私の憧れの人は姉の婚約者様

りまり

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 買うものだけ買い、お城に帰ったのだが……手直が必要な洋服は直接お城に届けてもらうようになっていたのでそれだけはよかった。

 後は侍女頭のノア様に姉に合ったことを言うだけだ。

 これでまたひと騒動なければいいと思うが……無理だろう。

 お二人もセシル様に報告すると言っていた。

 早めに済ませなければいけない気がしたのだ。

 私は着替えもそこそこにノア様の執務室を訪ねた。

 トントン

 「失礼します。
 今日は一日ありがとうございました。
 有意義な時間を過ごすことができました」

 「それは良かったです。
 ところで先ほどあなたのお父様から抗議文が届いたのだけど、どういった経緯があったか説明してくださる?」

 「早っ……先ほど買い物が終わり、お茶をしていたところに出くわしました。
 散々文句を言われたのですが、それよりもお姉さまのダークさまとリュークさまを見る目が……獲物を捕らえた目だったので気になります」

 「そう、あの二人にも確認したけど、この抗議文に書かれていたことはなかったそうね」

 「何と書かれてきたのです?」

 「いくら教養を身に着けても外見と同じように心もブスだ。
 家のかわいい娘がそいつに散々文句言われ傷付いたではないか、お前のようなブスがナイトを二人も付けているから勘違いするんだ、出そうよ」

 「……」

 言葉も出なかった。

 するとドアをノックする音がし入ってきたのは五番目のお父様と一番目のお父様だった。

 「ノア、いきなり呼びつけて何かあったのか?」

 「どうもこうもないわよ!
 あなたの所の娘は何を考えているの?」

 「藪から棒に何だ?
 おや、サーシャじゃないか!!!
 少し見ないうちにきれいになったね、ここでの生活に不便はないかい?」

 「話そらすな!!!!
 この子じゃなくもう一人よ!!!!!」

 「ああ、あいつか……あいつがどうかしたのか?」

 ノア様は手に持っていた手紙を五番目の父に渡した。

 五番目のお父様はみるみる顔を赤らめ怒っているのがわかる。

 その手紙を今度は一番目のお父様が呼んだのだ。

 「ノア、教えてくれてありがとう、サーシャ迷惑をかけてすまないな」

 それだけ言うと出て行ったのだ。

 後に残った私たちは、ひとまず解散することにした。

 

 

 
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