僕は前世の知識を生かしのし上る……はず？

3

　その頃の兄たちは、庭を見渡せるバルコニーにいた。

　「あの子お前たちの弟？」

　「かわいいだろ」

　エリーの兄で長男のエドガーが言うと王子たちの兄はうんうんとうなずいた。

　「エドやリックが言う通りあれじゃ、外に出したくなくなるな」

　「だからと言ってひ弱じゃないんだ」

　「俺たちより剣筋はいいと太鼓判押されているし魔力量も多いそうだ」

　「属性が楽しみだね」

　庭でのことはここで記録されている。

　もちろん邪な視線や相手を害するようなものすべてに録音付き魔道具がひそかに取り付けられ内部を探らせる。

　王家にあだ名すものをいち早く紡ぐことができる優れものだ。

　「すごいな、自分たちで出した無意識の嫉妬や妬みで打ちひしがれてるよ」

　「馬鹿な奴らだよ」

　「相手の実力も図れないなんて間抜けだね」

　クスクス笑い倍返しされた相手の名前を控え陛下に献上される。

　陛下はスワローズ家の奥方にはめっぽう弱いと評判だ。

　王妃と仲の良かったエリーたちの母は、陛下だからと遠慮せずに物事を言う人物で陛下を叱れるただ一人の人物なのだ。

　陛下は頭が上がらないのだ。

   「親父の奴、大人しくしていてくれるといいんだが」

   「無理でしょ」

   「だよなぁ～」

   頭を抱える第一王子は側近二人を連れ、早速とお茶会の席に向かった。

   陛下が暴走する前に止めなければ、母が愛した庭園がダメになってしまう。

   第一王子は焦るあまり周りを見ていなかった。

   しっかりしているようで、どこか抜けてる王子の穴を埋めるべく側近二人は周りの障害物を取り除きながら前に進んでいった。