【完結】嫌われ者の僕はひっそりと暮らしたい

りまり

文字の大きさ
上 下
21 / 53

20 父side4

しおりを挟む
 陛下にも連絡すると事の重大さから陛下が指揮を執ることになった。

 私としてはこの上なく不満だが仕方あるまいと深呼吸した。腹の虫が収まらない、行き場を逃したものが腹の中で渦巻く。

 抑えきれない苛立ちが陽炎となって揺らめく。

 「父上落ち着いてください」

 「落ち着いている」

 「魔力が抑えられていません。
 部下が怖がっています」

 「そんなの知るか!!!!!
 リリシャにもしものことがあったら、あいつらも同じ目に合わせてやる」

 「それは同感ですが、今は怒りを収めてください」

 私は陛下の方を見るが、困ったような顔をして頷くと陛下は話始めた。

 「それで何故そのような暴挙に出たのだ?」

 「我々は魔法の練習をしていただけです。
 たまたま打った先に彼がいただけで……それに彼は平民ですから大事には至らないですよね」

 「何故初級ではなく中級の魔法の練習をしていたんだ?」

 「それは……我々は既に初級をマスターしておりますので中級の練習をしていたのです」

 「確か学園では魔法の授業の時レベル別に練習を行うんだったな、中級の彼らが何故初級に入っていたのだ?」

 「それは私から説明します」

 淡々と話す陛下は彼らの平民だからと言う言葉を丸っと無視した。それには彼らの親もあせったようでオロオロし始めた。

 「彼らは初級をマスターしたと言いますが、コントロールが出来ずに初級でもう一度練習中なのです。なので彼らの言うマスターしたと言うのは誤りであります」

 「そうなると中級魔法を扱ったのは罰則対象になるな」

 「待ってください!!!!
 何故平民ごときに魔法をぶつけただけでこんな審議が行われるのです」

 「平民……学園は平等だ。
 それにお前たちがケガをさせた子は平民ではなく上位貴族だ」

 「「「「えっ」」」」

 「彼リリシャは公爵家の次男だ。
 平等に扱ってもらうために身分を隠し学園に入学したのに……」

 彼らはもう一度一学年からやり直しをし、卒業後は騎士団に入団し精神を鍛えなおすことに決まった。

 我々家族は不服だったが、陛下の決断だ覆ることはないだろう。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄と国外追放をされた僕、護衛騎士を思い出しました

カシナシ
BL
「お前はなんてことをしてくれたんだ!もう我慢ならない!アリス・シュヴァルツ公爵令息!お前との婚約を破棄する!」 「は……?」 婚約者だった王太子に追い立てられるように捨てられたアリス。 急いで逃げようとした時に現れたのは、逞しい美丈夫だった。 見覚えはないのだが、どこか知っているような気がしてーー。 単品ざまぁは番外編で。 護衛騎士筋肉攻め × 魔道具好き美人受け

僕はただの平民なのに、やたら敵視されています

カシナシ
BL
僕はド田舎出身の定食屋の息子。貴族の学園に特待生枠で通っている。ちょっと光属性の魔法が使えるだけの平凡で善良な平民だ。 平民の肩身は狭いけれど、だんだん周りにも馴染んできた所。 真面目に勉強をしているだけなのに、何故か公爵令嬢に目をつけられてしまったようでーー?

僕の策略は婚約者に通じるか

BL
侯爵令息✕伯爵令息。大好きな婚約者が「我慢、無駄、仮面」と話しているところを聞いてしまった。ああそれなら僕はいなくならねば。婚約は解消してもらって彼を自由にしてあげないと。すべてを忘れて逃げようと画策する話。 フリードリヒ・リーネント✕ユストゥス・バルテン ※他サイト投稿済です ※攻視点があります

聖女ではないので、王太子との婚約はお断りします

カシナシ
BL
『聖女様が降臨なされた!』 滝行を終えた水無月綾人が足を一歩踏み出した瞬間、別世界へと変わっていた。 しかし背後の女性が聖女だと連れて行かれ、男である綾人は放置。 甲斐甲斐しく世話をしてくれる全身鎧の男一人だけ。 男同士の恋愛も珍しくない上、子供も授かれると聞いた綾人は早々に王城から離れてイケメンをナンパしに行きたいのだが、聖女が綾人に会いたいらしく……。 ※ 全10話完結 (Hotランキング最高15位獲得しました。たくさんの閲覧ありがとうございます。)

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

同室のアイツが俺のシャワータイムを侵略してくるんだが

カシナシ
BL
聞いてくれ。 騎士科学年一位のアイツと、二位の俺は同じ部屋。これまでトラブルなく同居人として、良きライバルとして切磋琢磨してきたのに。 最近のアイツ、俺のシャワー中に絶対入ってくるんだ。しかも振り向けば目も合う。それとなく先に用を済ませるよう言ったり対策もしてみたが、何も効かない。 とうとう直接指摘することにしたけど……? 距離の詰め方おかしい攻め × 女の子が好きなはず?の受け 短編ラブコメです。ふわふわにライトです。 頭空っぽにしてお楽しみください。

転生したら同性の婚約者に毛嫌いされていた俺の話

鳴海
BL
前世を思い出した俺には、驚くことに同性の婚約者がいた。 この世界では同性同士での恋愛や結婚は普通に認められていて、なんと出産だってできるという。 俺は婚約者に毛嫌いされているけれど、それは前世を思い出す前の俺の性格が最悪だったからだ。 我儘で傲慢な俺は、学園でも嫌われ者。 そんな主人公が前世を思い出したことで自分の行動を反省し、行動を改め、友達を作り、婚約者とも仲直りして愛されて幸せになるまでの話。

愛などもう求めない

白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

処理中です...