上 下
31 / 31

31

しおりを挟む
 それから数日は本当に静かだった。

 静か過ぎてあのことが嘘なのではと思ってしまったぐらいだ。

 だから油断していた。言い訳にしかならないが本当に油断していたのだ。

 騎士科の授業で移動するときそいつに合った。

 「おや君は本当に授業を受けていないんだね。
 淑女とは名ばかりの阿婆擦れだと聞いたが本当だ」

 「……」

 私の格好を見ることなく授業を受けていないと言語し尚且つ阿婆擦れと来た。

 殿下たちの顔が見る見る強張っていき能面のようになっているのにこいつは気が付かないのだ。

 護衛についていた騎士たちも殺気だっている。

 本当に危機管理能力皆無だろこいつ!!!!!!

 私は無視し通り過ぎようとするといきなり手首をつかんできた。

 「無視するとはいいご身分だな、婚約者に対して失礼だろ」

 婚約者と言う言葉で私は走馬灯のようにあの頃のことがよみがえってきた。

 私は意識を保つことが出来ずに意識を失ってしまった。



  殿下side


 突然意識を飛ばしたレナを俺は抱き上げ救護室に連れて行こうとしてまだレナの手首を掴んでいるそいつを騎士たちによって捉えさせた。

 「離せ!!!!
 俺様を誰だと思っているんだ!!!!!」

 「お前が誰だってかまわないさ、こいつを牢屋に放り込んでおけ」

 「はっ」

 騎士に引きずられて行くそいつを横目に俺たちは急いだ。

 記憶のフラッシュバック。

 過酷過ぎる記憶を閉じ込めていたものが一気に押し寄せてきたのだろう。

 俺たちはあいつが許せなかった。

 幼い少女を家から追い出し死ぬ思いまでさせた。

 死んでいたかもしれないと聞かされた時そいつとレナの妹を秘密裏に殺そうかと思ったぐらいだ。

 あいつらは絶対許さない。

 何が何でもあいつらだけは簡単に死なせないからな!!!!!

しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

私と結婚したくないと言った貴方のために頑張りました! ~帝国一の頭脳を誇る姫君でも男心はわからない~

すだもみぢ
恋愛
リャルド王国の王女であるステラは、絶世の美女の姉妹に挟まれた中では残念な容姿の王女様と有名だった。 幼い頃に婚約した公爵家の息子であるスピネルにも「自分と婚約になったのは、その容姿だと貰い手がいないからだ」と初対面で言われてしまう。 「私なんかと結婚したくないのに、しなくちゃいけないなんて、この人は可哀想すぎる……!」 そう自分の婚約者を哀れんで、彼のためになんとかして婚約解消してあげようと決意をする。 苦労の末にその要件を整え、満を持して彼に婚約解消を申し込んだというのに、……なぜか婚約者は不満そうで……? 勘違いとすれ違いの恋模様のお話です。 ざまぁものではありません。 婚約破棄タグ入れてましたが、間違いです!! 申し訳ありません<(_ _)>

婚約者は私を愛していると言いますが、別の女のところに足しげく通うので、私は本当の愛を探します

早乙女 純
恋愛
 私の婚約者であるアルベルトは、私に愛しているといつも言いますが、私以外の女の元に足しげく通います。そんな男なんて信用出来るはずもないので婚約を破棄して、私は新しいヒトを探します。

お父様お母様、お久しぶりです。あの時わたしを捨ててくださりありがとうございます

柚木ゆず
恋愛
 ヤニックお父様、ジネットお母様。お久しぶりです。  わたしはアヴァザール伯爵家の長女エマとして生まれ、6歳のころ貴方がたによって隣国に捨てられてしまいましたよね?  当時のわたしにとってお二人は大事な家族で、だからとても辛かった。寂しくて悲しくて、捨てられたわたしは絶望のどん底に落ちていました。  でも。  今は、捨てられてよかったと思っています。  だって、その出来事によってわたしは――。大切な人達と出会い、大好きな人と出逢うことができたのですから。

女官になるはずだった妃

夜空 筒
恋愛
女官になる。 そう聞いていたはずなのに。 あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。 しかし、皇帝のお迎えもなく 「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」 そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。 秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。 朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。 そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。 皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。 縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。 誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。 更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。 多分…

本日私は姉を卒業します!

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
公爵令嬢のアンジェリカには双子の妹アンジェラがいる。 生まれたのが数秒早かっただけで人生こんなに変わるもの⁈と思う程の依怙贔屓。 アンジェリカは妹の我儘に付き合わされながら日々を過ごしてきた。両親も何故か妹には甘々で、正直平等など存在しない。 ある日妹のアンジェラが王太子の元へ嫁ぐ事になり婚姻の儀が執り行われた。他国の来賓者達も出席する中アンジェリカはある事を実行に移す。アンジェラの姉として王太子とアンジェラに祝いを述べた最後に。 「アンジェラ、私は本日で貴女の姉を卒業します」と宣言した。無論周囲は騒然とする。妹は呆然と立ち尽くし、王太子は王太子妃を侮辱したとして不敬罪だと激怒し、国から追放すると言う。 アンジェリカは覚悟の上だったが「なら彼女は僕が妃に貰うよ」と隣国の王太子が名乗りを上げた。彼は超がつく程の美男子で実は妹が以前アプローチをしていた人物だった。妹は発狂して…婚儀はめちゃくちゃに…。

これでも全属性持ちのチートですが、兄弟からお前など不要だと言われたので冒険者になります。

りまり
恋愛
私の名前はエルムと言います。 伯爵家の長女なのですが……家はかなり落ちぶれています。 それを私が持ち直すのに頑張り、贅沢できるまでになったのに私はいらないから出て行けと言われたので出ていきます。 でも知りませんよ。 私がいるからこの贅沢ができるんですからね!!!!!!

余命わずかな私は家族にとって邪魔なので死を選びますが、どうか気にしないでくださいね?

日々埋没。
恋愛
 昔から病弱だった侯爵令嬢のカミラは、そのせいで婚約者からは婚約破棄をされ、世継ぎどころか貴族の長女として何の義務も果たせない自分は役立たずだと思い悩んでいた。  しかし寝たきり生活を送るカミラが出来ることといえば、家の恥である彼女を疎んでいるであろう家族のために自らの死を願うことだった。  そんなある日願いが通じたのか、突然の熱病で静かに息を引き取ったカミラ。  彼女の意識が途切れる最後の瞬間、これで残された家族は皆喜んでくれるだろう……と思いきや、ある男性のおかげでカミラに新たな人生が始まり――!?

溺愛されている妹がお父様の子ではないと密告したら立場が逆転しました。ただお父様の溺愛なんて私には必要ありません。

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるレフティアの日常は、父親の再婚によって大きく変わることになった。 妾だった継母やその娘である妹は、レフティアのことを疎んでおり、父親はそんな二人を贔屓していた。故にレフティアは、苦しい生活を送ることになったのである。 しかし彼女は、ある時とある事実を知ることになった。 父親が溺愛している妹が、彼と血が繋がっていなかったのである。 レフティアは、その事実を父親に密告した。すると調査が行われて、それが事実であることが判明したのである。 その結果、父親は継母と妹を排斥して、レフティアに愛情を注ぐようになった。 だが、レフティアにとってそんなものは必要なかった。継母や妹ともに自分を虐げていた父親も、彼女にとっては排除するべき対象だったのである。

処理中です...