私の憧れの人は姉の婚約者様

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　私の名前は「サーシャ」と言います。この度王子付き侍女としてお城で働くことが決まりました。

　この世界は女性が少なく家から出ることはありませんが、例外があるとすれば平民が上流階級の男をゲットするためにあえて働きに行くパタンですかね。働く場所はもちろん王宮です。

　私ははっきり言って働きに行く必要のない公爵家の娘なのですが、女性が少ないこのご時世に私の母は三人もの娘を儲けたのです。

　女性一人に最低五人の旦那さんが必要とされているのですが、母も例外なく五人の旦那さんがいるのです。

　なので、私が働きに行くからとけしてお金がないと言う訳ではないです。

　ちなみに兄が四人と姉が二人の計七人兄妹です。

　美男美女の兄妹と有名で、余談ですが私は出涸らし三女と揶揄されているぐらい兄妹とは似ても似つかない容姿に体型なのです。
　
　何故私が王宮に働きにいかなければならなくなったかと言いますと、二番目のお姉様がこの度大大大好きな騎士様と結婚することになったからです。

　幸せそうなお姉様を見るのは嬉しいです。

　先ほども言いましたが、女性が少ないため女性一人に付き五人以上の婚約者が当たり前なのです。

　お姉さまが今回結婚する相手は、侯爵家の次男で騎士として働いている方で一番目の旦那様になるのです。

　お姉さまは次女なので他に屋敷を建てなければいけないのですが、結婚が決まってから急ピッチで進められ、結婚式までには屋敷は建ちました。

　でもお姉様のお眼鏡にかなわなかったようで、内装をすべてやり直しになってしまったそうなのです。

　内装工事が終了するのが約6カ月、それまで住む場所がないからと屋敷で一緒に暮らすことになったのです。

　大慌てで騎士様を迎える準備に取り掛かっているのですが、一つだけ問題があったのです。

　お姉様の旦那様となられた騎士様にはどうやら嫌われているらしく、私がいるから同じ屋敷には暮らしたくないと言われたそうなんです。

　わかっているんです。

　この国は女性はほっそりとしていることがステータスなのです。

　髪や瞳の色こそ珍しいですが、私は自分で言うのもなんですがおデブでおブスなのです。

　体が弱かったので外では遊べず、食も細かったので食べれる物を少しづつ食べていました。

　大きくなるにつれ、食べれる量も増えていき、気が付いたらデブになってました。

　小さな頃はお母様にもかわいがられてましたが、太りだすと見向きもされなくなりました。

　その頃から、着るものは姉のお古を直して着たりしていました。

　デブの私は家族にとって汚点であり恥ずべき存在なので、私に使うお金がもったいないのでしょう。

　お姉さまはすでに五人の婚約者様がいます。

　そのうちの一人と結婚なのです。

　他の兄弟はまだですが、一応婚約者様はいます。

　お姉さまの旦那様と一緒に住むにあたり、私の存在自体邪魔なのはわかっています。

　嫌われている以上ここにはいられないのもわかっているのですが、気持ちがついて来ないのです。
　
　気持ちの整理がつかないまま平民として私は今日からお城で働くのです。