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一週間前まで本当に楽しそうに学園に通う準備をしていたのに、突然マリーは倒れた。
学園入学前に妹のマリーは原因不明の病に倒れ今後は領地で母親と一緒に暮らすことになった。
その後だ……この人たちいったい何を考えているのかと頭を抱えたくなってしまったのだ。
こともあろうに僕にマリーになりすまし学園に通えと言い出したのだ。
確かに顔は似ているし体格も似ているが、背だけはマリーより十センチも高くなっているのだ。
マリーになりすますなど到底出来っこないのにこの人たちは僕をマリーの代わりに学園に通わせたのだ。
どんな姿でも僕は学園に通えるのは嬉しかった。
それがマリーの姿であれ通えるのだ。
ただ通うまで一週間しかなかったので、伸ばしぱなしの髪をそろえて切り艶がないと髪にオイルを塗られ顔には化粧水を塗られたりと大変だった。
「シャル様もう少し我慢してください」
「まだやらなきゃいけないの?」
「もう少しですから……」
さっきからこんなやり取りばかりを繰り返しようやく終わったころにはどこからどう見てもマリーにしか見えなくなっていたので流石です。
「似ているとは思ったけどここまでとは思わなかったよ」
「こう言っては何ですが……シャル様の方がはかなげで男心をくすぐるかと思います」
「別に男心くすぐらなくていいよ。僕だって男の子なんだからね!!!!!」
「そうは言いますが、マリー様のようにきついお顔ではないので求婚者が本当に殺到しますよ」
「冗談に聞こえないよ!!!!!」
この世界は同性婚も認められている、女性が少ないので男性の中でも子供を孕むことのできる特殊な性別もあるのだがその方たちの特徴はどなたもきれいであると言うことだ。
令嬢・子息はこの学園に通い結婚相手を探すことになっているので令嬢や子息は相手に気に入られようと美容に気を付けるのはごく当たり前の風景なのだ。
どこに出しても恥ずかしくない令嬢に仕立てられいざ学園に行くと僕は頭の中に膨大な量の情報が入り込み貧血を起こし倒れてしまった。
そこを通りかかった人に助けられ救護室に連れてきてもらったのだが……それがまさか兄と同じ学年の王太子殿下だったのだ。
僕が目を覚ますまで付き添っていてくれたらしく、目を覚ますと美しい顔が飛び込んできてびっくりした。
お礼を言うために起き上がろうとしたのだがそのままでと言われてしまいどうすればいいのかと、あたふたしているのを見られクスクス笑われてしまい顔が赤くなるのがわかった。
「お恥ずかしいところをお見せしてしまい申し訳ございません」
「可愛いね君は、名前はなんていうの?」
「マリー・グラッセです」
「グラッセ家に君のようなかわいい子がいたとはびっくりだよ」
殿下は僕の頬にキスをすると笑いながら出て行ってしまったのだ。
学園入学前に妹のマリーは原因不明の病に倒れ今後は領地で母親と一緒に暮らすことになった。
その後だ……この人たちいったい何を考えているのかと頭を抱えたくなってしまったのだ。
こともあろうに僕にマリーになりすまし学園に通えと言い出したのだ。
確かに顔は似ているし体格も似ているが、背だけはマリーより十センチも高くなっているのだ。
マリーになりすますなど到底出来っこないのにこの人たちは僕をマリーの代わりに学園に通わせたのだ。
どんな姿でも僕は学園に通えるのは嬉しかった。
それがマリーの姿であれ通えるのだ。
ただ通うまで一週間しかなかったので、伸ばしぱなしの髪をそろえて切り艶がないと髪にオイルを塗られ顔には化粧水を塗られたりと大変だった。
「シャル様もう少し我慢してください」
「まだやらなきゃいけないの?」
「もう少しですから……」
さっきからこんなやり取りばかりを繰り返しようやく終わったころにはどこからどう見てもマリーにしか見えなくなっていたので流石です。
「似ているとは思ったけどここまでとは思わなかったよ」
「こう言っては何ですが……シャル様の方がはかなげで男心をくすぐるかと思います」
「別に男心くすぐらなくていいよ。僕だって男の子なんだからね!!!!!」
「そうは言いますが、マリー様のようにきついお顔ではないので求婚者が本当に殺到しますよ」
「冗談に聞こえないよ!!!!!」
この世界は同性婚も認められている、女性が少ないので男性の中でも子供を孕むことのできる特殊な性別もあるのだがその方たちの特徴はどなたもきれいであると言うことだ。
令嬢・子息はこの学園に通い結婚相手を探すことになっているので令嬢や子息は相手に気に入られようと美容に気を付けるのはごく当たり前の風景なのだ。
どこに出しても恥ずかしくない令嬢に仕立てられいざ学園に行くと僕は頭の中に膨大な量の情報が入り込み貧血を起こし倒れてしまった。
そこを通りかかった人に助けられ救護室に連れてきてもらったのだが……それがまさか兄と同じ学年の王太子殿下だったのだ。
僕が目を覚ますまで付き添っていてくれたらしく、目を覚ますと美しい顔が飛び込んできてびっくりした。
お礼を言うために起き上がろうとしたのだがそのままでと言われてしまいどうすればいいのかと、あたふたしているのを見られクスクス笑われてしまい顔が赤くなるのがわかった。
「お恥ずかしいところをお見せしてしまい申し訳ございません」
「可愛いね君は、名前はなんていうの?」
「マリー・グラッセです」
「グラッセ家に君のようなかわいい子がいたとはびっくりだよ」
殿下は僕の頬にキスをすると笑いながら出て行ってしまったのだ。
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