嫌われ者の僕はひっそりと暮らしたい

りまり

文字の大きさ
上 下
49 / 53

48 ギルド職員たちによる失恋会

しおりを挟む
 「ちくしょーーーー
 リリーちゃんと結婚したかったよーーーーー」

 「それな!!!!
 でもあの兄や辺境伯に勝てる気がしないんだよ!!!!!!」

 酒をガバガバ飲み愚痴りだす。その中には冒険者たちも含まれどんちゃん騒ぎである。

 そんな中ちびりちびりと飲みつまみを食べているギルド長に職員は絡んでするのだがそんなおかまっている義理はねえとばかりにシッシとされてしまった職員は更なるやけ酒へと突入した。

 店のお酒が徐々に減っていき底を付き始めた頃ぽつりぽつりと床に倒れる輩が増えてきた。倒れるたびにギルド長が宿泊施設のある二階に連れて行き寝かせてくれる。若い者のように無茶な飲み方ができない代わりにちびりちびりと飲みながらそれなりの量を飲む。

 どれぐらい飲んだだろうか、最後の一人が倒れ上に連れて戻ってみるとそこには辺境伯とリリー兄が来ていたのだが、大きな樽を担いできたのか見覚えのない樽が床に転がっている。

 「おや、君以外残っていないのかそれは残念だ」

 「どうしてこちらに?」

 「そりゃーリリシャはモテるからね。
 我々をしのぐ男などそうそう出てこないだろ?
 そうなると失恋した男たちで飲むのではと思って酒を持参してあげたのだが、どうやら間に合ったようだね」

 「そりゃどうもです。
 お陰様で俺以外全員ダウンしちゃいましたし、これ以上の酒は不要です」

 「そうか、でも君はそう酔っているようには見えないがそれで足りるかい?」

 「俺も年なのでそんな無茶な飲み方は出来ませんし、明日も仕事があります」

 実に愉快そうに辺境伯は笑い、ギルド長に酒を勧め辺境伯もジュースのように飲み干す姿で諦め酒を煽った。

 かなり強いのか煽ったとたん目の前がぐらりと揺れその後のことは覚えていなかった。

 目を覚ますと部屋のベッドで寝ていたからだ。

 失態を犯したと思ったが覚えていないと忘れたことにしようと瞬時に思いそれを実行に移す。

 こうして第一回失恋を忘れよう会は幕が下りたのであった。

 その後第二回・第三回があるなど今のギルド長が知る由もなかった。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

偽りの僕を愛したのは

ぽんた
BL
自分にはもったいないと思えるほどの人と恋人のレイ。 彼はこの国の騎士団長、しかも侯爵家の三男で。 対して自分は親がいない平民。そしてある事情があって彼に隠し事をしていた。 それがバレたら彼のそばには居られなくなってしまう。 隠し事をする自分が卑しくて憎くて仕方ないけれど、彼を愛したからそれを突き通さなければ。 騎士団長✕訳あり平民

シャルルは死んだ

ふじの
BL
地方都市で理髪店を営むジルには、秘密がある。実はかつてはシャルルという名前で、傲慢な貴族だったのだ。しかし婚約者であった第二王子のファビアン殿下に嫌われていると知り、身を引いて王都を四年前に去っていた。そんなある日、店の買い出しで出かけた先でファビアン殿下と再会し──。

僕の策略は婚約者に通じるか

BL
侯爵令息✕伯爵令息。大好きな婚約者が「我慢、無駄、仮面」と話しているところを聞いてしまった。ああそれなら僕はいなくならねば。婚約は解消してもらって彼を自由にしてあげないと。すべてを忘れて逃げようと画策する話。 フリードリヒ・リーネント✕ユストゥス・バルテン ※他サイト投稿済です ※攻視点があります

婚約破棄と国外追放をされた僕、護衛騎士を思い出しました

カシナシ
BL
「お前はなんてことをしてくれたんだ!もう我慢ならない!アリス・シュヴァルツ公爵令息!お前との婚約を破棄する!」 「は……?」 婚約者だった王太子に追い立てられるように捨てられたアリス。 急いで逃げようとした時に現れたのは、逞しい美丈夫だった。 見覚えはないのだが、どこか知っているような気がしてーー。 単品ざまぁは番外編で。 護衛騎士筋肉攻め × 魔道具好き美人受け

聖女ではないので、王太子との婚約はお断りします

カシナシ
BL
『聖女様が降臨なされた!』 滝行を終えた水無月綾人が足を一歩踏み出した瞬間、別世界へと変わっていた。 しかし背後の女性が聖女だと連れて行かれ、男である綾人は放置。 甲斐甲斐しく世話をしてくれる全身鎧の男一人だけ。 男同士の恋愛も珍しくない上、子供も授かれると聞いた綾人は早々に王城から離れてイケメンをナンパしに行きたいのだが、聖女が綾人に会いたいらしく……。 ※ 全10話完結 (Hotランキング最高15位獲得しました。たくさんの閲覧ありがとうございます。)

僕はただの平民なのに、やたら敵視されています

カシナシ
BL
僕はド田舎出身の定食屋の息子。貴族の学園に特待生枠で通っている。ちょっと光属性の魔法が使えるだけの平凡で善良な平民だ。 平民の肩身は狭いけれど、だんだん周りにも馴染んできた所。 真面目に勉強をしているだけなのに、何故か公爵令嬢に目をつけられてしまったようでーー?

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

キミと2回目の恋をしよう

なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。 彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。 彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。 「どこかに旅行だったの?」 傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。 彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。 彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが… 彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?

処理中です...