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 王都に向け馬車を走らせてます。

 今日で何日目でしょうか?

 こんなに王都が遠いとは思いませんでした。

 お尻が痛いです。

 十歳になると王宮で開かれるお茶会に出席しなければならないのだ。

 貴族としての義務だと言っていました。

 本当は行きたくなかったんです。

 どうせ、また笑われるのが関の山ですから……

 ちなみに二人のうち一人は領地を守るためにお留守番です。

 一緒に来ている父上さまは騎士団長を務めている方です。

 ちなみにこちらの父上さまのお名前はハルトと言います。

 母上さまはセイと言い、今回お留守番の父上さまはリューンと言うのです。

 ハルト父上は金髪碧眼の王子さまと言っても通じるぐらいのイケメンさんです!!!

 セイ母上さまは銀色の髪と瞳でイケメンさんです。

 リューン父上さまは紫紺の髪に紫の瞳のイケメンさんです。

 俺は白銀の髪にペリドットの瞳で、この人たちの子供にしてはかなり劣る容姿をしています。

 多分俺は養子だと思います。

 なので、俺のせいで二人が恥をかかせないか心配なのです。

 自分がいくら笑われようと虐められようとかまわないです。
 
 でも家族が笑われるのはいたたまりません。

 王都に着くまでの十日間、殆ど食事が喉を通らなかったのです。

 ちなみに体系はコロコロと転がった方がいいぐらいの丸太です。

 食べるのが好きで、剣術の練習もするがそれ以上に摂取カロリーが多いのか痩せないのだ。

 こんな子豚みたいなのを連れて行って大丈夫なのだろうかと心配になるのだ。

 王都にあるセカンドハウスに滞在中もほとんど食べることができず、だからと言って何もしないのは余計に色々考えてしまうので剣術とジョギングをしていたのだ。

 「シン、お前だいぶ痩せたな」

 「そうですか、少しは見れるようになったのならよかったです」

 王都に来てさらに十日が過ぎ、いよいよお茶会当日になってしまった。

 俺は鏡に映る自分の姿を見て、幾分かは見れるようになって良かったと思った。

 ハルト父上さまとセイ母上さまに促され馬車に乗り王宮を目指したのだ。

 王宮の庭ではすでに何組かの家族が来ていて、ハルト父上さまを見ると挨拶に来たのだ。

 「ハルトさまお久しぶりです、この子が秘蔵っ子のシン君ですね」

 「ああ、初めてなもので緊張してるようなんだ」

 「初めまして、シン ティスコです」

 俺は自己紹介をし貴族の礼でボウ・アンド・スクレープをした。

 ボウ・アンド・スクレープは女性でいうところのカーテシーと同じなのだ。

 執事に礼ぐらいはきちんとしろと言われ、練習させられたのだ。

 今思えば執事よありがとう!!!!!!

 次々と挨拶に来る人達に自己紹介をし礼をする。

 顔には笑顔を張り付けておくのが基本だと言われたが、いい加減はがれそうなんですけど!!!!

 はがれる前に主役が来てくれて、もう一度張りなおす事に成功した俺は胸をなでおろした。

 
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