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本編
追い詰める side ランバート
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彼女が目の前で拐われたが、これも計画の一部だった。ヤツの用心深い性格を考えると魔王の復活は別の場所で行う事が容易く想像出来た。頭で分かっていても心は落ち着かない。早く早くとジワリと焦りが湧いてくる。
「やはり移動したか」
護り石に付加した追跡魔法を視ていたオーウェン殿が目を開けると大きく頷いた。追跡が成功した様だ。
「師匠、行きます!」
王様と師匠が広間にいた人々の対応をしている中、俺は師匠に声を掛けるとオーウェン殿と一緒にイリーナの後を追った。視界の端で師匠が手を上げていた。
オーウェン殿の転移魔の渦の中で、到着次第、直ぐに動ける様に剣に魔力を溜め始めた。
「小僧、今度こそ終わらせるぞ」
「了解した」
俺の返事を聞いて頷いたオーウェン殿が手を前に突き出し魔力を集める。互いに攻撃態勢が整うとほぼ同時に相手の本拠地に到着した。
「貴様!!主の身体を何処へやった!」
目の前が開けた瞬間、耳に届いた怒鳴り声は魔物のモノだ。薄暗い部屋の中で濡れた床の上にイリーナが立っていた。俺達に気付いた魔物が彼女から一歩後退する。よく見ると光る何かが辺りに散らばっていた。
「ランバートさん!」
俺達に気付いた彼女が駆け寄る。オーウェン殿が魔物に魔法を投げつけている間に、彼女を背中に隠した。オーウェン殿が投げつけられた氷魔法でヤツの足元が氷つき動けない隙に、魔力を溜めた剣で今度こそ終らせる為の一撃を放った。剣を爆風と共にヤツの呻き声が聞こえたが、致命傷にはなっていなかった。
「おのれ……クソガキ……エルフ……お前らは殺す、殺す、コロスゥゥゥ!!」
叫び声に反応するように部屋の石壁が崩れる。落下する瓦礫からイリーナを庇いながら下がり様子を伺うと、魔物が上半身を折る様に屈めていた。……何だこの気配……異様な気配にオーウェン殿に視線を向けると、彼の顔色が悪くなっていた。
「他の魔物を取り込んだな」
彼から視線を魔物に戻すと背中が裂け翼の様な物が出てきた。この翼……飛行系?それとも吸血鬼亜種?
「新しい身体に慣れる前にケリをつけるぞ」
オーウェン殿の言葉に頷くと、魔力を自分の眼に集めて隠れた魔石を探す。ヤツの身体に五個あるな……先ずは……右腕……腹に二個……心臓と……頭。
「イリーナ、目を瞑れ!」
「はい!」
彼女に見せたくなくて、そう叫ぶと動かない右腕を肩から切り落とした。
「後は任せろ」
オーウェン殿が腕を氷らせて中の魔石ごと粉砕したが、ヤツの身体から新たな腕が再生した。魔力を相当使ったはずが、ヤツの攻撃は衰えない。どんだけの魔物を取り込んだんだよ、あぁ、クソ面倒臭ぇ!
「小僧!」
後ろからオーウェン殿の声がしたが振り返らずに魔物の懐に潜り込む。鳩尾に柄を叩き込むと態勢を崩したヤツの顎を拳で殴り飛ばしす。
「グッ……」
ヤツの上半身が上に跳ね上がったと同時に剣を横に振り抜いて腹を斬ると手を突き刺して魔石を抜き取った。身体の変化に対応出来ていない今を逃すと、この戦いは間違いなく不利になる。残り二つ!
「頼む!」
魔物から視線を動かさずオーウェン殿に向かって魔石を投げると、ヤツから距離を取り剣を構え直した。
シュー
あぁ……毒系の魔物も取り込んでいたのか……手が溶ける
「やはり移動したか」
護り石に付加した追跡魔法を視ていたオーウェン殿が目を開けると大きく頷いた。追跡が成功した様だ。
「師匠、行きます!」
王様と師匠が広間にいた人々の対応をしている中、俺は師匠に声を掛けるとオーウェン殿と一緒にイリーナの後を追った。視界の端で師匠が手を上げていた。
オーウェン殿の転移魔の渦の中で、到着次第、直ぐに動ける様に剣に魔力を溜め始めた。
「小僧、今度こそ終わらせるぞ」
「了解した」
俺の返事を聞いて頷いたオーウェン殿が手を前に突き出し魔力を集める。互いに攻撃態勢が整うとほぼ同時に相手の本拠地に到着した。
「貴様!!主の身体を何処へやった!」
目の前が開けた瞬間、耳に届いた怒鳴り声は魔物のモノだ。薄暗い部屋の中で濡れた床の上にイリーナが立っていた。俺達に気付いた魔物が彼女から一歩後退する。よく見ると光る何かが辺りに散らばっていた。
「ランバートさん!」
俺達に気付いた彼女が駆け寄る。オーウェン殿が魔物に魔法を投げつけている間に、彼女を背中に隠した。オーウェン殿が投げつけられた氷魔法でヤツの足元が氷つき動けない隙に、魔力を溜めた剣で今度こそ終らせる為の一撃を放った。剣を爆風と共にヤツの呻き声が聞こえたが、致命傷にはなっていなかった。
「おのれ……クソガキ……エルフ……お前らは殺す、殺す、コロスゥゥゥ!!」
叫び声に反応するように部屋の石壁が崩れる。落下する瓦礫からイリーナを庇いながら下がり様子を伺うと、魔物が上半身を折る様に屈めていた。……何だこの気配……異様な気配にオーウェン殿に視線を向けると、彼の顔色が悪くなっていた。
「他の魔物を取り込んだな」
彼から視線を魔物に戻すと背中が裂け翼の様な物が出てきた。この翼……飛行系?それとも吸血鬼亜種?
「新しい身体に慣れる前にケリをつけるぞ」
オーウェン殿の言葉に頷くと、魔力を自分の眼に集めて隠れた魔石を探す。ヤツの身体に五個あるな……先ずは……右腕……腹に二個……心臓と……頭。
「イリーナ、目を瞑れ!」
「はい!」
彼女に見せたくなくて、そう叫ぶと動かない右腕を肩から切り落とした。
「後は任せろ」
オーウェン殿が腕を氷らせて中の魔石ごと粉砕したが、ヤツの身体から新たな腕が再生した。魔力を相当使ったはずが、ヤツの攻撃は衰えない。どんだけの魔物を取り込んだんだよ、あぁ、クソ面倒臭ぇ!
「小僧!」
後ろからオーウェン殿の声がしたが振り返らずに魔物の懐に潜り込む。鳩尾に柄を叩き込むと態勢を崩したヤツの顎を拳で殴り飛ばしす。
「グッ……」
ヤツの上半身が上に跳ね上がったと同時に剣を横に振り抜いて腹を斬ると手を突き刺して魔石を抜き取った。身体の変化に対応出来ていない今を逃すと、この戦いは間違いなく不利になる。残り二つ!
「頼む!」
魔物から視線を動かさずオーウェン殿に向かって魔石を投げると、ヤツから距離を取り剣を構え直した。
シュー
あぁ……毒系の魔物も取り込んでいたのか……手が溶ける
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