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本編
さぁ、お仕事です!
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王様に許可を貰って、師匠が寝ている部屋の隅にある机を使わせて貰って、早速、修理を始めた。
机の上に荷物の中から必要な道具を取り出すと、歪みの酷いフレームからレンズを外して、ネジや部分の折れている所が無いか確認する。折れては……いない。ネジが無い所があるけど、コレは代用品で大丈夫。魔石は……魔力が僅かしか残っていない。きっと魔力が弱くなっていたから、耐えられなかったんだ。フレームの強度を増す為に、先に魔石に魔力を注いで回復させる事にした。
魔具を両手で包む様に持って、額に近付ける。全身から魔力を集める為に、目を閉じて集中した。眼鏡に付いている魔石は小さいけど質の良い物でらしい。身体の中から、かなりの魔力が失くなった。大きなため息を吐きながら、ゆっくりと目を開けると魔石の輝きが増している。
「先ずは、成功です」
そう伝えると、王様の目が零れ落ちそうな程、見開いていて私は思わず仰け反った。
「あの、何か?」
「あ、いや……君は……今、何をしたんだい?」
師匠から聞いてないのか、動揺している様にも見える。うーん、最初から言うべきかな?
「私の特異魔力の話しは、聞いていますでしょうか?」
「特異魔力……いや、身寄りの無い魔力の強い娘としか聞いていなよ」
成る程。休憩も兼ねて、私は王様に師匠と出会った事件から今までの事を話した。そして、特異魔力が魔石を甦らせる事も。
「そのせいで、師匠には何時も迷惑掛けています。この急な引っ越しも私のせいです。ごめんなさい」
私が頭を下げると、王様から息を飲む音が聞こえた。
「兄上……起きて大丈夫なのですか?」
王様の言葉に慌てて顔を上げると、師匠がベッドの上で身体を起こしていた。
「師匠、無理しないで下さい!」
「大丈夫……少し……疲れた……だけだ……ランディーは……何処だ?」
息苦しいのか途切れ途切れに話す師匠の背中を支えると、クッションを置いて背凭れにする。
「ランバートさんには、魔具の材料を取りに行って貰っています」
魔具の材料と聞いて師匠の眉が動いた。焦点の定まらない瞳で、部屋の中を見ていた師匠の瞳が机の上で止まった。
「ナダル!!」
私が修理しようとしている魔具が何か気付いた師匠は、怒りで顔を赤くして王様の名前を叫んだ。
「師匠!私が頼んだんです!」
私の言葉を聞いて動きを止めた師匠が、唖然としながら私を見た。その表情は、絶望している様にも見える。
「リナ……目の事を聞いたのか?」
師匠の声が微かに震えていた。私が頷くと、眉間にシワを寄せて俯いた。
「魔眼が何ですか!どうして私だけ何時も何時も後から聞かされるんですか!魔具だって早く言ってくれれば修理出来たのに!!どうして何時も……私を仲間外れにするんですか……師匠のバカ……」
感情的になって叫んだ言葉は私の本心だった。だって、ランバートさんが知ってて、私は知らなくて。教えて貰えない事が信用されてない様に感じて、気付けば涙が溢れていた。
「リナ……泣くな……」
「……嫌だ……後でランバートさんに怒られれば良いんだ……」
師匠が具合が悪い事に気付かなかった事や、ドラゴンの鱗を探す事が出来ない事が悔しい。私だって、私だって……
「私だって……師匠の役に立ちたいのに……酷いよ……」
師匠を責めたい訳じゃないけど、恨みがましい言葉が出てくる。これ以上、話すともっと嫌な事を言いそうで、私は黙って俯いた。
「あーあ、兄上って、昔から無神経ですからね。こんな可愛い娘を泣かせて……本当にバカですよ」
「おい、誰がバカだ」
王様が大きなため息を吐くと、私の頭を撫でてくれた。そして、ハンカチで私の目元を押さえながら、優しく涙を拭いてくれた。
「誰って兄上に決まっているでしょう。兄上が嫌になったら、私の娘になっても良いんだよ?」
「何、勝手な事を言っている?リナは俺の娘だ」
「その娘を泣かせたバカは誰でしょうね?」
グッと師匠が言葉に詰まって、悔しそうな表情をしている。その姿を見る王様の表情は、とても楽し気で邪魔をしたらいけない気がした。
そんな二人を見ていると、いつの間にか涙は止まっていた。
机の上に荷物の中から必要な道具を取り出すと、歪みの酷いフレームからレンズを外して、ネジや部分の折れている所が無いか確認する。折れては……いない。ネジが無い所があるけど、コレは代用品で大丈夫。魔石は……魔力が僅かしか残っていない。きっと魔力が弱くなっていたから、耐えられなかったんだ。フレームの強度を増す為に、先に魔石に魔力を注いで回復させる事にした。
魔具を両手で包む様に持って、額に近付ける。全身から魔力を集める為に、目を閉じて集中した。眼鏡に付いている魔石は小さいけど質の良い物でらしい。身体の中から、かなりの魔力が失くなった。大きなため息を吐きながら、ゆっくりと目を開けると魔石の輝きが増している。
「先ずは、成功です」
そう伝えると、王様の目が零れ落ちそうな程、見開いていて私は思わず仰け反った。
「あの、何か?」
「あ、いや……君は……今、何をしたんだい?」
師匠から聞いてないのか、動揺している様にも見える。うーん、最初から言うべきかな?
