63 / 107
本編
回復したけど……
しおりを挟む
変な虹色の丸薬を飲んだランバートさんに、大きな変化があった。二時間程寝たら完全回復していた。様子を見に来た王様とお義父様も彼の変わりように絶句している。
「えっと……何があった教えていただけますか?」
王様から戸惑う様な声で聞かれて、変な丸薬を全部、飲んでしまった事を伝えた。二時間で回復って事は効果はあったって事だから成功だったの?
「イリーナの魔法は凄いな」
ベッドから飛び起きた彼が、部屋の中で身体を動かしている。何処にも異常は無いと喜んでいた。
「リナ、どんなモノが出来たんだ?」
はい、聞かれると思ってランバートさんが寝ている間に、もう一個作ったけど……ほら!二人共、絶句しているじゃないですか!これを躊躇わずに飲む方が可笑しいから!
「どうしたら、こんな色になったんだ?」
本当に、それね。お義父様、私が聞きたい。何度やり直してもこの色なんです。王様もこの色は抵抗がありますねって言った。そうでしょう?私も驚いたもの。なのに、この人いきなり飲んだの!
三人で呆れた様子でランバートさんを見ているけど、本人は回復してご機嫌です。今からでも、殿下の鍛練に行きたいと言い出した。
「このバカが!目立つ事は止めろ」
「鍛練ぐらいで、師匠は大袈裟なんですよ」
お義父様が止めても全く気にしない彼を見て王様も鍛練は中止と言った。
「相手には貴方が回復した事を報せたくありませんのでね」
王様の計画では、明日の朝に全ての魔具の点検、補修をする事を一斉に城内に通達。王家の影が見張って、魔具の回収を事前に防ぎたいらしい。私は納得したけど、ランバートさんは不服そう。
「君にはイリーナの護衛をお願いしますよ」
王様は私が一人で城内の点検をする事は、危険だと判断したと言った。ランバートさんにはメイクで疲れている感じを出してから、私と一緒に城内を回って貰う予定らしい。
「もし魔具に彼女が触れて何かあっては大変ですからね」
王様の言葉に納得したランバートさんは、やっと大人しくなった。その後、打ち合わせして、ランバートさんが城内を案内する名目で私と一緒に城内を回って、魔物の気配を探る。私は魔具の修理しながら、出来るだけ持ち主の注意を引き付ける様に言われた。
「ランディーに演技なんぞ無理だからな。リナに誤魔化して貰う」
え?お義父様、何気に私の担当、重要じゃないですか?魔具を修理して、相手を引き付けて、彼の補助もする?は?
「ムリ、ムリ、ムリ」
王様の前だけどね。素で言っちゃったよ。マジで無理って思うのですが、王様の無言の視線が怖い。目が文句言う前にヤれって言ってますね。……はい、頑張ります。
この話の後で王様が小さな台所の使用許可もくれた。ランバートさんのご飯やおやつを好きな時に作って良いらしい。最近、食欲不振だった彼への配慮だと言っていた。材料や道具は好きに使って良いと言われ私は、早速、焼き菓子を作ることにした。三人に後ろから見られながら作るのは、緊張するんですけどね!簡単なクッキーに手作りのジャムをのせて焼く。ただ、それだけの簡単なお菓子なのにランバートさんは嬉しそうに食べ始めた。
「やっぱり、イリーナが作ると旨い!」
「ほう、確かに一味、違いますね」
作ったのは私なのに、何故か得意気なお義父様を見て笑ってしまう。こんなに平和なのに、どうして不安が消えないんだろう。
魔具が見付からないから?……違う……別の何かが怖い。
「えっと……何があった教えていただけますか?」
王様から戸惑う様な声で聞かれて、変な丸薬を全部、飲んでしまった事を伝えた。二時間で回復って事は効果はあったって事だから成功だったの?
「イリーナの魔法は凄いな」
ベッドから飛び起きた彼が、部屋の中で身体を動かしている。何処にも異常は無いと喜んでいた。
「リナ、どんなモノが出来たんだ?」
はい、聞かれると思ってランバートさんが寝ている間に、もう一個作ったけど……ほら!二人共、絶句しているじゃないですか!これを躊躇わずに飲む方が可笑しいから!
