嫌われ令嬢は戦地に赴く

りまり

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 次期侯爵さまと話してから一週間いよいよ出発だ。

 もともと背は高かったので髪を短く切ってしまえば男とそんなに変わらない。

 髪を短くしたので、誰も私が入っていることに気が付かない。あちらこちらに見知った顔があり学生時代は切磋琢磨した仲間だったがあの断罪の日から私だけ裏切り者になった。

 まぁ、気が付いていても誰も言わないだろう厄介者がいなくなるのだ大喜びだ。

 皆から疎まれる人生もようやく終止符を打つことができる。

 長い陛下からのありがたい言葉が終わるといよいよだ。

 ゲートが開きまばゆい光に包みこまれ我々は現地に瞬間移動した。

 目を開けるとそこは焦げた匂いとむせかえる血の匂いに汗の匂いで少し気分が悪くなる。周りを見渡すと何もない場所にバリケードされた場所がありそこが本拠地のようだ。

 我々を待っていたのかそこの司令官だと言う人物が色々説明をしていたが私は早々に聞くのを辞めた。

 偉そうなことを言っておきながら彼はあの中に入っていない。きれいなままの鎧を見ればすぐにわかるものなのによく言えたものだと呆れてしまう。

 魔物との戦いは激戦を極め、けが人や瀕死の者が運びこまれて来る彼らを横目に司令官はまだ説明をしている。

 私は気配を消しその場を立ち上がるとけが人の運ばれたテントに向かった。

 中を覗くとポーションや治癒魔法で治癒している光景でさながら戦場のようだった。

 「ポーションはまだか!!!!!」

 「まだ城から届きません」

 「早くしなければ助かる命も助からないと言うのに……」

 今日届くはずのポーションが届かないのか彼らは絶望していた。

 私は魔法を解き彼らに声をかけたのだが、髪の色と瞳の色で私が誰だかわかったのか嫌そうな顔をされてしまった。やはり私の悪行はここまで届いていたようだ、でも私がどう思われようとどうでもいいのだ。

 「ポーションであれば少しだが持ってきているのでこれを使ってくれ」

 私は机に持っているすべてのポーションを出した。

 「これだけあれば城から届くまでの間持つでしょ?」

 「……」

 あの悪評を考えれば当たり前の反応だと思い私はポーションだけおいてテントを後にし今度は魔物と戦っている戦地に向かった。

 「状況はどうですか?」

 彼らに声をかけると一同嫌な顔をし、しぶしぶ話すといった感じで答えてくれる。

 「かなりやばい状況だ、治癒師がいないからケガ人がでる一方で戦える奴が減る一方だ」

 「そうですか、ありがとうございます」

 私は彼らから離れると倒れている仲間を魔法で治していき、息絶えているものはマジックボックスに収納していった。一人でも多くの者を家族の元に戻してあげたい。

 魔物と闘いつつ治癒と遺体の回収を行っていった。

 実を言うと私は全属性持ちで光魔法が得意で。魔力量もかなり多く冒険者としてかなり名前を売ってきた。

 冒険者たちは私の顔を見ると元気を取り戻し私の補佐をするような戦い方になっていった。

 あんな家族なので私の魔力鑑定はしてもらえず、騎士学校に入学するときは魔力なしで入学した。

 先生に説明をし特例で魔力鑑定をしてもらったところ全属性持ちだと判明したが、私の置かれている状況を考慮し家族には知らせないでおいてくれたのだ。

 本当に感謝しているし、休みの日は教会で奉仕活動をしながら治癒魔法を聖職者の方々に教えを乞うているので中々の使い手になっているとお墨付きをもらったぐらいだ。

 私たちは半減した魔物相手に剣を握り相手に向かって突進した。

 


 
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