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本編
城で初仕事
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ランバートさんとお義父様の模擬戦という名の喧嘩を止めてから、私は騎士団の人達から話し掛けられる様になった。殿下からも改めて謝罪してきて、頼むから二人を大人しくさせて欲しいとお願いされた。何ですか、あの二人を止められるのは私だけって……私は猛獣使いですか?
そして、騎士団の団長からは演習場の魔具を修理した事を切っ掛けに、騎士団が使っている魔具の点検と修理を頼まれた。これには王様も賛成で、パーティー前に警備体制の強化にもなると喜んでいる。
今日は、騎士団での仕事の初日。演習場の魔具についての説明を書いた書類を持って騎士団団長の部屋をノックした。許可を貰って入ると、書類から視線を私に向けた。
「失礼します。イリーナです。今日から宜しくお願いします」
「初めまして。団長のガイルだ。早速で悪いが演習場の魔具について説明を頼む」
団長の前に持参した書類を見せながら説明をする。演習場の魔具には結界だけでなく、状態復元機能が付いていたが、故障していて使われていなかった。
「そうか。そんな機能があったとは……イリーナ嬢は、魔具を見ただけで機能が理解出来るのか?」
「いいえ、違います。魔力を流す事で分かります」
成る程と言いながら団長から渡されたのは、騎士団に保管されている魔具の一覧表。中には使い方が分からず倉庫に眠ったままになっているモノもあるらしい。順番もないから出来るモノから修理して欲しいらしい。
「修理をする場所だが……」
「移動が手間なので、倉庫でします」
団長が目を見開いて驚いた表情を見せた。え?私、変な事言った?
「いや、その様な場所で宜しいか?」
「机と灯りさえあれば何処でも修理は出来ます」
団長自らの案内で、倉庫に行くと武器が鎧も保管されていて、かなり広かった。はぁー、凄い数。魔具……積み上げてあるけど、滅茶苦茶なんですが……
「片付ける様に言っていたんだが……酷いな」
団長も山積みの魔具に苦笑した。団長の承諾を得て倉庫に置いてある机の近くに行くと、埃を被っていたが使えそう。備え付けの灯りも点灯したし十分ね。
「団長、修理が終わったモノは、何処に置きますか?」
「適当に置いていてくれれば、団員に片付けさせる」
他にも倉庫の中の触ってはいけない場所等を確認すると、早速、仕事を始める事にした。マナー講座は飽きたし、私には貴族の生活は無理、はぁー、仕事出来るなんて幸せ。無限収納から大きめの箱を幾つか取り出すと、箱に名前を書いた。とりあえず防御、攻撃、その他で分けてと。
「始めますか」
小さなモノを三個程手に取り机に置くと、一つ一つ魔力を流して確認する。こっちは防御機能小で、次は水系攻撃中、最後は異常状態、毒耐性強化。面白い大きさは同じくらいなのに、機能は全く違う。楽しい。
「イリーナ嬢、部下から昼食の時間に見掛けなかったと報告があったが……これは……」
「え?お昼ご飯?」
団長の声に気付いて顔を上げると、もう少しで三時。仕事に夢中でご飯を忘れてた~。明日からはお弁当と飲み物持って来よう。
「この短時間で……この箱は全て修理済みなのか……」
箱に入った魔具を手に取る団長は、呆然と箱の中を見ている。え?普通の速さじゃないの?お義父様は、これより速いよ。使い方書いてるから遅いくらいだけど?
「急いで修理しなくても大丈夫だ」
「え?急いでませんよ。師匠より遅いですから……普通ですよね?」
「君の師匠は、誰なんだ?」
「王兄のカイン様です」
団長がお義父様の名前を聞いた瞬間、ピタリと動きを止めた。徐々に青ざめる団長を見ていると、倉庫の扉が開いて噂の本人が入って来た。
「リナ、仕事は順調か?」
「お義父様、自分の仕事は?」
終わったと言いながら近付いてくるお義父様と、身体を震わせて怯える団長。……何やってんの?まさか、団長にも昔何かしたの?
「よう、ガイル。息災か?」
「は、はい」
軽い挨拶をしながら団長の肩に手を置くお義父様。お義父様は気安い雰囲気だけど、団長はガチガチに固まっていた。
「この箱は、修理済みか……随分、のんびりだな」
「失礼ですね。サボってませんよ。修理しながら使い方を書いているからですよ」
ほぉと魔具の一つ一つに付けた説明書を確認する。これなら初心者でも分かると言われて一安心。良かった、理解出来ないとか言われたら落ち込むよ。
「カイン様……この娘は……」
「聞いてないか?俺の弟子で義娘だ。パーティーの警備で迷惑かけるが宜しくな」
笑顔で話しているお義父様を、団長はお化けでも見たかの様な恐怖と驚きの表情で見ている。団長が首を縦に振ると、お義父様は満足したのか殿下の鍛練に行くと言って倉庫を出て行った。
「……その……カイン様は……」
「普段は、あんな感じですよ。魔法バカですが」
私が苦笑いしていると、団長はご飯を食べに行くように言ってからフラフラしながら倉庫を出て行った。うーん、気分転換に、ご飯食べよう。
それにしても、団長のあの反応……お義父様は昔、何したんだろう?