「私の特異魔力の話しは、聞いていますでしょうか?」
「特異魔力……いや、身寄りの無い魔力の強い娘としか聞いていなよ」
成る程。休憩も兼ねて、私は王様に師匠と出会った事件から今までの事を話した。そして、特異魔力が魔石を甦らせる事も。
「そのせいで、師匠には何時も迷惑掛けています。この急な引っ越しも私のせいです。ごめんなさい」
私が頭を下げると、王様から息を飲む音が聞こえた。
「兄上……起きて大丈夫なのですか?」
王様の言葉に慌てて顔を上げると、師匠がベッドの上で身体を起こしていた。
「師匠、無理しないで下さい!」
「大丈夫……少し……疲れた……だけだ……ランディーは……何処だ?」
息苦しいのか途切れ途切れに話す師匠の背中を支えると、クッションを置いて背凭れにする。
「ランバートさんには、魔具の材料を取りに行って貰っています」
魔具の材料と聞いて師匠の眉が動いた。焦点の定まらない瞳で、部屋の中を見ていた師匠の瞳が机の上で止まった。
「ナダル!!」
私が修理しようとしている魔具が何か気付いた師匠は、怒りで顔を赤くして王様の名前を叫んだ。
「師匠!私が頼んだんです!」
私の言葉を聞いて動きを止めた師匠が、唖然としながら私を見た。その表情は、絶望している様にも見える。
「リナ……目の事を聞いたのか?」
師匠の声が微かに震えていた。私が頷くと、眉間にシワを寄せて俯いた。
「魔眼が何ですか!どうして私だけ何時も何時も後から聞かされるんですか!魔具だって早く言ってくれれば修理出来たのに!!どうして何時も……私を仲間外れにするんですか……師匠のバカ……」
感情的になって叫んだ言葉は私の本心だった。だって、ランバートさんが知ってて、私は知らなくて。教えて貰えない事が信用されてない様に感じて、気付けば涙が溢れていた。
「リナ……泣くな……」
「……嫌だ……後でランバートさんに怒られれば良いんだ……」
師匠が具合が悪い事に気付かなかった事や、ドラゴンの鱗を探す事が出来ない事が悔しい。私だって、私だって……
「私だって……師匠の役に立ちたいのに……酷いよ……」
師匠を責めたい訳じゃないけど、恨みがましい言葉が出てくる。これ以上、話すともっと嫌な事を言いそうで、私は黙って俯いた。
「あーあ、兄上って、昔から無神経ですからね。こんな可愛い娘を泣かせて……本当にバカですよ」
「おい、誰がバカだ」
王様が大きなため息を吐くと、私の頭を撫でてくれた。そして、ハンカチで私の目元を押さえながら、優しく涙を拭いてくれた。
「誰って兄上に決まっているでしょう。兄上が嫌になったら、私の娘になっても良いんだよ?」
「何、勝手な事を言っている?リナは俺の娘だ」
「その娘を泣かせたバカは誰でしょうね?」
グッと師匠が言葉に詰まって、悔しそうな表情をしている。その姿を見る王様の表情は、とても楽し気で邪魔をしたらいけない気がした。
そんな二人を見ていると、いつの間にか涙は止まっていた。
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