるらしい。
「賑やかだな」
「そうですね、本当に賑やかで楽しそうですね」
真尋の視線の先を追うように隣で書類を整理してくれていたリックが窓の向こうに顔を向けた。
「良いことだ。子どもの笑い声は聞いていて心地が良い。あ、転んだ」
よちよちと歩いていたアビーが転ぶ。すかさずサヴィラが駆け寄り抱き上げて、泣き出したアビーをあやし始める。多分、鬼ごっこをしているのだろう。サヴィラを追いかけていた鬼役のルイスは標的を変えた。リースの手を引くミアはジョンに手を引かれるようにしてもう一人の鬼役のレニーから逃げ回っている。クレミー、コニー、ユアンは、この数か月の間に四歳になり以前よりもしっかりした足取りで逃げ回っていることに成長を感じる。シェリルとヒースに盾にされたネネがルイスに捕まり、鬼役になった彼女はすぐさまシェリルたちを追いかける。子どもたちに盾にされているテディも楽しそうで、きらきらと輝く笑顔がそこら中に咲いていて、周りで働いている庭師たちも何だか楽しそうだ。アビーもサヴィラに乗せてもらったロビンの背中の上でもう笑っている。
「子どもたちも見違えるほど健康的になりましたね。肉付きも良くなりましたし、髪も艶やかです。孤児院の他の子どもたちも、以前よりずっと元気になりましたよ」
リックが言った。
「サンドロの飯は美味いからな。それに安心や安全の中でこそ子供は健やかに育つと俺は思っている。……孤児だからと仕事ばかりさせるのも、粗末な食事をさせるのもおかしな話だ。子どもたちには何の罪もない。だというのに……例の教会が運営していた孤児院は何れも小さな牢獄、子どもたちは囚人だ。運営先がそこの領主になってもそれは変わらん」
真尋の言葉にリックが表情を曇らせた。
真尋は王国にある孤児院のことを領主であるジークフリートに頼んで調べてもらったのだ。新たに定められた法律で教会は孤児院を設立・運営することを禁じられた。運営権はその地の領主に移った。中にはすぐさま解散を余儀なくされ、散り散りになった孤児たちもいる。運営先が領主になっても、孤児院の暮らしはどこも改善されていない。収容人数の多い孤児院では、孤児たちは名前の代わりに番号で呼ばれている上、孤児院運営費用を稼ぐため、一日中、内職をしたり何らかの仕事を課せられていたり、厳しい監視付きで囚人のような規則正しい生活を強いられている。
「国を支えているのは大人かも知れないが、未来を築くのは子どもたちだ。それを蔑ろにすることがどれほど危険なことか気付きもしないとは実に愚かな王だ。未来を担う子どもがいなくなれば、国は老いて朽ちるだけだというのにな」
「マヒロさんが王になれば、アーテル王国は繁栄しそうですけどね。どうです?」
「絶対に嫌だ。俺の実家ですら血縁同士のごたごたは絶えず辟易していたんだ。それの代表格のようなところに自ら飛び込むのは御免だ」
リックの軽口に真尋は顔を顰めた。
「まあ、現在すでに第一王子派と王弟派が熾烈な派閥争いをしているそうですよ。私は一介の護衛騎士で実家はパン屋なので関係ないですけど」
「派閥争いで思い出したが、あろうことか俺の愛娘に御子息との話を持ち掛けてきたが社交期の間に領主殿は御子息と御令嬢の婚約に成功しなかったのか?」
ふと疑問に思ってリックに問う。
「団長に聞いたところによりますと、例の孤児院の問題でまとまりかけていた話は白紙に戻ってしまったそうです。とはいえ、領主様の従妹にあたられるご令嬢の婚約がまとまり、そちらの方を繋ぎとして何やら後ろ盾を得られそうだという話ですが」
「貴族とは大変だな」
他人事極まりない真尋の言葉にリックは、そうですねと苦笑交じりに頷いた。
「……まあ、俺としては貴族云々よりもこの書類の山が怖い」
真尋はげんなりしながら言った。
ジルコンに紹介してもらった家具職人に特別に作らせた重厚なデスクの上には書類が山積みになっている。
