45 / 107
本編
最強はだれ?
しおりを挟む
ランバートさんと仲直りした私は、彼と部屋まで戻る途中、王太子殿下の事を思い出した。放置してきたけど、まだ居るのかなぁ?
「あのー、私の部屋に居ますか?……王太子殿下が居たら戻りたくないです」
「あー、王妃様にも話したんだったな」
「はい」
「じゃあ、大丈夫。今頃、扇子で指導されているさ」
ランバートさんが部屋に尋ねたら、王太子殿下が出てきて事情を聞いたと言ったけど、彼も放置して私を追い掛けてくれたから知らないはず。なんで大丈夫って言えるの?
「師匠すら頭が上がらない人が、王太子殿下をそのままにはしないよ」
はい?師匠も頭が上がらない?魔法と戦闘バカな師匠が?あんな綺麗で優しい雰囲気の王妃様に?
「王妃様の扇子は女性の魔力が高い者にしか使えない特殊な魔具なんだ」
王家に代々伝わる魔具で、魔力を流す事で雷撃が出来る護身用魔具。しかも、現王妃様は歴代の王家の方々で随一の使い手で、悪いことすると問答無用で雷撃が飛んでくるらしい。
「雷撃って……命に関わりませんか?」
「そこは、王妃様の腕で調節しているらしい。今の王妃様以外にした事がないってのもあるな」
普通はしないよ?貴族のご令嬢が攻撃魔法を極めるって……うーん、でも、王太子って、師匠と同じ髪の色をしてたけど……
「王太子殿下も魔力が高いですよね?」
「……アイツは脳筋なんだよ」
……ちょっと待って!国のトップが脳筋で、この国は大丈夫!?私は平和に暮らしたい。
「真っ直ぐ過ぎて、自分の目で見ないと判断出来ないから、城を抜け出して町を見に行く」
それは、凄い事だとは思うけど、警備の人も大変ですよね?過労で倒れたりしてない?……将来が心配に……
「すみませんでした!!」
「謝る相手が違います。母は悲しいですわ」
二人で話ながら歩いていたら、いつの間にか王様の屋敷に戻って来ていた。でも、外まで聞こえる声は、王妃様と王太子殿下の声。殿下が怯えていますが……ナニゴト?
「あら、イリーナさん。もう話は済んだのかしら?」
「はい、お庭を使わして頂き、ありがとう御座いました。ゆっくり話す事が出来て嬉しかったです」
まぁ、と王妃様まで嬉しそうに笑う。笑顔で話す私達の横で、王太子殿下は顔色が悪い。しかも、ランバートさんに、コソッと私が怒ってないか確認してた。反省してない気が……
「……宜しいわ。罰を受けな……あら?」
殿下の反省のみられない態度に、王妃様の怒りが爆発したのか扇子で攻撃しようとして止まった。王妃様が驚いた顔で扇子を見詰める。……もしかして……
「如何されましたか?」
ランバートさんが聞いたら、王妃様が困った様に眉を下げた。
「……魔力の流れが悪いわね。発動しないわ」
「よっしゃ!」
反省しようか殿下。王妃様が睨んでますよ?それより今は、修理が先だよね。
「魔具を見せて頂けますでしょうか?」
「えぇ、構わないけど……何をするの?」
「修理が出来ないか確認させて下さい」
王妃様と殿下も魔力の事を知らなかったらしい。庭で聞いた変な音は扇子一部にヒビが入った音だと思う。ゆっくりと魔力を流してヒビを探して繋ぐ。魔石の魔力も補充すると、ピタッと繋がる感覚が手に伝わった。
「はい、これで大丈夫だと思います」
「え?今ので終わったの?」
「はい!」
久しぶりに修理が成功して嬉しい。その気持ちのままに、笑顔で返事をすると王妃は笑った。王妃様は笑顔で殿下の前に立つと、扇子で肩に触れる。パチパチと弾ける音と共に、殿下が暴れ始めた。
「い、痛いです、母上!」
「痛くしているのですから当たり前です。女性の部屋に窓から侵入なんて、犯罪です」
優しい笑顔で話ながらも、涙を溜める殿下を容赦なく攻撃している王妃様。えっと……修理したのは私だけど……止めなくて大丈夫?殿下の服……焦げてない?