「どうしたら、こんな色になったんだ?」
本当に、それね。お義父様、私が聞きたい。何度やり直してもこの色なんです。王様もこの色は抵抗がありますねって言った。そうでしょう?私も驚いたもの。なのに、この人いきなり飲んだの!
三人で呆れた様子でランバートさんを見ているけど、本人は回復してご機嫌です。今からでも、殿下の鍛練に行きたいと言い出した。
「このバカが!目立つ事は止めろ」
「鍛練ぐらいで、師匠は大袈裟なんですよ」
お義父様が止めても全く気にしない彼を見て王様も鍛練は中止と言った。
「相手には貴方が回復した事を報せたくありませんのでね」
王様の計画では、明日の朝に全ての魔具の点検、補修をする事を一斉に城内に通達。王家の影が見張って、魔具の回収を事前に防ぎたいらしい。私は納得したけど、ランバートさんは不服そう。
「君にはイリーナの護衛をお願いしますよ」
王様は私が一人で城内の点検をする事は、危険だと判断したと言った。ランバートさんにはメイクで疲れている感じを出してから、私と一緒に城内を回って貰う予定らしい。
「もし魔具に彼女が触れて何かあっては大変ですからね」
王様の言葉に納得したランバートさんは、やっと大人しくなった。その後、打ち合わせして、ランバートさんが城内を案内する名目で私と一緒に城内を回って、魔物の気配を探る。私は魔具の修理しながら、出来るだけ持ち主の注意を引き付ける様に言われた。
「ランディーに演技なんぞ無理だからな。リナに誤魔化して貰う」
え?お義父様、何気に私の担当、重要じゃないですか?魔具を修理して、相手を引き付けて、彼の補助もする?は?
「ムリ、ムリ、ムリ」
王様の前だけどね。素で言っちゃったよ。マジで無理って思うのですが、王様の無言の視線が怖い。目が文句言う前にヤれって言ってますね。……はい、頑張ります。
この話の後で王様が小さな台所の使用許可もくれた。ランバートさんのご飯やおやつを好きな時に作って良いらしい。最近、食欲不振だった彼への配慮だと言っていた。材料や道具は好きに使って良いと言われ私は、早速、焼き菓子を作ることにした。三人に後ろから見られながら作るのは、緊張するんですけどね!簡単なクッキーに手作りのジャムをのせて焼く。ただ、それだけの簡単なお菓子なのにランバートさんは嬉しそうに食べ始めた。
「やっぱり、イリーナが作ると旨い!」
「ほう、確かに一味、違いますね」
作ったのは私なのに、何故か得意気なお義父様を見て笑ってしまう。こんなに平和なのに、どうして不安が消えないんだろう。
魔具が見付からないから?……違う……別の何かが怖い。
0
お気に入りに追加
318
あなたにおすすめの小説
敗戦して嫁ぎましたが、存在を忘れ去られてしまったので自給自足で頑張ります!
桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。
※※※※※※※※※※※※※
魔族 vs 人間。
冷戦を経ながらくすぶり続けた長い戦いは、人間側の敗戦に近い状況で、ついに終止符が打たれた。
名ばかりの王族リュシェラは、和平の証として、魔王イヴァシグスに第7王妃として嫁ぐ事になる。だけど、嫁いだ夫には魔人の妻との間に、すでに皇子も皇女も何人も居るのだ。
人間のリュシェラが、ここで王妃として求められる事は何もない。和平とは名ばかりの、敗戦国の隷妃として、リュシェラはただ静かに命が潰えていくのを待つばかり……なんて、殊勝な性格でもなく、与えられた宮でのんびり自給自足の生活を楽しんでいく。
そんなリュシェラには、実は誰にも言えない秘密があった。
※※※※※※※※※※※※※
短編は難しいな…と痛感したので、慣れた文字数、文体で書いてみました。
お付き合い頂けたら嬉しいです!