「どうして俺が休みの日まで祭りの際の警備配置について考えなければならないのか。可愛い我が子たちのことか教会の運営についてだけこの頭は使いたい」
一番上の書類を指でつまみながらぼやく。
「ザラームやエイブは早々回復しないでしょうが、そうは言っても誰かにインサニアの種を仕込むことは可能かもしれませんし、万が一、祭に紛れては事です。どうしてもマヒロさんの力が必要なんですよ。あんなことが二度も三度もあっては困りますからね」
「……チッ、腕じゃなく首を飛ばせばよかった」
その呻きにリックは、苦笑を深める。
「少し休憩しましょうか、昼食の後からずっと籠もりっぱなしですし、そろそろ午後のお茶の時間です」
「それもそうだな」
「クレアさんにお茶を頼んできますね」
「いや、俺が下に行こう。子どもたちもそろそろおやつの時間だろう? 一緒に過ごした方が疲れが取れる」
「それは一理ありますね。では、」
行きましょう、と言ったリックの言葉に被せるようにコンコンとノックの音が聞こえて顔を上げる。ドアの前にある気配は、一路のものだ。入れ、と真尋が答えれば、肩にピオンを乗せた一路が姿を現す。
「どうした、早いじゃないか。夕食は外で食べて来ると言っていなかったか?」
真尋は手に持っていた万年筆にキャップを嵌めながら首を傾げる。
確か今日はティナと一緒にデートがてら孤児院の方に行っていたはずだ。
「その予定を変える気はないよ、帰って来たのは僕一人だし。気になったことがあったから早めに真尋くんの耳に入れておこうと思って」
「孤児院で何かあったのか?」
一路がデスクの前に立つと肩から降りたピオンが立ち上がって長い胴を伸ばし、真尋の鼻先に鼻をくっつけ挨拶をしてくる。真尋も挨拶代わりに小さな頭を撫でるとピオンは、リックに飛びつきその肩をよじ登り、彼にも挨拶をしてから再び一路の肩の上に戻る。ピオンは最近、真尋たちにも懐いてくれるようになった。
「孤児院じゃなくて冒険者ギルドからなんだけど、なんか最近、双子の盗人がでるんだって」
「双子の盗人?」
真尋とリックは小首を傾げる。
「ザラーム関連か?」
「いや、そういうのじゃなくて、一般人の盗人」
一般人の盗人ってなんだ、と真尋はリックと顔を見合わせた。
「D、Eランクの冒険者が被害に遭ってるらしいんだけど、町を出てすぐそこの平原とかで下級ランクの魔獣を討伐するとその直後に獲物を持ち逃げされちゃうんだって」
「横取りってことですか?」
リックの問いに一路が、そうみたい、と頷く。
「ただどうやらエルフ族の子どもらしいんだよ。多分、サヴィくらいの年齢だって言ってたけど、すっごいボロボロの身形で獲物を横取りして、声を掛けても警戒心が強くて逃げ出しちゃってね。今日、レイさんがウォルフさんたちのパーティーと一緒に捕獲に行ったらしいけど、捕まるかどうか……」
一路が真尋に顔を向ける。真尋は革張りの椅子に身を沈めて、腕を組む。
「深刻な被害が出ているのか?」
「今のところは大丈夫。それほど大きな獲物じゃないし、比較的に簡単に捕まる魔獣や魔物ばっかりだからそうでもないみたい」
一路が苦笑交じりに言った。
「ですが、エルフ族の子どもとは珍しいですね」
リックが困惑顔で首を傾げた。
そうなのか、と真尋は先を促す。
「エルフ族は長命故にか子供ができにくいんです。ハーフでも普通よりは出来にくいらしいですよ。ですので、子どもをとても大事にする種族なんですよ。それに双子なんて、樹胎生じゃないと産まれないと思いますが」
「じゅたいせい?」
一路が首を傾げる。真尋も初めて聞く言葉だった。
