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答案用紙を確認すると丁度、最後まで記入が済んでいる。本来ならこれから全問、見直しするけど、もういいわ。
「監督官、時間前ですが提出しても宜しいでしょうか?」
「まだ、規定時間の半分以上残っていますよ」
「全問解答済みです。私のせいで騒がせていますので、ポッター子息と話をさせて頂きたいです」
監督官は驚いた様な表情を見せた後、二人で話し合うと了承が得られた。ただし、学園の警備員立ち合いの元、しかも外でだ。ポッター子息が激昂しても直ぐに対処出来る様にだとか。はぁ、本当に最後まで迷惑な人だわ。
会場を出て警備員と一緒に向かった先には中庭の様に開けた場所があり、その芝生の上に両側から警備員に抑えられているポッター子息がいた。
「出てきたな、父上を洗脳した悪魔がぁ!」
「お手数ですが声が出せない様にしてくださる?」
両側から彼を抑えていた警備員とは別の警備員が布を噛ませて黙らせた。やっと静かに話が出来るわね。
「侯爵様を洗脳したとは、ご自身が籍を抜かれたからですか?」
私の言葉に反応して彼が暴れようとするが、直ぐさま腕を捻られ制圧される。ろくに鍛えてもいない彼が敵うはずもないのに、抵抗出来ずに悔しそうな表情を見せた。
「また、侯爵様話を最後まで聞かずに家を飛び出されたのですね。何方か侯爵家に連絡をお願い致します」
後ろに控えていた警備員の方が通信機で連絡をしています。結果は目に見えていますが私を敵に回した事を後悔して貰いましょう。
「今回の罰は侯爵夫人の浮気が発端であって私とは無関係です。浮気の後に産まれた貴方が籍を抜かれる意味がお分かりですか?」
私の問いに理解していない彼は、目を丸くして見詰め返してきました。成る程、母親を信じていたのですか。それとも理解していないのですかね。
「貴方は侯爵様の息子では御座いません」
ゆっくりと彼に近付く私を警備員の方が止めようとしますが、無視して押さえられて目線の低い彼の目の前に座り視線を合わせます。何かしら感じ取ったのか彼の顔は徐々に青ざめていきます。
「門番との不義の子。貴方が自慢していた侯爵家の血は一滴も流れておりませんわ」
呻き声を上げた彼は体を捩って警備員の拘束を解こうとしたが、更に強く抑えられ顔を歪めた。痛いでしょうね。でも、それは序の口ですわ。
「侯爵家から迎えが来ます。侯爵家が所有する鉱山でお仕事して頂きます」
もし試験中に彼が学園で問題を起こしたら、このまま鉱山へ向かう事になっています。何も無ければ手続き中ぐらいは温情を受けられたのかもしれませんね。でも、それも今、この時で終わりです。
「侯爵様は貴方に甘いですから、私から提案させて頂きましたの。もし話を聞かずに私に迷惑をかけるなら」
私が言葉を切ると見て分かるほど大きく肩を揺らした彼は、首を横に振って何かを訴えている。今更、何を言いたいのかなんて私には関係ない。
「迎えに来たその足で鉱山に向かうようにと。侯爵様は貴方を信じておりましたのに残念ですこと」
「ううぅ!う!」
「何を仰っているのか分かりませんし、分かりたくもありません。永遠にさようなら」
「うぅぅぅ!!」
更に大きな呻き声を出した時、侯爵家から迎えが来たとの連絡が来た。侯爵家、お抱えの騎士団の服を着た男性が侯爵様からの手紙だと私に封筒を差し出した。その封筒を受け取ると彼は深々と頭を下げた後、連れと一緒にポッター子息を縄で縛ってから引きずる様に姿を消した。
「今更、何のお手紙かしら?」
独り言を呟くと私は警備員の方々にお礼を言ってから帰宅する為、乗降場へ向かって一人で歩き出した。
「監督官、時間前ですが提出しても宜しいでしょうか?」
「まだ、規定時間の半分以上残っていますよ」
「全問解答済みです。私のせいで騒がせていますので、ポッター子息と話をさせて頂きたいです」
監督官は驚いた様な表情を見せた後、二人で話し合うと了承が得られた。ただし、学園の警備員立ち合いの元、しかも外でだ。ポッター子息が激昂しても直ぐに対処出来る様にだとか。はぁ、本当に最後まで迷惑な人だわ。
会場を出て警備員と一緒に向かった先には中庭の様に開けた場所があり、その芝生の上に両側から警備員に抑えられているポッター子息がいた。
「出てきたな、父上を洗脳した悪魔がぁ!」
「お手数ですが声が出せない様にしてくださる?」
両側から彼を抑えていた警備員とは別の警備員が布を噛ませて黙らせた。やっと静かに話が出来るわね。
「侯爵様を洗脳したとは、ご自身が籍を抜かれたからですか?」
私の言葉に反応して彼が暴れようとするが、直ぐさま腕を捻られ制圧される。ろくに鍛えてもいない彼が敵うはずもないのに、抵抗出来ずに悔しそうな表情を見せた。
「また、侯爵様話を最後まで聞かずに家を飛び出されたのですね。何方か侯爵家に連絡をお願い致します」
後ろに控えていた警備員の方が通信機で連絡をしています。結果は目に見えていますが私を敵に回した事を後悔して貰いましょう。
「今回の罰は侯爵夫人の浮気が発端であって私とは無関係です。浮気の後に産まれた貴方が籍を抜かれる意味がお分かりですか?」
私の問いに理解していない彼は、目を丸くして見詰め返してきました。成る程、母親を信じていたのですか。それとも理解していないのですかね。
「貴方は侯爵様の息子では御座いません」
ゆっくりと彼に近付く私を警備員の方が止めようとしますが、無視して押さえられて目線の低い彼の目の前に座り視線を合わせます。何かしら感じ取ったのか彼の顔は徐々に青ざめていきます。
「門番との不義の子。貴方が自慢していた侯爵家の血は一滴も流れておりませんわ」
呻き声を上げた彼は体を捩って警備員の拘束を解こうとしたが、更に強く抑えられ顔を歪めた。痛いでしょうね。でも、それは序の口ですわ。
「侯爵家から迎えが来ます。侯爵家が所有する鉱山でお仕事して頂きます」
もし試験中に彼が学園で問題を起こしたら、このまま鉱山へ向かう事になっています。何も無ければ手続き中ぐらいは温情を受けられたのかもしれませんね。でも、それも今、この時で終わりです。
「侯爵様は貴方に甘いですから、私から提案させて頂きましたの。もし話を聞かずに私に迷惑をかけるなら」
私が言葉を切ると見て分かるほど大きく肩を揺らした彼は、首を横に振って何かを訴えている。今更、何を言いたいのかなんて私には関係ない。
「迎えに来たその足で鉱山に向かうようにと。侯爵様は貴方を信じておりましたのに残念ですこと」
「ううぅ!う!」
「何を仰っているのか分かりませんし、分かりたくもありません。永遠にさようなら」
「うぅぅぅ!!」
更に大きな呻き声を出した時、侯爵家から迎えが来たとの連絡が来た。侯爵家、お抱えの騎士団の服を着た男性が侯爵様からの手紙だと私に封筒を差し出した。その封筒を受け取ると彼は深々と頭を下げた後、連れと一緒にポッター子息を縄で縛ってから引きずる様に姿を消した。
「今更、何のお手紙かしら?」
独り言を呟くと私は警備員の方々にお礼を言ってから帰宅する為、乗降場へ向かって一人で歩き出した。
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