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 「お前レナだろ?」

 名前を呼ばれ振り向いたがまったく覚えのない顔に私は首をかしげた。

 私の顔を見た殿下たちが私の前に出て私を隠してくれる。

 覚えはないが私の頭には警鐘が鳴っていた。こいつにかかわってはいけないと言っているのだ。

 「顔色が悪い、保健室に行こう」

 「そうだな」

 私はレオン殿下に横炊きされ保健室に連れてこられた道中、黄色い悲鳴があちらこちらから聞こえいたたまれなかったのは言うまでもない。

 あの顔は見覚えがないなのに私の中で警鐘がなっているということは一度あっている。

 どこでだ……どこであったんだ。

 思い出せない。

 だけどあいつには二度とあってはいけないと思うのだ。

 益々気持ちが悪くなりぐったりと殿下に体を預けるかたちになったが、まぁ大丈夫だろう。

 いい加減だと言いたいだろうが今はこの腕の中が一番安心するのだから仕方ない。

 考えれば考えるほど誰だかわからない。

 保健室に連れて行かれ寝かされたが、兄さまが迎えに来てくれるまで震えていた。

 兄さまに事情を話すと物凄い顔になってしまったが、兄さまは心配するなといい安心させてくれた。

 家に帰り薬を飲まされ眠りについた。

 まどろみの中兄さまとお父様の声が聞こえた気がしたが気のせいだったのかもしれない。




 「父さんどういうことですか?」

 「確かにレナとの婚約ではなくシナとの婚約にしたんだ」

 「あの調子だとまたレナに危害を加えます」

 「そうだな」

 「俺は殿下たちに知らせますが、もう一度レナに危害を加えるようなことがあれば俺はあいつを許しません」

 「わかっている」

 そんな会話がなされていたことは心ここにあらずの私は知らなかった。

 でも会話から私に声をかけてきた人物が私には害にしかならないことはなんとなくわかった。
 

 
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