悪役令嬢の兄になりました。妹を更生させたら攻略対象者に迫られています。

20

　お城に着くとご機嫌な先生に抱き上げられ城の中を歩いている。

　それは数分前のことだ普通に抱き上げようとするので断ったのだ。

　断るとそれはそれは悲しそうな顔をしてこちらを見るではないか！

　「どうしてもだめ？」

　首をコテンと斜めに倒しアピールする姿があざといと思ってしう。

　「うっ……ダメじゃないです」

　俺はとうとう負けてしまい今に至るのだ。

　かなり目立っているのだ。

　通る人通る人がこちらをじろじろ見ているんだよ。

　目立ちたくなくても目立っているんですけど！

　「これはこれは王弟殿下ではありませんか、そんなに慌ててどうされたのですか？」

　「チッ、嫌な奴に会った」

　舌打ちしました、この人舌打ちしましたよ！

　それも王弟殿下ですって、なんでそんな人が学校の教師やってんですか？

　「それを聞いてどうする」

　絶対零度です。

　俺こんな先生見たことないです。

　いつもニコニコしているからこんな怖い先生初めてです。

　相手もビビったのか慌てて去っていった。

　「すまん、怖がらせてしまったな」

　まだ体の震えは収まらないが、先生の首にしがみ付いた。

　「大丈夫、ちょっとびっくりしただけだから」

　先生は俺をあやす様に背中を撫でてくれ、当初の目的の王妃様に会いに向かった。

　王妃様とはすぐに会うことが出来たが、かなり不機嫌だ。

　「あれと会談したのですか？」

　「ああ、自分の娘を売り込んできた」

　「あれで美人と言っているんですから、鏡を見たことがないのですかね」

　「あれが美人ならルーチェちゃんの女装姿など絶世の美女じゃ」

　「ルーチェ君の女装姿ですか？」

　「ああ、それはそれはかわいかった」

　「……いいかも……」

　なんだろう、思っていたのと違う。

　こっちの先生がチャラいんですけど……

　「先生がいつもと違うんですけど……」

　「こ奴は人見知りでな、人前だと少し陰のあるキャラに見えるんじゃ、本当の姿はこっちなんだがな」

　「……ミステリアスな先生がぁぁぁ～」

　俺はがっくりとうなだれてしまった。

　「本当にかわいい♥」

　「……なんか身の危険も感じるんですけど……」

　「大丈夫だ、それについては影に見張らせているからもしもの時は助けてくれる」

　「マジですか、危ない人に今まで抱き上げてもらっていたんですか！」

　俺は叫び自分の愚かさを嘆いた。