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 キルが去ってからのお茶会は殺伐としていた。

 なぜか他のメンバーが恐ろしい形相をしていたのだ。

 「殿下、俺は白昼夢を見ているのでしょうか?」

 「大丈夫だ、俺にも見えた」

 「この世の終わりです」

 「何も大袈裟な」

 「ルル嬢、大袈裟ではないのです」

 「そうですよ、ましてやあの氷の騎士の氷を解かす令嬢が現れたのですから」

 「……」

 あれだけ自然にやってのけたのだからかなり手馴れているんじゃないかと思っていたのだが、違っていたらしいのだ。

 誰にもなびかない、氷の騎士。

 その話題で持ちきりになり時間があっという間に過ぎって行った。

 馬車の中で今日の出来事を話すとやはり両親も固まってしまったのだ。

 「女装はおうちの中だけにしないとやばいですわね」

 「そうだな、氷の騎士に目を付けられるとはかなり緊迫しているからね」

 「お父さま、あの笑顔は犯罪ですわ」

 妹よなぜ嬉しそうに話すんだ!

 なぜ目をキラキラさせているんだ!

 妹の姿に俺は遠い目をしてしまった。

 その日を境に引きこもることにしたと言いたいのだが、できなかった。

 何かにつけたお城から招待状が届き、無視したいのだが無視することもできづにいる。

 結論から言えば、キルには男の子の格好でもあったのだがすぐにばれてというより始めからわかっていたそうで、無意識の笑顔だったそうだ。

 これが無意識で出るなんてすごい、この笑顔を見たご婦人が今医務室に運ばれていった。

 キルの笑顔の破壊力に医務室は今日も繁盛していた。

 キルの人気は今じゃうなぎのぼりだ。

 絵師によるキルの笑顔の似顔絵もかなり売れているとのことで、感謝のしるしに俺はドレスをプレゼントさてれしまったのだが、なんで男の子の格好をしている俺にドレスプレゼントするかなと絵師に聞くと、むろん絵になるからだそうだ。

 キルはどっちでもいいそうなので、無理してまでドレスを着る必要はないですね。

 行けばキルと一緒にいるので、俺が一人で歩いているとどこからともなくご婦人がキルを読んできてくれる。

 キル俺が来ているのがわかると探してくれているそうだ。

 どうやらご婦人たちに頼んでくれているらしいと最近になって判明したことだ。

 騎士団はと言えば、氷を溶かしてくれたと感謝され、護衛にどうぞとあてがわれたのだ。

 小さな俺を抱き上げて運ぶキルの笑顔は蕩けるような笑顔です。

 
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