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本編
暫くお世話になります
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丸薬が効いたのか、師匠も歩けるから一緒に食べる事になって全員で移動する。オーウェンさんは部家を出る前に、埃だらけの服を手のひら軽く叩くと、新品の服の様に綺麗にした。魔法で、こんな事も出来るの?
案内された食堂は、私的な場所で円卓に六人程が座ると満席になる広さ。王様の横に師匠が座り、その横に私。そして、その横をランバートさんが座ると、オーウェンさんがため息を吐いた。
「小僧、余裕が無いな」
オーウェンさん小さな声で何か言った途端、ランバートさんの眉間にシワが寄る。私が尋ねても二人共、教えてはくれなかった。
全員が着席したタイミングで、温かいスープに野菜サラダとパン。他にも炒めた卵やベーコン、ソーセージが目の前に並ぶ。ランバートさんの前にだけは、大皿に溢れそうな程の料理が盛られていた。うわ……皆、彼の食事量を知ってるんだ。
「では、食べましょう」
王様が声を掛けて食事が始まる。オーウェンさんは野菜サラダだけを食べていた。
「それでエルフ殿、イリーナの家族の事ですが……」
「オーウェンだ。名で呼ぶと良い」
そう言ったオーウェンさんは、曾祖母の事を王様と師匠に話した。師匠の魔具も元々は曾祖母の為に作った物だった事は二人を驚かせた。そして、その後の話は私も初めて聞く話だった。
「マルガリータは家族と縁を切って、この国に移住し結婚して子宝にも恵まれた」
曾祖母は穏やかな性格をしていたが、その娘で私の祖母は出世欲の強い人だった。ある日、回復魔法が使える事が判ると家を飛び出し貴族の家に自ら売り込みに行く。そして、何軒目かの家で迎え入れても良いと言った家があり、その家の跡取りと結婚して産まれたのが私の母親。
「魔力が高い娘を駒として利用しようとしていたが、駆け落ちされて立場が弱くなったようだ」
駒として利用するって……政略結婚って事?お母さんの意思を無視していたの?私も魔力が高いと分かったら……どうするの?
「イリーナ、お前は会いたいか?」
オーウェンさんに問われて、最初に浮かんだ言葉は『分からない』だった。両親が亡くなって七年。一度も連絡のない人が家族と言われても、実感が湧かない。
「家族と言われても……よく分からないです」
「祖父母は彼女の事をご存じなのですかな?」
王様の言葉に自分が会いたくない理由を自覚した。そうか、何も知らなかったなら仕方ないけど、知ってて会いにきてないなら私は……
「恐らく、知っている」
その言葉に全員の表情が変わった気がした。王様は祖父母の名前を尋ねて戸籍を調べると言った。母親の貴族籍が残っている場合は対処をするらしい。
「まぁ、リナの戸籍は俺の娘になっているし、母親が長期失踪状態だから、抹消の手続きも問題ないはずだ」
師匠が珍しく魔法の事以外でまともな事を言ってる。戸籍の確認や手続きの為にも暫く、王様の所でお世話になることになった。何故か、オーウェンさんも一緒に。
理由を尋ねたら、曾祖母にお祖母ちゃんのせいで、孫やその子供達が不幸にならないように見守って欲しいと頼まれたらしい。
「これも縁だ。マルガリータが呼んだのだろう」
オーウェンさんは、縁を大事にする。そう言って笑っていた。隣のランバートさんは、彼の笑顔を見て青ざめた表情をしてボソッと一言。
「終わったな」
……何が終わったの?ちょっと待って、ランバートさん!後で説明、お願いします!
案内された食堂は、私的な場所で円卓に六人程が座ると満席になる広さ。王様の横に師匠が座り、その横に私。そして、その横をランバートさんが座ると、オーウェンさんがため息を吐いた。
「小僧、余裕が無いな」
オーウェンさん小さな声で何か言った途端、ランバートさんの眉間にシワが寄る。私が尋ねても二人共、教えてはくれなかった。
全員が着席したタイミングで、温かいスープに野菜サラダとパン。他にも炒めた卵やベーコン、ソーセージが目の前に並ぶ。ランバートさんの前にだけは、大皿に溢れそうな程の料理が盛られていた。うわ……皆、彼の食事量を知ってるんだ。
「では、食べましょう」
王様が声を掛けて食事が始まる。オーウェンさんは野菜サラダだけを食べていた。
「それでエルフ殿、イリーナの家族の事ですが……」
「オーウェンだ。名で呼ぶと良い」
そう言ったオーウェンさんは、曾祖母の事を王様と師匠に話した。師匠の魔具も元々は曾祖母の為に作った物だった事は二人を驚かせた。そして、その後の話は私も初めて聞く話だった。
「マルガリータは家族と縁を切って、この国に移住し結婚して子宝にも恵まれた」
曾祖母は穏やかな性格をしていたが、その娘で私の祖母は出世欲の強い人だった。ある日、回復魔法が使える事が判ると家を飛び出し貴族の家に自ら売り込みに行く。そして、何軒目かの家で迎え入れても良いと言った家があり、その家の跡取りと結婚して産まれたのが私の母親。
「魔力が高い娘を駒として利用しようとしていたが、駆け落ちされて立場が弱くなったようだ」
駒として利用するって……政略結婚って事?お母さんの意思を無視していたの?私も魔力が高いと分かったら……どうするの?
「イリーナ、お前は会いたいか?」
オーウェンさんに問われて、最初に浮かんだ言葉は『分からない』だった。両親が亡くなって七年。一度も連絡のない人が家族と言われても、実感が湧かない。
「家族と言われても……よく分からないです」
「祖父母は彼女の事をご存じなのですかな?」
王様の言葉に自分が会いたくない理由を自覚した。そうか、何も知らなかったなら仕方ないけど、知ってて会いにきてないなら私は……
「恐らく、知っている」
その言葉に全員の表情が変わった気がした。王様は祖父母の名前を尋ねて戸籍を調べると言った。母親の貴族籍が残っている場合は対処をするらしい。
「まぁ、リナの戸籍は俺の娘になっているし、母親が長期失踪状態だから、抹消の手続きも問題ないはずだ」
師匠が珍しく魔法の事以外でまともな事を言ってる。戸籍の確認や手続きの為にも暫く、王様の所でお世話になることになった。何故か、オーウェンさんも一緒に。
理由を尋ねたら、曾祖母にお祖母ちゃんのせいで、孫やその子供達が不幸にならないように見守って欲しいと頼まれたらしい。
「これも縁だ。マルガリータが呼んだのだろう」
オーウェンさんは、縁を大事にする。そう言って笑っていた。隣のランバートさんは、彼の笑顔を見て青ざめた表情をしてボソッと一言。
「終わったな」
……何が終わったの?ちょっと待って、ランバートさん!後で説明、お願いします!
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