邪魔者は消えようと思たのですが……どういう訳か離してくれません

りまり

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 あっという間に学園に入ることになり王都に行くことになったのだが……お兄さまの笑顔が怖いのです。

 私はこれでも辺境伯の娘ですから入学するのはもちろん騎士科なのですが……どうやらお兄さまはそれがお気に召さないようで朝から仏頂面なのです。

 「いい加減にしなさい、騎士科なら自分より強い女など嫁にはしたくないはずです。
 このままでいけばシオンの花嫁なんですよ。
 男ならドンと構えていなさい」

 「どうせ俺は許容範囲が狭いですよ。
 それは仕方ないではありませんか!!!!
 同じ学年に殿下たちがいるんですよ。
 あの人たちに気に入られれば手の届かない所に行ってしまうではありませんか!!!!!」

 どっちみち気に入られれば手も足も出ないですよね。

 だいたいお話に聞く殿下たちはハイスペックな人たちで、女性に対してもかなり高い教養を求めていると風の噂で聞いた。

 「お兄さまそれはありませんよ。
 王妃になるためにはそれなりの教養が必要だと聞きました。
 私が入学するのは騎士科です。そんな女を王妃にとは思いませんよ」

 私はお兄さまに笑って答えた。

 「お前は分かっていないんだ。
 あの人たちはそんなこと気にするような人たちじゃないんだ」

 お兄さまは一体何を心配しているんだと思うのだが……お兄さまはあれ以来本当に嫉妬深いのだ。

 「お兄さま大丈夫です。
 大好きなのはお兄さまですよ」

 そういうとお兄さまは蕩けるような笑顔で私を抱きしめてきた。

 マジでお兄さまは私を口説いてくるようになって少し困っているのだが、それを言うとお兄さまは私を屋敷から出してもらえなくなるのだ。

 「シオンは遠慮しなくなったみたいだね」

 「対応に困ります」

 「それだけ本気だったんだろ、いい加減諦めたらどうだい」

 「それはそれで負けたような気がしますし……」

 「程々にしないとシオンを誰かに取られちゃうからね」

 「そうですね。
 でも私と結婚するよりいいと思います。
 お兄さまを愛してくれる人の方がお兄さまも幸せだと思うます」

 「そうとは限らないけど……シオンも言い寄られているようだから時間の問題だね」

 おばあさまは何が可笑しいのか笑いながら去っていった。

 時たまおばあさまの行動がわからなくなってくる。

 「レナこれからは俺のことをシオンと呼んでくれ」

 「お兄さまはお兄さまだよ」

 「大丈夫だ、父上も賛成してくれているから卒業したら婚約して結婚だ」

 兄よ話を進めないでくれ!!!!!!

 最近の兄は話が通じないのは困るよ!!!!!!
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