邪魔者は消えようと思たのですが……どういう訳か離してくれません

りまり

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 もがき苦しみのたうち回った後気を失ってしまった辺境伯をギルドマスターがベッドに運んだのだ。

 それなりにガタイのいい辺境伯をいとも軽く運べるのもこれも魔法の力で身体強化の魔法である。

 確かに属性によって使える魔法は限られているが、生活魔法として使える魔法はそれぞれ持っているので属性に関わらず使うことが出来るのだ。

 冒険者として身体強化魔法は必須で、それを身に着けるのに二年はかかるのだ。

 そのほかにも使える魔法は色々あるが、兎に角大小あれど魔法が生活の一部になってしまっている。

 「あの黒い陽炎が辺境伯を支配していたのですね」

 「これで少しはレナに対する態度が改まればいいのだが……」

 「レナちゃんかわいそうです」

 「俺たちが言えた立場じゃないだろ、今回のことで見捨てたのは確かなんだから……だからこれぐらいはしてやらないと……それだって自己満足でしかないけどな」

 「そうですね。レナちゃんがいると援軍送ってもらえないと思って追い出したんだから辺境伯のしたことと変わりありませんよね」

 ギルドマスターと受付嬢はレナの無事を祈った。

 気を失っているはずの辺境伯の目から涙が零れ、「レナごめん」と繰り返し呟いた。

 そのすぐあと重症のレナを連れて帰ってきた冒険者たちによる治療がおこなわれた。

 レナの兄のレオンは全属性持ちで彼を中心に治癒魔法で治していったが、流れた血が多かったのか中々目を覚ますことがなかったのだ。

 その頃には目を覚ました辺境伯により魔物の討伐がおこなわれ完全勝利に終わったのだが、レナは目を覚まさなかった。

 
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