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本編
全てを終わらす為に side ロン
しおりを挟む「おう、今戻ったぞ」
ギルドに戻ると中にいた連中の視線が一気に集まったじゃねぇか。たく……なんだよ。
「あの、彼女は無事だったんですか?」
「いや、一足違げぇだった」
お嬢ちゃんの考えた通りに嘘の情報を伝える。足を怪我して一人では歩けねぇと大袈裟に言い、視線だけ入口横のソファーに向けると予想通りの違和感があるじゃねぇか。お嬢ちゃん、大正解だぜ。
「マリンはいるか?」
「はーい。何ですか?」
部屋の置くから顔だけ出した、うちの魔具製造士にお嬢ちゃんが纏めた書類を渡した。
「お前の魔具、失敗だった。これを参考してくれ」
「え?……は?……これは誰が?」
「お嬢ちゃんは魔具修理士だ……王様の兄貴に習ったとか言ってたか」
マリンが目を見開いて驚いているじゃねぇか。何なんだよ。
「王様のお兄さんって、カイン様ですか!!良いなぁ~」
あ?王様の兄貴は有名なのか?マリンから見りゃあ、魔具製造修理の神様だと言い出した。マリンが褒めれば褒める程、ソファーから殺気が流れ始める。おぉ、こりゃ兄貴ってのは、相当の怨みをかってんのか?……お貴族様のドロドロは怖いねぇ。
「マリン、分かったから黙れ。お嬢ちゃんは怪我が治ったら来るから直接聞けや」
「はぁい」
跳び跳ねる様に書類を抱えたマリンが部屋に引っ込むと受付が静かになった。
「おい、ゲーリー」
受付の中で雑用をしていたゲーリーに声を掛けると、手を止めて顔を上げた。コイツ、また徹夜で犯人捜ししたな。
「話がある。俺の部屋に来い」
俺の後をついて来たゲーリーが、例のソファーの前を素通りする。よく見りゃあ、他の連中もソファーに近付こうとしねぇ。お嬢ちゃんに言われなきゃ本当に気付かねぇな。ゲーリーにも教えられねぇ。コイツはすぐ顔に出る。
ゲーリーが部屋に入ると鍵を掛け魔法で更に開かねぇ様に固定した。
「マスター?」
怪訝な表情を浮かべるゲーリーに顎でソファーに座る様に促しゃあ渋々座る。本当に可愛げねぇガキだ。
「三年前の事件に進展があったぞ」
この一言でゲーリーの表情が変わる。理不尽な捜査に怒りを溜めてりゃあ当然か。
「お前、犯人の特徴を忘れてねぇよな?」
「当たり前じゃないですか」
丁寧な言葉使いは変わらねぇが苛ついた態度じゃねぇか……へこたれてねぇなら良し。
「今晩、俺と一緒に城に行くぞ」
「は?城に行くって何でだよ」
「犯人の目星がついた。しかも、今日か明日にはお嬢ちゃんを狙って動く可能性が高けぇ」
急展開について行けねぇのか口をポカンと開けたままゲーリーが動かねぇな。どうすっかねぇ……
「お前は俺と城に行って勇者や王様達に直接、犯人の事を話せ。分かったか!!」
「はい、マスター!!」
ギルドの仮眠室で休んで夜に備える様、言ってからゲーリーを部屋から追い出す。さて、俺は勇者に連絡と夜に備えて……
久々に俺の獲物を出すかねぇ
次からイリーナ視点に戻ります
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