「樹の胎の生まれという意味です。エルフ族は、エルフ族同士かエルフ族と他種族の間では他の種族同様、胎生で子供を産みますが、エルフ族の里にある世界樹の魔力の恩恵の中、何百年と年を重ね、精霊樹となった木が数百年に一度、その身に子を宿して産むそうです。私も文献で読んだだけですので、詳しい状況は知りませんが、大抵の場合、樹胎生のエルフ族は双子で産まれるそうです。樹胎生の子どもは、精霊樹が育てるそうですが、それはそれは大事に里の中で成人まで育てられるそうです」
「ということは、サヴィラと同い年くらいのその子どもが外にいるというのが、おかしいということだな」
「はい。万が一、里の外にいるエルフの夫婦の子どもだったとしても、エルフ族は孤児になっても保護されて里に返されます。探せば必ず親戚の誰かが生きているので……ドワーフ族なんかもそうですけど」
「じゃあ、レイたちはそれも含めて保護に行ったんだろう。無事に捕まえられるといいが……サヴィにでも心当たりがあるか聞いてみるか……孤児たちのことに関しては一番詳しいからな」
真尋はそう告げて立ち上がる。リックと一路も、それがいい、と頷く。
「パパー! おやつの時間よー!」
ミアの声がドアの向こうから聞こえて、パタパタと小さな足音が聞こえて来た。
「捕まらなければ話にはならんな。何か進展があればまた連絡も来るだろう」
「そうだね。僕ももう孤児院に戻るよ」
真尋は、吸いかけの煙草をデスクの上の灰皿に押し付けて始末する。リックが、どうぞ、とドアを開ければミアがひょっこりと顔を出す。
「あ、イチくん、おかえりなさい!」
「ただいま。でもまた出かけるよ。ちょっとだけパパとお仕事の話をしに来ただけだから」
一路がぽんぽんとミアの頭を撫でる。その手の下でミアはきょとんとして首を傾げる。今日もうちの娘はとても愛らしい。
「そうなの? じゃあまた行ってらっしゃい?」
「そうなるね。ミアちゃんはこれからおやつでしょ?」
「うん! 今日はね、ブドウなの! ミアね、ブドウ好きだからうれしい!」
「ふふっ、良かったね」
「なら、さっさと行こう」
よっとミアを抱き上げる。ミアは、パパ、と嬉しそうに真尋の首に抱き着いて来る。ミアからは外で遊んでいたからだろう芝生と土と草の匂いがした。成人男性である真尋からすれば、ミアはまだまだ軽いが出会った頃に比べれば、随分と肉付きが良くなって、頬もふっくらとして子どもらしくなった。荒れていた手もすべすべとしているし、砂色の長い髪だって艶々だ。
一路と並んで書斎を後にする。リックは「ちょっと自室に寄りますね」と二階で別れた。
「僕もいつかミアちゃんみたいに可愛い娘が欲しいなぁ」
一路が真尋に抱っこされているミアを見上げて言った。
「お前だって娘が産まれたら絶対に嫁には出さないとか言い出すに決まってる」
「僕はそんな大人げないことは言わないよ」
「ティナにそっくりな娘とかだったらどうするんだ?」
「え?」
一路は真尋の言葉にぱちりと目を瞬かせた後、何かを考え込み始めた。多分、ティナとの娘との日々を想像しているのだ。
「……駄目だ、想像しただけで嫁に出したくない気持ちが湧いて来た」
想像を終えた一路が片手で口元を覆って項垂れる。
「僕は真尋くんほど狭量な男じゃないと思ってたのに……っ」
「お前は息をするように俺を貶していることに気付いているか?」
真尋の言葉などスルーして一路は頭を抱え始めた。
「あのね、ミアはパパとサヴィとずっと一緒なのよ。ねぇ、パパ!」
そう言ってミアが真尋に頬ずりしてくる。可愛すぎて胸が苦しい。
「勿論、パパもミアとサヴィとずっと一緒だ」
ちゅっと頬にキスをするとミアはくすぐったそうに白い兎の耳を揺らして笑った。その可愛さに仕事でたまったストレスが急速に溶けていくのを感じながら、真尋は悩みながら出かけて行く一路をおざなりに見送りサロンへと足を向けたのだった。
「可愛いわねぇ。たくさん遊んだから、眠くなってしまったのねぇ」
クレアが子供たちに毛布を掛けながら、くすくすと笑う。
サロンの陽だまり、毛足の長いふわふわの絨毯の上で子供たちがくっつくようにして眠っている。