【完結・7話】召喚命令があったので、ちょっと出て失踪しました。妹に命令される人生は終わり。
BBやっこ
恋愛
タブロッセ伯爵家でユイスティーナは、奥様とお嬢様の言いなり。その通り。姉でありながら母は使用人の仕事をしていたために、「言うことを聞くように」と幼い私に約束させました。
しかしそれは、伯爵家が傾く前のこと。格式も高く矜持もあった家が、機能しなくなっていく様をみていた古参組の使用人は嘆いています。そんな使用人達に教育された私は、別の屋敷で過ごし働いていましたが15歳になりました。そろそろ伯爵家を出ますね。
その矢先に、残念な妹が伯爵様の指示で訪れました。どうしたのでしょうねえ。
平凡な高校生活を送る予定だったのに
空里
恋愛
高校生になり数ヵ月。一学期ももうそろそろ終わりを告げる頃。
僕、田中僚太はクラスのマドンナとも言われ始めている立花凛花に呼び出された。クラスのマドンナといわれるだけあって彼女の顔は誰が見ても美人であり加えて勉強、スポーツができ更には性格も良いと話題である。
それに対して僕はクラス屈指の陰キャポジである。
人見知りなのもあるが、何より通っていた中学校から遠い高校に来たため、たまたま同じ高校に来た一人の中学時代の友達しかいない。
そのため休み時間はその友人と話すか読書をして過ごすかという正に陰キャであった。
そんな僕にクラスのマドンナはというと、
「私と付き合ってくれませんか?」
この言葉から彼の平凡に終わると思われていた高校生活が平凡と言えなくなる。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
死に戻りの悪役令嬢は、今世は復讐を完遂する。
乞食
恋愛
メディチ家の公爵令嬢プリシラは、かつて誰からも愛される少女だった。しかし、数年前のある事件をきっかけに周囲の人間に虐げられるようになってしまった。
唯一の心の支えは、プリシラを慕う義妹であるロザリーだけ。
だがある日、プリシラは異母妹を苛めていた罪で断罪されてしまう。
プリシラは処刑の日の前日、牢屋を訪れたロザリーに無実の証言を願い出るが、彼女は高らかに笑いながらこう言った。
「ぜーんぶ私が仕組んだことよ!!」
唯一信頼していた義妹に裏切られていたことを知り、プリシラは深い悲しみのまま処刑された。
──はずだった。
目が覚めるとプリシラは、三年前のロザリーがメディチ家に引き取られる前日に、なぜか時間が巻き戻っていて──。
逆行した世界で、プリシラは義妹と、自分を虐げていた人々に復讐することを誓う。
【完結】双子の伯爵令嬢とその許婚たちの物語
ひかり芽衣
恋愛
伯爵令嬢のリリカとキャサリンは二卵性双生児。生まれつき病弱でどんどん母似の美女へ成長するキャサリンを母は溺愛し、そんな母に父は何も言えない……。そんな家庭で育った父似のリリカは、とにかく自分に自信がない。幼い頃からの許婚である伯爵家長男ウィリアムが心の支えだ。しかしある日、ウィリアムに許婚の話をなかったことにして欲しいと言われ……
リリカとキャサリン、ウィリアム、キャサリンの許婚である公爵家次男のスターリン……彼らの物語を一緒に見守って下さると嬉しいです。
⭐︎2023.4.24完結⭐︎
※2024.2.8~追加・修正作業のため、2話以降を一旦非公開にしていました。
→2024.3.4再投稿。大幅に追加&修正をしたので、もしよければ読んでみて下さい(^^)
(完結)姉と浮気する王太子様ー1回、私が死んでみせましょう
青空一夏
恋愛
姉と浮気する旦那様、私、ちょっと死んでみます。
これブラックコメディです。
ゆるふわ設定。
最初だけ悲しい→結末はほんわか
画像はPixabayからの
フリー画像を使用させていただいています。
お兄様の指輪が壊れたら、溺愛が始まりまして
みこと。
恋愛
お兄様は女王陛下からいただいた指輪を、ずっと大切にしている。
きっと苦しい片恋をなさっているお兄様。
私はただ、お兄様の家に引き取られただけの存在。血の繋がってない妹。
だから、早々に屋敷を出なくては。私がお兄様の恋路を邪魔するわけにはいかないの。私の想いは、ずっと秘めて生きていく──。
なのに、ある日、お兄様の指輪が壊れて?
全7話、ご都合主義のハピエンです! 楽しんでいただけると嬉しいです!
※「小説家になろう」様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる