もう一人のオレがみんな美少女で家に住みついてますが何か

草薙銀之介

文字の大きさ
上 下
83 / 83

第十五話 霧坂実瑠のスイッチトライアル 6

しおりを挟む
「イヤッ! 絶対イヤッ!」

 数日後のある夕方に実瑠が玄関外の廊下で叫ぶと、優花が俺の自宅インターホンを鳴らして、SOSを押し込むから外へ出た。

 インターホンは鳴っても廊下の容子に見当を付けて、小説の作業を無理に中断して出ると、知らない男が実瑠の手を掴んでいる。

 よさないかと無い根性を奮おうとすると、実瑠がある言葉を抵抗しながら口走って、俺の足と頭からが一瞬固まって仕舞った。

「絶対帰らないって云ってんでしょっ!
 止めてっ! パパっ!」

(ん? パパ……?)

 「早く助けてあげて」と優花が煽るも、実瑠のパーパンが参上して仕舞っている現状では、何をどうすればいいのだろうか。

 もうすぐ夕飯だろうからそれまで時間を稼げるか、それともこのまま返還を許すのか、左も無ければ一旦お茶にして……。

 僅かに閃いたそれを実行して時間を稼ぎながら、奈津美さんの指揮を待った上で、相応の処置を講じる方がいいかも知れない。

 優花と合わせてトリマお茶をと実瑠に免じて、優花が誘導する間に例のLINEで報告してから、俺も失敬しながら峰輿宅にあがる。

 しかし、一定の条件下以外での対話を可能としない俺は、引き留めたのは良くも無言で立ち会うが、優花ですら実瑠パパに苦戦。

 案の定にして沈黙を推すに推して、我らがアークエンジェルをひたすら待っていると、無意味に待機を強いられて苛立つ実瑠パパ。

 そこへ紫英流のお茶が冷め切って放置が極まると、真の家主・奈津美さんの帰宅に、やっとの事で開放されると空気が晴れる。

 普段着に換装していよいよ奈津美さんの聴取が、一同に向けて始められると、開幕即行から裏の実瑠が泣きつくと現状を確認。

 親が怒りを見せるのは否定しなくも、把握している事情から見るからに典型的に、『親だから何でも赦されると勘違い』している。

 この瞬間にもある様に、『高圧的』かつ『利己的』に勝手や猛威を振り廻しては、存分にハラスメントの限りを尽くしている。

 そんな相手には現状と被害意識と勘違いを突きつけて、実態を提示した上で当人には引き返す様に、どうにか誘導するしか無い。

 この手の親に返上して仕舞っては、『被害再発のリスクが極めて高く精神を殺される畏れ有り』と、実瑠の為にならないのは明白。

 これが有価の場合も同様で、最早ゾンビ化を強要されては仁または人間として、その生涯を全面的に人的権利ごと放棄するに同じ。

 更に二重人格まで誕生する程に、あらゆる事を蔑ろにされて或る条件に従って俺を頼るから、余程その利権に値しないだろう。

 その様な事も添えて峰輿家で預かると提示しては、実瑠パパもやや青くなりながら尚怒るか、奈津美さんの眼が空気を凍らせる。

 ギラギラに据わった眼で実瑠パパを圧し込む様に刺すと、最早これまでかと怯んだところへ、更に奈津美さんの一言が砌る。

「兎に角実瑠さんはウチで
 預かりますので……。」

 メンタルブレイカー兼パワハラモンスターの実瑠パパは、萎びた背中を更に萎びさせて、呆然と青いまま車で場所を移した。

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

パワハラ女上司からのラッキースケベが止まらない

セカイ
ライト文芸
新入社員の『俺』草野新一は入社して半年以上の間、上司である椿原麗香からの執拗なパワハラに苦しめられていた。 しかしそんな屈辱的な時間の中で毎回発生するラッキースケベな展開が、パワハラによる苦しみを相殺させている。 高身長でスタイルのいい超美人。おまけにすごく巨乳。性格以外は最高に魅力的な美人上司が、パワハラ中に引き起こす無自覚ラッキースケベの数々。 パワハラはしんどくて嫌だけれど、ムフフが美味しすぎて堪らない。そんな彼の日常の中のとある日の物語。 ※他サイト(小説家になろう・カクヨム・ノベルアッププラス)でも掲載。

シチュボ(女性向け)

身喰らう白蛇
恋愛
自発さえしなければ好きに使用してください。 アドリブ、改変、なんでもOKです。 他人を害することだけはお止め下さい。 使用報告は無しで商用でも練習でもなんでもOKです。 Twitterやコメント欄等にリアクションあるとむせながら喜びます✌︎︎(´ °∀︎°`)✌︎︎ゲホゴホ

処理中です...