庭を元気いっぱい走り回っていたから、おやつを食べたら眠くなってしまったようだ。子どもたちの寝顔は、あどけなく、無性に愛おしさがこみあげて来ていつまでも眺めていたくなる。
ミアもジョンの(というのが非常に複雑だが)腕枕ですよすよと眠っている。ジョンの反対側には、リースがいて兄にべったりと張り付いていた。少し離れたところではネネが猫のように丸くなっていて、そのお腹を枕にアビーが丸くなって眠っていた。アビーは犬系の獣人族だから子猫と子犬がお昼寝をしているようで微笑ましい。
サヴィラは「教えて欲しいところがある」と告げて慌てて自分の部屋に本を取りに行った。サヴィラは今、家で勉強をしている。春からは試験に受かれば学校に通う予定だが、サヴィラの頭の出来からして試験に落ちることはまずないだろう。
「そういえば、治癒術師は呼んだのか?」
真尋の問いにクレアが振り返る。
「大丈夫だと思いますよ。また少しつわりが酷くなっただけですから」
「だが、食事が思うようにできないんだろう?」
ミアと一緒にサロンでおやつを食べた真尋だが、そこにはいつも孤児たちの世話を楽しそうに焼いているプリシラの姿がここのとこは見ることができない。つわりが酷過ぎて、ベッドにいることの方が多いのだ。
真尋が風邪を引いて寝込んだ先月の終わり、プリシラの妊娠が発覚した。彼女はジョンとリースの時にはほとんどつわりはなかったらしいが、三人目を身籠る今は酷いつわりに悩まされているのだ。発表後少ししてつわりが一度治まったのだが、昨日からまた酷くなってしまっているようだった。
「些細なことでも看過すれば、重大な病や怪我に繋がる。それに今、プリシラの体は彼女だけのものじゃない。ジョンもリースもジョシュも心配していたし、明日も食事がとれないようなら有無を言わさずに治癒術師を呼ぶからな」
「分かりました。私も心配ですし、治癒術師様に診てもらえれば安心できますものね。プリシラにも言っておきます」
「頼む。それと今夜の食事の支度は?」
「今からですけど……」
「なら今夜は、悪いがプリシラの分だけを頼めるか? 俺たちは外で食べるようにする。ジョンたちも連れて行くから、ゆっくり休むように言ってくれ」
「あら、大丈夫ですよ。スープもじっくり煮込んでありますし、下ごしらえは済んで、あとはお肉をオーブンで焼くだけになっていますから」
「だが……俺が手伝うと怒られるしな。プリシラが出来ないとなるとクレアの負担が大きくなるだろう?」
「ふふっ、そうですねえ。神父様にお手伝いいただくのは私も困りますけど、庭で遊ぶ前にサヴィとネネとルイスとジョンが手伝ってくれたんですよ。ルイスはサンドロさんに教わっているからか手際が良いですし、サヴィはとても器用で野菜の皮むきも上手ですしね。ネネもジョンもミアもお手伝いが上手なんですよ」
クレアがくすくすと可笑しそうに笑った。真尋は「俺だって野菜の下処理くらいは出来る」と少しムキになって返したが、クレアはまた少しくすくすと笑った。陰りのない柔らかで上品な笑みは、まるで真尋のことを困った子ね、と笑う母のように優しいものだ。真尋の母は、真尋を二十歳で産んだのでクレアよりは随分と若いのだが、浮かべる笑みは同じだから不思議なものだ。
「……クレアは良く笑うようになったな」
出会ったころのクレアは、まさにおばあちゃんという風貌だった。まだ五十六歳だと知った時は驚いたものだった。だが、ルーカスもそうだが孤児たちの世話をしたり、屋敷の仕事をしたり、庭師の仕事に熱心に取り組むうちに息子一家を事故で失い老け込んでいた夫婦は出会った頃よりも年齢に相応しい若々しさを取り戻した。
クレアは、緑の瞳をぱちりと瞬かせた後、真尋の問いの意味を理解したのか、ああ、と小さな声を漏らした。緑の瞳は寝ころぶ子供たちを振り返る。
「……上の孫はサヴィと真ん中の孫はジョンと下の孫はミアと同い年だったんですよ」
「……そう、なのか」
「ええ」
クレアが膝をついて、ミアとジョンに布団を掛け直す。
「勿論、この子たちは私の孫たちの代わりにもなりませんし、息子夫婦の代わりだってこの世にはいませんけどね。神父様が私の懺悔を聞いて下さって、それに毎朝、神父様と一緒に教会でお祈りをさせて頂いているでしょう?」
ああ、と真尋は短い相槌を打つ。
毎朝、真尋と一路は庭でリックたちと鍛錬をする前、まだ夜が明けたばかりの時間帯、補修工事中の教会でお祈りをしている。クレアの懺悔を聞いてから暫くしてクレアとルーカスは毎朝、真尋たちと一緒にお祈りをしているのだ。一緒に祈って良いか、と聞かれた時は驚いたが、断る理由もないので真尋と一路は喜んで迎え入れた。ある意味、この夫妻がティーンクトゥス教の初の信者だった。
「ティーンクトゥス様に毎朝、毎朝、そちらで息子と嫁と孫たちは元気ですか、とお尋ねするとあの優しい銀の瞳が「勿論ですよ」と笑っているように見えるんです。だから私もこちらで元気にしていますと伝えて下さいと毎朝、頼むのです。そして、孫たちと息子夫婦が今日も笑って居られるように見守っていてくださいとお祈りするんです」
クレアの横顔はとても穏やかだった。
「その毎日の積み重ねが私の心を癒してくれました。息子たちを喪った哀しみはきっと一生残ったままでしょうけれど、それでもあの優しい銀の眼差しが息子たちのことも、そして私とルーカスのことも同じように見守っていてくださるのなら、大丈夫だと思えるようになったんですよ」
くるりとクレアが振り返る。
「神父様に出会って、ルーカスの命を救って頂いて、そしてこうやって夫は再び庭師として楽しそうに働いて、私は元気に貴方たちや子どもたちの世話を焼けることがとても幸せです。それに……ミアが教えてくれたんです。ミアのお母さんとノアがいたところは、白い雲と青い空がどこまでも広がってそれはそれは綺麗な場所だったって」
「……ああ。とても綺麗なところだったよ」
真尋がミアの言葉を肯定するとクレアはますます優しく目を細めて笑った。
「寂しく暗く寒い場所で震えていないのなら、それで良いのです」
その言葉は、少しだけ彼女自身に言い聞かせているようにも聞こえた。だが、それ以上にただただ息子一家を想う愛がそこにあるような気がして「そうか」と真尋は頷くだけに留めた。
クレアは淡く微笑んだままリースの目にかかった髪を指先で払って、ぽんぽんとあやすようにお腹を撫でた。
「パパ、誰か来るのよ。多分、レイくん」
真尋は祈りの最中だったが、ミアに袖を引かれて顔を上げる。隣の一路も同じように顔を上げた。
夜の教会は静かで、月光が穏やかに降る。
ミアはパジャマ姿で真尋の隣でお祈りをしていたのだが、ウサギの獣人族であるミアはかなり聴覚に優れているので遠くからでも身近な人々の足音は分かるのだ。
「捕まえられたのかな?」
一路がティーンクトゥスの石像に手を合わせてから立ち上がる。真尋も同じように手を合わせて立ち上がり、ロザリオを腰に戻す。パパ、抱っことねだられて腕を伸ばしたミアを抱き上げる。
「イチくん、レイくんは何をつかまえるの? 怖い魔獣?」
「うーん、迷子、かな?」
「まいご?」
一路が悩みながら答えるとミアはきょとんとして首を傾げる。白い兎の耳がぴょこぴょこ揺れて可愛らしい。
時刻は九時になろうかというころだ。夕食も風呂も済ませて、眠る前のお祈りをしていたところだった。サヴィラも誘ったのだが、夜は寒いから嫌だと言われてしまった。確かにサヴィラにはこの石作りの教会は寒いかもしれない。
「おい、神父、いるか?」
東の屋敷側の出入り口からミアの言った通り、レイが現れた。真尋たちを見つけるとずかずかとこちらにやって来る。
「おかえり、レイくん!」
ミアがにこっと可愛い笑顔と共にレイを迎える。レイは、少しだけ表情を緩めて「ただいま」と返す。なんだかんだ面倒見がいいので、ミアもサヴィラもジョンやリースもレイに懐いているのだ。レイも自分を慕う子どもたちを割と可愛がっているが、元がツンデレなので真尋たちの前では、あまりそういう姿を見せたがらない。
「ご苦労だったな。捕まえたのか?」
真尋の問いにレイは、不機嫌そうに首を横に振った。
「当てが外れた。南の平原で張ってたんだが、今日は西の平原で出没したんだと。明日、また二手に分かれて行って来る。だから、あの魔導具貸してくれ。俺とジョシュアのパーティーとウォルフたちのパーティーで明日は南と西に分かれる」
「東に出る可能性はないのか? 距離がありすぎるか?」
真尋はアイテムボックスから小鳥型の魔導具を二羽取り出してレイに渡す。
「あっちはダンジョンが有って騎士がうろうろしてるし、人も多いから今んとこ一件も発生してねえ。アンナが騎士団にも話を通したっつーからあっちはあっちで見つけ次第、確保してくれる」
「そうか。ならもう一羽、渡しておくから捕まえたら俺にも教えてくれ」
もう一羽、今度は一回り大きな小鳥を渡す。受け取ったレイが大きさの違いに首を傾げる。
「ブランレトゥから近い平原からなら多分、届くはずだ。新しく作ってみたんだ」
「使い方は同じか?」
「ああ」
ふーんと小鳥を見ながら返事をしてレイは、それを自分のアイテムボックスにしまった。
「レイくん、ごはん食べた?」
「いや、これからだ。今、ギルドから帰って来たんだ」
「今日のご飯はね、プーレのハーブソテーだったんだよ、美味しかったよ。ミアはね、ハーブのサラダの方が好きだけど」
「そうか」
レイがぽんとミアの頭を撫でた。可愛い娘は嬉しそうに笑う。
「保温してありますけど、部屋に届けましょうか?」
「いや、面倒くせぇからキッチンの方で食う」
「ミア、レイのごはんの仕度、出来るか?」
「うん。ミア、毎日、クレアおばあちゃんとプリシラさんのお手伝いしてるもん」
ミアが自信満々に頷いた。真尋は「良い子だ」と笑ってミアの額にキスをして一路の愛娘を渡す。
「一路、先に行って、ミアと一緒に仕度を頼む」
「りょーかい。ミアちゃん、僕がお手伝いするからよろしくね」
「うん! レイくん、ちょっとゆっくりきてね!」
「ああ」
レイが頷くとミアは、一路を急かす。一路は、はいはい、と笑って頷くとこちらを一度、振り返ってウィンクしてから駆け足で屋敷に戻っていく。真尋の意図をちゃんと汲み取ってくれる辺り、一路は優秀だ。
真尋は足を止める。レイは二、三歩、進んだ先で足を止めた。
「それで、犯人の目的は?」
煙草を一本取り出して口に咥えて火を点けながら問う。レイが無言で手を出して来たので、眉を寄せる。
「自分のがあるだろ」
「見張りの時に吸い切った。買って来ねぇとない」
「……仕方がない」
真尋はまだ半分ほど紙煙草が入っている箱をレイに渡した。
「いいのか?」
「この間の見舞いの品が山のようにあるからな。それより、双子の犯行目的は?」
「それが分かれば苦労はねぇっつの」
煙草に火を点けながらレイが肩を竦めた。
「ただ、十三、四のガキで魔法はまだ年相応に拙いらしい。横取りするとき魔法は不意をつく程度にしか使えねえみてえだ。取られたもんがジャックラビットとかファットラットっつー、クエストランクもEの魔獣だから被害額はそうでもねぇから大半の奴らは、むこうの身形がボロボロってのもあって怒ってはいるし、イラついてはいるがその場限りだ。ジャックラビットもファットラットも巣穴さえ見張ってりゃ一日でわんさかとれるしな」
ふーっと重々しく紫煙を吐き出したレイが眉間の皺を深める。
「んだが、この世界中の人間全ての心が広い訳じゃねえ。我慢の効かねえ、事を流せねえ馬鹿に当たった時に何があるか分からねえだろ。俺はAランクの冒険者として、冒険者たちの監視も平和を保つことも仕事だからな」
やはり素直ではないし、何だか大層な理由をつけているが、結局はその双子が心配なのだろう。口に出して褒めると照れて五月蠅いので心の中で思っておくだけにする。
「俺と一路で手を貸せるようなことがあれば、言ってくれ。俺もあいつもEランクだが一応、冒険者だからな」
「……お前らいい加減、昇級の書類出せよ。Dランクの昇級に必要なクエスト数はとっくに超えてるだろ」
レイが胡乱な目をこちらに向ける。真尋は逃げるように空を見上げて紫煙を吐きだす。
EからDになるには、クエストを一定数こなし、昇級に関する書類をカウンターで貰って記入して提出すれば、それで完了だ。昇級試験があるのはCからだ。
「Dの書類を提出したが最後、何故かランクが一気に上がりそうな気がして面倒だから嫌だ」
「……まあ、それは仕方ねぇだろ。毎朝、俺を投げ飛ばして、ジョシュアと互角のお前は間違いなくAだからな」
「Aにだけはなりたくない。これ以上、面倒事を抱え込んだらミアとサヴィラと過ごす時間がますます減る」
むっつりと顔を顰めれば、レイが「そうかよ」とそっけない返事をすると屋敷に向けて歩き出し、真尋も止まっていた足を動かす。
「お前、明日は一日、騎士団か?」
「午後は治療院と商業ギルドのほうに顔を出す予定があるが、基本は騎士団にいる。一路とエディは一日騎士団に居るから捕まえるならそっちを捕まえた方が早いぞ」
「毎回毎回、お前らを捕まえるのも一苦労だ」
「文句は団長閣下に言え、俺はいつだって家に居て、ミアとサヴィと過ごしたいと心から思っている」
紫煙を吐き出しながら真顔で返せばレイは「そうかよ」とまた同じ返事をした。
「レイくーん、ごはんできたよー!」
ミアの声に顔を向ければ、玄関先でミアがぴょこぴょこ跳ねながら両手を振っている。その様子の可愛さに頬が勝手に緩む。レイも「おう、ありがとな」と小さく笑いながら返して煙草を燃やして処理し、真尋も煙草を消す。
レイくん、こっちよとミアがレイの手を引っ張る。レイは、はいはい、と頷きながら素直に小さな手に引かれるようにして歩いて行く。ミアがあれこれ話すのをレイは、適度に相槌を打ちながら聞いている。そんな二人の背を眺めながら、レイの横顔をじっと見る。
出会った頃に比べれば、何と柔らかい表情をするようになっただろう、と思う。ほんの数か月前のレイは、刺だらけで近寄れたものではなかった。それが今は、良く笑うようになった。何でもないことのように思えるが、案外、自然と笑うことが出来るのは大事なことなのだ。
「あ、そういや、ヴィートが来月の祭が終わったら入籍するって言ってたぞ」
レイが思い出したように言った。
ヴィートはソニアの息子で父親と同じ熊の獣人族で料理人だ。夏に修行に行っていた王都から婚約者とその妹たちを伴ってこちらに戻って来ていた。のほほんとした森の熊さんみたいな男だがサンドロの怪力とソニアの理不尽さを兼ね備えたなかなかの男だ。婚約者のエレナは人族の女性で明朗快活で良く働く娘だ。二人の妹は、ヘーゼが十三歳、アリスが八歳で、二人とも山猫亭でウェイトレスの手伝いをしたり、孤児院で子どもたちと遊んだりして過ごしている。アリスは、祭が終わって町が落ち着いたら手習い所に行くと言っていた。同い年のジョンも同時期に手習い所に通い始める予定だ。
「ほう、それはめでたいな。結婚式でも売り込むか」
「結婚式が何かは知らねえが、披露パーティーもしねぇみたいだぞ? まだ妹たちに金がかかるから貯金したいって二人とも言ってたし」
「……エレナは本気で言ってるのか? 女性の本音と建て前を読み違えると後々痛い目を見るぞ」
「どっちかっつーとヴィートがやりたいみたいだぞ。そんな派手なもんじゃなくてもいいから、ささやかでいいからって……それにヘーゼルとアリスが、自分達のせいでって気に病んでるんだ」
