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その後 side ウィルス 微ざまぁ
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「猿轡も拘束もそのままで」
我が家に使える騎士達が、荷物の様に俺を馬車に押し込める。クソ!後で父上に言ってクビにしてやる!
「なぁ、コイツ。まだ自分の立場が分かってないんじゃないか」
「……あぁ、コイツはバカだから理解出来ないのか。面倒くせぇな」
は?俺をバカと言ったのか?主人に向かってバカと言ったのか!!
騎士達の言葉に腹を立てて暴れようとしたが、後ろに回されている腕を締め上げられ呻くしかなかった。
「あんたはご主人じゃない。ご主人を騙したクズだ」
そう言って聞かされたのはカルラが言っていた不義の子の話。母上が浮気をしていた事はショックだったが、何故俺がこんな扱いを受けなければならないのか理解出来なかった。
「まだわかんないのかよ……元夫人の産んだ不義の子はあんただよ」
そう言えばカルラが言ってなかったか?侯爵家の血は入ってないと……アレは本当の事だったのか?
「まー、裏切ったのは元夫人だから、命だけは助かって良かったな」
「鉱山で働いて今までに掛かった金を返せば自由らしいから頑張って働けよ」
「働いた事のないお貴族様がどこまでもつか見ものだな」
俺の事を好き勝手に言う騎士の言葉が頭をすり抜ける。今までに掛かった金?何の金だ?
「……おい、コイツまだ理解してないぞ」
「「は?」」
「金が幾らか言えば分かるか?」
騎士達の感情の籠らない無機質な視線に体が勝手に震えた。この先は聞いてはいけない気がして、首を横に振って拒否するが一人の騎士が悪意ある笑みで俺の顔を押さえ付けた。
「今までの生活費にシュミットガル令嬢にプレゼントを贈ると言って騙しとった金。それにギャンブルまでしてたんだってな」
カルラにプレゼントを買うと言って父上から貰った金は、遊びに全て使って残ってない。友人達に奢ったりターナにプレゼントした……あれも?
「総額で金貨一千枚。平民なら質素に暮らせば一生暮らしていける金だ」
一生暮らす?赤ん坊が死ぬまで?え?俺が今までに使ったのか?……今から返す?一人で?奢られた友人やターナには請求しないのか?
「あぁ、そうだ。あんたが友人だと思っていた奴らは金蔓としか思ってなかったようだな。勘当されたと知った途端に行方を眩ませた」
「女の方は主が捕まえたようだ。あんたが贈ったプレゼントは全て質屋で換金されていたぞ」
何が可笑しいのか騎士達が笑う。逃げた?換金?……俺は……俺は……
騎士達の言葉を理解出来ずに困惑する俺に、一人が口の端だけ持ち上げて小馬鹿にした笑みで俺を真っ直ぐに見た。
い、嫌だ。嫌だ。嫌だ。聞きたくない。聞きたくない。聞きたくないんだよ!!
「あんた、騙されたんだよ。何が俺は偉いだ。シュミットガル令嬢がいなけりゃ何も出来ないクセに」
「「「本当にバカだな」」」
騎士達の言葉が頭に響く。騙された?俺が?高貴な血筋の俺が?あ……侯爵家の人間じゃないんだった。
侯爵家の血筋じゃない俺。
カルラのノートがなければ留年の俺。
信じていた奴らに騙された俺は……生きている価値あるのか?
騎士達の言葉を理解して呆然としている間に鉱山に着いた。ショックで動けなくなった俺を、騎士達が引きずる様に外に押し出した。俺の目の前にはゴツゴツとした岩肌しかない。崖の下に小屋が建ち並び、その中からデカイ男が出て来て騎士達に手を上げ挨拶している。
「へぇーコイツが侯爵様を騙した女の子供ね」
「借金は金貨一千枚だってよ。返せば自由なんだとさ」
「おや、侯爵様も慈悲深い。寝ずに働きゃ二十年くらいで完済だ」
二十年……俺は……俺は……
「生きていられたらな」
誰かがそう言った直後、大きな爆破音と共に洞窟の入口から土煙が噴き出した。ガタガタと恐怖で震えるだけの俺を残して、騎士達とデカイ男は洞窟へと駆け出した。
その冷静で落ち着いた対応が、これがここの日常だと嫌でも理解させられた。
我が家に使える騎士達が、荷物の様に俺を馬車に押し込める。クソ!後で父上に言ってクビにしてやる!
「なぁ、コイツ。まだ自分の立場が分かってないんじゃないか」
「……あぁ、コイツはバカだから理解出来ないのか。面倒くせぇな」
は?俺をバカと言ったのか?主人に向かってバカと言ったのか!!
騎士達の言葉に腹を立てて暴れようとしたが、後ろに回されている腕を締め上げられ呻くしかなかった。
「あんたはご主人じゃない。ご主人を騙したクズだ」
そう言って聞かされたのはカルラが言っていた不義の子の話。母上が浮気をしていた事はショックだったが、何故俺がこんな扱いを受けなければならないのか理解出来なかった。
「まだわかんないのかよ……元夫人の産んだ不義の子はあんただよ」
そう言えばカルラが言ってなかったか?侯爵家の血は入ってないと……アレは本当の事だったのか?
「まー、裏切ったのは元夫人だから、命だけは助かって良かったな」
「鉱山で働いて今までに掛かった金を返せば自由らしいから頑張って働けよ」
「働いた事のないお貴族様がどこまでもつか見ものだな」
俺の事を好き勝手に言う騎士の言葉が頭をすり抜ける。今までに掛かった金?何の金だ?
「……おい、コイツまだ理解してないぞ」
「「は?」」
「金が幾らか言えば分かるか?」
騎士達の感情の籠らない無機質な視線に体が勝手に震えた。この先は聞いてはいけない気がして、首を横に振って拒否するが一人の騎士が悪意ある笑みで俺の顔を押さえ付けた。
「今までの生活費にシュミットガル令嬢にプレゼントを贈ると言って騙しとった金。それにギャンブルまでしてたんだってな」
カルラにプレゼントを買うと言って父上から貰った金は、遊びに全て使って残ってない。友人達に奢ったりターナにプレゼントした……あれも?
「総額で金貨一千枚。平民なら質素に暮らせば一生暮らしていける金だ」
一生暮らす?赤ん坊が死ぬまで?え?俺が今までに使ったのか?……今から返す?一人で?奢られた友人やターナには請求しないのか?
「あぁ、そうだ。あんたが友人だと思っていた奴らは金蔓としか思ってなかったようだな。勘当されたと知った途端に行方を眩ませた」
「女の方は主が捕まえたようだ。あんたが贈ったプレゼントは全て質屋で換金されていたぞ」
何が可笑しいのか騎士達が笑う。逃げた?換金?……俺は……俺は……
騎士達の言葉を理解出来ずに困惑する俺に、一人が口の端だけ持ち上げて小馬鹿にした笑みで俺を真っ直ぐに見た。
い、嫌だ。嫌だ。嫌だ。聞きたくない。聞きたくない。聞きたくないんだよ!!
「あんた、騙されたんだよ。何が俺は偉いだ。シュミットガル令嬢がいなけりゃ何も出来ないクセに」
「「「本当にバカだな」」」
騎士達の言葉が頭に響く。騙された?俺が?高貴な血筋の俺が?あ……侯爵家の人間じゃないんだった。
侯爵家の血筋じゃない俺。
カルラのノートがなければ留年の俺。
信じていた奴らに騙された俺は……生きている価値あるのか?
騎士達の言葉を理解して呆然としている間に鉱山に着いた。ショックで動けなくなった俺を、騎士達が引きずる様に外に押し出した。俺の目の前にはゴツゴツとした岩肌しかない。崖の下に小屋が建ち並び、その中からデカイ男が出て来て騎士達に手を上げ挨拶している。
「へぇーコイツが侯爵様を騙した女の子供ね」
「借金は金貨一千枚だってよ。返せば自由なんだとさ」
「おや、侯爵様も慈悲深い。寝ずに働きゃ二十年くらいで完済だ」
二十年……俺は……俺は……
「生きていられたらな」
誰かがそう言った直後、大きな爆破音と共に洞窟の入口から土煙が噴き出した。ガタガタと恐怖で震えるだけの俺を残して、騎士達とデカイ男は洞窟へと駆け出した。
その冷静で落ち着いた対応が、これがここの日常だと嫌でも理解させられた。
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