そして、騎士団の団長からは演習場の魔具を修理した事を切っ掛けに、騎士団が使っている魔具の点検と修理を頼まれた。これには王様も賛成で、パーティー前に警備体制の強化にもなると喜んでいる。
今日は、騎士団での仕事の初日。演習場の魔具についての説明を書いた書類を持って騎士団団長の部屋をノックした。許可を貰って入ると、書類から視線を私に向けた。
「失礼します。イリーナです。今日から宜しくお願いします」
「初めまして。団長のガイルだ。早速で悪いが演習場の魔具について説明を頼む」
団長の前に持参した書類を見せながら説明をする。演習場の魔具には結界だけでなく、状態復元機能が付いていたが、故障していて使われていなかった。
「そうか。そんな機能があったとは……イリーナ嬢は、魔具を見ただけで機能が理解出来るのか?」
「いいえ、違います。魔力を流す事で分かります」
成る程と言いながら団長から渡されたのは、騎士団に保管されている魔具の一覧表。中には使い方が分からず倉庫に眠ったままになっているモノもあるらしい。順番もないから出来るモノから修理して欲しいらしい。
「修理をする場所だが……」
「移動が手間なので、倉庫でします」
団長が目を見開いて驚いた表情を見せた。え?私、変な事言った?
「いや、その様な場所で宜しいか?」
「机と灯りさえあれば何処でも修理は出来ます」
団長自らの案内で、倉庫に行くと武器が鎧も保管されていて、かなり広かった。はぁー、凄い数。魔具……積み上げてあるけど、滅茶苦茶なんですが……
「片付ける様に言っていたんだが……酷いな」
団長も山積みの魔具に苦笑した。団長の承諾を得て倉庫に置いてある机の近くに行くと、埃を被っていたが使えそう。備え付けの灯りも点灯したし十分ね。
「団長、修理が終わったモノは、何処に置きますか?」
「適当に置いていてくれれば、団員に片付けさせる」
他にも倉庫の中の触ってはいけない場所等を確認すると、早速、仕事を始める事にした。マナー講座は飽きたし、私には貴族の生活は無理、はぁー、仕事出来るなんて幸せ。無限収納から大きめの箱を幾つか取り出すと、箱に名前を書いた。とりあえず防御、攻撃、その他で分けてと。
「始めますか」
小さなモノを三個程手に取り机に置くと、一つ一つ魔力を流して確認する。こっちは防御機能小で、次は水系攻撃中、最後は異常状態、毒耐性強化。面白い大きさは同じくらいなのに、機能は全く違う。楽しい。
「イリーナ嬢、部下から昼食の時間に見掛けなかったと報告があったが……これは……」
「え?お昼ご飯?」
団長の声に気付いて顔を上げると、もう少しで三時。仕事に夢中でご飯を忘れてた~。明日からはお弁当と飲み物持って来よう。
「この短時間で……この箱は全て修理済みなのか……」
箱に入った魔具を手に取る団長は、呆然と箱の中を見ている。え?普通の速さじゃないの?お義父様は、これより速いよ。使い方書いてるから遅いくらいだけど?
「急いで修理しなくても大丈夫だ」
「え?急いでませんよ。師匠より遅いですから……普通ですよね?」
「君の師匠は、誰なんだ?」
「王兄のカイン様です」
団長がお義父様の名前を聞いた瞬間、ピタリと動きを止めた。徐々に青ざめる団長を見ていると、倉庫の扉が開いて噂の本人が入って来た。
「リナ、仕事は順調か?」
「お義父様、自分の仕事は?」
終わったと言いながら近付いてくるお義父様と、身体を震わせて怯える団長。……何やってんの?まさか、団長にも昔何かしたの?
「よう、ガイル。息災か?」
「は、はい」
軽い挨拶をしながら団長の肩に手を置くお義父様。お義父様は気安い雰囲気だけど、団長はガチガチに固まっていた。
「この箱は、修理済みか……随分、のんびりだな」
「失礼ですね。サボってませんよ。修理しながら使い方を書いているからですよ」
ほぉと魔具の一つ一つに付けた説明書を確認する。これなら初心者でも分かると言われて一安心。良かった、理解出来ないとか言われたら落ち込むよ。
「カイン様……この娘は……」
「聞いてないか?俺の弟子で義娘だ。パーティーの警備で迷惑かけるが宜しくな」
笑顔で話しているお義父様を、団長はお化けでも見たかの様な恐怖と驚きの表情で見ている。団長が首を縦に振ると、お義父様は満足したのか殿下の鍛練に行くと言って倉庫を出て行った。
「……その……カイン様は……」
「普段は、あんな感じですよ。魔法バカですが」
私が苦笑いしていると、団長はご飯を食べに行くように言ってからフラフラしながら倉庫を出て行った。うーん、気分転換に、ご飯食べよう。
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