「俺も一番上だからなぁ、エレナの気持ちも分からんでもないが……」
「ソニアもサンドロも山猫亭か孤児院の食堂でささやかなパーティーをすればいいって言ってるんだが、どうもエレナは意固地になっちまってるみたいだな」
「兄姉には、我慢癖という厄介なものがあるからな」
真尋の言葉にレイは思い当たる節があったのか苦笑を零した。きょとんとしてレイと真尋の会話を聞いていたミアが「どうしたの?」と首を傾げればレイは「お前もこんなちっこいのにそうだもんなぁ」と小さな声で呟いてミアの頭を撫でた。
嘗てレイがミモザの為に色んなことを我慢していたように、ノアの為に自分のことは全て後回しにしていたミアもまた、お姉ちゃんだったのだ。
「まあ、まだ一か月以上時間はあるし、何とかなるだろ」
「夫婦間の問題は部外者が入ると好転することもあれば、ややこしくなることもあるからなぁ」
キッチンの廊下を挟んで向かいにある休憩室に入れば、テーブルの上には真尋たちも食べた夕食と同じメニューが並んでいた。一路がレイのワイングラスに赤ワインを注いでいる。厨房の奥にある食糧庫の一部をワインセラーにしてあり、自由に飲んで良いと言ってあるのでそこから持って来たのだろう。夕食の時、一路を除いて男たちは皆、何かしらの酒を飲むのだ。
「一人で食べるの寂しいから、ミアがいてあげるね」
椅子に腰を下ろしたレイの隣の椅子にミアがよじ登る。
「ミアちゃんは優しいねぇ。真尋くんも今日は、こっちで寝る前のお酒飲めば」
「それもそうだな」
頷いてミアの隣に腰を下ろした。一路がグラスを持ってきてくれた。気の利く一路は、真尋におつまみも用意してくれていた。
「じゃあ、僕、夜勤のティナちゃんのところに行って来るからね。レイさん、片付けは自分でして下さいね。真尋くんは、何もしないで」
そう言うが早いか一路は、そのまま休憩室から庭へと出て行った。
ティナは時々、夜勤がある。冒険者ギルドは夜は各種受付は閉まっているが緊急時のために受付嬢が二人一組で必ず夜もギルドの夜間カウンターに常駐しているのだ。事務員もギルド内に必ず各部署で数名ずつ常駐していて、ティナは可愛いから心配だと一路はティナが夜勤の時は、ギルドで夜を過ごす。
「パパ、ミアがお酒いれてあげる!」
アイテムボックスからウィスキーを取り出すとミアが両手を伸ばしてくる。なら、頼むと真尋はボトルをミアに渡した。魔法で作った氷の入ったグラスにミアがウィスキーを慎重にゆっくりと注いでくれた。
「ミアがいれたからね、いつもより美味しいのよ! だからこれで終わりね」
にこっと笑ったミアに真尋は、これは参ったと苦笑を零して素直にボトルをアイテムボックスに戻した。一路やリックなら全く構わず逆らうが愛娘に言われては逆らえない。
「分かった。ありがとうな、ミア」
ぽんぽんと頭を撫でれば、ミアはくすぐったそうに笑った。
それからレイと他愛のない話をしたり、ミアの話を聞いているとサヴィラがやって来て、小腹が空いたと言った。真尋が立ち上がろうとしたらサヴィラは滑らかに呪文を唱えて真尋を蔓で椅子に固定し、ミアまで真尋の膝に乗って来た。結局サヴィラはその時、偶然、真尋を探して休憩室にやってきたリックに余っていたパンでサンドウィッチを作ってもらったのだった。
屋敷の夜は、こうして今日も穏やかに賑やかに少しの騒動を抱えながらも過ぎていくのだった。
―――――――――――
ここまで読んで下さって、ありがとうございました!
いつも閲覧、感想、お気に入り登録に活力と元気を頂いております><。
これからも真尋さんの親馬鹿増し増しでお送りする予定です!
次のお話も楽しんで頂ければ幸いです♪
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