「おや?また、お仕置きされているのですか。今度は何をやらかしましたか?」
王様の声と共に王妃様が一度手を止めて、怒っている理由を王様に話した。丁度、私からは王様の顔が見えないけど、どうやら怒っている様で魔力の高まりと共に王様の回りでパチパチと音が鳴る。
「どうやら私の考えは甘かった様ですね……このバカ息子が!!」
王様の大きな声と共に、王妃様の扇子とは比べ物にならないほどの雷が轟音と共に空から落ちて殿下に直撃した。気絶して倒れた殿下をサッと使用人の人が何処かへ運んで行った。
王家の方々は怒らせると怖いらしい。
「あのー、私の部屋に居ますか?……王太子殿下が居たら戻りたくないです」
「あー、王妃様にも話したんだったな」
「はい」
「じゃあ、大丈夫。今頃、扇子で指導されているさ」
ランバートさんが部屋に尋ねたら、王太子殿下が出てきて事情を聞いたと言ったけど、彼も放置して私を追い掛けてくれたから知らないはず。なんで大丈夫って言えるの?
「師匠すら頭が上がらない人が、王太子殿下をそのままにはしないよ」
はい?師匠も頭が上がらない?魔法と戦闘バカな師匠が?あんな綺麗で優しい雰囲気の王妃様に?
「王妃様の扇子は女性の魔力が高い者にしか使えない特殊な魔具なんだ」
王家に代々伝わる魔具で、魔力を流す事で雷撃が出来る護身用魔具。しかも、現王妃様は歴代の王家の方々で随一の使い手で、悪いことすると問答無用で雷撃が飛んでくるらしい。
「雷撃って……命に関わりませんか?」
「そこは、王妃様の腕で調節しているらしい。今の王妃様以外にした事がないってのもあるな」
普通はしないよ?貴族のご令嬢が攻撃魔法を極めるって……うーん、でも、王太子って、師匠と同じ髪の色をしてたけど……
「王太子殿下も魔力が高いですよね?」
「……アイツは脳筋なんだよ」
……ちょっと待って!国のトップが脳筋で、この国は大丈夫!?私は平和に暮らしたい。
「真っ直ぐ過ぎて、自分の目で見ないと判断出来ないから、城を抜け出して町を見に行く」
それは、凄い事だとは思うけど、警備の人も大変ですよね?過労で倒れたりしてない?……将来が心配に……
「すみませんでした!!」
「謝る相手が違います。母は悲しいですわ」
二人で話ながら歩いていたら、いつの間にか王様の屋敷に戻って来ていた。でも、外まで聞こえる声は、王妃様と王太子殿下の声。殿下が怯えていますが……ナニゴト?
「あら、イリーナさん。もう話は済んだのかしら?」
「はい、お庭を使わして頂き、ありがとう御座いました。ゆっくり話す事が出来て嬉しかったです」
まぁ、と王妃様まで嬉しそうに笑う。笑顔で話す私達の横で、王太子殿下は顔色が悪い。しかも、ランバートさんに、コソッと私が怒ってないか確認してた。反省してない気が……
「……宜しいわ。罰を受けな……あら?」
殿下の反省のみられない態度に、王妃様の怒りが爆発したのか扇子で攻撃しようとして止まった。王妃様が驚いた顔で扇子を見詰める。……もしかして……
「如何されましたか?」
ランバートさんが聞いたら、王妃様が困った様に眉を下げた。
「……魔力の流れが悪いわね。発動しないわ」
「よっしゃ!」
反省しようか殿下。王妃様が睨んでますよ?それより今は、修理が先だよね。
「魔具を見せて頂けますでしょうか?」
「えぇ、構わないけど……何をするの?」
「修理が出来ないか確認させて下さい」
王妃様と殿下も魔力の事を知らなかったらしい。庭で聞いた変な音は扇子一部にヒビが入った音だと思う。ゆっくりと魔力を流してヒビを探して繋ぐ。魔石の魔力も補充すると、ピタッと繋がる感覚が手に伝わった。
「はい、これで大丈夫だと思います」
「え?今ので終わったの?」
「はい!」
久しぶりに修理が成功して嬉しい。その気持ちのままに、笑顔で返事をすると王妃は笑った。王妃様は笑顔で殿下の前に立つと、扇子で肩に触れる。パチパチと弾ける音と共に、殿下が暴れ始めた。
「い、痛いです、母上!」
「痛くしているのですから当たり前です。女性の部屋に窓から侵入なんて、犯罪です」
優しい笑顔で話ながらも、涙を溜める殿下を容赦なく攻撃している王妃様。えっと……修理したのは私だけど……止めなくて大丈夫?殿下の服……焦げてない?
「おや?また、お仕置きされているのですか。今度は何をやらかしましたか?」
王様の声と共に王妃様が一度手を止めて、怒っている理由を王様に話した。丁度、私からは王様の顔が見えないけど、どうやら怒っている様で魔力の高まりと共に王様の回りでパチパチと音が鳴る。
「どうやら私の考えは甘かった様ですね……このバカ息子が!!」
王様の大きな声と共に、王妃様の扇子とは比べ物にならないほどの雷が轟音と共に空から落ちて殿下に直撃した。気絶して倒れた殿下をサッと使用人の人が何処かへ運んで行った。
王家の方々は怒らせると怖いらしい。
15
お気に入りに追加
371
あなたにおすすめの小説
全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。
彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。
【本編完結】婚約者を守ろうとしたら寧ろ盾にされました。腹が立ったので記憶を失ったふりをして婚約解消を目指します。
しろねこ。
恋愛
「君との婚約を解消したい」
その言葉を聞いてエカテリーナはニコリと微笑む。
「了承しました」
ようやくこの日が来たと内心で神に感謝をする。
(わたくしを盾にし、更に記憶喪失となったのに手助けもせず、他の女性に擦り寄った婚約者なんていらないもの)
そんな者との婚約が破談となって本当に良かった。
(それに欲しいものは手に入れたわ)
壁際で沈痛な面持ちでこちらを見る人物を見て、頬が赤くなる。
(愛してくれない者よりも、自分を愛してくれる人の方がいいじゃない?)
エカテリーナはあっさりと自分を捨てた男に向けて頭を下げる。
「今までありがとうございました。殿下もお幸せに」
類まれなる美貌と十分な地位、そして魔法の珍しいこの世界で魔法を使えるエカテリーナ。
だからこそ、ここバークレイ国で第二王子の婚約者に選ばれたのだが……それも今日で終わりだ。
今後は自分の力で頑張ってもらおう。
ハピエン、自己満足、ご都合主義なお話です。
ちゃっかりとシリーズ化というか、他作品と繋がっています。
カクヨムさん、小説家になろうさん、ノベルアッププラスさんでも連載中(*´ω`*)
冤罪を受けたため、隣国へ亡命します
しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」
呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。
「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」
突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。
友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。
冤罪を晴らすため、奮闘していく。
同名主人公にて様々な話を書いています。
立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。
サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。
変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。
ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます!
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】フェリシアの誤算
伽羅
恋愛
前世の記憶を持つフェリシアはルームメイトのジェシカと細々と暮らしていた。流行り病でジェシカを亡くしたフェリシアは、彼女を探しに来た人物に彼女と間違えられたのをいい事にジェシカになりすましてついて行くが、なんと彼女は公爵家の孫だった。
正体を明かして迷惑料としてお金をせびろうと考えていたフェリシアだったが、それを言い出す事も出来ないままズルズルと公爵家で暮らしていく事になり…。
愛を語れない関係【完結】
迷い人
恋愛
婚約者の魔導師ウィル・グランビルは愛すべき義妹メアリーのために、私ソフィラの全てを奪おうとした。 家族が私のために作ってくれた魔道具まで……。
そして、時が戻った。
だから、もう、何も渡すものか……そう決意した。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】不誠実な旦那様、目が覚めたのでさよならです。
完菜
恋愛
王都の端にある森の中に、ひっそりと誰かから隠れるようにしてログハウスが建っていた。
そこには素朴な雰囲気を持つ女性リリーと、金髪で天使のように愛らしい子供、そして中年の女性の三人が暮らしている。この三人どうやら訳ありだ。
ある日リリーは、ケガをした男性を森で見つける。本当は困るのだが、見捨てることもできずに手当をするために自分の家に連れて行くことに……。
その日を境に、何も変わらない日常に少しの変化が生まれる。その森で暮らしていたリリーには、大好きな人から言われる「愛している」という言葉が全てだった。
しかし、あることがきっかけで一瞬にしてその言葉が恐ろしいものに変わってしまう。人を愛するって何なのか? 愛されるって何なのか? リリーが紆余曲折を経て辿り着く愛の形。(全50話)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約者様は大変お素敵でございます
ましろ
恋愛
私シェリーが婚約したのは16の頃。相手はまだ13歳のベンジャミン様。当時の彼は、声変わりすらしていない天使の様に美しく可愛らしい少年だった。
あれから2年。天使様は素敵な男性へと成長した。彼が18歳になり学園を卒業したら結婚する。
それまで、侯爵家で花嫁修業としてお父上であるカーティス様から仕事を学びながら、嫁ぐ日を指折り数えて待っていた──
設定はゆるゆるご都合主義です。
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる