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自宅に帰ると出迎えてくれた侍女に両親の所在を確認すると、幸い帰宅してサロンでお茶をしていると教えてくれた。せっかくゆっくりしている所に申し訳ないけど、両親が揃っているならチャンスよね。
「両親に話があるから着替えるまでサロンで待っていて欲しいと伝えて頂戴」
「畏まりました」
侍女の横に控えていた執事が返事をすると、サロンへ向かって歩き出した。その背中を見送ってから、自室に戻ると直ぐにドレスを着替えて両親の元へ向かう。両親と話したら煩わしい全てが終わると思うと、足取りは軽かった。
「お父様、お母様、ハリエット参りました」
ノックと共に声を掛けると中から直ぐに返事が聞こえた。中に入れば早い帰宅にお父様の眉間には深いシワが刻まれていた。
「お帰りなさいハリエット」
お父様の不機嫌な態度を気にすることなく、お母様が私に笑顔で声を掛けた。帰りの挨拶をしながら両親の向かいの席に座ると、今日の出来事を一通り話した。
「従者に嘘までつかせて逃げたか」
「はい、続行は不可能だと思います」
「あちらのご両親からも次男へ変更手続きの伺いが届いた所よ」
お母様の言葉に引っ掛かりを覚える。再教育をすると言った本人達が見放す様な人間を、私に押し付けようとしていたの?
「次男が婚約に乗り気らしくて、あちらのご両親もそれならと手紙を寄越した」
お母様の言葉を補足するようにお父様が言葉を続ける。その言葉も私には信じられないものだった。
「次男のヴォルフ様が乗り気ですか?今日、お会いしましたが終始無言でしたよ」
「え?そうなの。手紙には昔から貴女に気がある様な事が書いてあったわよ」
お母様の言葉に思わず首を傾げて考える。昔から?初めて会ったのはクロード様との顔合わせの時よね。……その頃からずっとあの方は無言でしたわね。そう言えば。
「初めて顔合わせした時から寡黙な方でしたが、それ以前に何処かでお会いしていましたか?」
両親の表情が一瞬、強張ったが直ぐに普段通りの表情に戻ると首を横に振って否定した。今の変化は気になるけど、触れて欲しくなさそうね。……私、何か忘れているのかしら?
「そうですか。交代でも構いませんが、ヴォルフ様は何も仰らないので、御本人に意思を確認してからが宜しいかと思いますわ」
「そうだな。交代して結局、次も駄目でしたではハリエットが苦労するだけだしな」
「そうですわね。それに次男は騎士団に所属されていましたわ。婿になるならそちらとの兼ね合いもありますわ」
両親の話を聞けば聞くほど面倒な事になりそうで、私は早く白紙にしたかったけど相手の事もあるから後日、当事者を交えて話し合いをする事に決まった。
「あちらと日程を調整して連絡するから、クロード君との交流はしなくて良い」
お父様の最後の言葉にやっと肩の荷が降りた気がした。毎回、彼がやらかす度に慌てる周りをフォローする事も、変わりに謝る必要もないのだから。
「両親に話があるから着替えるまでサロンで待っていて欲しいと伝えて頂戴」
「畏まりました」
侍女の横に控えていた執事が返事をすると、サロンへ向かって歩き出した。その背中を見送ってから、自室に戻ると直ぐにドレスを着替えて両親の元へ向かう。両親と話したら煩わしい全てが終わると思うと、足取りは軽かった。
「お父様、お母様、ハリエット参りました」
ノックと共に声を掛けると中から直ぐに返事が聞こえた。中に入れば早い帰宅にお父様の眉間には深いシワが刻まれていた。
「お帰りなさいハリエット」
お父様の不機嫌な態度を気にすることなく、お母様が私に笑顔で声を掛けた。帰りの挨拶をしながら両親の向かいの席に座ると、今日の出来事を一通り話した。
「従者に嘘までつかせて逃げたか」
「はい、続行は不可能だと思います」
「あちらのご両親からも次男へ変更手続きの伺いが届いた所よ」
お母様の言葉に引っ掛かりを覚える。再教育をすると言った本人達が見放す様な人間を、私に押し付けようとしていたの?
「次男が婚約に乗り気らしくて、あちらのご両親もそれならと手紙を寄越した」
お母様の言葉を補足するようにお父様が言葉を続ける。その言葉も私には信じられないものだった。
「次男のヴォルフ様が乗り気ですか?今日、お会いしましたが終始無言でしたよ」
「え?そうなの。手紙には昔から貴女に気がある様な事が書いてあったわよ」
お母様の言葉に思わず首を傾げて考える。昔から?初めて会ったのはクロード様との顔合わせの時よね。……その頃からずっとあの方は無言でしたわね。そう言えば。
「初めて顔合わせした時から寡黙な方でしたが、それ以前に何処かでお会いしていましたか?」
両親の表情が一瞬、強張ったが直ぐに普段通りの表情に戻ると首を横に振って否定した。今の変化は気になるけど、触れて欲しくなさそうね。……私、何か忘れているのかしら?
「そうですか。交代でも構いませんが、ヴォルフ様は何も仰らないので、御本人に意思を確認してからが宜しいかと思いますわ」
「そうだな。交代して結局、次も駄目でしたではハリエットが苦労するだけだしな」
「そうですわね。それに次男は騎士団に所属されていましたわ。婿になるならそちらとの兼ね合いもありますわ」
両親の話を聞けば聞くほど面倒な事になりそうで、私は早く白紙にしたかったけど相手の事もあるから後日、当事者を交えて話し合いをする事に決まった。
「あちらと日程を調整して連絡するから、クロード君との交流はしなくて良い」
お父様の最後の言葉にやっと肩の荷が降りた気がした。毎回、彼がやらかす度に慌てる周りをフォローする事も、変わりに謝る必要もないのだから。
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