嫌われ者の僕はひっそりと暮らしたい

35 兄side9

　俺はかなり焦っていた。

　王都にある実家から呼び出しがあったので帰っている間に俺の最愛のリリシャがいなくなっていたのだ。

　それもこれもリリシャに余計なことを言いやがったのだ。確かに俺に見合いの話はあったが父上も乗り気ではなかったのですでに断っているのだ。それを伯父上はいかにも俺が乗り気ですでに見合い相手と良い仲になったように言いやがっていたのだ。

　ふざけている！！！！

　自分はおびえられて同じ土俵にも上がれないのにだ。

　年の差を考えたらあり得ないのに伯父上は甥っ子のリリシャに一目惚れしたのだ。あまりのかわいさにガン見したのがそれが睨んでいるようになりリリシャを怯えさせることになったのだが、本人は自覚なくやっているので質が悪いがざまぁとしか言いようがない。

　伯父上は父上にリリシャとの結婚を打診したが断られているのに、いまだに諦めていないなんてどこまでもうざい存在だ。

　すぐに街を閉鎖したのでリリシャはまだ街にいると思うがいてもたってもいられなく俺は街の中を探し回った。

　リリシャは薬師としても優秀だから薬を卸に来た子たちをあたったが中々見つからない。

　リリシャがいなくなり寝れない日が続く俺の顔には隈がクッキリはっきりでている。それだけでなく判断力も鈍っていたのだろう、せっかく見つけたリリシャを一瞬の判断ミスで逃がしてしまったのだ。

　あの時の悔しさと言ったら言いようがない。

　やっぱり鎖につなげて閉じ込めておくしかないよね。

　俺のリリシャはすぐに逃げるんだから仕方ないよね。

　早く見つけてあっげないとね。