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 私たちには多少なりとも魔力があり属性によって使える魔法が違うのだ。

 私とお兄さまは全属性持ちで、魔力量も多く剣術とともに魔法も習っていたのだ。

 それに比べ妹は闇属性で魔力量も少なく、体が弱いということで剣術も魔法も習わなかったのだ。

 もしこの異常が妹の持っている闇属性によるものなら、妹は魔力を封じられ一生出てこれない修道院に入れられてしまうだろう。

 それぐらい闇属性は危険な属性なのだ。

 知っているはずの両親が何故と思うが、無意識に魅了の魔法を使っているのならあの子が王都に行けば大変なことになるのが目に見えていた。

 私や兄が魅了にかからないのは闇属性を持っているからに過ぎない。

 そんなことを思いながら私はウトウトしていた。

 その頃ようやくギルドのある大きな街に入ることが出来た辺境伯軍にギルドマスターは慌てて出てきた。

 「遠路はるばるありがとうございます」

 「ここに来る途中かなりの魔物に出くわしたが、かなりひどいな」

 「それに魔物除けの施されている小屋も破壊されていた」

 小屋の破壊を知らせるとギルドマスターだけでなく周りにいた冒険者たちもすごい顔になった。

 「小屋が破壊されていたって……あの子は無事なんですか?」

 「あの子とは……?」

 「辺境伯のご息女です!!
 あの小屋で一人で暮らしているんですよ!!!」

 「やっぱりあの子を一人にするんじゃなかった……いくら辺境伯の力を借りるからって……」

 「妹は無事に暮らしていたのですね!!!」

 「すみません、辺境伯の力を借りるためご息女にはここに近寄らない様にしてもらっていたのです」

 「そんな……」

 一人の冒険者が森に向かって走り出したのをきっかけに数人が後に続いた。

 「辺境伯にはこれを付けてもらいます」

 「これは?」

 「ご息女の話を聞き急遽作らせたものです。
 状態異常回復と言う魔法が込められた魔石をブレスレットとにしてあります」

 「これを付けるとどうなるんだ?」

 「今あなたは魅了と言う魔法にかかっています。
 それははっきり言えば禁忌の魔法と言われているのです」

 「私はそんなものにかかっていないぞ!!!」

 「それとこれから戦う魔物の中には幻覚や麻痺など毒を含む魔物もいますので、付けておくに越したことはありません」

 そう説得し、付けさせると辺境伯の体から陽炎のような黒い煙が立ち上りいきなり苦しみ出したのだ。

 

 
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