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両親と話し合いも終わって、夕食までの時間を部屋でのんびり過ごす。交流のお茶会の為に仕事を終わらせていたので、読みたかった恋愛小説に手を伸ばした。
本を読みながらフッと気付いた。本の主人公は婚約者がクロード様と同じ様に不誠実な態度を取ると叱った。婚約者は初めは叱られる理由が分からず喧嘩していたが、主人公の言葉を聞いて疑問に思った事を友人や知人に尋ね、徐々に態度を改めていく。
「そうよね。話を聞いて疑問に思えば確認したり調べたりするわよね」
では、クロード様はどうだろう。ご両親が叱っても、跡継ぎのシューザ様が叱っても態度を改めず悪化させた。しかも、結婚したら我が家を継ぐのは自分だと言い出したから、跡継ぎは私だと勘違いを注意しても貴族法を理由に諌めても認めなかった。
「改めて振り返ると……お荷物にしかならないわね」
今、読んでいる本は最後は婚約者が反省し主人公を溺愛するのだが、それは本の空想の中だから赦される。現実では反省もしなければ相手の家で再教育も失敗して修正不可能。大体、跡継ぎだと言うなら少しでも仕事をしてから言って欲しいと何時も心で叫んでいた。
「……あら?彼は自分で仕事した事あったかしら……」
突然、頭に浮かんだ疑問。あちらの家はご両親とシューザ様が領地経営をして、婚約者のリリアン様は領地の特産品を扱う商会の運営。ヴォルフ様は補佐から外れて騎士団に所属……あら?……クロード様だけ無職?
「嫌だわ。私、今まで気付かなかったなんて」
婚約して二年半で今更、気付いた事実に衝撃を受けていると、執事が私に予定のない来客を知らせてきた。
「ヴォルフ様が?」
「はい、旦那様が対応しておりましたが、お嬢様を呼ぶようにと仰せです」
「そう……このまま行くわ。一緒に来て頂戴」
一瞬、着替えてから向かうか考えたけど、お父様が呼ぶなら急ぎの可能性もある。人前に出れる様な服で良かったと思いながら執事と一緒に応接室に向かった。
執事がノックして私の変わりに入室の伺いをたてる。中から聞こえたお父様に声は少し困惑していた。珍しいわ。何時も家族以外に感情を見せないお父様が人前で隠しきれないなんて。
「お待たせ致しました」
そう言って私がお父様の隣に座ると、いきなりヴォルフ様が頭を下げた。無言で頭を下げるヴォルフ様に困惑した私が、お父様に視線を向けると大きなため息を吐いている。一体、何があったのかしら?
「先ずは頭を上げて私達に分かるよう説明して頂きたい」
お父様の言葉を受けて顔を上げたヴォルフ様は、今まで見ていた無表情で寡黙に人とは思えないほどスラスラと話し出した。
話の内容は婚約者の変更手続き書類を持参してきた事と、今まで私の前で話さなかった理由。
書類はともかく話さなかった理由が緊張と勘違いってどう言う事なの?お父様も私の隣で同じ様に困惑している。
「あの……私からも質問宜しいですか?」
「はい、分かる事なら何でも」
「勘違いとは何を勘違いされての事でしょうか?」
私の質問にヴォルフ様が一瞬だけ動きを止めた。膝に置かれていた彼の手に力が入ると、クロード様と婚約してから初めて私の目を真っ直ぐに見詰めてきた。
「ハリエット嬢がクロードの事を愛しているのだと勘違いしていました」
この方……本気でそんな馬鹿げた勘違いをしていたのかしら?
本を読みながらフッと気付いた。本の主人公は婚約者がクロード様と同じ様に不誠実な態度を取ると叱った。婚約者は初めは叱られる理由が分からず喧嘩していたが、主人公の言葉を聞いて疑問に思った事を友人や知人に尋ね、徐々に態度を改めていく。
「そうよね。話を聞いて疑問に思えば確認したり調べたりするわよね」
では、クロード様はどうだろう。ご両親が叱っても、跡継ぎのシューザ様が叱っても態度を改めず悪化させた。しかも、結婚したら我が家を継ぐのは自分だと言い出したから、跡継ぎは私だと勘違いを注意しても貴族法を理由に諌めても認めなかった。
「改めて振り返ると……お荷物にしかならないわね」
今、読んでいる本は最後は婚約者が反省し主人公を溺愛するのだが、それは本の空想の中だから赦される。現実では反省もしなければ相手の家で再教育も失敗して修正不可能。大体、跡継ぎだと言うなら少しでも仕事をしてから言って欲しいと何時も心で叫んでいた。
「……あら?彼は自分で仕事した事あったかしら……」
突然、頭に浮かんだ疑問。あちらの家はご両親とシューザ様が領地経営をして、婚約者のリリアン様は領地の特産品を扱う商会の運営。ヴォルフ様は補佐から外れて騎士団に所属……あら?……クロード様だけ無職?
「嫌だわ。私、今まで気付かなかったなんて」
婚約して二年半で今更、気付いた事実に衝撃を受けていると、執事が私に予定のない来客を知らせてきた。
「ヴォルフ様が?」
「はい、旦那様が対応しておりましたが、お嬢様を呼ぶようにと仰せです」
「そう……このまま行くわ。一緒に来て頂戴」
一瞬、着替えてから向かうか考えたけど、お父様が呼ぶなら急ぎの可能性もある。人前に出れる様な服で良かったと思いながら執事と一緒に応接室に向かった。
執事がノックして私の変わりに入室の伺いをたてる。中から聞こえたお父様に声は少し困惑していた。珍しいわ。何時も家族以外に感情を見せないお父様が人前で隠しきれないなんて。
「お待たせ致しました」
そう言って私がお父様の隣に座ると、いきなりヴォルフ様が頭を下げた。無言で頭を下げるヴォルフ様に困惑した私が、お父様に視線を向けると大きなため息を吐いている。一体、何があったのかしら?
「先ずは頭を上げて私達に分かるよう説明して頂きたい」
お父様の言葉を受けて顔を上げたヴォルフ様は、今まで見ていた無表情で寡黙に人とは思えないほどスラスラと話し出した。
話の内容は婚約者の変更手続き書類を持参してきた事と、今まで私の前で話さなかった理由。
書類はともかく話さなかった理由が緊張と勘違いってどう言う事なの?お父様も私の隣で同じ様に困惑している。
「あの……私からも質問宜しいですか?」
「はい、分かる事なら何でも」
「勘違いとは何を勘違いされての事でしょうか?」
私の質問にヴォルフ様が一瞬だけ動きを止めた。膝に置かれていた彼の手に力が入ると、クロード様と婚約してから初めて私の目を真っ直ぐに見詰めてきた。
「ハリエット嬢がクロードの事を愛しているのだと勘違いしていました」
この方……本気でそんな馬鹿げた勘違いをしていたのかしら?
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