悪役令嬢の兄になりました。妹を更生させたら攻略対象者に迫られています。

8 王子様(クロード）side

　俺の名前はクロードだ。

　俺はこの国の王子だから、きちんとした態度でないと見下されてしまうと父上と母上に言われている。

　だから、人前では立派な王子様を演じているが、普段はそれはそれはだらだらとした生活を送っているのだ。

　見えないところでダラダラするのはいいだろ！

　年がら年中シャンとしていたら疲れてしまう。

　そんな時、母上がお茶会をやるからいらっしゃいと言われ渋々行ったら、俺はラッキーだったと思う。

　他の令嬢はうきうきとしているのにその令嬢はつまらなそうにしているのだ。

　俺が側に行っても鷹揚のない顔で挨拶されるし、この反応特別扱いされないことに嬉しさを覚えた。

　だから無理矢理友達に引き入れたのだが、もう一つ楽しみがあった。

　彼女の名前はリーシェと言うのだが、リーシェには兄がいるのだ。

　父上がその兄に会いたいから連れて来いと言っても公爵は連れてこない。

　そんな兄に会いたく、無理矢理お泊り会を実行したのだが、予想以上の美人ぶりに俺は夢中になりアプローチしまくった。

　しまくるだろ、しぐさはかわいいし困った顔など見惚れてしまう。

　それなのに嫌味でなくかわいい仕草はそれだけで誰もが虜になるかわいさだ。

　これは父上に合わせてはいけないレベルだ。

　彼を合わせたらそれこそ囲い込んでしまう。

　それに、俺があえなくなってしまう。

　父上は基本母上一筋だから後宮などないが、彼を見たら彼の為の宮を建て彼をそこに住まわせ誰にも合わせなくなるのは目に見えている。

　そんな中、とうとうお城でお泊り会をすることになってしまった。

　渋る俺をしり目に父上は楽しそうだ。

　輿入れ用の豪華な馬車を用意し迎えに行かせたのだ。

　お茶会の席は父上の好きなガゼボでするし、それはそれは至れり尽くせりだ。

　なんか企んでいる顔をみて一抹の不安を覚えた。

　俺は密かに母上に連絡しておいた。

　父上の暴走を防ぐには母上が一番だ。

　予想した通り、俺たちに一服盛り寝ているところを連れて行かれた。

　父上の部屋に行くと、全裸の上に情事の後のように体中にキスマークさえこさえてやがる。

　憤りを通り過ぎて冷静になり、頭はさえた。

　母上に連絡させ、まずはルーチェの奪還が最優先だ。

　ようやく表れた母上の顔はそれはそれは恐ろしいお顔をしておられた。