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 祖父母の屋敷に住んでからは快適な生活が送れていた。

 ここには私を無視して行く侍女も虫けらを見るような目で見てくる母もいないのだ。ただ一つ不満と言えば思う存分稽古が付けられなくなったことぐらいだろうか?

 それもお兄さまとおじいさまが時たまお相手してくれるがそれだけじゃ物足りないのだ。

 その分マナーやダンスといった授業が増えた。

 今更感満載だし、体に大きな傷がある以上結婚は見込めないと思うのでできれば冒険者としてやっていきたい。

 「お兄さま平和ですね」

 「そうだな、俺としてはこのまま何事もなく平穏ならいい」

 「同感です。ですがあの妹ですよ……何かしらあると思いませんか?」

 「あれは強烈だからな……」

 私たちは本当に穏やかに暮らしていたのだ。

 悪いことをすれば怒られ、いいことをすれば褒められるという当たり前のことを屋敷で働いている使用人たち自然にやってくれたのだ。

 はっきり言えば屋敷で働いている使用人も家族と言っていいほどはっきり物事を言ってくれた。

 祖父母たちの元に来て三か月が過ぎた頃嵐が向こうから来たのだ。

 マジ勘弁して欲しい嵐は我が物顔で屋敷に入り、祖父母の言うことを聞かずにやりたい放題やった。

 「何で私がこんな目に合わなければいけませんの!!!!!」

 「いい加減にしないか!!!」

 「うるさいですわ!!!
 何もできないくせに偉そうなこと言うんじゃないわよ!!!!」

 「……何もできないですって、ふざけんじゃないわ!!!」

 私は声に魔力を込め怒鳴った。

 「私より魔力量も、剣術も出来ないシナが何を言うの?
 何かしら、マナーが出来ないとかダンスが出来ないとか思っているの?
 それとも刺繍?
 私が出来ないと思っているの?」

 「思っているは、私は先生から完璧と言われているのよ」

 「先生それは本当ですか?

 「それはおかしいですね、シナ様はお身体が弱いからと散々おさぼりしましたよね?
 はっきり言ってレナ様の方がすべてにおいて優秀で、これ以上は王妃教育になりますので今は他のお勉強をしているぐらいです」

 「中途半端のシナはもう一度始めから習った方がいいわ、何しに来たかわからないけどここにあなたの居場所はないわよ」

 「……レナのくせに生意気なのよ!!!
 お兄さまを返してよ!!!!!
 お兄さまはシナのお兄さまなんだから!!!!!!」

 シナは何を言っているんでしょうか?
 
 お兄さまのお顔がすごいことになっているんですけど………

 あのお顔が見えないなんてすごい神経しているんですね。

 あっ、そろそろおじいさまとおばあさんが帰ってきますね、シナは魔力を封じられていますが念の為、この屋敷には私とお兄さまで状態異常回復の魔法が結界とともにかけてあるので使用人さんたちには魅了の魔法はかかりませんよ。

 もちろん本家の方も施してきましたので、イライラしてこちらに乗り込んできたのは言うまでもありませんね。

 

 

 
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