もう一人のオレがみんな美少女で家に住みついてますが何か

第六話 押しかけメイドは離さない 5

　真胡都が漫画を読み終わるのを待ってから、いよいよ食戟会場へと向かうが、ある程度予想していても期待値は高い。

　奈津美さんの鉄板料理と紫英流の高級そうな料理、二種類の料理は一方のハンデはあっても、並べは壮観の食卓になるだろう。

　夕食の時間になって参上すれば、既に料理が半分以上も並んでいて、萌香・実瑠・優花の三人が、食戟料理を並べていた。

　偶然童子の真胡都は色合いや旨香に、どんな食材をどのようにして調理したかを、当てずっぽうに推理し始める。

「奈津美さんの方は米の艶や形が崩れること無く、鮭の塩焼きも脂がのって鮭らしさが活きて、煮付けも朝から漬けたか色が深い。

　紫英流さんの方はハンバーグのデミグラスソースに、高級食材の松茸や日光で良く育った、適温での最適な環境にあったものか。

　ソース自体も恐らくオリジナルで、ひき肉との相性と完璧に合せてあるだけでなく、じっくりと煮込んで寝かせたのか。

　スープもコーンと芋のミックスか、コーンの強い独特な甘味と簡素ながらもマイルドなジャガイモや人参等に少量のバジル。

　スープもソースもじっくりと煮込んだ上で、半日程度寝かせてあるとすれば、……駄目になったりしないのかな……。」

　料理漫画で研究した探偵の成果はソコソコにして曖昧に、それでも奈津美さんは元より、紫英流も本気で組み立てている。

(御主人様のためにもなんとしても勝つ！)

　どちらも限られたスペースや環境でも、実に正確かつスピーディでシームレスな動きで、観ている者としても圧巻だった。

　調理は既に終盤で最後の味噌汁を用意して、奈津美さんの調理は済んで仕舞ったが、紫英流はアイシーを作って調理終了。

　両者の料理が出揃ってテーブルの上がイッパイで、これ上手に並べきった例の三姫は見事だが、料理自体も実に見事な仕上がり。

　これを甲乙つけるには至難の業だが、俺はもう既に始めから軍配は決めてあって、それでもリアリズムな事情抜きで看たかった。

　何時もの食事と同時進行の食戟に立ち会うが、どちらの料理も食材の旨味が引き出されていて、上質で繊細な深味も一口でわかる。

　しかし、和食な方が奈津美さんの料理だが、何時もより少ない様な違和感を覚えるも、やはり奈津美さんだと関心した。

　一方の紫英流料理は洋風であっさり目でも、濃厚で肉も若干大きく見えたが、俺ならともかく女子だらけではどうだったか。

　だから、紫英流が普通の一人前を用意してもと、奈津美さんは偶然童子の真胡都以外に、女所帯であることも常に視ている。

　そもそも偶々参上した真胡都の認知がまだ無く、真胡都には通常配分であとから出したが、紫英流の料理も食べたいといいだす。

　萌香・実瑠・優花の三姫はナイフとフォークで、少し切ってはそれぞれ分けて、トーンの抜けた真胡都がキラキラ眩しい。