僕は前世の知識を生かしのし上る……はず？

48

　旅に出て何日になるか、中々情報が集まらないでいた。

　ここまで情報が集まらないのは久々だった。

　「この町も空振りですかね」

　「獣人より、人の噂を耳にしますよ」

　「人？」

　「ええ、隣町ぐらいから銀色の髪をした人が人助けをしただとか」

　「それなら俺も聞いたぞ」

　「かなり目立つようですよ」

　俺はその噂が妙に気になった。

　同じ銀色だからだと思うが一応それも一緒に調べた。

　すると銀色の髪の噂は結構出てきたのだ。

　「もしかして、獅子の獣人は完璧な人の形に変態できるのかもしれませんね」

　「それでも気を抜けばものと姿になってしまうからな」

　どうにかして探し出せるように努力したが巧妙に隠れているのか片りんも見えてこないのだ。

　ようやく何日かいて昨日旅だったということが突き止められた。

　「やはり警戒しながらの旅のようですね」

　「ここまでくる間に奴隷商はことごとくつぶして獣人は兄さまの所に送りましたから、残るは彼を連れ戻すだけですね」

　「本当であれば奴隷として売り飛ばされた獣人も見つけてやりたいけど……」

　「そこまでは無理でしょ」

　「そうですよ、まずは手の届くところからです」

　「一人一人助ければいいさ、討伐が終わったら探しに行くとかその時は付き合うぞ」

　「ありがとう」

　俺は皆に支えられながらここまで来た。

　前世の記憶があってもこういう時役に立たない。

　「うん、そうだな」

　俺は気持ちを新たに獅子の獣人の手掛かりを探すことにした。　

　「飯食ったら次の町に行くか」

　次の討伐までには帰らなければならないので時間との勝負だが、情報を聞くためにはいちいち町によって聞かなければならないので幾分かの時間のぶれが表示てしまうのだ。

　「結構目立つと思うんですけどね」

　「本当に人間として耳と尻尾を消して生活しているのかもしれないな」

　「なら銀髪の冒険者を追ってみますか」

　そこで途中から銀髪の冒険者を追ってみることにした。